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2-18 希望の巡回、その跡地
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「後の祭りって感じね……」
路地裏の開けた空間から離れたクルム達は、ひとまず宿屋に戻るためにシエル教団の巡回が行なわれていた広場に来ていた。
巡回によって盛り上がりを見せていたはずの広場も、巡回が終わるや否や――正確に表現するのであれば、巡回の主役であるペテルが去るや否や、広場からは人の足が遠のいて行った。そして、巡回が終わってからまだそこまで長い時間も経っていないというのに、広場はもぬけの殻同然だった。
広場に佇むのは、ただ三人。クルムとリッカ、そしてシンクだけだ。
その現状を見て、リッカは先ほどの第一声を放ったのだった。
ちなみに、ペテルやシオンによって斬られた人々は命に別状はなかったため、世界政府のヴェルル支部の人達に任せている。
彼らに対する世界政府の処罰はなく、命の心配もない上に、ペテルが放った『天恵の大瀑布』により憑き物が払われたように落ち着いていることから、眠りから覚めたらすぐに家に帰すだろうと、リッカは現場に居合わせたカーサから聞いた。
「なんだ、クルムが立ったあの高台に俺も立ってみたかったんだけどな」
シンクは後頭部に両手を当てながら、落胆したような声音で言った。
ヴェルルの広場に堂々と置かれていた高台も、実はシエル教団がこの巡回のためだけに立てたものだった。
巡回が終わった今、役目を果たした高台はシエル教団の手によって回収されてしまっていた。
あのような高い場所から大勢の人を見る機会など容易には存在しないため、どうやらシンクは高台に立ってみたかったようだ。
「まぁ、仕方ないか……。なぁ、クルム! あそこからの景色ってどうだった? やっぱ町全体まで見通せたのか?」
しかし、シンクはすぐに声を弾ませ、クルムに訊ねた。
クルムはシンクの質問に、すぐに答えることはなかった。クルムはどのように返答すべきか迷いあぐねているように、眉を下げている。
シンクはクルムの表情を察することなく、「なぁなぁ」と執拗に声を上げていた。
見かねたリッカはクルムに助け舟を出すことを決め――、
「シンク、そんなに聞かなくても――」
「なんだよ、もうシエル教団行っちゃったのか」
しかし、リッカより先に別の助け舟がクルム達の元に泳ぎ込んできた。
声の元に目を送れば、そこにはまだ成人していないような若い人物が二人立っていた。声を上げた人物は肩を落としており、隣に立つ人物は呆れたように声の持ち主を見下ろしている。
「昨日の夜から今までヴェルルに滞在されておられたんだ。その中でチャンスを掴めなかったフレッドが悪い」
「ちぇっ。もしかしたら、まだ広場にいるかもって思ったんだけどな」
「だから、来ても意味ないって言っただろ。シエル教団の皆様はお忙しいながらも、俺達のためにこの場に足を踏み入れてくださったんだ。それだけでも感謝しろ」
「あの……」
二人――巡回を見逃したフレッドとその友人であるルイスの会話に突如遠慮しがちな声が割り込んでくる。その声がする方に二人は顔を向けると、クルムが彼らの背後に立っていた。
突然話しかけられたことにフレッドとルイスは驚きながらも、クルムの傍から離れることはなかった。
クルムは彼らの姿に頭を下げ、微笑みを浮かべると、
「急にすみません。今、昨日の夜からシエル教団がいたと言っていましたけど――、彼らはヴェルルに何かしてくれていましたか?」
二人に優しく問いかけた。
クルムの突然の質問に、二人は一瞬だけ戸惑いを見せたが、すぐに考え込むように真剣な表情へと変わり、
「……お前も遅れて乗り込んだ組か。さぁな、俺はさっき仕事が終わって、今慌ててここに来たから……」
「ここでペテル様が英雄について講演してくださったんだ。英雄がこの地に来るっていう話を、偉い方から直接聞けたのは良かったな。やっぱ実感が湧くっていうか」
