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元気になったお父さん※アユム視点
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「アユム……大丈夫かい?」
エイシオさんの声で、俺はハッとする。
今のが呪いの相手……?
知らない人だけど、でもどこかで会ったような……気もする。
「アユム……?」
「は、はい……」
エイシオさんとバーバラさんが不安そうに俺を見ていた。
でも……大丈夫だ。呪いは多分消えた。
不気味な感覚が消えてる。
「あ、あの具合は、いかがでしょうか……?」
「あなた、大丈夫?」
「あぁ……なんだろう……すごく身体が温かくなって呼吸が楽になったよ」
「まぁ! すごいわ!」
バーバラさんが喜ぶ。
本当に心配されて、仲の良いご夫婦なんだな。
「父上……よかった……」
青白かった顔が少し赤みがさして、お父さんも少し微笑む。
「アユム殿ありがとう。素晴らしい技術だ」
「いえ……良かったです本当に」
「ぐーぐーぐーぐー!!」
お腹をグーグー鳴らしたザピクロス様が、頭に乗っかってきた。
「おや、彼はお腹を空かせているようだね。なんだか私も腹が減ってきたぞ」
「まぁ、あなた……ロンが今お茶とお菓子を持ってきてくれますわ」
「菓子か……今ならがっつり肉でも食べたい気分だよ。うーん腹が減った! 肉が食いたい!」
「えぇ、そんな! あなた本当にお肉が……? お食べになりたいなら頼んでみます?」
突然の叫びに、バーバラさんが驚いている。
「でも父上、シェフ達は今は事情聴取中じゃないですか」
「毒の事件があったばかりだもんな……あぁダメとなると余計に食べたくなるな。牛肉をたっぷりと……あぁ食いたい」
せっかく食欲が戻って、美味しいものが食べたい時に……。
お父さんはすごく残念そうだ。
「……あの、俺が作りましょうか?」
「アユム殿が……?」
「はい。お肉ならステーキは重すぎると思うので、しゃぶしゃぶなんかどうかなって」
「「「しゃぶしゃぶ……?」」」
三人が声を合わせる。
さすがに……しゃぶしゃぶなんて知らないよね。
「お肉を薄切りにして、お湯で茹でてタレを付けて食べる料理です。余分な油が落ちるので食べやすいかと……」
「ほう……それは食べたことはない。異国の料理かな?」
「アユムさんはシェフもやっているの?」
「シェフではないけど、アユムの料理は絶品なんですよ」
エイシオさんが、嬉しそうに微笑む。
素人料理だけど、少しでも役に立てたら……!
「準備の時は、見張りの方や毒見の方も一緒に見て頂いて……しゃぶしゃぶなら部屋で作って食べられますから安全かと」
「部屋で作るの? 楽しそうね。あなた」
「客人に料理をさせるのは、申し訳ない気もするが……肉が喰いたいなぁ」
「食べたいなんて言葉、何ヶ月ぶりかしら! お願いするわアユムさん」
「はい……!」
俺は調理場を借りて、最高級の牛肉を薄切りに。
野菜も一緒に薄切り。
それと、生姜やニンニクなどを使ってどうにかタレを作った。
エイシオさんも見守ってくれて、聴取を受けたシェフや調理場担当の人達に声をかけている。
皆さん辛そうに潔白を話してるな。
……毒なんか間違いであってほしいよ……。
さぁ! 準備完了!
「我の火が鍋に使われるとは……」
この世界にも七輪のようなものはある。
俺の力で炭に火を着け火力を調整したのでザピクロス様がぷうっと膨れた。
毎度、調理に使ってるのに……お腹空いたのが限界かな。
「火のおかげで、温かいしゃぶしゃぶが食べられますよ」
「肉タベタイ肉タベタイニクニクニク」
「はいはい、待っててください」
お父さんのお部屋でのしゃぶしゃぶ。
毒見の人が、毒見を忘れて『お、美味しい!』と言ったのを皮切りに、お父さんとザピクロス様の食べっぷりがものすごい!
「これは美味い! 何枚でも食えるぞ!」
「ハムハムハムハムハム! ハムハムハムハムハム! ムフッホフッ!!」
「あ! アライグマに私の肉がとられたぞ!」
「すみません、すぐしゃぶしゃぶしますね!」
「ハムハムハムッ!」
「あぁっ! 私の肉!」
「アライグマッッ! これは父上の肉だって! 待て! 待て!」
「ううむ! シャブシャブ! 最高の料理だな!」
「まぁ、あなた! すごい食欲ね……! アライグマって肉も食べるのね」
「母上、このアライグマはなんでも食べるのです」
「ハムハムハム! ガッツガツ!」
「ははは! 美味いなぁ!」
みんなが笑って、いい雰囲気になった。
ザピクロス様は食べるのに夢中で、アライグマ扱いにも気付いていない。
毒事件があった後だから、こんな風に笑って罰当たりかな? って思ったんだけど御二人とエイシオさん、ロンさんにまでお礼を言われた。
でも結局エイシオさんはお父さんに、婚約破棄の話ができなかったんだ。
エイシオさんの声で、俺はハッとする。
今のが呪いの相手……?
