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第5話 ブルーベリーの丘で
第5話 ブルーベリーの丘で
しおりを挟むテディが喫茶店で働くようになってから、数日が過ぎたある日の朝、テディは いつものように 目覚まし時計の音に起こされました。
「あーぁ せっかく たのしい夢を見ていたのに。
目覚まし時計の音で どんな夢を見ていたのかも、すっかり忘れてしまったよ。」
“はぁ~”
テディは、時計の針はりを見て、ため息をつきました。
「今日も お仕事か。 イヤだな。 お店のマスターは怒ってばかりだし、怖いオジサンのお客さんも い~っぱい…」
だけど、テディは、可愛いマカロンベアたちのために、お仕事をしなかればいけません。
好き嫌いは言っていられないのでした。
「おい! テディ! いつまで寝てるんだ!お客さんは お前のことを待ってはくれんのだぞ!」
「は~い! 今すぐ!!」
テディは 眠い体を起こしていつもの洋服に身を包み蝶ネクタイをつけました。
「似合っているかな? ぼく、由緒正しいテディベアだから おかしな格好でお客様の前に出られないんだよな。」
テディは、姿見の前で、くるりと回って自分の全身を見直しました。
テディは、慌ててマスターがいる1階へと降りていきました。
「お お待たせいたしました! マスター、おはようございます。」
テディが1階へ降りていくと昨日の夕刊を読んでいたマスターは、ぶ厚いメガネのグラスの向こうから大きな目をギョロっとさせてテディの全身を舐めるように、じっと見ました。
「テディ!! 何してるんだ! 5つつ数えるうちに降りてくるんだぞ! 5 4 …」
「はい はい! すぐに!!」
テディは、慌ててマスターのいる1階いっかいへと降りていきました。
「お お待たせいたしました!マスター、おはようございます!」
テディが1階へ降りていくと昨日の夕刊を読んでいたマスターは、ぶ厚いメガネのグラスの向こうから大きな目をギョロっとさせて、テディの全身を舐めるように、じっと見ました。
そして何も言わずに、また夕刊を読み始めました。
(おはようくらい言ってくれてもいいのに。)
テディは、心の中で舌打ちをしました。
(こんなことを考えても仕方がない。さぁ モーニングトーストセットの準備をしなくちゃ)
テディはそう思い、パンを切ろうとした、その時「まずは、裏庭に行ってニワトリの卵を取ってくる。」マスターが無愛想に言いました。
「は はい。」
テディは慌てて裏庭に走っていきました。
(チェッ マスターは、#新聞漢字__しんぶん__#を#読漢字__よ__#んでいるだけなんだから、#少漢字__すこ__#しは#手伝漢字__てつだ__#ってほしいよ。
…でも、こんなことを考えても仕方がない。さぁ モーニングトーストセットの準備をしなくっちゃ)
(チェッ マスターは、新聞を読んでいるだけなんだから少しは手伝ってほしいよ。
…でも、こんなことを考えても仕方がない。
さぁ モーニングトーストセットの準備をしなくっちゃ)
「ちょっと ごめんよ。君の卵をおすそわけしてくれないか?」
テディは、慣れない手つきでニワトリから卵を取ろうとしました。
“コケー!!”
ニワトリがすごい鳴き声でテディの耳を突きました。
「痛い!! うわぁ~ ぼくの耳、どうにかなっちゃったんじゃないかな。」
テディは、鏡で耳を見ようと喫茶店の中に駆け込もうとしました。
そして
「あ、いっけない!」
テディは、ニワトリの方に振り返って卵を5つほどひょいひょいっと取って喫茶店の中に入っていきました。
今度はテディの動きが素早かったのでニワトリは、あっけに取られてテディを突っつくのを忘れてしまいました。
「あ~ 良かった。ぼくの耳、どうもなってなかった。いつもどおりツヤツヤの毛並み。」
テディは、鏡を見てホッとしました。
「おい!テディ。準備はできたのか?」
「あ いえ。これからパンを切ってコーヒーのお湯を沸かして、、 それからそれから… 」
「コーヒーの湯は お前さんが起きる前にとっくに沸かしているよ。お前さんが遅いから。」
「… す すみません。」
テディは、返す言葉もありませんでした。
(だって だって ぼくは、由緒正しいテディベアでずっとおもちゃ屋さんのショーウィンドウを飾ってきたんだ。
家の用事なんてしたことが無いし、耳だって突かれちゃったし…)
テディは、お仕事を投げ出#__だ__#してマカロンベアたちの待つ家に帰りたい気持ちで、いっぱいでした。
「次は、丘の上まで行って、モーニングトーストのヨーグルトに入れるブルーベリーを取ってくる!」
マスターは、不愛想な低い声で言いました。
「は はい!」
テディが慌てて、外に出ようとすると「カゴも持たずにどうやって、ブルーベリーを持って帰って来る気だ?」
「は はい… すみません…」
テディは、かごを片手に、シュンと肩を落として、とぼとぼと丘の方へと向かいました。
テディは、ブルーベリーの丘へ向かう坂道が、嫌いでした。
坂道は急カーブで、デコボコしていて、歩いても歩いても、いつまで経ってもたどり着かないような気がしました。
丘のてっぺんに着く頃には、テディの小さな身体は砂ぼこり、土だらけになっているのです。
途中で、小鳥たちのさえずりが聞こえましたが、テディには、そのさえずりさえも、自分をバカにして笑っているように聞こえました。
「君たちはいいさ。丘の上まで、スイーっと、ひとっとびすればいいんだから。」
そうひとり言のように言うと、またテディは、とぼとぼと坂道を歩いていきました。
なんとかブルーベリーの丘のてっぺんにたどり着いたテディは、身体じゅうについた砂ぼこりを払いながら、ブルーベリーの木を見上げました。
「どれどれ1つ、つまんでみよう。」
テディは、ブルーベリーの木によじ登ると、枝からぶら下がっているブルーベリーをパクリと、食べました。
「うわぁ! すっぱい!!」
テディは、ブルーベリーをペッペと吐き出すと
「ぼくは、やっぱり、おじいさんがつくってくれたブルーベリージャムがいいな。はちみつたっぷりの…」と、おじいさんがつくってくれたブルーベリージャムを思い出して、ペロっと舌なめずりしました。
「こんなことしている場合じゃない。早くしないとまた、マスターに怒られるぞ。」
テディは、マスターの怖い顔を思い出すとハッと我に返り、慌ててブルーベリーの実を、木から摘み、次から次へとかごの中に投げ入れました。
テディは、夢中になってブルーベリーを摘みました。
ブルーベリーの丘に朝の日差しが差し込みました。
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