聖なるじゃがいもと聖女のなり損ない~中年教師、芋と塩と砂糖で魔王(と相棒)の胃袋を掴む~

うはっきゅう

文字の大きさ
3 / 7

第3話:奇跡の塩と、関所の門(と、俺の胃)

しおりを挟む
「……すぴー……すぴー……」

 俺の背中で、平和な寝息が聞こえる。
 ソアラだ。聖女のなり損ない。俺の相棒(荷物)。
 あの『祝福の砂糖水(聖都崩壊阻止スペシャル)』を飲んで以来、こいつはマジで幸せそうに爆睡し続けている。
 その顔は、聖女っつーか、天使だ。
 寝てりゃな。

「……さて」

 俺、佐藤健太郎(四十二歳・元教師・現おんぶ係)は、荒野に吹きすさぶ風を受けながら、途方に暮れていた。
 聖都の門は、俺たちが放り出された瞬間、ギイイイ……と音を立てて固く閉ざされた。
 まるで「二度と帰ってくるな」と言わんばかりの、決意に満ちた閉門だった。クソが。

 背中にはスヤスヤ眠るソアラ(推定40キロ)。
 両手には、パンパンに詰まった麻袋二つ。
 中身は、『聖なるじゃがいも』『奇跡の塩』『祝福の砂糖』。
 ……ほぼ、芋だ。芋9割、調味料1割。

「いや、どうしろと」

 魔王討伐?
 俺のステータス、たぶん『農家のおっさん』だぞ。
 武器は芋。防具は布の服。スキルは『芋をふかす』『塩をふる』『砂糖水を作る』。
 どう考えても、魔王どころか、道端のスライムにすら勝てる気がしねえ。

(あの女神……マジで許さん……)

 俺がアホ女神に殺意を向けていると、背中のソアラが「ん……」と身じろぎした。

「……あれ……? わたくし……?」

 ソアラが、ゆっくりと目を開けた。
 寝ぼけ眼(まなこ)で、俺の肩越しに周囲を見渡している。

「……あの、サトウ、さん……?」
「おう。起きたか、歩く厄災」
「や、厄災……!?」

 ソアラがバッと俺の背中から飛び降りた。(意外と身軽だな)
 そして、自分が今いる場所が、見覚えのない荒野であることに気づき、目を見開いた。

「こ、こここ、ここはどこですの!? 大神殿は!? 教皇様は!?」
「ああ。大神殿なら、お前が寝てる間に『追放(ワッショイ)』されたぞ」

 俺は、聖都の方角を親指で差した。
「俺たち、魔王討伐の旅に出されたんだとさ。お前が『聖都の厄災』だから、外で魔王と相殺してこいってよ」

「…………え?」

 ソアラの顔から、急速に血の気が引いていく。
 俺は、あのワッショイ事件の一部始終を、包み隠さず(ややコメディ色を強めに)説明してやった。

「……そんな……わたくし、追放……された……?」
「まあ、聞こえは悪いが、そういうことだ。俺も道連れだ」
「わたくしが……皆さんに、迷惑を……聖都から、厄介払い……」

 ソアラの瞳に、再び涙が浮かぶ。
 やばい。このパターンは、知っている。
 ストレス! プレッシャー! 自己嫌悪!
 魔力暴走のフラグがビンビンに立っている!

「ひっ……うう……わたくしなんて……やはり、『なり損ない』なんですわ……」
「おい、ソアラ! 待て待て、落ち着け!」

 俺は慌てて麻袋に手を突っ込む。
『祝福の砂糖』は、どこだ!?

 だが、ソアラの暴走は、俺の予想とは違った。

 バチバチバチ!

 黄金色の魔力が、彼女の足元でスパークする。
 しかし、それは周囲に拡散するのではなく、ソアラ自身の体に吸い寄せられるように、圧縮されていく。

「わたくしなんて……! わたくしなんて……!」

 彼女が握りしめた拳に、凄まじい魔力が集束していく。
 これは、いつもの「どうして《超新星》に!?」パターンじゃない。
 明確な『意図』を持った魔力の動きだ!

「わたくしなんて……消えてしまえばいいんですのよ!」

「馬鹿野郎!!」

 ソアラが、その魔力を込めた拳を、自分自身の胸に叩き込もうとした!
 自害する気だ!

