侯爵家の当主になります～王族に仕返しするよ～

笑う当主と踊る幽霊

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　王城から帰る馬車の中は、静寂に包まれていたの。

なんだか、とても辛かったわ。

それと同時に『兄なのか』王太子殿下の言葉が何回も頭の中で繰り返さる。

ヴァジールお兄様は、小さな頃から良く遊んでくれたわ。

一時、何故か会えない時期はとても寂しかった。

過去のループの中でも、何時も彼だけは心配してくれた。

『後宮から逃がしてあげるよ』

過去のループで、お兄様が私に言ってくれたのに、私は断った。

後宮から逃亡なんてとんでもない事だから。

お兄様を罪人にしたくなかった。

もし、もし、逃げていたら？

『駆け落ち』っていわれたのかしら。

それは、それで。

お兄様の真意は？

過去のループでも、今現在でも、お兄様は優しい。

優しくしてくれるから、甘えてしまう。

いけない事なのよね。

でも、今さらお兄様がいない生活なんて耐えられない。

考える事ができないわ。

まずは、呼び方かしら？

ヴァジール、呼び捨てなんて無理だわ。

ヴァジール様、他人みたいで嫌だわ。

だから、決めたわ。
勇気を出すわよ。

恋愛に関してポンコツ脳のアルバニアなのだ。

馬車が屋敷に着く頃、ようやく考えが纏まったらしい。