知らない人だけど、でもどこかで会ったような……気もする。
「アユム……?」
「は、はい……」
エイシオさんとバーバラさんが不安そうに俺を見ていた。
でも……大丈夫だ。呪いは多分消えた。
不気味な感覚が消えてる。
「あ、あの具合は、いかがでしょうか……?」
「あなた、大丈夫?」
「あぁ……なんだろう……すごく身体が温かくなって呼吸が楽になったよ」
「まぁ! すごいわ!」
バーバラさんが喜ぶ。
本当に心配されて、仲の良いご夫婦なんだな。
「父上……よかった……」
青白かった顔が少し赤みがさして、お父さんも少し微笑む。
「アユム殿ありがとう。素晴らしい技術だ」
「いえ……良かったです本当に」
「ぐーぐーぐーぐー!!」
お腹をグーグー鳴らしたザピクロス様が、頭に乗っかってきた。
「おや、彼はお腹を空かせているようだね。なんだか私も腹が減ってきたぞ」
「まぁ、あなた……ロンが今お茶とお菓子を持ってきてくれますわ」
「菓子か……今ならがっつり肉でも食べたい気分だよ。うーん腹が減った! 肉が食いたい!」
「えぇ、そんな! あなた本当にお肉が……? お食べになりたいなら頼んでみます?」
突然の叫びに、バーバラさんが驚いている。
「でも父上、シェフ達は今は事情聴取中じゃないですか」
「毒の事件があったばかりだもんな……あぁダメとなると余計に食べたくなるな。牛肉をたっぷりと……あぁ食いたい」
せっかく食欲が戻って、美味しいものが食べたい時に……。
お父さんはすごく残念そうだ。
「……あの、俺が作りましょうか?」
「アユム殿が……?」
「はい。お肉ならステーキは重すぎると思うので、しゃぶしゃぶなんかどうかなって」
「「「しゃぶしゃぶ……?」」」
三人が声を合わせる。
さすがに……しゃぶしゃぶなんて知らないよね。
「お肉を薄切りにして、お湯で茹でてタレを付けて食べる料理です。余分な油が落ちるので食べやすいかと……」
「ほう……それは食べたことはない。異国の料理かな?」
「アユムさんはシェフもやっているの?」
「シェフではないけど、アユムの料理は絶品なんですよ」
エイシオさんが、嬉しそうに微笑む。
素人料理だけど、少しでも役に立てたら……!
「準備の時は、見張りの方や毒見の方も一緒に見て頂いて……しゃぶしゃぶなら部屋で作って食べられますから安全かと」
「部屋で作るの? 楽しそうね。あなた」
「客人に料理をさせるのは、申し訳ない気もするが……肉が喰いたいなぁ」
「食べたいなんて言葉、何ヶ月ぶりかしら! お願いするわアユムさん」
「はい……!」
俺は調理場を借りて、最高級の牛肉を薄切りに。
野菜も一緒に薄切り。
それと、生姜やニンニクなどを使ってどうにかタレを作った。
エイシオさんも見守ってくれて、聴取を受けたシェフや調理場担当の人達に声をかけている。
皆さん辛そうに潔白を話してるな。
……毒なんか間違いであってほしいよ……。
さぁ! 準備完了!
「我の火が鍋に使われるとは……」
この世界にも七輪のようなものはある。
俺の力で炭に火を着け火力を調整したのでザピクロス様がぷうっと膨れた。
毎度、調理に使ってるのに……お腹空いたのが限界かな。
「火のおかげで、温かいしゃぶしゃぶが食べられますよ」
「肉タベタイ肉タベタイニクニクニク」
「はいはい、待っててください」
お父さんのお部屋でのしゃぶしゃぶ。
毒見の人が、毒見を忘れて『お、美味しい!』と言ったのを皮切りに、お父さんとザピクロス様の食べっぷりがものすごい!
「これは美味い! 何枚でも食えるぞ!」
「ハムハムハムハムハム! ハムハムハムハムハム! ムフッホフッ!!」
「あ! アライグマに私の肉がとられたぞ!」
「すみません、すぐしゃぶしゃぶしますね!」
「ハムハムハムッ!」
「あぁっ! 私の肉!」
「アライグマッッ! これは父上の肉だって! 待て! 待て!」
「ううむ! シャブシャブ! 最高の料理だな!」
「まぁ、あなた! すごい食欲ね……! アライグマって肉も食べるのね」
「母上、このアライグマはなんでも食べるのです」
「ハムハムハム! ガッツガツ!」
「ははは! 美味いなぁ!」
みんなが笑って、いい雰囲気になった。
ザピクロス様は食べるのに夢中で、アライグマ扱いにも気付いていない。
毒事件があった後だから、こんな風に笑って罰当たりかな? って思ったんだけど御二人とエイシオさん、ロンさんにまでお礼を言われた。
でも結局エイシオさんはお父さんに、婚約破棄の話ができなかったんだ。
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