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本編
雪明かりと苦い珈琲
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目が覚めると、窓の外は白一色だった。
カーテンの隙間から差し込む雪明かりが、部屋の中を青白く照らしている。
チカは、重い瞼を持ち上げた。
隣には、トキがいた。
あれから一睡もせず、朝方になってようやく力尽きたのだろう。ベッドの縁に座り込んだまま、上半身だけをチカの布団に預けて、浅い寝息を立てている。
その顔は、疲れ切っていたけれど、どこか安らかで。
(……バカ犬)
チカは、そっと手を伸ばし、トキの髪に触れようとした。
けれど。
指先が髪に触れる直前、脳裏に、あのフラッシュバックが走った。
『俺の手垢がついた、薄汚ぇ中古品だぜ?』
ソラの嘲笑。
そして、自分の肌に残る、あの粘つくような感触と、どうしようもない敗北感。
「……ッ」
チカは、弾かれたように手を引っ込めた。
見ていられない。
こんなに無防備で、綺麗な寝顔を、今の自分が見てはいけない気がした。
チカは、トキを起こさないように、蛇のように慎重にベッドから抜け出した。
体中が軋むように痛い。
鏡は見なかった。自分の顔を見る勇気なんて、どこにもなかったから。
逃げるようにリビングへ行くと、そこにはすでに先客がいた。
コーヒーの、深く香ばしい匂い。
「……早いな」
キッチンカウンターでコーヒーメーカーを操作していたユウトが、振り返りもせずに言った。
「……ああ」
チカは、パジャマの上からカーディガンを羽織り、ダイニングの椅子に力なく腰を下ろした。
「飲むか?」
ユウトが、マグカップを二つ並べる。
「……いや、いい」
チカは口元を覆った。
いつもなら好んで飲むブラックコーヒーの香りが、今は鼻につく。胃が拒絶して、液体を流し込んだら、昨夜の汚れた記憶ごとすべて戻してしまいそうだった。
ユウトは、「そうか」と短く答え、自分の分だけを持ってチカの対面に座った。
静寂。
啜る音だけが響く。
ユウトは、何も聞いてこない。それが有難くもあり、同時に、チカの胸を締め付けた。
「……なんで、一人で行ったんだ」
不意に、ユウトが口を開いた。
責める口調ではない。ただ、純粋な疑問と、微かな痛みが混じった声だった。
「……わかってたはずだろ。あいつが、まともな神経してないことくらい」
「……ああ」
チカは、テーブルの木目を指でなぞった。
「薄々は……気づいてた。あいつが、俺に何を求めてるか」
「……」
「でも……行かなきゃ、トキが終わると思った。……あいつの過去を、バラされるくらいなら」
チカは、昨夜ソラから突きつけられた写真のこと、そして、後から聞いたトキの本当の過去の話を、ぽつりぽつりと語った。
ユウトは、黙って聞いていたが、時折、何かを考え込むように目を細めた。
「……そうか。トキは、そう言ったか」
「え?」
「いや……あいつの話と、俺が知ってるあいつの性格に、少しズレがあるなと思ってな」
ユウトは、カップの縁を指でなぞった。
「あいつは、『不純な動機でアイドルになった』と自分を卑下するが……俺には、それだけじゃないように見える」
ユウトは、自嘲気味に笑った。
「焦りだよ」
「焦り?」
「夢を一度絶たれて、底辺を見て……そこから這い上がるためなら、どんな手を使ってでも、誰を出し抜いてでも、チャンスを掴み取りたい。……その必死さが、俺には痛いほどわかる」
ユウトの言葉は、重かった。彼もまた、天才と呼ばれながら、長い下積みを経験してきた人間だ。
「綺麗事じゃ、夢は掴めない。……トキがソラを置いてきたのも、あいつなりの『生存本能』だったんだろう。それを責める資格は、俺たちにはない」
だが、とユウトの声が低くなる。
「そのルサンチマンを、こんな卑劣なやり方で晴らそうとしたソラだけは……絶対に、許せないな」
普段は冷静なユウトの瞳に、静かな怒りの炎が揺らめいていた。
「……なあ、ユウト」
チカは、ずっと気になっていたことを口にした。
「トキは……マネージャーに、何を頼んでたんだ?」
駆けつけた時、トキは言っていた。『マネージャーさん、頼んでたこと、やってくれたのかな』と。
ユウトは、ふう、と息を吐いた。
「……裏取りだよ」
「え?」
「ソラが持ち出した写真。……トキは、それがネタに使われることを予測してたんだ。だから、お前が部屋を出て行った直後、マネージャーを叩き起こして、当時の関係者……つまり、あの写真に写っていた『組』の人間に連絡を取らせた」
