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第8話 海賊たちの秘密
第8話 海賊たちの秘密
しおりを挟む隠しごとをしては、いけないと大人たちはよく言いますが、誰にだって隠しごとの1つつや2つは、あるもの。
特に大人になれば、なるほど。
今日は、マスターに急用ができて、喫茶店は臨時休業することに。
大きな声では言えないけれど、テディは心の中で“やったー!”と叫びました。
(だってテディは、ココアの次におやすみが大好きなのですから。)
「何漢字しようかな?」
テディは、ねむい目をこすりながら、窓の向こうに、広がる、青い海と空を眺めます。
朝の暖かい日ざしがテディの部屋いっぱいに、差し込みました。
(なんて、良いお天気なんだろう。)
「こんな日は、おうちで じっとしていたら もったいない!外へ出かけよう!」
テディは、バターとはちみつを、たっぷり塗ったトーストを肩手に、#喫茶店__きっさてん_#を飛び出しました。
「おっと、こんな早くからどこへ行くんだい?」
喫茶店の前を通りかかった、島の住人がテディに声をかけます。
「ちょっとそこまで!」
テディは、そう言うとそのまますごい勢いで走っていきました。
正直なところ、行き先なんて決まっていなかったのです。
テディは、この青空の下を思いっきり走ってみたかっただけなのでした。
テディは、海岸まで走って行き、白浜の上で、ゴロンと寝転んで青空を見上げました。
-マカロンベアたちにも、この景色を見せてあげたいな-
まだ、この島に来たばかりのテディは、行ったことのないところばかりで、どこに行こうかと考えただけで、ワクワクしました。
「そうだ! 洞窟へ行こう!」
テディは、はじめてこの島にたどりついた時に、島のふもとに洞窟があるのを見つけたのです。
洞窟の穴は、高い波が、来ると隠れてしまうほど小さな穴で、島の人たちも洞窟があることに、気がついていないんじゃないかと思いました。
テディは、飛び起きると今度は、洞窟の穴に向いました。
島の人たちさえ、知らない洞窟…
そう思っただけで、テディの胸は、高鳴りました。
(洞窟の中には、一体、何があるんだろう。)
早歩きだったテディの足は、気がつくと、かけ足になっていました。
洞窟の前に、たどり着いたテディ。
息切れが止むのを待ちきれず、洞窟の中に、入ろうとしますが、何しろ波が来るたびに洞窟の穴が、ふさがってしまうものですから、なかなか洞窟の中へ入れません。
テディが、洞窟の前で、立ちすくんでいると、洞窟の中から木箱に乗った親子連れの猫が、出て来ました。
木箱を船代わりにして、この洞窟の中を行き来しているのです。
「なるほど!」
テディは、ポン!と#手_て__#を打ちました。
テディは、親子連れの猫が洞窟から離れて行くのを見送ると、誰も見ていないか辺りをキョロキョロと見渡すと、木箱を海の上に浮かせ、次の波が木箱を押し流そうとした時「えい!」
と、流れに任せて木箱に飛び乗り、そのまま洞窟の中へと入って行きました。
洞窟を抜けてみると、そこには金銀財宝がたくさん…
という、分けではなく、ただただ真っ暗な空洞が続いているだけでした。
“なぁんだ…”
テディが、がっかりしていると、洞窟の奥の方で、ピシャンピシャンとなんだか、不気味な足音が聞こえてきました。
ぞぞぞー
テディの背筋に寒気が走りました。いつものテディなら、逃げ出しているのですが、今日のテディは違いました。
“せっかく洞窟まで来たんだ。ここで帰ったら格好がつかないってもんだ。”
テディは、#意気込__んで、その不気味な足音のする方に忍び寄って行きます。足音のする方に、行くとそこには、ひげもじゃの大男がいました。
その大男は、洞窟の壁をつかむと、力いっぱい、その壁を右の方へとずらし始めました。
ギギギギギー
洞窟中に大きな音が響き渡りました。なんと岩の壁に見せかけた扉になっていたのです。
大男がずらした岩の隙間から、明かるい光が、差し込んで来ました。
“まぶしい!”
