【ゴミ拾い】と呼ばれ勇者パーティーを追放された俺…だがこのスキル、実はSSSランクの【万物拾得】だったらしい。

うはっきゅう

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第四章・魔王城決戦編

第23話:【万物拾得】vs【世界廃棄】

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 ――ガギィィィィンッ!!

 魔王ルシファーの黒い魔剣と、俺のオリハルコンの短剣が激突する。
 衝撃波だけで、魔王城の天井が吹き飛んだ。

「小賢しいッ!」
 魔王が叫ぶ。
 彼の背後の翼から、無数の「黒い羽」が放たれる。
 それは一つ一つが、触れた空間を削り取る即死の刃だ。

「【風の支配権エア・コントロール】!」
 俺は、風を纏ってそれを回避する。
 だが、避けきれない羽が頬をかすめ、血が流れる。

「逃げ回るだけか! 所詮はゴミ拾い!」
 魔王の猛攻は止まらない。
 剣技、魔法、そして「廃棄」の権能。
 全てが神の領域。
 俺がこれまで「拾って」きたスキルの数々を総動員しても、防戦一方だった。

(くそっ、やっぱり強え……!)

 だが、俺には勝算があった。
 魔王が「捨てる」たびに、俺は強くなる。

「【世界廃棄ワールド・ディスカード】!」
 魔王が右手を掲げ、周囲の空間ごと俺を「ゴミ箱」へ送ろうとする。
 空間に亀裂が走り、俺の体が引きずり込まれそうになる。

「捨てるんじゃねえよ! まだ使えるだろ、この空間!」
 俺は、亀裂に指を突っ込んだ。

『対象:廃棄されかけた空間』
『拾得・修復!』

 バヂィン!
 俺が「空間の所有権」を拾い直したことで、亀裂が塞がる。

「な……ッ!?」
 魔王が目を見開く。

「あんたの権能は『所有権の放棄』だ!」
 俺は叫んだ。
「世界はいらない、人間はいらない、希望はいらない……そうやって、あんたは全部『手放して』きた!」

 俺は一歩、踏み込む。

「だがな! 手放された瞬間に、それは『誰のものでもないゴミ』になる! つまり、俺の『拾得対象』だ!」

 俺の【万物拾得オールゲッター】は、所有者がいないモノに対して絶対的な支配力を持つ。
 魔王が世界を捨てようとすればするほど、世界は俺の味方になる!

「ふざけるなあああッ!」
 魔王が激昂した。
 プライドの高い彼にとって、自分の権能が逆手に取られるのは最大の屈辱だ。

「ならば、拾う隙も与えん! 全魔力解放!」

 ゴオオオオオオオオオ!!
 魔王の体から、どす黒いオーラが噴出した。
 城全体が震え、遥か下で戦っている仲間たちの悲鳴が聞こえた気がした。

「消えろ! 塵も残さず!」
 魔王の手の中に、太陽のような大きさの「虚無」が生成される。
 これまでの比じゃない。
 これを食らえば、俺はおろか、この島ごと消滅する。

(……やべえな)

 俺の直感が告げる。
 あれは「拾えない」。
 容量オーバーだ。触れた瞬間に俺の存在が崩壊する。

 ――エディさん!――

 その時。
 下から、声が聞こえた。

 ――受け取ってください! 私たちの「力」を!――

 フェンの声だ。セシリアの声だ。
 リカルド、メロディ、そして……この城で戦っている、すべての「捨てられた者たち」の声だ。

『スキル【想いの譲渡パス・オブ・ホープ】を受信しました』
『フェンから【白狼の加護】を拾得』
『セシリアから【聖女の祈り】を拾得』
『リカルドから【呪詛の代償】を拾得』
『メロディから【歌姫の魂】を拾得』

 俺の体の中に、温かい光が流れ込んでくる。
 それは、魔王の冷たい虚無とは対極にある、熱い「絆」の力。

「……ありがとな、みんな」
 俺は、短剣を握りしめた。
 ボロボロだった俺の体に、力がみなぎる。

「これで、容量《キャパ》は十分だ!」

 俺は、魔王の放った巨大な虚無に向かって、真正面から突っ込んだ。

「馬鹿め! 自殺行為だ!」
 魔王が嘲笑う。

 だが、俺は笑い返した。

「いいや、これは『リサイクル』だ!」

 俺は、左手を虚無にかざし、右手の短剣を振り上げた。

「あんたが捨てた『世界』! 俺が全部、拾い尽くす!」

『スキル【万物拾得オールゲッター】・最大出力(フルドライブ)!』
『対象:魔王ルシファーの「全権能」および「存在」』
『判定:世界からの「排斥(ゴミ扱い)」を確認』
『実行:概念拾得コンセプト・ルート世界再編ワールド・リビルド!』

 ズギャアアアアアアアアアアアアンッ!!

 俺の手が、巨大な虚無を、そして魔王そのものを掴んだ。
 圧倒的な質量。
 魂が焼き切れるほどの負荷。
 だが、仲間たちの「加護」が、俺を支えてくれる!

「がああああああ!? 私の……力が……吸われる!? 貴様、何をする気だぁぁぁ!?」
 魔王が絶叫する。

「返すんだよ! あんたが奪った、未来を!」

 俺は、拾い集めた全てのエネルギーを、短剣の一点に凝縮させた。
 それは、七色に輝く、希望の刃。

「これで、終わりだッ! 必殺・銀翼のゴミ拾いスカベンジャー・スラッシュッ!!」

 俺は、魔王の胸に、一閃を叩き込んだ。

 ――カッ!!

 世界が、真っ白に染まった。
 魔王の断末魔も、城の崩れる音も、全てが光の中に消えていった。

 ただ、最後に聞こえたのは。
 「……見事だ……拾得者よ……」
 という、憑き物が落ちたような、魔王の最期の言葉だけだった。


 




 ……光が収まると、そこには青空が広がっていた。
 常に雷雲に覆われていた終焉の島の空が、嘘のように晴れ渡っている。
 崩壊した魔王城の瓦礫の上で、俺は大の字になって寝転がっていた。

「……終わった、か」

 体は動かない。
 魔力も空っぽだ。
 だが、不思議と気分は良かった。

「エディさん!」
「大将!」

 瓦礫の山を越えて、ボロボロになった仲間たちが駆け寄ってくる。
 フェンが、セシリアが、俺の顔を見て、泣きながら抱きついてきた。

「よかった……! 本当に、よかった……!」
「死んじゃったかと思いましたよぉぉぉ!」
「へっ、しぶとい野郎だぜ、全く」
 リカルドも、涙をこらえながら鼻をすすっている。

 俺たちは、勝ったんだ。
 捨てられたゴミたちの反乱が、世界を救った。

 呆けていた意識がゆっくりと戻ってくる。

 かつて、この手には何もなく。
 かたわらには、誰もいなかった。

 確かな充実感とともに、俺は手のひらを握りしめた。
 はっきりと今、自分がなにを成したのか、確かめるように。
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