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しおりを挟むアルバート様の部屋にはいくつかのベルがついておりその一つは私の部屋に繋がっている。そのベルが夜中チリチリチリと鳴り響く。
業務外なので無視を暫く決め込んでいると
ドンドン ドンドン ドンドン
と激しくドアが叩かれた。
ドンドン ドンドン ドンドン
全く、迷惑である。
「テオッ起きているだろう?お前は昔から眠りが浅いじゃないか?どうして俺を無視するのだ?!」
何やら大型犬の悲しげな声が外から聞こえるが今外に出たら確実に餌食になる。グッと堪えて今は出たくないという意を伝えた。
「テオは寝ております」
「寝ている奴が答えるわけないだろう?」
「寝言でございます」
「‥‥テオも僕を見捨てるの?」
可愛らしいお顔だったアルバート様が昔よく使ったいた泣き落とし作戦だ。
「アルバート様、陛下はそれで貴方の話を聞いてくださったかもしれませんが私はその手には騙されませんよ。34歳にもなって可愛らしい声で"見捨てるの?"は流石に気味が悪いです」
「うむ、、、そうか、、だがそろそろここを開けてくれないと困る。実は今バスローブのままなのだ。このままここにいるとただの変質者になってしまう。」
「は?、、、失礼しました。つまりアルバート様はバスローブのままこの離宮から飛び出して陛下の寝室に突撃しに行ったのですか?」
「そうだ。ふと、ベッドに横になっていた時に自分が童貞でセックスに関する知識が豊富でないと気がついてな。そのまま飛び起きて兄上にアメリアちゃん3号を借りに行ったのだが断られてな。仕方がなくそれなりにつまみ食いしているお前にご教授願おうとやってきたんだ。だが、このドアを叩きながら自分がバスローブ姿だということに気がついてな、これでも一応途方に暮れているんだ。」
「これでも一応途方に暮れている。のですね。ご自身の状況を把握しておられてなによりです。それで、私がこのドアを開いたら貴方はここに入ってきて全裸になって教えろと迫るのですね。」
「流石テオ。よくわかるな」
「ええ、わかりますとも。アルバート様はお仕事以外はポンコツではないですか?」
「‥俺はポンコツなのか?」
意味がわからないという風に復唱するアルバートに対しテオはガックリと肩を落とした。
そして、ため息を吐きドアを開けた。
「遅いぞ、テオ。待ちくたびれた」
寝癖がついたままのアルバート様が呑気に欠伸をしながら部屋に入ってきた。そして、そのままバスローブをポイっと部屋に放り投げると気怠そうにベッドに全裸で腰掛けて足を組んだ。
さすが王族。偉そうな態度がさまになっておられる。
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