チカは目を見開いた。
「そ、そんなこと……」
「事実確認と、もし写真が出回った場合の、事務所としての声明文の準備。……そして、ソラへの法的措置の警告」
ユウトは、チカを真っ直ぐに見つめた。
「お前が、一人で抱え込んで、馬鹿な自己犠牲に走っている間に……あいつは、リーダーとして、冷静に先を見据えて手を打っていたんだよ」
「……」
「それが、プロだ。……アイドルという『商品』になった以上、俺たちは自分の体一つですら、自分だけのものじゃない。スタッフ、ファン、関係者……多くの人間の生活を背負ってるんだ」
ユウトの言葉が、胸に突き刺さる。
「お前が傷つけば、悲しむのはお前だけじゃない。……トキも、俺たちも、ファンも、みんな傷つくんだぞ」
チカは、俯いて唇を噛んだ。
自分の愚かさが、身に沁みてわかった。
守ろうとして、逆に全員を危険に晒し、悲しませてしまった。
「……ごめん」
「謝るな。……誰も、お前を責めてない」
ユウトは、コーヒーを飲み干し、立ち上がった。
「ただ……もう二度と、自分を安売りするな。お前は、イグナイトのセンターなんだからな」
その不器用な優しさに、チカの目頭が熱くなった。
その時。
ドタドタドタ! と、二階から騒がしい足音が聞こえてきた。
「あー!! 朝だー!! 腹減ったー!!」
「おらソウタ! 階段降りるの遅い!」
「ロク、寝ながら歩くな、落ちるぞ!」
コマチ、ソウタ、ロクの三人が、雪崩のようにリビングに入ってきた。
あからさまに、わざとらしいほどの大音量。
「おっ、チカさん! おはよっス!」
「おはようございます! 今日の朝ごはんなんですか!?」
「……おはよう。コーヒーの匂い」
誰も、昨日のことには触れない。チカの顔色も、首元のコンシーラーで隠しきれない痕も見ないフリをして、いつも通り、いや、いつも以上に明るく振る舞ってくれている。
(……こいつら)
その不自然な明るさが、今のチカには何よりの救いだった。
「……おはよう。うるさいぞ、朝から」
チカが掠れた声で返すと、三人は「へへっ」と嬉しそうに笑った。
ガチャリ、と玄関が開く音がした。
マネージャーだった。
ひどい隈を作っているが、その目は仕事人のそれだった。
「おはよう。……全員、揃ってるな」
マネージャーは、リビングを見渡すと、タブレットを取り出した。
「今日のスケジュールだが……変更がある。午後の『特番リハ』は、バラシだ」
「……ですよねー」
コマチが、鼻で笑った。
「どの面下げて練習すんのって話だし」
「向こうから、キャンセルの申し入れがあった。……ソラが『体調不良』だそうだ」
マネージャーの言葉に、全員が冷ややかな視線を交わす。
「で、チカ」
マネージャーが、心配そうにチカを見た。
「お前は、今日は休め。雑誌の撮影は、他のメンバーだけで回すから」
「……嫌です」
チカは、即答した。
「連れてってください。仕事、できます」
「でも、お前……」
「ここに一人でいたら……おかしくなりそうです」
チカは、震える手を膝の上で握りしめた。
静寂が怖い。
何もしていない時間が怖い。
ふとした瞬間に、あの部屋の匂いと、ソラの感触が蘇ってくる。それを振り払うには、忙殺されるしかなかった。
マネージャーは、しばらくチカを見ていたが、やがて「はぁ」と大きくため息をついた。
「……本当に、お前ってやつは。強情なんだから」
呆れたように言いながらも、その表情は承諾の色を示していた。
「わかった。ただし、無理だと思ったらすぐに言え。……倒れられたら、それこそ迷惑だ」
「……はい」
「よし。じゃあ、出るぞ。……トキ、まだ寝てんのか? 起こしてこい」
マネージャーの号令で、メンバーが動き出す。
チカもまた、立ち上がった。
その日。
チカの仕事ぶりは、鬼気迫るほど完璧だった。
カメラの前では、微塵も影を見せず、完璧な「アイドル」として笑い、ポーズを決める。
だが、カメラが止まると、チカは貝のように口を閉ざした。
そして何より。
トキと、目を合わせることができなかった。
「チカ、水飲む?」
「……自分で取る」
「あ、メイク直す?」
「……大丈夫だ」
甲斐甲斐しく世話を焼こうとするトキを、チカは無意識に避けてしまう。
避けたくて、避けているのではない。
ただ、トキの顔を見ると、昨夜の自分の「汚れ」を突きつけられるようで、どうしようもなく惨めになるのだ。
いつもなら、「つれないなぁ」と文句を言うはずのトキも、今日ばかりは、何も言わなかった。
寂しそうな、けれどすべてを受け入れるような目で、距離を取るチカを、ただ静かに見守っていた。