テディは、思わず声を出しそうになりましたが、なんとか押し殺し、その岩の隙間から向こう側の光の指す方を覗き込みました。
そこには、テディが今までに見たこともない、金銀財宝が山ほど積み上げられていました。
そうです。この大男の正体は、海賊だったのです。
そして、この金銀財宝の山は、海賊たちが七つの海を渡って空き巣、強盗を繰り返して集めた宝の山だったのです。
テディが、あっけに取られている間に、その岩の扉は再び大きな音を#立__た_#てて、閉まってしまいました。
テディは、しばらく呆然と岩の扉を見上げたあとに、ふと我に返り、「た た た 大変だー!」
そう言って、テディは、木箱に乗って、洞窟から逃げるように飛び出して行きました。
“この島に海賊がいる。この島に海賊がいる。”
テディは、心の中で何度もそう叫びながら砂浜を走りました。
ようやく喫茶店まで帰って来たテディ。
喫茶店の前で、島の住人たちが数名集まって、立ち話をしていました。
「あら、ここの喫茶店、今日は臨時休業なのね。どうしたのかしら。」
「近頃ここのマスター、様子がおかしいと思わない?」
「そうそうそう。なんだかヒソヒソ隠し事をしているみたいで、様子がおかしいの。」
「いえ。こんなことを言ってはいけないのかも知れまんけどね、最近うちの家のものがよくなくなるのよ。猫の置物に、ルビーの指輪、高級なお紅茶のセットまで…」
「あら、うちもよ。ダイヤのように綺麗にカットされたグラス、特注のじゅうたん、玄関のシャンデリアまで!
もちろん警察に被害届を出しましたが、警察もなんの手がかりもつかめないって。
怪しい人物を見かけなかったかと聞かれたけど、どうもここのマスターの様子がおかしいんじゃないかしら…」
「こんなこと言っちゃ、アレですけど、私もマスターが怪しいと思いますの。どうも、ここのマスター、前から好きになれなくて…」
(マスターは泥棒なんかじゃない!それは全部、海賊のせいだ!テディは、大声でそう言ってやりたかったのですが、海賊がやったという証拠なんて、どこにもありません。
そして、実際に、海賊が盗ったところをテディ自身が目撃したわけではもなかったのです。
その日の夜-
テディは、いつものようにおやすみのココアを飲みながら考えました。
“確かに、ぼくもマスターのことは、あまり好きになれない。だけど泥棒をするような悪い人には思えない。
この前だって、あんなにおいしい特製バターを分けてくれたし…
島の人たちの宝物を盗んだのはきっと、あの洞窟の海賊たちだ”テディは、思いました。“
テディは、もう一度あの海賊たちの洞窟へ行って、海賊たちが盗んだという証拠をつかもうと決めました。
けれど、テディが海賊たちの隠れ家に忍び込んで、見つかってしまったら大変。
どこにでもある動けないテディベアの振りをしたところで、いきなり宝の山に、昨日までなかったテディベアが埋もれていると怪しまれてしまいます。
“どうしたらいいんだろう…”
テディは、考え込みました。
“そうだ!”
テディは、そう言うと、ひと晩かけて、ごそごそと、また何かを作り始めました。
次の日の夕暮れ、やはりマスターは、店を開けて、こっそりどこかへ出かけて行ってしまいました。
テディは、マスターの#行____#き先を横目に、店じまいを済ませると、昨日作った、“手作りのあるもの”をごそごそと取り出して、海賊のいる洞窟へと出かけました。
"洞窟の近くに来た時、洞窟の方から人影が見えました“海賊がこっちへ来るのかな?“
テディは、岩陰に隠れて、近寄ってくる人影に目を凝らしました。
はっきり見えた時、テディは言葉を失いました。
なんと、洞窟の方から歩いて来た、その人は、マスターだったのです。
テディは、洞窟で海賊を見た時よりも驚きました。
“洞窟の方から歩いて来たってことは、まさか、マスターも海賊の仲間!?”