 俺は、麻袋(芋入り)を盾にするようにして、ソアラに体当たりをかました!

 ドンガラガッシャーン!!(芋が散らばる音)

「ぐふっ!?」
「きゃあっ!?」

 俺とソアラは、荒野の土の上を無様に転がった。
 散らばった大量のじゃがいもが、俺たちの頭にコツン、コツンと当たる。シュールすぎるだろ。

「……な、何を……なさるんですの……!」

 涙目で俺を睨むソアラ。
 俺は、土まみれのまま、ソアラの頭を(教師時代のクセで)ゴツン、と軽く小突いた。

「痛っ!?」
「このアホが! 死んでどうする! 死んで!」
「だ、だって! わたくしは厄災で! 皆に迷惑ばかりで!」

「それがどうした!」
 俺は、ソアラの肩を掴んで、無理やり目線を合わせた。
「迷惑? 上等じゃねえか! 生きてりゃ迷惑くらいかけるだろ! 俺だってそうだ! 四十二年間、親に、同僚に、生徒に、迷惑かけっぱなしで生きてきたわ!」

「……え?」

「だいたいな、『聖女』だ『兵器』だ『厄災』だ、周りが勝手に期待して、勝手に失望して、勝手にレッテル貼って! お前はそれに振り回されてるだけだろ!」
「わ、わたくしは……」

「いいか、ソアラ。お前は『聖女』でも『厄災』でもねえ。ただのソアラだ。魔力コントロールがド下手くそな、腹ペコの、泣き虫の、ただの女の子だ」

「……ただの、女の子……」

「そうだ。聖都の連中がなんと言おうが、俺はそう思ってる。俺の『生徒(仮)』だ」
 俺は立ち上がりながら、手を差し伸べた。
「で、だ。そのド下手くそな『生徒(仮)』がいないと、俺も困るんだよ」

「……え? サトウさんが……困る?」
「当たり前だろ!」

 俺は、散らばった芋を指差した。
「俺のスキルは芋(ふかし)と調味料(味付け)だぞ? これでどうやって魔王倒すんだよ。お前がいないと、俺はただの『芋おじさん』だ。魔王軍に捕まって、一生芋をふかさせられるエンドだぞ」

「い、芋おじさん……ぷっ」

 ソアラが、少しだけ噴き出した。よし、笑った。

「お前には、そのデカすぎる魔力がある。俺には、それを(たぶん)コントロールできる芋と砂糖がある。……まあ、塩はまだよくわからんが」
「……」
「一人じゃ無理でも、二人なら、なんとかなるかもしれねえだろ? 魔王討伐なんてクソくらえだが、少なくとも、野垂れ死にはマシだ」

 俺はもう一度、手を差し出した。
「どうする? ソアラ。俺と一緒に……とりあえず、次の街まで行ってみるか? 芋、食いながら」

 ソアラは、俺の手と、散らばった芋を、交互に見た。
 そして、まだ涙で濡れた顔のまま、小さく、笑った。

「……はい。サトウ……いいえ、『先生』」

 ソアラが、俺の手を、ぎゅっと握り返した。

 ……なんか、アレだな。
 教師時代を思い出すぜ。
 問題児を家庭訪問して、説得してる気分だ。

(異世界に来てまで、やってること変わんねえな、俺!)

 ---

 かくして、俺たち(と大量の芋)は、魔王討V……いや、次の街を目指して、荒野を歩き始めた。

「それにしても、先生。さっきは驚きましたわ。わたくしの魔力暴走を、体当たりで……」
「ああ、あれな。俺も必死だったんだよ」
「でも、わたくしの魔力は触れただけで……先生、お怪我は?」

 ソアラが心配そうに俺を見る。
 そういえば、そうだ。
 俺、あいつの魔力(自爆モード)に突っ込んだよな?
 でも、痛くも痒くもない。

「……ああ、そうか」

 俺は、体当たりの際に盾にした『麻袋(芋入り)』を見た。
 芋が、いくつか黒焦げになっている。

「……なるほどな。『聖なるじゃがいも』は、『聖なる』だけあって、魔力耐性がある、と。食料兼、盾か。便利だなオイ」
「芋が盾ですの!?」
「ああ。お前が暴走しそうになったら、今後、俺は芋を投げつけることにする」
「ひどいですわ!」

