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帝位継承権争い?興味ねえ!
失敗は成功のもとでござる
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気を取り直して、二重魔法陣の実験を始めた。最初はシンプルに一つの魔法陣の上にもう一つの魔法陣を重ねて描いてみよう。
「まずは、察知魔法の魔法陣を……っと」
「うわあ模様が複雑ですね……」
見本の魔法陣を見てヴァイナモは顔を顰めた。確かにこれ本当に一筆書きできんの?って模様だけど、きちんと書き順まで記載されている。先人の知恵すげえなこんなん思いつかないわ。
俺は丁寧に魔法陣を描き写していく。少し形は歪になったが、何とか発動出来る魔法陣が完成した。
「次は防御魔法を……」
「こっちもすごい模様ですね……」
防御魔法の魔法陣の見本もとても芸術的だった。こちらもご丁寧に書き順が書かれているから有難い。え?一筆書き究めるぐらいなら他の新しい魔法陣研究すればだって?ちっちっち、こういうのって一つのことをとことん究めたいもんなんだよ。一つ新しい魔法陣作り出したら一筆書きの方法まで研究したくなるよな、わかる。めっちゃ共感。
俺は察知魔法の上に重ねるように防御魔法の魔法陣を描き写していく。こちらも少し歪だが、まあ発動するだろう。
「では、魔力を流し込んでみますね……」
「今日は興奮で結界魔法解かないでくださいね」
「わかってますって」
ドキドキしながら魔法陣に触れ、昨日やったように魔力を流し込んでみる。すると魔法陣が反発するように俺の魔力が逆流してきた。俺は眉を顰めつつ流し込む魔力量を増やしてみると、抵抗はすごいが何とか魔力を流し込めることが出来た。
ほっとするのも束の間、急に魔法陣の一部がブチッと音を立てて擦り切れ、そこから俺の魔力が溢れ出してきた。相当の量を流し込んでいたため、俺の魔力が一瞬にして結界内に充満する。ヴァイナモは俺の魔力に気分が悪くなったらしく蹲った。俺は慌てて魔法陣内の魔力を抜き取り、充満した魔力を魔法で一箇所に集めた。その魔力を吸収し、ヴァイナモに駆け寄る。
「大丈夫ですか!?」
「うっ……気持ち悪い……。吐きそう……」
「すみません。まさか魔法陣が擦り切れて魔力が溢れ出すとは思ってもいなくて……」
「……大丈夫、です……。俺こそ、これくらいのことで調子を悪くしてしまい、すみません」
「いえいえ、自分の魔力の恐ろしさは自分で良くわかっていますから。無理もありませんよ」
俺はヴァイナモの背を摩りながら治癒魔法をかける。ヴァイナモはみるみるうちに顔色が良くなり、目を見開いて俺を見た。
「……魔法の天賦の才を持つという噂は聞いていたのですが……治癒魔法って光属性ですよね?特殊属性魔法まで使えるとは……一体、いくつ適正属性があるのですか?」
ヴァイナモは純粋に疑問が零れたようだ。俺は本当のことを言うべきか否か迷ったが、これから魔法陣学を研究する上で隠し通せるものでもないので、素直に伝えることにした。
「これは内緒なのですが、全部ですよ。全属性に適正があります」
「この魔力量に、魔力操作能力の高さ、それに加えて全属性に適正がある……想像以上に超人だ……超人すぎて変人だ……」
「聞こえてますよ」
「あっ、すみません」
口をポカンと開けて惚けるヴァイナモに、もう体調は大丈夫だろうと判断して、魔法陣の元へ戻る。ヴァイナモもハッとなって立ち上がり、身だしなみを整える。
「今回何故魔法陣が擦り切れたのか、見当はついているのですか?」
「ええ、まあ。多分、一筆書きで描かなかったからだと思います」
