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8月5日 悪霊ハンター
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「はあはあ…」
時刻は午前2時を回る。今は夏休みの為、明日(日付は変わっているので正確には今日)の心配をしなくていい。
俺は「悪霊」を追っていた。
「…見つけた」
風北町のはずれの山合いの地区。ここは小坂地区といい、民家はあるものの、まばらで外灯も少なく夜は真っ暗になる。木々も深いこの地区は、昼間でも不気味な場所もある。
俺はここで「悪霊」からこの町を守るために、「悪霊退治」をしていた。
「……ググ」
明らかに異径の形をしている奴ら。正体は分からない。具体的に俺たちに悪影響をもたらすかも分からない。もしかしたら無害かもしれない。だが、やらずにはいられなかった。
「……」
間合いを詰める。「悪霊」は同じ個体の奴はいない。毎回違う見た目をしているが、この世のものとは思えない形をしているということは共通している。
今日の奴は四本足で、蜘蛛のように細い足に、胴体はマリモのように緑色で丸く、毛深い。目ん玉は一つで、鋭い犬歯が見える。大きさは犬ぐらい。
(動きは素早くないが、あの歯にやられたら厄介だろうな…)
家から持参した木刀を構える。お土産で買ってきたものだったが、意外にいい威力を誇り、強度もしっかりしていたので、悪霊退治をするときは、これを愛用していた。
「……」
相手の動きを感じ取る。剣術は素人だが、少ない経験で読み取る。相手が動く前に仕留めなくては。
ーヒュンっ!!ー
「…!!」
悪霊が口を開けて突進してくる。狙いは俺の右腕か肩だろう。思ったよりも素早い動きを見せるが、寸でのところで肩をかすめる。
「…はあっ!!」
最初の内は抵抗もあったが、好奇心と非日常の現実に胸が踊り、それどころではなくなっていた。
ガラ空きの悪霊の背後に回り木刀を振り下ろす。
―バキッ!!―
いい音がして悪霊が地面に叩きつけられる。だが、これだけでは何のダメージもないのも俺は知っている。
「…グウウウ……」
悪霊の呻き声。ダメージがないとはいえ、反動でしばらくは動けないだろう。すぐに俺はとどめを刺した。
「グガアアアアアア……!!」
躊躇はなかった。奴は悪霊だったからだ。これが正しいことだと思っていた。
悪霊には「核」がある。人間でいうと心臓だろう。そこに俺は木刀を突き刺す。すると苦しみから悪霊は叫び声をあげる。
「……」
血は流れない。絶命すると、砂のように溶けてしまう。それが俺の追っている悪霊だ。
「……」
ほどなくして、悪霊は砂になって消えた。もう跡形もなくなった。
「…悪霊退治…完了」
この町を守りたい。その思いで俺は悪霊退治をしていた。
正義のヒーローでは決してない。俺には特殊な能力もないし、命もはれない。でも、普通ではないことをやっている。非日常のこのことに、俺は酔っていたんだろう。そのことには、いずれ気づくことになる。
「痛…」
右肩が痛むので見てみると、肩から血が流れていた。鋭い歯にやられたのだろう、傷口は浅かったが、包丁で切られたようにきれいに切れていた。
「……」
俺に能力はないといったが、似たようなものならあった。小さいころから特殊能力があった。
傷口に意識を集中する。正確には、傷口ではなく、傷口から溢れ出る血液に集中する。
すると、出血がピタリと止む。傷口を袖で拭き取る。すぐに止まるような出血ではなかったが、出血は治まっている。傷口は開いたままだが。
「……」
傷口には、血が固まって出来た、赤い皮膚が覆っている。気づいたらできるようになっていた。ただそれだけで、他に使い道があるのかわからない。
(今日のところは終わりにするか…。 しかし…)
歯ごたえがない。そう思っていた。もっと強いやつとの戦いがしたい。今まで戦ってきたやつは、おそらく雑魚だろう。
こんなんじゃない、とびっきりの親玉に遭遇しないかと、考えていた。
(俺には力がある。この再生能力、これがあればどんな奴とも戦える)
そう考えながら、元来た道を引き返す。自分では認めたくはないだろうが、俺は正義のヒーローにでもなったかのような高揚感と、非日常に胸を躍らせていた。
