【ゴミ拾い】と呼ばれ勇者パーティーを追放された俺…だがこのスキル、実はSSSランクの【万物拾得】だったらしい。

うはっきゅう

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第三章・魔王討伐編

第20話:魂の鍛冶師と、失敗作の逆襲

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 火口の神殿、廃棄処分場スクラップ・ヤード
 そこで対峙するのは、炎を纏う巨躯の鍛冶師と、薄汚れた格好の「ゴミ拾い」。
 だが、今の俺の短剣は、太陽のごとく輝いていた。
 数億の廃棄武器から拾い上げた「魂」が、俺の刃に宿っている。

「ぬかせ、小僧! 失敗作が集まったところで、ゴミはゴミよ!」
 鍛冶師が、巨大なハンマーを振り回す。
 その一撃は、山をも砕く質量と熱量を持っている。

「フェン、下がるな! 前に出ろ!」
「は、はいっ! 信じます!」
 フェンが、恐怖を押し殺して前に出る。
 ハンマーが、フェンの白狼の城壁フェンリル・ウォールに激突する直前。

「リカルド! 今だ!」
「へいよ! 【金属疲労メタル・ファティーグ】! ついでに【腰痛バック・ペイン】!」

 リカルドの呪いが炸裂する。
 ハンマーの柄に亀裂が走り、鍛冶師が「グキッ」と腰を押さえて体勢を崩す。
 神クラスの相手にも容赦なく通じる、地味だが最悪のデバフだ。

「ぬおぉっ!? 腰が……!」
 威力が半減したハンマーを、フェンが完璧に受け流す。
「いけます! エディさん!」

「おうッ!」
 俺は、地面を蹴った。
 【風の支配権エア・コントロール】で加速し、一瞬で鍛冶師の懐へ。

「貴様ぁぁぁ!」
 鍛冶師が、炎の腕で俺を掴もうとする。
 だが、遅い。

「メロディ、クライマックスだ!」
「はいっ! お聴きください……【鎮魂の歌レクイエム】!」

 水槽の中から響く、メロディの透き通るような歌声。
 それは、荒ぶる炎の精霊たちを鎮め、鍛冶師のまとっていた「熱の鎧」を剥ぎ取っていく。

「な、炎が……消える……!?」
 鍛冶師が驚愕に目を見開く。
 その無防備になった胸元に、俺は短剣を突き立てた。

「これが、お前が捨てたモノたちの『答え』だッ!!」

 ドズゥゥゥン!!

 俺の短剣から、数億の「武具の魂」が一気に解放された。
 物理的なダメージじゃない。
 「俺たちはまだやれる」「使ってくれ」「捨てないでくれ」
 そんな、道具たちの切なる願いが、エネルギーとなって鍛冶師の霊核を貫いたのだ。

「ぐ、がぁぁぁぁぁ……!?」
 鍛冶師が、膝をつく。
 その目から、炎が消え、代わりに大粒の「涙(溶岩)」がこぼれ落ちた。

「……聞こえる……。声が……聞こえる……」
 鍛冶師は、震える手で、地面に落ちていた一本の「錆びた剣」を拾い上げた。
「『まだ折れていない』……『まだ守れる』……そう、言っているのか……?」

「ああ、そうだ」
 俺は、短剣を収めた。
「道具は、使い手が諦めない限り、ゴミにはならねえ。……お前は、作るだけ作って、あいつらの『声』を聞くのをやめちまったんだ」

 鍛冶師は、しばらく呆然としていたが、やがて深く項垂れた。
 その体から、禍々しい熱気が消え、ただの静かな「老人の霊」へと変わっていく。

「……完敗だ、人間よ。……いや、『拾得者』よ」
 老人は、静かに笑った。
「我は、完璧を求めるあまり、大事なものを忘れていたようだ。……失敗作など、この世にはなかったのだな」

 老人の体が、光の粒子となって消えていく。
 そして、その場に残されたのは、祭壇の上で赤く輝く「火の宝玉」。

「……持って行け。それは、我が最高傑作……ではなく、我が魂の一部だ」
 最後にそう言い残し、番人は消滅した。

「……ふぅ。世話が焼ける爺さんだ」
 俺は、熱を失った神殿で、宝玉を拾い上げた。
 手に取ると、ほんのりと温かい。
 それは、破壊の炎ではなく、何かを生み出すための「命の灯火」のような温もりだった。

「エディさん、やりましたね!」
 フェンが駆け寄ってくる。
「ああ。これで三つ目だ」

「しかし大将、あんた最後の攻撃……あれ、全部『呪い』みたいなもんじゃねえか? 道具の怨念ぶつけるとか、俺よりエグいぜ」
 リカルドが引きつった顔で言う。
「失礼な。あれは『愛』だ」
「愛が重すぎて物理ダメージになってんだよ!」

 俺たちは笑い合った。
 水槽からは、メロディが「勝ちましたね~!」と呑気に水を吹き上げている。

 こうして、「火の神殿」の攻略も完了した。
 俺たちは、灼熱の火山を後にし、再び空飛ぶゴミ船へと乗り込んだ。

 残る宝玉は、あと一つ。
 「土の宝玉」。
 古地図によれば、それは大陸の北、魔王城の目前にある「大渓谷」にあるという。

「……いよいよ、大詰めだな」
 俺は、船首で風を受けながら、北の空を見据えた。

 だが、その時。
 俺の【危機感知デンジャー・センス】が、かつてない警報を鳴らした。

『警告。超高エネルギー反応、接近』
『方角:直上』
『対象:???』

「……ッ! 全員、伏せろッ!!」

 俺が叫んだ、その直後。
 空が、割れた。

 ズガアアアアアアアアアアンッ!!

 雲を突き破り、黒い雷のような「一撃」が、俺たちのスキフを直撃した。
 フェンの盾が間に合わない。
 リカルドの呪いも届かない。

「うわぁぁぁぁぁっ!?」
「きゃあああああっ!」

 船が、真っ二つに両断される。
 俺たちは、為す術もなく空へと放り出された。

 落下する視界の中、俺は見た。
 遥か上空に浮かぶ、一人の「人影」を。

 漆黒の翼。
 山羊のような角。
 そして、俺たちをゴミ屑のように見下ろす、冷酷な金色の瞳。

「……ほう。意外としぶといな、人間」

 その男は、指先一つで俺たちの船を沈めたのだ。

「……魔王……!?」

 俺の呟きは、風にかき消された。
 最後の最後で、最悪の「ラスボス」が、自ら出張ってきやがった。

 俺たちの意識は、そこで暗転した。
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