巡回の場にいなかったフレッドは同胞を見つけたと言わんばかりに満面の笑みを浮かべ、ちゃんと巡回に参加したルイスは生でペテルを見れた興奮に満面の笑みを浮かべていた。
しかし、すぐにフレッドの笑みは崩れ、恨めしそうにルイスの顔を睨み付けた。
「ぐぐっ、やっぱルイスが羨ましい。俺も直接見たかった!」
「お前が巡回中は儲け時だ、って言って金に目がくらんだのが悪い」
「……そうですか」
フレッドとルイスで盛り上がりを見せる中、クルムは腕を組みながら今聞いた話を受けて考えを巡らせていた。
「でも、おかしな話――。さっきの巡回以外、シエル教団の方達を町の中で見たことはなかったんだよね」
一人思考の海に潜る中、クルムは聞き逃せない言葉を聞いて、
「え、どういうことですか?」
「いや、言葉の通りだけど……、巡回の本番までにシエル教団の方から話を聞きたいと思って、ヴェルル中を探したのに、巡回の高台を組み立てている人と広場を囲む最低限の警備以外は誰一人町の中で見つけることが出来なかったんだ。彼らが町に姿をお見せになられたのは、巡回が始まるちょっと前だった」
「それまでシエル教団の人達が何をしていたのかは、ご存知ですか?」
瞬間、クルムの表情が少しだけ強張ったことに気付かないまま、ルイスは首を横に振った。
「詳しいことは分からないけど、きっとシエル教団の方達のために準備された建物の中だったと思うよ」
「ふーん、もうちょっと俺達一般市民にも時間を出してくれてもいいのにな」
「あの規模で巡回を行なわれたのだから、難しい話かもしれないけどね」
「なるほど……、分かりました。お話の最中だったのに、色々教えて頂きありがとうございました」
「おう、困ったときはお互い様ってやつだ」
クルムの言葉に、フレッドは胸を張って堂々を答えた。対して、一番説明をしてくれたルイスは当然のことをしたように偉ぶることなく、控えめに口角を上げた。
その二人の性格の違いに、この短い時間しか接していないにも関わらず二人のことを深く知れた気がして、クルムは思わず笑みを零す。そして、改めて頭を下げると、クルムは宿屋に戻るために、この場を後にした。
クルムが去って行くのを見て、今まで静かに見守っていたリッカとシンクも、クルムの後について行く。
「あ、まだ他にも――」
ふと思い出したように声を上げたルイスの言葉は、クルム達には届かず、だんだんと距離が開いて行く。
「他にも何かあったのか?」
代わりに話を拾ったのは、フレッドだった。大したことではないと言いたげに、ルイスは頭に触れてから、
「実は、俺は後ろの方にいたからよく見えなかったんだけど、巡回の舞台に闖入者が現れたんだ。その闖入者を対処する時も、シエル教団らしからぬ態度を取っていたんだよなって、ふと思ってさ。まぁ、仕方ないと言えば仕方ないんだけど……」
「うえ、マジかよ。もし、本当に英雄が再び来たとしても、高いところから権力を振りかざすだけ振りかざして俺達に何もしてくれないなら、そこまで会いたいとは思わないな」
「まぁ、そう言うな。シエル教団の方にも何かしらの理由が……って、あれ。そういえば……」
ルイスは今更になってクルムの姿に既視感を覚えた。しかし、確認するには既に時は遅く、クルムとリッカ、シンクはヴェルルの広場から背を向けて、大分離れたところだった。もう人影しか確認することは出来ない。
「どうした?」
「んー、今話してた人どこかで見たことがあったような気がしたけど……、きっと気のせいかな」
ルイスは自分でそう納得させると、腕を伸ばした。そうして、体に始動をかけると、
「さ。フレッド、ここにいても何もないって分かったんだ。俺たちも帰ろう」
「そうだな。さーてと、巡回の余韻を味わってる人達相手に、明日も一稼ぎするか!」
こうして、フレッドとルイスもそれぞれ帰路に就き、巡回が行なわれた広場には誰もいなくなった。
その静けさは、この場で大きな出来事があったのかと疑ってしまうほどであった。