「そんなこと、あるはずがない!」
テディは、余計な考えを振り払うかのように頭を左右に大きく振るいました。
テディは、とっさにそばにあった岩陰漢字に自分漢字の身漢字を隠漢字し、マスターが通漢字り過漢字ぎるまで待漢字ちました。
マスターが喫茶店の方へ帰って行くのを見届けると
“マスターが海賊なわけない!!島の人たちの宝物を盗むわけなんか無いんだ!”と
テディは、ますます真相を確かめなければいけないと、洞窟の方へと足早に進んで行きました。
洞窟の横には、あの猫の親子が木箱の中で満足そうに、毛づくろいをしていました。
テディは、手に持っている昨日つくったものと、親子連れの猫をマジマシと見比べて
「うんうん。これは誰が見ても、見分けがつかない。」
そう言って、テディは、その“手作りのあるもの”を身に着け始めました。
“手作りのあるもの”とは、この猫たちをマネて作った猫の着ぐるみだったのです。
テディは、この親子連れの猫の家族の一員となって、海賊たちの隠れ家に忍び込むつもりなのです。
日頃から洞窟を出入りしている猫たちが、海賊たちの隠れ家に迷い込んでも、なにも怪しまれない。
テディは、そう考えたのでした。
「ちょっと失礼するよ!」
そう言って、テディは、親子連れの猫たちの返事を待たずに木箱に飛び乗り、猫たちと一緒に洞窟の中へと入って行ったのでした。
洞窟の中に入ったテディは、あの大きな岩の扉の前で、海賊が再び扉を開けるのを息をひそめて待ちました。
どのくらいの時間がっ経ったでしょう。
"親子連れの猫は、勝手に連れて来られて、そのままふて腐れて眠ってしまいました。
そして、テディのお腹が、グーっと鳴った時、もっと大きな音が洞窟中に響き渡りました。"
ギギギギギー
ついに、あの大きな岩の扉が開いたのです。
中から1人の海賊が出て来ました。テディは、すかさず、その海賊とすれ違うように、扉の向こうへと飛び込んでいきました。
海賊たちに、見つからないよう、テーブルの下に隠れます。テーブルの下で、息をひそめていると、海賊たちの話声が聞こえました。
「この1カ月間、我々はこの島を詮索してきた。そして、詮索した結果、どこの家にどんなお宝があるのか調べがついた。
そして、7日後の夜、我々はいよいよこの島を強盗する。」
「ひぇぇぇ!!」
テディは、強盗と聞いて思わず悲鳴をあげてしまいました。
「誰だ!」
海賊たちが、辺りをキョロキョロ見渡します。
「にゃにゃおー」
テディは、必死で猫の鳴き声をマネます。テディは、必死で猫の鳴き声をマネます。
海賊の1人が、テーブルの下を覗き込むと、着ぐるみを着たテディの後ろ姿が見えました。
「なんだ。猫か。」
テディの鳴きマネを本物の猫の鳴き声だと思った海賊たちは、また強盗をする計画について話はじめました。
テディは、ほっと胸をなでおろしました。
どうやら、海賊たちは、夜な夜な島の詮索をしている時に、ついでに、島の住人から宝物を盗んでいたようなのです。
(やっぱり…)
テディは、これで、海賊たちが島人たちの宝物を盗んでいたと確信しました。
テディは、海賊たちに気付かれないように、そっと村人たちの宝物を取り返そうと、テーブルの下から宝物の方へと、そろりそろりと歩き始めました。もう少しで宝物に手が届きそうになったその時、テディは宝物に気を取られて、自分の右足で左足を踏んずけてました。
そして、その勢いで、着ぐるみから飛び出して転んでしまいました。ゴツン!!
「ん? なんだ?」
海賊たちは、テディの方を見ました。テディは、慌てて話せない普通のテディベアの振りをしました。
「なんだ? この茶色い猫の置物は。」
テディは「猫じゃない!!」と言い返したい気持ちをグッと抑さえました。
「テディベアっていうんです。船長。」
テディの代わりに、海賊の一味が答えました。
「こんなものあったっけかな。 テディベアなんて何に使うんだ。こんなもの売れるのか?」と、船長が不機嫌そうな顔をしてテディを片手でヒョイとつかみ上げました。
「こんな感じで、手足に紐でもつけて操り人形にでもして遊ぶんじゃないですか?」
海賊の1人が、テディの手足にロープをくくりつけて、操り人形のようにテディにダンスをさせました。
“は 恥ずかしいよー”
テディは、今までこんな変な格好をしたことがなくて、身体じゅうが熱くなるほど真っ赤になりました。
「ふん! くだらない!!