 そんな軽口を叩きながら歩くこと、半日。
 俺の胃袋が、限界を告げた。
「ぐうううううううう~~~~」

「……先生。お腹、すきましたの?」
「すいた。すきまくった。聖都に着いてから、芋(ソアラの食い残しのカケラ)しか食ってねえ」

 俺たちは休憩がてら、道端の岩に腰掛けた。
 俺が麻袋から芋を取り出すと、それはもうホカホカの『ふかし芋』になっていた。
『聖なるじゃがいも』、マジで便利スキル。

「ソアラも食うか?」
「はい! いただきますわ!」

 二人で、熱々の芋を頬張る。
「おいひいですわ!」
「……うまい、が。うまいんだが……」

 俺は、二個目の芋を手に取って、絶望的な気分になった。
 聖都から持たされた芋、推定、数百個。
 味付けは、塩か、砂糖。

(……これ、三日で飽きるぞ)

 俺の教師生活(第二章)は、『栄養失調(偏り)』との戦いにもなりそうだ。

「先生、どうかなさいました?」
「いや……。ソアラ、お前、『塩』と『砂糖』、どっちがいい?」
「うーん……昨日は塩でしたから、今日は『砂糖』で!」
「却下だ」
「えええ!?」

 俺は即答した。
「『祝福の砂糖』は、お前の精神安定剤(睡眠薬)だ。こんな道端で寝られたら、俺が死ぬ。お前を背負って、芋の麻袋二つ持って、スライムに追いかけられるとか、悪夢だろ」

「うう……確かに、あの砂糖水を飲んだら、とっても幸せな気分で眠く……」
「だろ? だから、移動中は『塩』オンリーだ。いいな?」
「は、はい……(しょんぼり)」

 俺は『奇跡の塩』の小瓶を取り出した。
(アホ女神は、芋、塩、砂糖をセットで渡した。芋が『肉体(空腹)』、砂糖が『精神(ストレス)』なら、この『塩』にも、何か特別な効果があるはずだ)

 俺は、ふかし芋に、サラサラと『奇跡の塩』を振りかけた。
 見た目は、ただの高級な岩塩だ。

「よし、食え」
「いただきまーす! ……もぐもぐ……」

 ソアラが、塩味の芋を頬張る。
「おいしいですわ! ……ん?」

 ソアラが、ピタッと動きを止めた。
 そして、自分の両手を見つめている。

「先生……なんだか……」
「どうした?」
「力が……みなぎってきますわ……!」

 ビキビキビキ!
 ソアラの、細い腕(の筋肉)が、ありえないレベルで隆起した!
 いや、筋肉じゃない! 魔力だ!
 魔力が、彼女の体表を、鎧のように覆っていく!

「うおおおおおおお!?」
「な、なんですのこれ!? 魔力が、勝手に!? でも、暴走じゃなくて、制御されて……!」

 ソアラが立ち上がると、その全身から、黄金色のオーラ(魔力)が立ち上っていた。
 まるで、某伝説の超戦士みたいだ。

「先生! わたくし、今なら、魔法を制御できる気がします!」
「お、おう!? やってみろ! ……いや、待て! 聖都を吹き飛ばした《超新星》とかはやめろよ! 頼むから《火球(ファイアボール)》レベルで!」
「はい! いきますわ! 《火球(ファイアボール)》!」

 ソアラが、自信満々に右手を突き出す。
 彼女の掌に、完璧な球形の、魔力が集束する。
 暴走の気配はない。完璧な制御だ。

 そして、

 ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!

 放たれた『火球(のつもり)』は、音速を超えた(ように見えた)速度で、前方数キロ先にあった岩山に着弾し、山(・・)を一つ、消し飛ばした。

「「「…………」」」

 俺とソアラは、二人同時に、着弾地点(元・岩山、現・クレーター)を見た。
 ……聖都のクレーターより、深くねえか?

「……ソアラ」
「は、はい」
「今のは、なんだ?」
「《火球(ファイアボール)》、ですわ……」
「……そうか」

 俺は、天を仰いだ。

『奇跡の塩』。
 その効果は、『活力(ブースト)』。
 魔力の制御を助ける? 違う。
 魔力の『威力』を、制御不能なレベルまでブースト(増強)する、クソ迷惑な調味料だった!

