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第6章 ユフ大陸の創世7神 編
第 303 話 死を待つ者の匂い
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「ウラージ長老大使とやり合ったそうだな?」
舟から降り立ったエルグレドに、ビデルが開口一番尋ねた。
「どうだった?」
ほぼ同時に着岸した篤樹たちの舟にはルロエが近寄り、エシャーに語りかける。
「私もアッキーもダメだった……『膜』には触れるけど……お父さんと同じ?」
「そうか……」
エシャーの返答に、ルロエは微笑みながら応え視線を篤樹に向けた。
「湖神様からの力を受けた『 渡橋の証し』を持つアツキくんなら……と、少しは期待したんだけどね」
「あの……すみません……」
下舟の手を貸し語りかけたルロエに、篤樹は申し訳無さげに応じる。
「いや、アツキくんのせいで『どう・こう』って意味じゃないよ。ただ、可能性が一番高いのは、湖神様との関係も深い君だろうと思っていたから……私やエシャーと同じ結果だったことで拍子抜けしただけだよ」
「冗談じゃありませんわッ!」
突然、レイラの怒声が響いた。篤樹たちは驚き、顔をエルグレドたちの方へ向ける。そこにはビデルを睨みつけ、身を震わせているレイラが立っていた。
「決定権はあなたにではなく、エルグレドに有るのですよ」
ビデルは低姿勢で穏やかな笑みながら、レイラの立場を軽んじる雰囲気を漂わせ応じていた。
「エルッ! 私は反対ですわよっ!」
レイラは探索隊の決定権を持つエルグレドに向き直り、改めて抗議の声を上げる。
「どんな理由があろうと、コイツを仲間に受入れるなんて……認められませんわ!」
ビデルの横に立ち湖面を見つめているピュートを指さし、レイラは髪を振り乱して主張した。
「まあまあ、レイラさん……落ち着いて……」
今にも暴発しそうなレイラの肩にスレヤーがそっと手を置き数歩退かせると、代わりにエルグレドが一歩前に進み出る。
「閣下……それは文化法歴省大臣としての決定なのでしょうか?」
エルグレドは柔らかな笑みを浮かべつつ確認する。ビデルは少し驚いた表情を浮かべて応えた。
「いや……決定権は君に託している。何だね? この子と彼女の間には、何か 確執でもあるのかね?」
予想外の「強い拒否姿勢」を表明したレイラの態度に、ビデルは逆に興味を抱いたようだ。
「いえ……そういう事では無いと思いますが……」
「嫌いなのよ! ソイツが! 大嫌いなの!」
スレヤーに両肩を押さえられた状態で、再びレイラが抗議の声を上げる。エルグレドは苦笑いで溜息をつく。
「……ということなので……ピュートくんを私たちのチームに迎えるのは……少し難しいかと……」
「少しじゃ無くってよ、エル! 絶対にダメ! 諦めて! この話はナシよ!」
鬼気迫るほどの「反対意見」にビデルもエルグレドも苦笑いを浮かべる他無い。
「俺は構わない。おばさんが一緒でも」
相変わらず湖上を見つめるピュートが、無機質な声で口をはさんだ。
「おば……」
レイラの視線がピュートに向く。
「俺はエルフも嫌いじゃないし、カガワとルエルフは面白い。赤狼と補佐官にも興味がある」
淡々と語ったピュートは、視線をゆっくりレイラに向けた。
「ベガーラは新しいユニットを組んだ。俺は除外されている。『父』も死んだし、居場所が無い。アンタたちの隊なら付き合っても良い」
あまりの怒りのためかレイラは声を失い、目を見開いたまま口をパクパク震わせている。ピュートの発言に唖然としていたエルグレドが数回瞬きをした後、ビデルに応えた。
「事情は分かりました。……が、この場ですぐに判断は出来ません。明日、正式に回答しますので、もうしばらくは……」