こんなもの、どっかに捨ててこい!!」
そう言って船長は、テディを再びつかみ上げると、ポイとテディを床に放り投げました。
「痛いよー!!」
テディは、思わず大きな声をあげてしまいました。
「しまった!」
テディは、そう言うと、逃げ出そうと大きな岩の扉の方へと走り出しました。
「なんだ! あのテディベア! 話せるじゃないか!」
「しかも、自分で動き回れるぞ!」
「あれは高く売れるぞ!!」
「捕まえろー!!!」
海賊たちは、一斉にテディに飛び掛かりました。
「ひやぁぁ! 助けてー!!!」
テディは、海賊たちを振り払うように、ロープがついたままの手足を無我夢中で、振り回しながら隠れ家の中を走り回りました。
しばらくすると、後ろの方から
「うううー」
と、海賊たちのうなり声が聞こえてきました。テディが、恐る恐る後ろを振り向くと、そこにはロープでグルグル巻きになって目を回して座り込んでいる海賊たちがいるではありませんか!
テディが手足を振り回しているうちに、手足についていたロープがほどけ、海賊たちに絡みついたのでした。
「や やった! ぼく、海賊たちを倒したんだ!!」
テディが、大喜びしていると
ギギギギー
再び大きな音を立てて、あの岩の扉が開きました。
先ほど、テディとすれ違いで出て行った海賊が戻って来たのです。
テディは、慌てて目を回して座り込んでいる海賊たちの後に隠れました。
戻って来た、海賊が、目を回して座り込んでいる海賊たちを見て言いました。
「おい!みんなどうしたんだ? 倒れこんで!? 目を覚ませよ!! …でも、待てよ。みんなが倒れこんだってことは、この金銀財宝は、全てこの俺様のもの…
やったー!! さぁ、今すぐ出航の準備だ! この洞窟の中のお宝を全て船に積んで、俺様1人で出航するんだ!」
そう言うと、扉を開けっぱなしにして、出航の準備をしに再び、扉の外へ飛び出して行きました。
“今だ”
テディが、住人たちの宝物を手にして、こっそりと目を回した海賊たちの前を通り過ぎようとした時、
「おい! どこへ行くんだ。」
低い声が、テディを呼び止めました。テディが、おそるおそる振り返ると、目を回していたはずの海賊の1人が、目を覚ましていたのです。
目を覚ました海賊は、体をねじって、体中に巻き付いたロープを振りほどこうとしますが、なかなか上手くいかずジタバタしています。
テディは、海賊がジタバタしている間に、逃げ出そうと大急ぎで扉の方へ向かいます。
「覚えてろよ! 必ずお前をとっ捕まえて、高く売っ払らってやるからな!」
逃げ出すテディの背中に、海賊が大声で#投__な_#げかけます。
テディは、全身、恐怖で震え上がり住人たちの宝物を放り出__だ__#して、大急ぎで、洞窟の外へと飛び出して行きました。
そして、そのまま大急ぎで、喫茶店まで帰って行きました。
喫茶店の前まで、行くとまた島の住人たちが立ち話をしていました。
「ねぇ。奥さん、実は私見たのよ。ここの店のマスターが、何かを持ってこそこそと出かけて行くところを。」
「あら。ほんとに? きっと、私たちから盗んだ宝物を、どこかに隠しに行ったのよ。」
「きっと、そうね。警察に言って捕まえてもらいましょう。」
テディは、昨日のように、マスターは泥棒なんかじゃない!と自信を持って言えませんでした。
だって、マスターが海賊たちのいる洞窟の方から、歩いて来るのを見てしまったのですから。
テディは、島の住人たちや警察たちと一緒に、マスターの様子をのぞいてみることにしました。
“平和だった島が、急にぶっそうになってしまったなぁ”
テディは、心配ごとを抱えながら浅い眠りにつきました。
