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19/3/--
19/3/31
19/4/5

 軽く首を吊ってみた。
 と言っても、縄は無いから細いベルトだし、家の中で高さのある場所は無いのでクローゼットの取っ手に引っ掛けて、頚椎を折る方じゃなくて窒息の方の首吊りをした。
 どくどくと心臓の音が顔に伝わる度に死んでしまいそうな意識の遠のきを感じながら、胸の苦しさは晴れていった。
 首に付いた赤い痕のことは誰も何も言わなかった。そもそも外に出ていないので誰の目にもつかなかった。父親の目にもつかなかった。それでいいと思った。
 ぐんぐんと押し上げられるような込み上げるような感覚は病みつきになってしまいそうだった。意識が薄くなり、生きている感覚が無くなるあの感覚は、良かった。すごく良かった。
 初めてではない。仕事を    になってから何度もやっている。苦しさを紛らわせるようにやっている。だって薬なんて効きやしないんだから。
 まだ死ねない。
 まだ死んではいけない。
 これは自分の中の呪縛。まだ死ぬときではない。
 3月24日を越えたとき、僕は本当に死ぬつもりでいた。
 けれど、まだ死ぬのは勿体ないと思った。まだ他人にもっと認められる権利が僕にはあると思った。出来ることは全部やろうと思った。
 ただ、自殺未遂に近いことを何度もしていることは病院側には言っていない。信用出来ないからだ。薬が効かないからだ。
 首吊りもODも、僕は読んでいる人にはおすすめしない。
 簡単な首吊り……というより首絞め、だろうか。それは簡単に出来るし痛みも無い。少し息苦しい。痕が残るのが難点だが、ちょっと自分に仕置きをするときなどは丁度いいかもしれない。でもやらないでほしい。
 ODはひたすらに苦しい。苦しさが身を包んで剥がそうとしても時間経過でしか剥がれない厄介者だ。精神安定剤20錠くらいならこの程度で済んだ。薬も多けりゃ毒と同じだと思った。やらないでほしい。最悪半分気を失ったまま1日を過ごすことになる。
 薬が抜けるまでは幻聴と息苦しさに悩まされることになる。もし考えている人がいたらやめておいた方がいい、とだけ伝えておきたい。起き上がれない程苦しい。まとわりつく苦痛は思っている以上に酷だ。やらないでほしい。
 僕はもう外には出たくない。
 もう、外には出たくない。
 それじゃダメだと言われても、だって病院に行くときですら外には出たくない。
 外は怖いところだとおもう。
 時折吐き出すだけでは心のもやもやは取れないし、薬は効かないし、なんだかかんだかもう何がなんだかわからない。
 僕には何が出来る?
 死ぬまでに何を残せる?
 ただそれを考えて、僕は今日も苦しく息をしている。
 詰まったような声と鼻で苦しい息をしている。
 これは僕のエッセイ。
 ただ思ったことを書くだけの何か。
 僕は。

 僕は誰?
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