「……先生」
「なんだ」
「わたくし……また、やっちゃいました……?」
「ああ。盛大にな」

(どうすんだよこれェェェェ!!)
(砂糖を使えば寝る! 塩を使えば山が消える! 芋だけ食わせたらストレスで暴走する!)
(俺の異世界教師(兼調教師)生活、詰んでないか!?)

 俺が絶望していると、遠くから地響きが聞こえてきた。
 さっきの爆発音で、何かが起きたらしい。

 見ると、街道の先。
 俺たちが行くはずだった『関所』の方角から、砂埃を上げて、騎士の一団が猛スピードでこっちに向かってくる。
 その旗印は、聖都の騎士団とは違う。この土地の領主の旗か。

「おい! さっきの爆発はなんだ!」
「魔王軍か!?」

 騎士たちが、俺たち(と、オーラを放ち続けるソアラ)を見て、剣を抜いた。

「な、何者だ! 貴様ら! あの山を消したのは貴様らか!」
「あ、いや、これは、その……」

 俺がどう言い訳しようか悩んでいると、ソアラが(ブースト状態で)自信満々に一歩前に出た。

「ごきげんよう! わたくしは聖都の聖女(なりそこない)、ソアラと申しますの! こちらはわたくしの『先生』ですわ!」
「聖女!? あの『厄災』のソアラ様か!?」

 騎士たちが露骨に警戒レベルを引き上げた。
 聖都からの「お触れ」、絶対回ってるな!

「お、おのれ! 聖都を追放されたと聞けば、今度はこの地を破壊しに来たか!」
「待て! 誤解だ!」

「問答無用! 『厄災』はここで討ち取る! 全員、かかれ!」
「「「おおお!」」」

 騎士たちが、馬を駆って突撃してくる!

「ソアラ! どうにかしろ! 《そよ風(ブリーズ)》とか!」
「はい! 《そよ風(ブリーズ)》!」

 ソアラが、再び手を突き出す。

 ゴオオオオオオオオオ!!(暴風)

「「「ぎゃあああああああああ!!?」」」

 《そよ風(ブースト版)》は、轟音と共に『超巨大竜巻(トルネード)』と化し、突撃してきた騎士団(馬ごと)を、空の彼方へと吹き飛ばしてしまった。
 キラキラと、星になって消えていく騎士たち。

「「「…………」」」

「……あ」
「……あ」

 俺たちは、再び顔を見合わせた。

「……先生。どうしましょう」
「……とりあえず、関所、通れるんじゃねえか?」

 俺たちは、騎士たちが消えていった先……がら空きになった関所(の門)を、無言で通り抜けた。
 門番は、一人もいなかった。
(みんな、飛んでいったから)

(魔王、待ってろ。お前を倒す前に、俺はこの子の『塩加減』をマスターしなきゃならねえ……!)
(俺の異世界料理人(兼教師)生活、前途多難である!)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界でまったり村づくり ~追放された錬金術師、薬草と動物たちに囲まれて再出発します。いつの間にか辺境の村が聖地になっていた件~

たまごころ
ファンタジー
王都で役立たずと追放された中年の錬金術師リオネル。 たどり着いたのは、魔物に怯える小さな辺境の村だった。 薬草で傷を癒し、料理で笑顔を生み、動物たちと畑を耕す日々。 仲間と絆を育むうちに、村は次第に「奇跡の地」と呼ばれていく――。 剣も魔法も最強じゃない。けれど、誰かを癒す力が世界を変えていく。 ゆるやかな時間の中で少しずつ花開く、スロー成長の異世界物語。

無属性魔法使いの下剋上~現代日本の知識を持つ魔導書と契約したら、俺だけが使える「科学魔法」で学園の英雄に成り上がりました~

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は今日から、俺の主(マスター)だ」――魔力を持たない“無能”と蔑まれる落ちこぼれ貴族、ユキナリ。彼が手にした一冊の古びた魔導書。そこに宿っていたのは、異世界日本の知識を持つ生意気な魂、カイだった! 「俺の知識とお前の魔力があれば、最強だって夢じゃない」 主従契約から始まる、二人の秘密の特訓。科学的知識で魔法の常識を覆し、落ちこぼれが天才たちに成り上がる! 無自覚に甘い主従関係と、胸がすくような下剋上劇が今、幕を開ける!

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
恋愛
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...