本当に危険なことだというのは、これから気づくことになる。この時は思いもしなかった。
「夜でも暑いな…この町は…」
時刻は午前2時を回る。今は夏休みの為、明日(日付は変わっているので正確には今日)の心配をしなくていい。
俺は「悪霊」を追っていた。
「…見つけた」
風北町のはずれの山合いの地区。ここは小坂地区といい、民家はあるものの、まばらで外灯も少なく夜は真っ暗になる。木々も深いこの地区は、昼間でも不気味な場所もある。
俺はここで「悪霊」からこの町を守るために、「悪霊退治」をしていた。
「……ググ」
明らかに異径の形をしている奴ら。正体は分からない。具体的に俺たちに悪影響をもたらすかも分からない。もしかしたら無害かもしれない。だが、やらずにはいられなかった。
「……」
間合いを詰める。「悪霊」は同じ個体の奴はいない。毎回違う見た目をしているが、この世のものとは思えない形をしているということは共通している。
今日の奴は四本足で、蜘蛛のように細い足に、胴体はマリモのように緑色で丸く、毛深い。目ん玉は一つで、鋭い犬歯が見える。大きさは犬ぐらい。
(動きは素早くないが、あの歯にやられたら厄介だろうな…)
家から持参した木刀を構える。お土産で買ってきたものだったが、意外にいい威力を誇り、強度もしっかりしていたので、悪霊退治をするときは、これを愛用していた。
「……」
相手の動きを感じ取る。剣術は素人だが、少ない経験で読み取る。相手が動く前に仕留めなくては。
ーヒュンっ!!ー
「…!!」
悪霊が口を開けて突進してくる。狙いは俺の右腕か肩だろう。思ったよりも素早い動きを見せるが、寸でのところで肩をかすめる。
「…はあっ!!」
最初の内は抵抗もあったが、好奇心と非日常の現実に胸が踊り、それどころではなくなっていた。
ガラ空きの悪霊の背後に回り木刀を振り下ろす。
―バキッ!!―
いい音がして悪霊が地面に叩きつけられる。だが、これだけでは何のダメージもないのも俺は知っている。
「…グウウウ……」
悪霊の呻き声。ダメージがないとはいえ、反動でしばらくは動けないだろう。すぐに俺はとどめを刺した。
「グガアアアアアア……!!」
躊躇はなかった。奴は悪霊だったからだ。これが正しいことだと思っていた。
悪霊には「核」がある。人間でいうと心臓だろう。そこに俺は木刀を突き刺す。すると苦しみから悪霊は叫び声をあげる。
「……」
血は流れない。絶命すると、砂のように溶けてしまう。それが俺の追っている悪霊だ。
「……」
ほどなくして、悪霊は砂になって消えた。もう跡形もなくなった。
「…悪霊退治…完了」
この町を守りたい。その思いで俺は悪霊退治をしていた。
正義のヒーローでは決してない。俺には特殊な能力もないし、命もはれない。でも、普通ではないことをやっている。非日常のこのことに、俺は酔っていたんだろう。そのことには、いずれ気づくことになる。
「痛…」
右肩が痛むので見てみると、肩から血が流れていた。鋭い歯にやられたのだろう、傷口は浅かったが、包丁で切られたようにきれいに切れていた。
「……」
俺に能力はないといったが、似たようなものならあった。小さいころから特殊能力があった。
傷口に意識を集中する。正確には、傷口ではなく、傷口から溢れ出る血液に集中する。
すると、出血がピタリと止む。傷口を袖で拭き取る。すぐに止まるような出血ではなかったが、出血は治まっている。傷口は開いたままだが。
「……」
傷口には、血が固まって出来た、赤い皮膚が覆っている。気づいたらできるようになっていた。ただそれだけで、他に使い道があるのかわからない。
(今日のところは終わりにするか…。 しかし…)
歯ごたえがない。そう思っていた。もっと強いやつとの戦いがしたい。今まで戦ってきたやつは、おそらく雑魚だろう。
こんなんじゃない、とびっきりの親玉に遭遇しないかと、考えていた。
(俺には力がある。この再生能力、これがあればどんな奴とも戦える)
そう考えながら、元来た道を引き返す。自分では認めたくはないだろうが、俺は正義のヒーローにでもなったかのような高揚感と、非日常に胸を躍らせていた。
本当に危険なことだというのは、これから気づくことになる。この時は思いもしなかった。
「夜でも暑いな…この町は…」
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