「……?記載通りに一筆書きしましたよね?」
「個々には一筆書きだったのですが、併用するには二つあわせて一筆書きする必要があるみたいです」
「……マジですか……」
俺の言葉にヴァイナモは遠い目になった。確かにそれぞれだけでも複雑で一筆書きが難しかったのに、二つの魔法陣を一括で描くのは至難の業だろう。
今回の実験では魔力が線の向きと反対流れる部分が多かった。普通であれば反発で逆流し、魔法陣に魔力が流れることはなかったのだろう。しかし俺のチート魔力で無理矢理流し込んだが故に上限以上の魔力が高圧力で魔法陣内に流れ込み、魔法陣が魔力の摩擦抵抗に耐えきれず擦り切れてしまったのだ。
「今後の目標は出来るだけ一筆書きを、無理なら出来るだけ線の向きに魔力を流せるように魔法陣を描くこと。あとは魔法陣自体の耐久性の強化と、魔法陣の簡略化が出来れば良いですね」
「……道のりは長そうですね」
「だからこそ研究のやり甲斐があると言うものです」
俺は生き生きと紙に今日の研究結果と考察を書き記していく。遠い目をしていたヴァイナモも俺が全く気落ちしていないこと、寧ろ嬉しそうな様子に不思議そうに首を傾げた。
「……嬉しそうですね。失敗したことに落ち込まないのですか?」
「何を落ち込むことがありますかっ!失敗は成功のもとでござりますぞ!失敗から夢は膨らみ、同時に実体化していくものでござる!」
「ご、ござる……?」
おっと気分が高揚して変な口調になっちまった失敬失敬。俺が微笑んで誤魔化すと、ヴァイナモは仕方がないものを見るかのように呆れ笑いを浮かべ、ため息をついた。俺が変人なことは不変の真理!気にしたら負けだぞ!
「……失敗が嬉しいという考えは良くわかりませんが……まあ殿下が楽しそうなので俺は何も言いません」
「いつかわかりますよ、多分」
「……殿下の気持ちがわかりたいような、変人になりたくないような……」
「それは失敗を楽しむ全ての常識人に失礼ですよ」
「そこで自分を含めないところが殿下らしいです……」
当たり前だろ?俺を変人扱いすることに間違いなんてないんだからな!
「まずは、察知魔法の魔法陣を……っと」
「うわあ模様が複雑ですね……」
見本の魔法陣を見てヴァイナモは顔を顰めた。確かにこれ本当に一筆書きできんの?って模様だけど、きちんと書き順まで記載されている。先人の知恵すげえなこんなん思いつかないわ。
俺は丁寧に魔法陣を描き写していく。少し形は歪になったが、何とか発動出来る魔法陣が完成した。
「次は防御魔法を……」
「こっちもすごい模様ですね……」
防御魔法の魔法陣の見本もとても芸術的だった。こちらもご丁寧に書き順が書かれているから有難い。え?一筆書き究めるぐらいなら他の新しい魔法陣研究すればだって?ちっちっち、こういうのって一つのことをとことん究めたいもんなんだよ。一つ新しい魔法陣作り出したら一筆書きの方法まで研究したくなるよな、わかる。めっちゃ共感。
俺は察知魔法の上に重ねるように防御魔法の魔法陣を描き写していく。こちらも少し歪だが、まあ発動するだろう。
「では、魔力を流し込んでみますね……」
「今日は興奮で結界魔法解かないでくださいね」
「わかってますって」
ドキドキしながら魔法陣に触れ、昨日やったように魔力を流し込んでみる。すると魔法陣が反発するように俺の魔力が逆流してきた。俺は眉を顰めつつ流し込む魔力量を増やしてみると、抵抗はすごいが何とか魔力を流し込めることが出来た。
ほっとするのも束の間、急に魔法陣の一部がブチッと音を立てて擦り切れ、そこから俺の魔力が溢れ出してきた。相当の量を流し込んでいたため、俺の魔力が一瞬にして結界内に充満する。ヴァイナモは俺の魔力に気分が悪くなったらしく蹲った。俺は慌てて魔法陣内の魔力を抜き取り、充満した魔力を魔法で一箇所に集めた。その魔力を吸収し、ヴァイナモに駆け寄る。