翌朝、テディは、とっても目覚めの悪い、朝を迎えました。
いつものように、喫茶店で、モーニングセットをお客さんたちに出して、忙しいのが一段落着いた時、マスターはまた、よそよそしく外へと出かけて行きました。
テディはマスター疑ってごめんなさい。”と、心の中で謝りながらも、マスターの後をつけて行きました。
喫茶店の外へ出てみると、島の住人たちや警察もマスターが出てくるのを待ち伏せしていました。
みんなで、マスターの後をつけて行くと、やっぱりマスターは、洞窟の方へ向かっていくのです。
“どうかマスターが海賊の仲間じゃありませんように”
テディは、祈るような気持ちでマスターの後をつけて行きました。
マスターが、洞窟のすぐ近くまで行くと、向こうの方から猫の親子が現れて、マスターの方へと駆け寄って来ました。
マスターは、辺りをキョロキョロと見渡すと、猫の親子にお皿を差し出しました。
猫の親子は、お皿の方に一目散に駆け寄っていき、お皿の中のものをペロペロと舐め始めました。
お皿の中にはどうやらミルクが入っているようです。
テディたちは、マスターが猫の親子にミルクを飲ませる姿を見てあっけにとられていました。
ミルクを飲み終わった#子猫たちは、マスターの足元にスリスリと懐いていました。
「マスターは、海賊漢字なんかじゃなかった!!」
嬉しさのあまり、テディが大声で、そう叫ぶと、マスターも島の住人たちも、警察もみんな、一斉にテディの方を見ました。
「ワシが海賊だと?」
マスターは、不機嫌そうに眉間にシワを寄せました。
「なんだ。マスターが泥棒してたわけじゃなかったのね!」
「ワシが泥棒だって?」
マスターは、みんなに囲まれて何がなんだかさっぱり分かりませんでした。
警察がマスターに、今までのいきさつを話すと、マスターは「とんでもない! イヤ。 数日前に、洞窟の前でたまたま、この猫たちを見つけたんだよ。お腹を空かせてるみたいだったから、仕方なくミルクをあげていただけなんだよ。」と言いました。
「猫にミルクをあげるだけだったら、何もひそひそとしなくてもいいのではありませんか?」
警察がマスターに問いかけました。
「いや。何、この島で、ワシは頑固おやじのマスターで、通ってるだろ? だから、猫にミルクをやってるなんて知られたらみんなの笑い者にされるんじゃないかと思ってさ…」と、恥ずかしそうにマスターが頭をかきました。
「じゃあ一体、誰が私たちの宝物を盗んだというの?」
島の住人たちは、まだマスターを疑っているようでした。
「ぼく、知ってます! 海賊です!」
テディは、大きな声で答えました。
「海賊?」
みんなは、怪訝そうな顔をしてお互いに顔を見合わせました。
テディは、自信満々にうなずきました。そして、テディに案内され、みんながたどり着いたのは、あの洞窟の中の扉の前です。
大きな岩の扉は、開いていて、隠れ家の中をおそるおそるのぞいてみると、そこには、ロープでぐるぐる巻きになった海賊たちと、お宝を独り占めしようと1人で必死に出航の準備をしている海賊がいました。
そんな海賊たちの様子を見て、テディたちは、お互いに顔を見合わせ、うんとうなずいたかと思うと、一斉に海賊たちの隠れ家へと突入して行きました。
「うわぁぁ! なんだぁ!!」
急な突入に、海賊たちも思わず面食らってしまいました。
「おい! あいつは昨日、ここに忍び込んで来た、テディベアじゃないか!? あいつがここの隠れ家をみんなにバラしたんだな!
ただじゃおかんぞ! ここから遠く離れた、寒い寒い氷の国の王様に、お前を高い値段で売飛ばしてやるからな!