雪は、まだ降り止まない。
イグナイトと、そして二人の関係に降り積もった重い雪が溶けるには、まだ少し、時間が必要だった。
カーテンの隙間から差し込む雪明かりが、部屋の中を青白く照らしている。
チカは、重い瞼を持ち上げた。
隣には、トキがいた。
あれから一睡もせず、朝方になってようやく力尽きたのだろう。ベッドの縁に座り込んだまま、上半身だけをチカの布団に預けて、浅い寝息を立てている。
その顔は、疲れ切っていたけれど、どこか安らかで。
(……バカ犬)
チカは、そっと手を伸ばし、トキの髪に触れようとした。
けれど。
指先が髪に触れる直前、脳裏に、あのフラッシュバックが走った。
『俺の手垢がついた、薄汚ぇ中古品だぜ?』
ソラの嘲笑。
そして、自分の肌に残る、あの粘つくような感触と、どうしようもない敗北感。
「……ッ」
チカは、弾かれたように手を引っ込めた。
見ていられない。
こんなに無防備で、綺麗な寝顔を、今の自分が見てはいけない気がした。
チカは、トキを起こさないように、蛇のように慎重にベッドから抜け出した。
体中が軋むように痛い。
鏡は見なかった。自分の顔を見る勇気なんて、どこにもなかったから。
逃げるようにリビングへ行くと、そこにはすでに先客がいた。
コーヒーの、深く香ばしい匂い。
「……早いな」
キッチンカウンターでコーヒーメーカーを操作していたユウトが、振り返りもせずに言った。
「……ああ」
チカは、パジャマの上からカーディガンを羽織り、ダイニングの椅子に力なく腰を下ろした。
「飲むか?」
ユウトが、マグカップを二つ並べる。
「……いや、いい」
チカは口元を覆った。
いつもなら好んで飲むブラックコーヒーの香りが、今は鼻につく。胃が拒絶して、液体を流し込んだら、昨夜の汚れた記憶ごとすべて戻してしまいそうだった。
ユウトは、「そうか」と短く答え、自分の分だけを持ってチカの対面に座った。
静寂。
啜る音だけが響く。
ユウトは、何も聞いてこない。それが有難くもあり、同時に、チカの胸を締め付けた。
「……なんで、一人で行ったんだ」
不意に、ユウトが口を開いた。
責める口調ではない。ただ、純粋な疑問と、微かな痛みが混じった声だった。
「……わかってたはずだろ。あいつが、まともな神経してないことくらい」
「……ああ」
チカは、テーブルの木目を指でなぞった。
「薄々は……気づいてた。あいつが、俺に何を求めてるか」
「……」
「でも……行かなきゃ、トキが終わると思った。……あいつの過去を、バラされるくらいなら」
チカは、昨夜ソラから突きつけられた写真のこと、そして、後から聞いたトキの本当の過去の話を、ぽつりぽつりと語った。
ユウトは、黙って聞いていたが、時折、何かを考え込むように目を細めた。
「……そうか。トキは、そう言ったか」
「え?」
「いや……あいつの話と、俺が知ってるあいつの性格に、少しズレがあるなと思ってな」
ユウトは、カップの縁を指でなぞった。
「あいつは、『不純な動機でアイドルになった』と自分を卑下するが……俺には、それだけじゃないように見える」
ユウトは、自嘲気味に笑った。
「焦りだよ」
「焦り?」
「夢を一度絶たれて、底辺を見て……そこから這い上がるためなら、どんな手を使ってでも、誰を出し抜いてでも、チャンスを掴み取りたい。……その必死さが、俺には痛いほどわかる」
ユウトの言葉は、重かった。彼もまた、天才と呼ばれながら、長い下積みを経験してきた人間だ。
「綺麗事じゃ、夢は掴めない。……トキがソラを置いてきたのも、あいつなりの『生存本能』だったんだろう。それを責める資格は、俺たちにはない」
だが、とユウトの声が低くなる。
「そのルサンチマンを、こんな卑劣なやり方で晴らそうとしたソラだけは……絶対に、許せないな」
普段は冷静なユウトの瞳に、静かな怒りの炎が揺らめいていた。
「……なあ、ユウト」
チカは、ずっと気になっていたことを口にした。
「トキは……マネージャーに、何を頼んでたんだ?」
駆けつけた時、トキは言っていた。『マネージャーさん、頼んでたこと、やってくれたのかな』と。
ユウトは、ふう、と息を吐いた。
「……裏取りだよ」
「え?」
「ソラが持ち出した写真。……トキは、それがネタに使われることを予測してたんだ。だから、お前が部屋を出て行った直後、マネージャーを叩き起こして、当時の関係者……つまり、あの写真に写っていた『組』の人間に連絡を取らせた」
チカは目を見開いた。
「そ、そんなこと……」
「事実確認と、もし写真が出回った場合の、事務所としての声明文の準備。……そして、ソラへの法的措置の警告」