「あ……ああ! うん、そうか。分かった。構わん。まあ、本人の希望を伝えただけで……あとは君らの判断で決めれば良い。君もそれで良いな?」
ビデルはピュートへ確認の言葉をかける。
「補佐官が承認すれば済む話なんだろ?」
ピュートはエルグレドをジッと見つめた。エルグレドもその視線を真っ直ぐに受け止める。
「エ~ルゥ~……」
脅迫染みたレイラの声が発せられるまで、数秒間、2人は視線を合わせたままだった。先にエルグレドが 瞼を閉じ、次に開いた時には視線をビデルに向ける。
「明日……結論という事で」
「俺もそれで良い」
エルグレドの返答に、今度はピュートもすぐに応じる。ビデルは 曖昧にうなずきながら「まあいい……」とだけ呟いた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「レイラって、ホントにピュートが嫌いなんだね?」
立ち去って行くビデルたち3人の背を見送りながら、エシャーがレイラに語りかけた。
「確かにあのガキゃあ、しつけがなってませんもんねぇ」
スレヤーが賛同の弁を述べる。
「ボルガイルの研究で作られた『人造人間』……成功した実験体なんでしょ?『親』の育て方云々以前の問題ですね、ありゃ」
「あ……でも……」
ピュートへの低評価を述べるスレヤーの言葉に、篤樹が異論を 挟もうと口を開いた。
「ん? なんだよ、アッキー」
「あ……いや……。アイツ……ピュートは……何ていうか……そんなに悪いヤツじゃ無かったっていうか……」
一週間前、共にガザルを相手に闘った「仲間」として、篤樹は何とかピュートの評価を上げたいと願う。
「だよ!」
エシャーも篤樹の言葉に 被せて来た。
「あの子、悪い子じゃ無いよ! 変な子だけど……でも、悪い子じゃないよ!……なんでレイラはあの子がそんなに嫌いなの? 口が悪いから?」
エシャーの大きな目を向けられたレイラは、乱れていた髪を左手で整えながら言葉を選ぶように応える。
「あなたたちと違うのよ……私たちとも……あの子は……」
落ち着きを取り戻したレイラの声は、どこか哀し気だ。
「そりゃ……実験で作られたから……」
篤樹が口を挟もうとすると、レイラはその言葉を遮るように続けた。
「 出自なんかどうでもいいわ。種族の違いだって関係無い。でも、あの子は初めて会った時から『死臭』が漂ってるのよ……サーガよりも、もっと腐った『死の匂い』がね……それが恐いし……気持ち悪いし……嫌いなの」
「それって……ガザル細胞の匂いとかって事ですかい?」
確認するように尋ねたスレヤーの言葉に、レイラは首を横に振る。
「言ったでしょ? あの子の出自……体組成が何であろうが関係無いわ。……あの子自身が内側から発してる『匂い』よ。私が嫌悪してるのは」
「森の賢者、生命に充ちる長命種族である貴女だからこそ感じる匂い……ということですか?」
エルグレドが結論へ誘引するように口を開く。レイラはフッと息を 吐くと、いつの間にか強張っていた身体をほぐすように肩を軽く上げ下げした。
「生命への執着が無い……いえ、生命への関心が無いのよ。自分自身にも、他人に対しても。まるで、生命の無い 骸が、動けるから動いてるだけって感じがするの……」
レイラは、自分が感じ取っている「嫌悪感」を何とか言葉に表わそうとするが、それがどうにも上手く行かない様子で、何度も言葉を言い換える。見かねたように、エルグレドが口を開いた。
「木々や草花にさえ、敏感に 生命の存在を感じ取っておられるエルフ族としては、生命への関心をもたないピュートくんという存在が許せない、ということでしょうか?」
エルグレドの言葉に、レイラは少し首をかしげながら「そうね……」と呟き、軽くうなずいた。
「えー? そうかなぁ……」
異論の声を上げたのはエシャーだった。
