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四章:王都攻防戦

63 本隊の到着は

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「もう裏切り者の君たちが出る幕は無いぞ」

「う、うう……」

 レッドに捕まった槍使いは呻く事しかできなかった。


「本隊が到着する前にどうにか処理しないとな」

「もう来るのか?」

 魔法使いがムサシに訪ねる。

「ああ。すぐにでも王都に着くはずさ」

「そうか……」

  突然魔法使いが構える。

「お、おい!」

 槍使いがそう言うな否や、槍使いの男の顔面が炎に包まれる。

「な!?」

「もう本隊が着くなら俺たちの役目もそろそろ終わりだな」

「なん、で……」

 槍使いの首が力無く項垂れる。

「余計な事を話されちゃ困るだろ。そういう事でトンズラさせてもらうぜ」

「アンタ、意外とおしゃべりなのな」

 素早く魔法使いの前に出る。

「ジン。アンタの力は良く分かった。何であの方がご執心なのかは知らないが余計な事はしてくれるなよ」

「『あの方』って誰だ?」

「答えられない」

 魔法使いが消える。

 転移魔法か。

「とりあえず目の前の敵は片付いたようだな」

 ムサシは槍使いの死体を見下ろしながら言った。

「ムサシ。本隊は大丈夫だろうか?」

「ジンさん。どんな罠を仕掛けられていたとしても本隊が簡単に潰されはしないさ。俺たちも本隊と合流しようか」

「そうだな」

 俺たちはゆっくりと歩き出す。

 遠くでドラゴンの咆哮がした。

 いよいよ決戦が始まろうとしているようだ。

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