ユウトは、チカを真っ直ぐに見つめた。
「お前が、一人で抱え込んで、馬鹿な自己犠牲に走っている間に……あいつは、リーダーとして、冷静に先を見据えて手を打っていたんだよ」
「……」
「それが、プロだ。……アイドルという『商品』になった以上、俺たちは自分の体一つですら、自分だけのものじゃない。スタッフ、ファン、関係者……多くの人間の生活を背負ってるんだ」
ユウトの言葉が、胸に突き刺さる。
「お前が傷つけば、悲しむのはお前だけじゃない。……トキも、俺たちも、ファンも、みんな傷つくんだぞ」
チカは、俯いて唇を噛んだ。
自分の愚かさが、身に沁みてわかった。
守ろうとして、逆に全員を危険に晒し、悲しませてしまった。
「……ごめん」
「謝るな。……誰も、お前を責めてない」
ユウトは、コーヒーを飲み干し、立ち上がった。
「ただ……もう二度と、自分を安売りするな。お前は、イグナイトのセンターなんだからな」
その不器用な優しさに、チカの目頭が熱くなった。
その時。
ドタドタドタ! と、二階から騒がしい足音が聞こえてきた。
「あー!! 朝だー!! 腹減ったー!!」
「おらソウタ! 階段降りるの遅い!」
「ロク、寝ながら歩くな、落ちるぞ!」
コマチ、ソウタ、ロクの三人が、雪崩のようにリビングに入ってきた。
あからさまに、わざとらしいほどの大音量。
「おっ、チカさん! おはよっス!」
「おはようございます! 今日の朝ごはんなんですか!?」
「……おはよう。コーヒーの匂い」
誰も、昨日のことには触れない。チカの顔色も、首元のコンシーラーで隠しきれない痕も見ないフリをして、いつも通り、いや、いつも以上に明るく振る舞ってくれている。
(……こいつら)
その不自然な明るさが、今のチカには何よりの救いだった。
「……おはよう。うるさいぞ、朝から」
チカが掠れた声で返すと、三人は「へへっ」と嬉しそうに笑った。
ガチャリ、と玄関が開く音がした。
マネージャーだった。
ひどい隈を作っているが、その目は仕事人のそれだった。
「おはよう。……全員、揃ってるな」
マネージャーは、リビングを見渡すと、タブレットを取り出した。
「今日のスケジュールだが……変更がある。午後の『特番リハ』は、バラシだ」
「……ですよねー」
コマチが、鼻で笑った。
「どの面下げて練習すんのって話だし」
「向こうから、キャンセルの申し入れがあった。……ソラが『体調不良』だそうだ」
マネージャーの言葉に、全員が冷ややかな視線を交わす。
「で、チカ」
マネージャーが、心配そうにチカを見た。
「お前は、今日は休め。雑誌の撮影は、他のメンバーだけで回すから」
「……嫌です」
チカは、即答した。
「連れてってください。仕事、できます」
「でも、お前……」
「ここに一人でいたら……おかしくなりそうです」
チカは、震える手を膝の上で握りしめた。
静寂が怖い。
何もしていない時間が怖い。
ふとした瞬間に、あの部屋の匂いと、ソラの感触が蘇ってくる。それを振り払うには、忙殺されるしかなかった。
マネージャーは、しばらくチカを見ていたが、やがて「はぁ」と大きくため息をついた。
「……本当に、お前ってやつは。強情なんだから」
呆れたように言いながらも、その表情は承諾の色を示していた。
「わかった。ただし、無理だと思ったらすぐに言え。……倒れられたら、それこそ迷惑だ」
「……はい」
「よし。じゃあ、出るぞ。……トキ、まだ寝てんのか? 起こしてこい」
マネージャーの号令で、メンバーが動き出す。
チカもまた、立ち上がった。
その日。
チカの仕事ぶりは、鬼気迫るほど完璧だった。
カメラの前では、微塵も影を見せず、完璧な「アイドル」として笑い、ポーズを決める。
だが、カメラが止まると、チカは貝のように口を閉ざした。
そして何より。
トキと、目を合わせることができなかった。
「チカ、水飲む?」
「……自分で取る」
「あ、メイク直す?」
「……大丈夫だ」
甲斐甲斐しく世話を焼こうとするトキを、チカは無意識に避けてしまう。
避けたくて、避けているのではない。
ただ、トキの顔を見ると、昨夜の自分の「汚れ」を突きつけられるようで、どうしようもなく惨めになるのだ。
いつもなら、「つれないなぁ」と文句を言うはずのトキも、今日ばかりは、何も言わなかった。
寂しそうな、けれどすべてを受け入れるような目で、距離を取るチカを、ただ静かに見守っていた。
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