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第五話「迷宮事変」PART5
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サレナの放った矢は普通の矢ではなかった……一本が十本ほどに分裂して、ばら撒くタイプの範囲攻撃だった。
それを見て、先頭を進んでいたルークがすかさず盾を構えながら下がってくると、サレナのカバーに入る。
続けて、ファトリが呪文の詠唱を開始する。
ミリアもレインも、唐突とも言えるサレナ達の行動は、予想だにしていなかった為、対応が遅れる。
けれども、ミリア達の頭上に放たれたように見えた矢が風に流され、右手側の森に驟雨のようにばら撒かれた!
ピーピーと言う鳴き声と共にハリネズミのようになったボールスライムが茂みから飛び出し、更に、灌木に擬態していた大型のスライムがその正体を表す!
「踊れ炎ッ! 猛り、弾けて、踊り狂えっ! 重連爆炎舞!」
ファトリが追撃のファイアボールを放つ! これもまた対集団用の広範囲攻撃タイプ……一度空中で炸裂し、10発以上に分裂すると地上で一斉に炸裂する……スライムが次々巻き込まれて、吹き飛んでいく!
「な! 馬鹿な! ここで待ち伏せだと!」
迷宮周辺は掃討済み……そう聞いていたミリア達にとっては、この奇襲は寝耳に水だったのだけど、サレナ達は十分に警戒していた……それ故に迷わず、待ち伏せを察した時点で、最大火力による先制攻撃を実行したのだった。
「ぼやぼやしないっ! 左翼からも来るよ! 右翼はこっちで抑えるから、後退しつつ左翼からの攻撃に備えるっ!」
そのサレナの警告の声に、ミリアも左側の茂みから飛び出してきた何本もの触手を大剣ではたき落とすことに成功する。
左右からの挟撃をまともに食らっていたら危なかったが、右側のスライムはサレナ達の猛烈な先制攻撃を受けて壊滅したらしく、攻撃も来ない。
「一体なんなの! ……このスライムの大群は!」
「数は大型30! 小型50ってところです……けど、先制で削ったのはせいぜい二割くらい……かな?」
サレナの声に、全身の魔術回路を励起させたファトリが応える。
索敵魔術を使ったようで、すでに敵の総勢を把握しているようだったが、その数にはミリアも衝撃を受ける。
「何故、こんなにスライムが集まっているんだ……どこから来たんだ……それも野生種が待ち伏せなぞあり得ん!」
「明らかに不自然よね……このダンジョンに何があるっていうのかしら? ルーク! まさかこの期に及んでスライムは可哀想だから、切れないとか言わないよね?」
「……さすがに、こんなやる気満々な奴らに容赦するほど甘くないぜ! それに俺達は護衛だからな! 依頼主をきっちり守るのがお仕事っ! 私情は挟まねぇよっ!」
ルークが左翼側へ突撃し、擬装を解いたスライムに突進力を乗せた突きを放つ! スライム相手に斬撃は効果が薄いのは承知のようで、深々と突き刺し、中身を散々かき回した上で、その体表に白い粉を投げかける!
何の粉かよく解らないのだけど、大型スライムの体表が沸騰したように弾けだした上に、ルークにコアを破壊されたらしく、クタッと潰れて動かなくなる。
ミリアもルークの後を追って突撃すると、手近な大型スライムに切りかかる! その一撃は表皮に阻まれ、なんら痛痒を与えていないのだけど、ミリアは剣の刃を思い切り引く! 直後、その表皮が大きく切り裂かれ! 体液が吹き出す!