「後の祭りって感じね……」
路地裏の開けた空間から離れたクルム達は、ひとまず宿屋に戻るためにシエル教団の巡回が行なわれていた広場に来ていた。
巡回によって盛り上がりを見せていたはずの広場も、巡回が終わるや否や――正確に表現するのであれば、巡回の主役であるペテルが去るや否や、広場からは人の足が遠のいて行った。そして、巡回が終わってからまだそこまで長い時間も経っていないというのに、広場はもぬけの殻同然だった。
広場に佇むのは、ただ三人。クルムとリッカ、そしてシンクだけだ。
その現状を見て、リッカは先ほどの第一声を放ったのだった。
ちなみに、ペテルやシオンによって斬られた人々は命に別状はなかったため、世界政府のヴェルル支部の人達に任せている。
彼らに対する世界政府の処罰はなく、命の心配もない上に、ペテルが放った『天恵の大瀑布』により憑き物が払われたように落ち着いていることから、眠りから覚めたらすぐに家に帰すだろうと、リッカは現場に居合わせたカーサから聞いた。
「なんだ、クルムが立ったあの高台に俺も立ってみたかったんだけどな」
シンクは後頭部に両手を当てながら、落胆したような声音で言った。
ヴェルルの広場に堂々と置かれていた高台も、実はシエル教団がこの巡回のためだけに立てたものだった。
巡回が終わった今、役目を果たした高台はシエル教団の手によって回収されてしまっていた。
あのような高い場所から大勢の人を見る機会など容易には存在しないため、どうやらシンクは高台に立ってみたかったようだ。
「まぁ、仕方ないか……。なぁ、クルム! あそこからの景色ってどうだった? やっぱ町全体まで見通せたのか?」
しかし、シンクはすぐに声を弾ませ、クルムに訊ねた。
クルムはシンクの質問に、すぐに答えることはなかった。クルムはどのように返答すべきか迷いあぐねているように、眉を下げている。
シンクはクルムの表情を察することなく、「なぁなぁ」と執拗に声を上げていた。
見かねたリッカはクルムに助け舟を出すことを決め――、
「シンク、そんなに聞かなくても――」
「なんだよ、もうシエル教団行っちゃったのか」
しかし、リッカより先に別の助け舟がクルム達の元に泳ぎ込んできた。
声の元に目を送れば、そこにはまだ成人していないような若い人物が二人立っていた。声を上げた人物は肩を落としており、隣に立つ人物は呆れたように声の持ち主を見下ろしている。
「昨日の夜から今までヴェルルに滞在されておられたんだ。その中でチャンスを掴めなかったフレッドが悪い」
「ちぇっ。もしかしたら、まだ広場にいるかもって思ったんだけどな」
「だから、来ても意味ないって言っただろ。シエル教団の皆様はお忙しいながらも、俺達のためにこの場に足を踏み入れてくださったんだ。それだけでも感謝しろ」
「あの……」
二人――巡回を見逃したフレッドとその友人であるルイスの会話に突如遠慮しがちな声が割り込んでくる。その声がする方に二人は顔を向けると、クルムが彼らの背後に立っていた。
突然話しかけられたことにフレッドとルイスは驚きながらも、クルムの傍から離れることはなかった。
クルムは彼らの姿に頭を下げ、微笑みを浮かべると、
「急にすみません。今、昨日の夜からシエル教団がいたと言っていましたけど――、彼らはヴェルルに何かしてくれていましたか?」
二人に優しく問いかけた。
クルムの突然の質問に、二人は一瞬だけ戸惑いを見せたが、すぐに考え込むように真剣な表情へと変わり、
「……お前も遅れて乗り込んだ組か。さぁな、俺はさっき仕事が終わって、今慌ててここに来たから……」
「ここでペテル様が英雄について講演してくださったんだ。英雄がこの地に来るっていう話を、偉い方から直接聞けたのは良かったな。やっぱ実感が湧くっていうか」
巡回の場にいなかったフレッドは同胞を見つけたと言わんばかりに満面の笑みを浮かべ、ちゃんと巡回に参加したルイスは生でペテルを見れた興奮に満面の笑みを浮かべていた。