2度とここへは戻って来れんぞ! 覚悟しておけよ!」
テディは、海賊のそのあまりの剣幕に、テディは一瞬たじろぎましたが、負けまいと気を取り直して、「さぁ! みんなで、まずはあの海賊を捕まえるんだ!」
と叫び、まず、宝物を独り占めしようとしている海賊を捕まえて、他の海賊たちと一緒に、ロープでぐるぐる巻きにしてしまいました。
そして、ひとまとめに縛り上げた海賊たちを、連れて洞窟の外へと連れて行きました。
次の日の朝、島じゅうの住人たちが集まる中、裁判が開かれました。
海賊たちに、どんな刑罰を下そうかという重大な裁判です。島じゅうの人たちは、口々に叫びました。
「うち首だ!」「火あぶりだ!」
「うち首に 火あぶりだって!? そんなの あまりにもひどすぎる!!!」
テディは 誰よりも大きな声でさけびました。
裁判官は、大きな目をギョロリとギラつかせてテディの方を見ながら言いました。「ほう。そこの子猫くん、確か君が、この海賊たちの隠れ家を見つけ出したんだったかね。
この勇敢な子猫くんの意見を是非とも、聞いてみようじゃないか。それで、子猫くん、君は一体どんな罰がこの海賊たちにふさわしいと思うのかね?」
「ぼくの意見ですか!? そ そ そ そうだな…」
テディは、今まで誰かに罰なんて与えたことがなかったので良いアイデアが思いつかず もじもじしていました。
海賊たちの方を見ると 海賊たちはいのるような目でテディの方を見ていました。
「どうか。助けてください! ほしい物は何でも差し上げます!」
そんな#海賊__かいぞく_#たちを見てテディは、あることを思いつきました。
「そうだ! この海賊たちに、踊りを踊ってもらいましょう!」
「踊り?」
島の住人たちは、首をかしげました。
「はい。 こちらの海賊の皆さんは、ダンスがとっても得意なんですよ!」テディが、そう言うと今度は海賊たちが首をかしげました。
「今日の夜。 みんなで、おいしい食べ物を持ちよって楽しいパーティを開くんです! そこでこの海賊たちは、みなさんを楽しませるとびっきりのダンスを披露してくれますよ! ね?」
そう言うとテディは、操り人形のように手足をバタバタさせたり、海賊たちに向かって、お尻をフリフリしてみせました。
テディのその仕草を見て、海賊たちは顔を真っ青にしながら、お互いに#目__め_#を合わせました。
昨日、隠れ家の中でテディに、ロープを付けて操り人形のように躍らせたことを思い出したのです。
その日漢字の夜漢字。
島の住人たちは おいしい食事やお酒を持ちよって集まりました。
そして、ついに海賊たちの楽しいダンスがはじまりました。
手足にロープを付けられた海賊たちは、逆立ちをしたり お尻をふりふりしたり。
テディは、顔を真っ赤にして踊る海賊たちの姿を見て、海賊たちだけに、踊らせるのは、可哀そうだと思い、海賊たちと一緒になって踊りました。
島の住人たちは手を叩いたり お腹を抱えて大笑いしました。
「は、恥ずかし~!」
海賊たちは全身は、まっ赤っかです。
「わぁー! 恥ずかしくて2度とこの島には戻って来られないよー」
「お願いだから、もう許してくれー」
「もう2度と人の物を盗んだりしないと誓うか?」
テディは、裁判官の口調をマネて言いました。
「分かった。分かった。もう2度と盗んだりしないから許してくれ!」
「もう2度と、ぼくのことを売り飛ばすなんてこと、言わないか?」テディは、そう続けました。
「#分__わ_#かった!分かりましたー!! だから…」
海賊たちがそう言うと、テディは、満足そうに大きく頷きました。
そしてテディと海賊たちはお互いに
「この島でぼくと会ったことは、誰にも言うんじゃないぞ!」
「この島で俺たちに会ったことは、誰にも言うんじゃないぞ!」と言い合いました。
海賊たちは、さんざん、島の住人たちの笑い者にされた後、顔を真っ赤にして島を飛び出して行きました。
この島に2度と戻って来なかったのは、もちろんのこと、この島に、テディという、話すことができるテディベアがいるということも、誰にも言ことはありませんでした。
こうしてテディと海賊たちの秘密は、守られたのでした。
この後、テディがみんなの前で表彰状をもらったということは言うまでもありません。
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