ミリアの大剣も対スライム戦を想定し、剣の刃をノコギリ状に改造してあった……むしろ、この大剣自体巨大ノコギリのようなものだった。
もちろん、対人戦ではこんな改造……ほとんど意味がないのだけど、叩き切るのではなく、引き切るようにすれば、スライムの表皮も容易に引き裂くことが可能となる。
2m近い大剣で、盛大に表皮を引き裂いてしまえば、体液が一気に溢れ出して、スライムは弱体化し、無力化される。
ミリアも対スライム戦を重ねたことで、サトルほどではないがスライム殺しは手慣れたものとなりつつあった。
それにしても……驚きなのは、サレナ達三人の手際の良さだった。
スライムの待ち伏せを見破った上での先制攻撃、高速で飛んでくる触手攻撃も苦もなく見切っているようだった。
「なんだ……あんた、結構やるじゃん……普通の剣じゃスライムの表皮なんて切れねぇんだがな」
ルークがミリアの方を振り向こうともせずにそう言った。
「一応、この剣はスライム狩りの特注品なのだよ……それにしても、ルーク殿……やけに、スライムを殺し慣れてるように見えるのだが……君達は何者なのだ?」
「何者って言われてもなぁ……ただのCクラスの冒険者だ……この依頼を受けるにあたって、ギルドから色々警告されててな……スライムと戦う事を想定しろとは言われてたんだが……まさか役に立つとはなぁ……」
ルークからの意外な情報だった。
最悪、ギルドは敵だと想定していただけに、ルーク達へ情報提供があったと言うのは想定外だった。
ギルド側の考えがいまいち読めない……こちらの素性や他の街での冒険者に紛れたスライムを狩っていた事も把握されているのだろうか?
ミリアの中で、様々な疑問が渦巻く……。
「と言うか……そっちこそ、何者だよ? 聖光教会の関係者だって事は解るけど……今度は一体、何をおっ始めるつもりなんだ? 目的は迷宮探索って訳じゃないだろ? と言うか、迷宮からも続々とスライムが湧いてきてるみたいなんだが……何が起きているんだ? これ……このダンジョンでスライムなんて見た事ないぞ!」
その言葉にミリアもダンジョンの入口を見やると、スライムが次々と湧き出してきていた。
それが意味することは、ただひとつ。
「サトル殿が危ないっ! レイン! 不味いことになった! アメリア達と至急連絡を取ってくれ!」
「い、今は無理です! そんな通信なんてしてる余裕ないですっ!」
言いながら、浄化の炎を放ち、飛びかかってきた小型スライムを錫杖のフルスイングで打ちのめすレイン。
ミリアもはやる気持ちを抑えながら、目の前の敵との戦いに集中する!
敵の数は多い……すでに30体近くは倒しているはずだったが、森の中からもダンジョン内からも新手が出てくるので、全く減った気がしなかった……。
今のミリアたちには、サトルの無事を祈りながら、一刻も早くこのスライムの群れを殲滅する……それしか無かった。
それを見て、先頭を進んでいたルークがすかさず盾を構えながら下がってくると、サレナのカバーに入る。
続けて、ファトリが呪文の詠唱を開始する。
ミリアもレインも、唐突とも言えるサレナ達の行動は、予想だにしていなかった為、対応が遅れる。
けれども、ミリア達の頭上に放たれたように見えた矢が風に流され、右手側の森に驟雨のようにばら撒かれた!
ピーピーと言う鳴き声と共にハリネズミのようになったボールスライムが茂みから飛び出し、更に、灌木に擬態していた大型のスライムがその正体を表す!
「踊れ炎ッ! 猛り、弾けて、踊り狂えっ! 重連爆炎舞!」
ファトリが追撃のファイアボールを放つ! これもまた対集団用の広範囲攻撃タイプ……一度空中で炸裂し、10発以上に分裂すると地上で一斉に炸裂する……スライムが次々巻き込まれて、吹き飛んでいく!
「な! 馬鹿な! ここで待ち伏せだと!」
迷宮周辺は掃討済み……そう聞いていたミリア達にとっては、この奇襲は寝耳に水だったのだけど、サレナ達は十分に警戒していた……それ故に迷わず、待ち伏せを察した時点で、最大火力による先制攻撃を実行したのだった。
「ぼやぼやしないっ! 左翼からも来るよ! 右翼はこっちで抑えるから、後退しつつ左翼からの攻撃に備えるっ!」
そのサレナの警告の声に、ミリアも左側の茂みから飛び出してきた何本もの触手を大剣ではたき落とすことに成功する。
左右からの挟撃をまともに食らっていたら危なかったが、右側のスライムはサレナ達の猛烈な先制攻撃を受けて壊滅したらしく、攻撃も来ない。
「一体なんなの! ……このスライムの大群は!」
「数は大型30! 小型50ってところです……けど、先制で削ったのはせいぜい二割くらい……かな?」
サレナの声に、全身の魔術回路を励起させたファトリが応える。
索敵魔術を使ったようで、すでに敵の総勢を把握しているようだったが、その数にはミリアも衝撃を受ける。
「何故、こんなにスライムが集まっているんだ……どこから来たんだ……それも野生種が待ち伏せなぞあり得ん!」
「明らかに不自然よね……このダンジョンに何があるっていうのかしら? ルーク! まさかこの期に及んでスライムは可哀想だから、切れないとか言わないよね?」
「……さすがに、こんなやる気満々な奴らに容赦するほど甘くないぜ! それに俺達は護衛だからな! 依頼主をきっちり守るのがお仕事っ! 私情は挟まねぇよっ!」
ルークが左翼側へ突撃し、擬装を解いたスライムに突進力を乗せた突きを放つ! スライム相手に斬撃は効果が薄いのは承知のようで、深々と突き刺し、中身を散々かき回した上で、その体表に白い粉を投げかける!