「あの子、内調だったからかも知れないけど、色んなことに関心あったみたいだけどなぁ……」
「それに……」
篤樹も声を合わせる。
「ガザルと闘った時も……その……僕のことを守ってくれたり……ガザルとの『相性』を気にしたり……自分の生命や他人の生命に、全く無関心って感じじゃ無かったように思いましたよ」
「とにかく、嫌いなの! あの『死臭』が……あっ!」
エシャーと篤樹に反論の声を上げたレイラが、自分の発言途中で何かに気付いたように言葉を切った。
「死期を間近にしたエルフの匂いだわ、あれ!」
「はぁ?」
思い 閃いたような笑顔を見せたレイラに、一同は 呆気に取られた。
「そうよ! あの『匂い』だわ! 終命間近の高齢エルフが発してる『卓越者の匂い』よ!」
「ちょ……な、なんすか? その『卓越者の匂い』ってのは……」
嬉しそうに説明を始めたレイラに、 堪らずスレヤーが尋ねる。
「この世界には、もう何も得るモノが無いって悟り切った高齢エルフがね、ただ『終わりの時』だけを待ちながら過ごしてる『匂い』なのよ!」
「それって……つまり?」
篤樹が、呆気にとられながら尋ねた。
「たかだか15年程度しか生きてない人間種のガキが、1000年を生きたエルフと同じ『卓越者の匂い』……いいえ!『死臭』を発してるのがイヤなのよ! まだ何も分かってないクソガキのクセに、全知者のように 斜に構えて、悟りきったように生命への関心を失ってる……あの『匂い』が嫌いなの!」
レイラは自分なりに納得のいく答えを見つけられたようで、スッキリとした笑顔をエルグレドに向けた。
「ということで、あんなジジ臭いクソガキなんかと一緒にいたら、鼻が曲がってしまいますわ。明日、キッチリとお断りを入れて下さいな、隊長さん」
晴れ晴れとした笑みでハミングを奏でながら、湖岸に咲く野花を屈んで愛で始めたレイラの背中を目で追い、篤樹はピュートの顔を思い浮かべた。
あいつ……「ジジ臭いから嫌い!」ってレイラさんに言われたら……どんな顔するだろうなぁ……
舟から降り立ったエルグレドに、ビデルが開口一番尋ねた。
「どうだった?」
ほぼ同時に着岸した篤樹たちの舟にはルロエが近寄り、エシャーに語りかける。
「私もアッキーもダメだった……『膜』には触れるけど……お父さんと同じ?」
「そうか……」
エシャーの返答に、ルロエは微笑みながら応え視線を篤樹に向けた。
「湖神様からの力を受けた『 渡橋の証し』を持つアツキくんなら……と、少しは期待したんだけどね」
「あの……すみません……」
下舟の手を貸し語りかけたルロエに、篤樹は申し訳無さげに応じる。
「いや、アツキくんのせいで『どう・こう』って意味じゃないよ。ただ、可能性が一番高いのは、湖神様との関係も深い君だろうと思っていたから……私やエシャーと同じ結果だったことで拍子抜けしただけだよ」
「冗談じゃありませんわッ!」
突然、レイラの怒声が響いた。篤樹たちは驚き、顔をエルグレドたちの方へ向ける。そこにはビデルを睨みつけ、身を震わせているレイラが立っていた。
「決定権はあなたにではなく、エルグレドに有るのですよ」
ビデルは低姿勢で穏やかな笑みながら、レイラの立場を軽んじる雰囲気を漂わせ応じていた。
「エルッ! 私は反対ですわよっ!」
レイラは探索隊の決定権を持つエルグレドに向き直り、改めて抗議の声を上げる。
「どんな理由があろうと、コイツを仲間に受入れるなんて……認められませんわ!」
ビデルの横に立ち湖面を見つめているピュートを指さし、レイラは髪を振り乱して主張した。
「まあまあ、レイラさん……落ち着いて……」
今にも暴発しそうなレイラの肩にスレヤーがそっと手を置き数歩退かせると、代わりにエルグレドが一歩前に進み出る。
「閣下……それは文化法歴省大臣としての決定なのでしょうか?」
