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三章:ライアンからの依頼

34 魔法石の使い道

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「どうして俺たちと一緒に来る事にしたんだ?」

 俺は率直にライアンに聞いてみた。

「今回の魔法石捜索は私にとってもチャンスだったんだよ」

「チャンス?」

「そう。作った武具がドラゴンに対してどこまで通用するか試す絶好の機会だったからね。それも自分の目で人が使う所を見られるなんて中々ない事だ」

「なるほど。俺たちはあなたに利用されてるってわけですか」

「あはは。そんな事言わないでくれよ。そっちだってタダで武具が使えるんだよ? それに私だって一緒に前線に立っているんだ」

「それはそれは。失礼な発言お許しください」

 俺は仰々しく礼をする。

「ははは。キミは面白いね、ジン君。気に入ったよ」

「そりゃどうも」

 俺とライアンが話す目の前では、マルチナとミファがテイムしたドラゴンと遊んでいる。

「それにしても凄いな」

「ん?」

「彼女のテイム能力。初めて見たが神秘的と言うか、幻想的と言うか。良いものを見せてもらった」

「俺も初めてですよ」

「そうなのか」

「ええ。それにしても彼女凄いですよね。劣等種とは言え、ドラゴンをテイムするなんて」

「そうだな。よほどの才能か、努力の賜物か、どちらにせよ相当な力だ」

「以前アーマータイガーも懐いてましたからね」

「な!?」

 ライアンが驚くのも無理は無い。
 アーマータイガーは認めた者にしかテイムされないので有名だから。
 懐くなんて例の無い話だ。

「そういえば、ライアンさんは魔法石で何をするつもりなんですか?」

「ああ。王都に出たドラゴンの件は知ってるだろう?」

「一応、俺も参加してましたよ」

「そうだった、そうだった。調査隊には、いや、そもそも王都に対ドラゴンのエキスパートがいないのだ。少なくとも私が知る限りではな。だから、対ドラゴン用の武具を作るために、それ用の魔法石が必要になったのさ」

「へえ」

「私も元々王都の人間だし、王都のギルド所属だからな」

「そうだったんですか。俺みたいに一時的にこっちのギルドに籍を置くとかもしないんですか?」

「手続きが面倒だろう? それに、基本的にこっちで冒険者としての仕事をするつもりは無いからな」

「なるほど。今回は特別、って事ですか」

「そういう事だ」

 アイリスがいない。
 マルチナとミファの所にもいなかった。

 彼女は一体何処に……?
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