「大丈夫ですか!?」
「うっ……気持ち悪い……。吐きそう……」
「すみません。まさか魔法陣が擦り切れて魔力が溢れ出すとは思ってもいなくて……」
「……大丈夫、です……。俺こそ、これくらいのことで調子を悪くしてしまい、すみません」
「いえいえ、自分の魔力の恐ろしさは自分で良くわかっていますから。無理もありませんよ」
俺はヴァイナモの背を摩りながら治癒魔法をかける。ヴァイナモはみるみるうちに顔色が良くなり、目を見開いて俺を見た。
「……魔法の天賦の才を持つという噂は聞いていたのですが……治癒魔法って光属性ですよね?特殊属性魔法まで使えるとは……一体、いくつ適正属性があるのですか?」
ヴァイナモは純粋に疑問が零れたようだ。俺は本当のことを言うべきか否か迷ったが、これから魔法陣学を研究する上で隠し通せるものでもないので、素直に伝えることにした。
「これは内緒なのですが、全部ですよ。全属性に適正があります」
「この魔力量に、魔力操作能力の高さ、それに加えて全属性に適正がある……想像以上に超人だ……超人すぎて変人だ……」
「聞こえてますよ」
「あっ、すみません」
口をポカンと開けて惚けるヴァイナモに、もう体調は大丈夫だろうと判断して、魔法陣の元へ戻る。ヴァイナモもハッとなって立ち上がり、身だしなみを整える。
「今回何故魔法陣が擦り切れたのか、見当はついているのですか?」
「ええ、まあ。多分、一筆書きで描かなかったからだと思います」
「……?記載通りに一筆書きしましたよね?」
「個々には一筆書きだったのですが、併用するには二つあわせて一筆書きする必要があるみたいです」
「……マジですか……」
俺の言葉にヴァイナモは遠い目になった。確かにそれぞれだけでも複雑で一筆書きが難しかったのに、二つの魔法陣を一括で描くのは至難の業だろう。
今回の実験では魔力が線の向きと反対流れる部分が多かった。普通であれば反発で逆流し、魔法陣に魔力が流れることはなかったのだろう。しかし俺のチート魔力で無理矢理流し込んだが故に上限以上の魔力が高圧力で魔法陣内に流れ込み、魔法陣が魔力の摩擦抵抗に耐えきれず擦り切れてしまったのだ。
「今後の目標は出来るだけ一筆書きを、無理なら出来るだけ線の向きに魔力を流せるように魔法陣を描くこと。あとは魔法陣自体の耐久性の強化と、魔法陣の簡略化が出来れば良いですね」
「……道のりは長そうですね」
「だからこそ研究のやり甲斐があると言うものです」
俺は生き生きと紙に今日の研究結果と考察を書き記していく。遠い目をしていたヴァイナモも俺が全く気落ちしていないこと、寧ろ嬉しそうな様子に不思議そうに首を傾げた。
「……嬉しそうですね。失敗したことに落ち込まないのですか?」
「何を落ち込むことがありますかっ!失敗は成功のもとでござりますぞ!失敗から夢は膨らみ、同時に実体化していくものでござる!」
「ご、ござる……?」
おっと気分が高揚して変な口調になっちまった失敬失敬。俺が微笑んで誤魔化すと、ヴァイナモは仕方がないものを見るかのように呆れ笑いを浮かべ、ため息をついた。俺が変人なことは不変の真理!気にしたら負けだぞ!
「……失敗が嬉しいという考えは良くわかりませんが……まあ殿下が楽しそうなので俺は何も言いません」
「いつかわかりますよ、多分」
「……殿下の気持ちがわかりたいような、変人になりたくないような……」
「それは失敗を楽しむ全ての常識人に失礼ですよ」
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