エルグレドは柔らかな笑みを浮かべつつ確認する。ビデルは少し驚いた表情を浮かべて応えた。
「いや……決定権は君に託している。何だね? この子と彼女の間には、何か 確執でもあるのかね?」
予想外の「強い拒否姿勢」を表明したレイラの態度に、ビデルは逆に興味を抱いたようだ。
「いえ……そういう事では無いと思いますが……」
「嫌いなのよ! ソイツが! 大嫌いなの!」
スレヤーに両肩を押さえられた状態で、再びレイラが抗議の声を上げる。エルグレドは苦笑いで溜息をつく。
「……ということなので……ピュートくんを私たちのチームに迎えるのは……少し難しいかと……」
「少しじゃ無くってよ、エル! 絶対にダメ! 諦めて! この話はナシよ!」
鬼気迫るほどの「反対意見」にビデルもエルグレドも苦笑いを浮かべる他無い。
「俺は構わない。おばさんが一緒でも」
相変わらず湖上を見つめるピュートが、無機質な声で口をはさんだ。
「おば……」
レイラの視線がピュートに向く。
「俺はエルフも嫌いじゃないし、カガワとルエルフは面白い。赤狼と補佐官にも興味がある」
淡々と語ったピュートは、視線をゆっくりレイラに向けた。
「ベガーラは新しいユニットを組んだ。俺は除外されている。『父』も死んだし、居場所が無い。アンタたちの隊なら付き合っても良い」
あまりの怒りのためかレイラは声を失い、目を見開いたまま口をパクパク震わせている。ピュートの発言に唖然としていたエルグレドが数回瞬きをした後、ビデルに応えた。
「事情は分かりました。……が、この場ですぐに判断は出来ません。明日、正式に回答しますので、もうしばらくは……」
「あ……ああ! うん、そうか。分かった。構わん。まあ、本人の希望を伝えただけで……あとは君らの判断で決めれば良い。君もそれで良いな?」
ビデルはピュートへ確認の言葉をかける。
「補佐官が承認すれば済む話なんだろ?」
ピュートはエルグレドをジッと見つめた。エルグレドもその視線を真っ直ぐに受け止める。
「エ~ルゥ~……」
脅迫染みたレイラの声が発せられるまで、数秒間、2人は視線を合わせたままだった。先にエルグレドが 瞼を閉じ、次に開いた時には視線をビデルに向ける。
「明日……結論という事で」
「俺もそれで良い」
エルグレドの返答に、今度はピュートもすぐに応じる。ビデルは 曖昧にうなずきながら「まあいい……」とだけ呟いた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「レイラって、ホントにピュートが嫌いなんだね?」
立ち去って行くビデルたち3人の背を見送りながら、エシャーがレイラに語りかけた。
「確かにあのガキゃあ、しつけがなってませんもんねぇ」
スレヤーが賛同の弁を述べる。
「ボルガイルの研究で作られた『人造人間』……成功した実験体なんでしょ?『親』の育て方云々以前の問題ですね、ありゃ」
「あ……でも……」
ピュートへの低評価を述べるスレヤーの言葉に、篤樹が異論を 挟もうと口を開いた。
「ん? なんだよ、アッキー」
「あ……いや……。アイツ……ピュートは……何ていうか……そんなに悪いヤツじゃ無かったっていうか……」
一週間前、共にガザルを相手に闘った「仲間」として、篤樹は何とかピュートの評価を上げたいと願う。
「だよ!」
エシャーも篤樹の言葉に 被せて来た。
「あの子、悪い子じゃ無いよ! 変な子だけど……でも、悪い子じゃないよ!……なんでレイラはあの子がそんなに嫌いなの? 口が悪いから?」
エシャーの大きな目を向けられたレイラは、乱れていた髪を左手で整えながら言葉を選ぶように応える。
「あなたたちと違うのよ……私たちとも……あの子は……」
落ち着きを取り戻したレイラの声は、どこか哀し気だ。
「そりゃ……実験で作られたから……」
