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8月4日 流れ星の言い伝えと殺人鬼の噂
しおりを挟む「ねえおにいちゃん」
日曜日の昼過ぎ。部屋にいた俺に妹の愛未が訪ねてきた。
「なんだ?」
事故の後は後遺症もなく、それまでと変わらない生活に戻り、現在に至るまで何事もなく過ごしてきた。
後遺症ではないが、唯一事故の事だけは思い出せていない。本人曰く、霧がかかったように、記憶の本のページがめくれないのだそうだ。…医者曰く、事故のショックからなのだろうと。確かに妹は当時幼かった。俺もそれで納得していた。
「今日のニュース見た? 商店街抜けたところで事故だってさ。 しかも結構おっきい」
妹は一つ下の高校一年。部活には入らずコンビニのバイトをしているが、今日は休みだったらしく一緒に昼めしもさっき食べた。
しかし事故とは何事だろう。朝にそんなニュースはやっていなかったし、起きたばかりなのだろうかと思った。
妹に連れられ、リビングでテレビを見る。小さいころから見慣れた場所がテレビに映し出されている状況に、俺は
「またか」と心の中で思っていた。
「最近多いよね…ほんと」
妹の言う通り、風北町ではこの手の事故や事件が多い。先日も、愛未のバイトしているコンビニで強盗まがいのことがあった。犯人は捕まっているのだが、この事件や事故に関連しているのが、犯人は全員「気づいたらやっていた」
ということだ。それ以外に関連はない。同じことが、隣のF市でも起きていた。
「確かに、昔に比べて、頻発してるよな…。流れ星の人さらいのかもな」
この地方の人間は、誰しも聞いたことある話だが、流れ星のあった日は、人がいなくなると。全く科学的根拠はなかったが、都市伝説的にこの地域では噂されている。なんでも流れ星が人をさらっていくとか。今では嘘っぽい作り話だが、小さいころ聞いた時は、恐怖しか感じなかった。
「そういや昨日流れ星見たな」
「えー、うそでしょ。そんな話信じるの?」
「んなわけあるかよ」
まさかな。そんな根も葉もないうわさ信じるわけなかった。ただ、今後も用心していくに越したことはない。いつ我が身に降りかかるのかは、誰にもわからない。
「でも一応、気を付けていかないとね。護身用の道具も買ったし」
「道具?」
「これ」
そう言って妹は買ったばかりなのだろうか、ビニール袋からスプレー缶を取り出した。俺はその文字を読んでみた。
「催涙スプレー…? はあ…?」
大方ホームセンターでも行って買ってきたのだろう。有名なホームセンターのロゴが入った袋の中から取り出していた。
他にも何か買っているのだろうか。袋にはたくさんのものが入っている。
「殺人鬼が潜んでいるって話も聞くしね。死体が見つからないから、相当な手慣れてるだとか」
その話も以前から出ていた。さすがにこれだけの人間が、何の痕跡も残さないまま居なくなるのはおかしい。普通に考えて、何か原因がある。それが自然がもたらしたものか、人間がやったことなのか。
「山﨑さんも言ってたよ。 この町には何かドス黒い何かがあるって」
妹も、所長には定期的に会いに行っていた。まあ、自分が巻き込まれた事件で、それを解決(?)してくれた命の恩人だからであろう。
しかしそんな話、俺は聞いたことがなかったので、興味をひかれた。
「へえ…。 その話、俺も聞いてみるかな」
ああみえて所長も元刑事だ。何か感じるものがあったのだろう。俺にはどうすることもできないが、自分が生まれ育った町で起きていることに、興味を引かれた。
「じゃあ、私、お父さんと買い物行くけど、お兄ちゃんは?」
俺へ少し考えたが…。
「めんどくさいからいいや…。どこ行くの?」
「スーパーだよ」
「行ってらー」
そして俺は、夜の準備を始めた。
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