しかし、すぐにフレッドの笑みは崩れ、恨めしそうにルイスの顔を睨み付けた。
「ぐぐっ、やっぱルイスが羨ましい。俺も直接見たかった!」
「お前が巡回中は儲け時だ、って言って金に目がくらんだのが悪い」
「……そうですか」
フレッドとルイスで盛り上がりを見せる中、クルムは腕を組みながら今聞いた話を受けて考えを巡らせていた。
「でも、おかしな話――。さっきの巡回以外、シエル教団の方達を町の中で見たことはなかったんだよね」
一人思考の海に潜る中、クルムは聞き逃せない言葉を聞いて、
「え、どういうことですか?」
「いや、言葉の通りだけど……、巡回の本番までにシエル教団の方から話を聞きたいと思って、ヴェルル中を探したのに、巡回の高台を組み立てている人と広場を囲む最低限の警備以外は誰一人町の中で見つけることが出来なかったんだ。彼らが町に姿をお見せになられたのは、巡回が始まるちょっと前だった」
「それまでシエル教団の人達が何をしていたのかは、ご存知ですか?」
瞬間、クルムの表情が少しだけ強張ったことに気付かないまま、ルイスは首を横に振った。
「詳しいことは分からないけど、きっとシエル教団の方達のために準備された建物の中だったと思うよ」
「ふーん、もうちょっと俺達一般市民にも時間を出してくれてもいいのにな」
「あの規模で巡回を行なわれたのだから、難しい話かもしれないけどね」
「なるほど……、分かりました。お話の最中だったのに、色々教えて頂きありがとうございました」
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クルムの言葉に、フレッドは胸を張って堂々を答えた。対して、一番説明をしてくれたルイスは当然のことをしたように偉ぶることなく、控えめに口角を上げた。
その二人の性格の違いに、この短い時間しか接していないにも関わらず二人のことを深く知れた気がして、クルムは思わず笑みを零す。そして、改めて頭を下げると、クルムは宿屋に戻るために、この場を後にした。
クルムが去って行くのを見て、今まで静かに見守っていたリッカとシンクも、クルムの後について行く。
「あ、まだ他にも――」
ふと思い出したように声を上げたルイスの言葉は、クルム達には届かず、だんだんと距離が開いて行く。
「他にも何かあったのか?」
代わりに話を拾ったのは、フレッドだった。大したことではないと言いたげに、ルイスは頭に触れてから、
「実は、俺は後ろの方にいたからよく見えなかったんだけど、巡回の舞台に闖入者が現れたんだ。その闖入者を対処する時も、シエル教団らしからぬ態度を取っていたんだよなって、ふと思ってさ。まぁ、仕方ないと言えば仕方ないんだけど……」
「うえ、マジかよ。もし、本当に英雄が再び来たとしても、高いところから権力を振りかざすだけ振りかざして俺達に何もしてくれないなら、そこまで会いたいとは思わないな」
「まぁ、そう言うな。シエル教団の方にも何かしらの理由が……って、あれ。そういえば……」
ルイスは今更になってクルムの姿に既視感を覚えた。しかし、確認するには既に時は遅く、クルムとリッカ、シンクはヴェルルの広場から背を向けて、大分離れたところだった。もう人影しか確認することは出来ない。
「どうした?」
「んー、今話してた人どこかで見たことがあったような気がしたけど……、きっと気のせいかな」
ルイスは自分でそう納得させると、腕を伸ばした。そうして、体に始動をかけると、
「さ。フレッド、ここにいても何もないって分かったんだ。俺たちも帰ろう」
「そうだな。さーてと、巡回の余韻を味わってる人達相手に、明日も一稼ぎするか!」
こうして、フレッドとルイスもそれぞれ帰路に就き、巡回が行なわれた広場には誰もいなくなった。
その静けさは、この場で大きな出来事があったのかと疑ってしまうほどであった。
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