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四章:王都攻防戦
62 それはあっさりと
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「臭いだよ。アンタからは怪しい臭いがプンプンするんでな」
「あはは。臭いだなんて。そんなものが当てになるのかい?」
槍使いの目付きが鋭くなる。
「なる」
ハッキリとムサシは言いきった。
「冒険者やってるとな、色んな奴と会う。色んな人間を見る。そりゃ、人を見る目ってのが磨かれるのは当然だろ」
「そんな曖昧な」
「幻遊剣てのは見えないものを見る。切れないものを切る。そういう技。修行してる内に俺に向けられた微かな敵意さえも感知できるようになる。あとは、その敵意がどんな類いのものかちょいと考察すれば、な」
「ふん。適当な理由を付けてれば納得すると思ってるのか?」
「まずは、ジンとその仲間。顔見知りだし敵意が感じられないから白。
そこの魔法使いも白。幻覚魔法の結界を張る場合、幻覚に混ざって武器による攻撃をするのがセオリーだからな。万が一相手の攻撃を喰らった場合、一発で致命傷になりかねないからな。わざわざ道具使ってまで幻覚見せておいて魔法攻撃なんてしないだろうし」
「ほう」
「そして、決定的なのは、アンタがジンの側にいた事さ」
「それだけの事で?」
「ターゲットの側にいる事。幻覚に紛れて攻撃するって行為は暗殺に近い。もし、時間稼ぎが十分でなければ、隙を突いてジンを戦闘不能にするつもりだったんだろ?」
「ジンの事を余程信用しているらしいな。ムサシさんとやら」
「ああ。元パーティメンバーを面倒見てくれてるもんでな」
「くだらん理由だ。力の無い奴は切るもんだ」
「アレを見てもそう言うのか?」
ムサシに言われて槍使いが振り返る。そこにはレッサードラゴンのレッドが立っていた。
「俺との話に夢中で気付かなかったのか。とんだマヌケだな」
レッドの鼻息が槍使いの顔に当たる。
槍使いの顔色が青白くなった。
「ドラゴンってのは知能が高いからな。アンタを敵と認識したようだぜ」
「ひ、ひいいい!」
慌てて逃げ出そうとする槍使いだったが、逃げるにはもう遅かった。
「レッド!」
マルチナの一声にレッドが反応する。
槍使いはレッドによって簡単に捕まってしまった。
「さて、敵の情報を話してもらおうか」
ムサシが言った。
どうやら俺の出番はまだないようだ。
「あはは。臭いだなんて。そんなものが当てになるのかい?」
槍使いの目付きが鋭くなる。
「なる」
ハッキリとムサシは言いきった。
「冒険者やってるとな、色んな奴と会う。色んな人間を見る。そりゃ、人を見る目ってのが磨かれるのは当然だろ」
「そんな曖昧な」
「幻遊剣てのは見えないものを見る。切れないものを切る。そういう技。修行してる内に俺に向けられた微かな敵意さえも感知できるようになる。あとは、その敵意がどんな類いのものかちょいと考察すれば、な」
「ふん。適当な理由を付けてれば納得すると思ってるのか?」
「まずは、ジンとその仲間。顔見知りだし敵意が感じられないから白。
そこの魔法使いも白。幻覚魔法の結界を張る場合、幻覚に混ざって武器による攻撃をするのがセオリーだからな。万が一相手の攻撃を喰らった場合、一発で致命傷になりかねないからな。わざわざ道具使ってまで幻覚見せておいて魔法攻撃なんてしないだろうし」
「ほう」
「そして、決定的なのは、アンタがジンの側にいた事さ」
「それだけの事で?」
「ターゲットの側にいる事。幻覚に紛れて攻撃するって行為は暗殺に近い。もし、時間稼ぎが十分でなければ、隙を突いてジンを戦闘不能にするつもりだったんだろ?」
「ジンの事を余程信用しているらしいな。ムサシさんとやら」
「ああ。元パーティメンバーを面倒見てくれてるもんでな」
「くだらん理由だ。力の無い奴は切るもんだ」
「アレを見てもそう言うのか?」
ムサシに言われて槍使いが振り返る。そこにはレッサードラゴンのレッドが立っていた。
「俺との話に夢中で気付かなかったのか。とんだマヌケだな」
レッドの鼻息が槍使いの顔に当たる。
槍使いの顔色が青白くなった。
「ドラゴンってのは知能が高いからな。アンタを敵と認識したようだぜ」
「ひ、ひいいい!」
慌てて逃げ出そうとする槍使いだったが、逃げるにはもう遅かった。
「レッド!」
マルチナの一声にレッドが反応する。
槍使いはレッドによって簡単に捕まってしまった。
「さて、敵の情報を話してもらおうか」
ムサシが言った。
どうやら俺の出番はまだないようだ。
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