スポットライトを浴びるには

mimi

文字の大きさ
1 / 3

1

しおりを挟む



何かを成し遂げたいと願う人間がまともな訳ないじゃない
僕の脳裏には萎びた彼女の声が何度もリフレインする。

僕ははあの狂った饗宴に招待されて以降莫大な名声を手に入れた。貞操と倫理観をあの人に捧げて


ーーーーーーーー

名取 能目(なとりのうめ)21歳は今日本で一番人気がある俳優だ。ここ2年くらいは中華圏や韓国の映画にも出演しアジアナンバーワン俳優と言っても過言ではないだろう。

才能、美貌、人徳、不思議な魅力

現在の名取能目は全てを手にしていた

ーーーーーーーー


僕は元々子役だった。
4歳の頃、綺麗な顔をした子供だった僕は街でスカウトされて大河ドラマでデビューした。

そこから8年、学業を犠牲にして僕は毎年、映画2本とドラマ1本の少しのバラエティとCMに出続けて活躍していた。

僕の母は僕を非常にかわいがりマネージャーとして仕事に同行し僕を管理した。小学校に上がる頃それに嫌気がさした父親は浮気をして出て行った。

小学校を高学年になって変声期を迎えた僕を母は受け入れられなくなった。母の中の僕は女の子のようにかわいい能目であって中性的な色気の出てきた能目ではなかった。今思えば成長した僕はどことなく父に似ている。だから自分を捨てて出て行ったあの日に日に日に似てくる僕のことが憎くなったのかもしれない。

で、ここからが転落だ

母は気が狂ったかのようによくわからない新興宗教を盲信し僕が稼いだお金を湯水のように使った。3億円の借金をした。

その結果僕は腫れ物扱いされて‥干された
それが12歳の時

僕が数年かけて築いたものを一瞬にして崩した。

ーーーーーーー

普通の人になろう意気込んで中学に入ったがそうなるには僕はあまりにも有名過ぎた

今まで何もしてこなかった僕は演技と周りの空気を不快にさせないことしかできない。掛け算すら危ないレベルで当然落ちこぼれとなった。周りも僕に関わるとろくなことにならないという雰囲気で離れたところから僕を眺める。憧れた普通の生活が無理なことは入学から一週間もせずに理解した。

それでも僕の近くには宗教に狂った母が優しくしてくれるだけ良かった。彼女は僕を憎むと同時に愛し、そして人生を狂わしたかもしれないが一応は近くにいてくれたのだから。

だがそんな生活もすぐに終わる。
中学2年生の秋、母は首を吊って自殺した。
僕はパニックになりながらも警察に電話して‥それからのことは覚えていない

ただ気がついた時にはまたマスコミに追い回されていた。

中学3年生になった時、僕は相変わらず落ちこぼれで高校はどうしようかと考えていた時、とある男が接触してきた。

鶯という名の男で彼は僕にもう一度芸能界で活躍しないかと言った。

「一度堕ちたらもう二度とここには戻ってこられない。だけど、そのかわり底からだからこそみれる美しい世界があるよ。もしも君がその身を捧げる勇気があるならその世界を君にみせてあげるよ」

鶯はにっこりと笑いながら言った。
その声には嘘偽りもないものだった。

僕は迷わなかった。
その身を捧げる=枕 
その程度のことは小さなころからやってる
大丈夫だ。このときの僕はまだ幼くてこいつの提案がクモの糸だと思った。

それしかできないことに気がついていた僕は
"はい"と即答した。


ーーーーーーーー

数日後僕は鶯に旧財閥の経営するグループの系列ホテルにいた。

このホテルはプライバシーがしっかりしている高級ホテルで財界人が多く利用している。
僕はそのホテルに地下から入った。

鶯に言われた通りの順序で進んでいくと異様な部屋が目の前に現れた。そしてその部屋の前には鶯と黒服が何人もいる。

「やぁ能目、待ってたよ」

ニコニコ笑っている鶯に手を引かれその部屋に入るともう一つ扉があった。

「俺、この後用事があるからもう行くよ。頑張って」

僕の頭をグシャグシャと撫でて鶯は去っていった。鶯がこの部屋から出ていくと若い女の人が入ってきた。

「名取能目様、これが最後のチャンスです。今ならば引き返せます。ここを引き返したら二度と芸能界には戻れませんがここに入るよりも平凡な生活を手に入れられます。もし、ここを通ったなら二度と普通には戻れません。」

「はい」

僕は大丈夫だという意を込めて頷いた。
女の人は溜息をはいた後、目の前の重々しい扉を開けた。

ーーーーーーーー

「こちらにいらっしゃい」

正気のない声が聞こえた。
その部屋は暗く大きなベッドが一台とソファーが置いてあるだけだった。

ソファーには声の主である年老いた女と4人の男女が座っていた。

恐いと感じた
恐怖でガタガタ震えそうになった

家に突然やってきた教祖よりも今まで見てきたどの権力者よりも得体の知れない人がそこには佇んでいた。

僕はとんでもない世界に踏み入れてしまったと直感した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

初体験の話

東雲
恋愛
筋金入りの年上好きな私の 誰にも言えない17歳の初体験の話。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

ヘンタイ好きシリーズ・女子高校生ミコ

hosimure
恋愛
わたしには友達にも親にも言えない秘密があります…。 それは彼氏のこと。 3年前から付き合っている彼氏は実は、ヘンタイなんです!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

処理中です...