何の粉かよく解らないのだけど、大型スライムの体表が沸騰したように弾けだした上に、ルークにコアを破壊されたらしく、クタッと潰れて動かなくなる。
ミリアもルークの後を追って突撃すると、手近な大型スライムに切りかかる! その一撃は表皮に阻まれ、なんら痛痒を与えていないのだけど、ミリアは剣の刃を思い切り引く! 直後、その表皮が大きく切り裂かれ! 体液が吹き出す!
ミリアの大剣も対スライム戦を想定し、剣の刃をノコギリ状に改造してあった……むしろ、この大剣自体巨大ノコギリのようなものだった。
もちろん、対人戦ではこんな改造……ほとんど意味がないのだけど、叩き切るのではなく、引き切るようにすれば、スライムの表皮も容易に引き裂くことが可能となる。
2m近い大剣で、盛大に表皮を引き裂いてしまえば、体液が一気に溢れ出して、スライムは弱体化し、無力化される。
ミリアも対スライム戦を重ねたことで、サトルほどではないがスライム殺しは手慣れたものとなりつつあった。
それにしても……驚きなのは、サレナ達三人の手際の良さだった。
スライムの待ち伏せを見破った上での先制攻撃、高速で飛んでくる触手攻撃も苦もなく見切っているようだった。
「なんだ……あんた、結構やるじゃん……普通の剣じゃスライムの表皮なんて切れねぇんだがな」
ルークがミリアの方を振り向こうともせずにそう言った。
「一応、この剣はスライム狩りの特注品なのだよ……それにしても、ルーク殿……やけに、スライムを殺し慣れてるように見えるのだが……君達は何者なのだ?」
「何者って言われてもなぁ……ただのCクラスの冒険者だ……この依頼を受けるにあたって、ギルドから色々警告されててな……スライムと戦う事を想定しろとは言われてたんだが……まさか役に立つとはなぁ……」
ルークからの意外な情報だった。
最悪、ギルドは敵だと想定していただけに、ルーク達へ情報提供があったと言うのは想定外だった。
ギルド側の考えがいまいち読めない……こちらの素性や他の街での冒険者に紛れたスライムを狩っていた事も把握されているのだろうか?
ミリアの中で、様々な疑問が渦巻く……。
「と言うか……そっちこそ、何者だよ? 聖光教会の関係者だって事は解るけど……今度は一体、何をおっ始めるつもりなんだ? 目的は迷宮探索って訳じゃないだろ? と言うか、迷宮からも続々とスライムが湧いてきてるみたいなんだが……何が起きているんだ? これ……このダンジョンでスライムなんて見た事ないぞ!」
その言葉にミリアもダンジョンの入口を見やると、スライムが次々と湧き出してきていた。
それが意味することは、ただひとつ。
「サトル殿が危ないっ! レイン! 不味いことになった! アメリア達と至急連絡を取ってくれ!」
「い、今は無理です! そんな通信なんてしてる余裕ないですっ!」
言いながら、浄化の炎を放ち、飛びかかってきた小型スライムを錫杖のフルスイングで打ちのめすレイン。
ミリアもはやる気持ちを抑えながら、目の前の敵との戦いに集中する!
敵の数は多い……すでに30体近くは倒しているはずだったが、森の中からもダンジョン内からも新手が出てくるので、全く減った気がしなかった……。
今のミリアたちには、サトルの無事を祈りながら、一刻も早くこのスライムの群れを殲滅する……それしか無かった。
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