篤樹が口を挟もうとすると、レイラはその言葉を遮るように続けた。
「 出自なんかどうでもいいわ。種族の違いだって関係無い。でも、あの子は初めて会った時から『死臭』が漂ってるのよ……サーガよりも、もっと腐った『死の匂い』がね……それが恐いし……気持ち悪いし……嫌いなの」
「それって……ガザル細胞の匂いとかって事ですかい?」
確認するように尋ねたスレヤーの言葉に、レイラは首を横に振る。
「言ったでしょ? あの子の出自……体組成が何であろうが関係無いわ。……あの子自身が内側から発してる『匂い』よ。私が嫌悪してるのは」
「森の賢者、生命に充ちる長命種族である貴女だからこそ感じる匂い……ということですか?」
エルグレドが結論へ誘引するように口を開く。レイラはフッと息を 吐くと、いつの間にか強張っていた身体をほぐすように肩を軽く上げ下げした。
「生命への執着が無い……いえ、生命への関心が無いのよ。自分自身にも、他人に対しても。まるで、生命の無い 骸が、動けるから動いてるだけって感じがするの……」
レイラは、自分が感じ取っている「嫌悪感」を何とか言葉に表わそうとするが、それがどうにも上手く行かない様子で、何度も言葉を言い換える。見かねたように、エルグレドが口を開いた。
「木々や草花にさえ、敏感に 生命の存在を感じ取っておられるエルフ族としては、生命への関心をもたないピュートくんという存在が許せない、ということでしょうか?」
エルグレドの言葉に、レイラは少し首をかしげながら「そうね……」と呟き、軽くうなずいた。
「えー? そうかなぁ……」
異論の声を上げたのはエシャーだった。
「あの子、内調だったからかも知れないけど、色んなことに関心あったみたいだけどなぁ……」
「それに……」
篤樹も声を合わせる。
「ガザルと闘った時も……その……僕のことを守ってくれたり……ガザルとの『相性』を気にしたり……自分の生命や他人の生命に、全く無関心って感じじゃ無かったように思いましたよ」
「とにかく、嫌いなの! あの『死臭』が……あっ!」
エシャーと篤樹に反論の声を上げたレイラが、自分の発言途中で何かに気付いたように言葉を切った。
「死期を間近にしたエルフの匂いだわ、あれ!」
「はぁ?」
思い 閃いたような笑顔を見せたレイラに、一同は 呆気に取られた。
「そうよ! あの『匂い』だわ! 終命間近の高齢エルフが発してる『卓越者の匂い』よ!」
「ちょ……な、なんすか? その『卓越者の匂い』ってのは……」
嬉しそうに説明を始めたレイラに、 堪らずスレヤーが尋ねる。
「この世界には、もう何も得るモノが無いって悟り切った高齢エルフがね、ただ『終わりの時』だけを待ちながら過ごしてる『匂い』なのよ!」
「それって……つまり?」
篤樹が、呆気にとられながら尋ねた。
「たかだか15年程度しか生きてない人間種のガキが、1000年を生きたエルフと同じ『卓越者の匂い』……いいえ!『死臭』を発してるのがイヤなのよ! まだ何も分かってないクソガキのクセに、全知者のように 斜に構えて、悟りきったように生命への関心を失ってる……あの『匂い』が嫌いなの!」
レイラは自分なりに納得のいく答えを見つけられたようで、スッキリとした笑顔をエルグレドに向けた。
「ということで、あんなジジ臭いクソガキなんかと一緒にいたら、鼻が曲がってしまいますわ。明日、キッチリとお断りを入れて下さいな、隊長さん」
晴れ晴れとした笑みでハミングを奏でながら、湖岸に咲く野花を屈んで愛で始めたレイラの背中を目で追い、篤樹はピュートの顔を思い浮かべた。
あいつ……「ジジ臭いから嫌い!」ってレイラさんに言われたら……どんな顔するだろうなぁ……
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