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poison
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その日、予想もしなかった人がテアルスティア侯爵家を訪ねて来たのよ。
後宮の影の実力者である、この人の前で私は反応に困っているの。
私の反応が面白いのかしら。
穏やかな微笑みで私を見ているわ。
そして、テーブルの上に茶器セットを並べ、ティーカップに不気味な飲み物を入れたの。
まさか、私に飲めって事なの?
時間を遡らせてみよう。
「愚か者に、どうやって教えてやれば良いのだ」
側妃は、長椅子に身を任せため息を吐く。
「そなたはどう思う」
側妃は・・・・に尋ねる。
「クスクス・・・・お仕置きなど如何でしょうか」
この会話は、元、女官長と、オーロラが側妃の部屋から退室した直後の会話。
「そなたに、任せる」
「楽しみにお待ち下さい」
側妃は豪華な室内を見回し窓際迄、移動する。
彼女は外の風景を眺め、物思いに耽るのだ。
元、女官長のマーサは子沢山の男爵家の末子として生まれた。
男爵家は貧しかった為、女官に志願した。
王城の女官は貴族の娘が大部分だ。
その中で、元、女官長の立場は生家の家督の立場上決して恵まれた物では無かった。
しかし、彼女の人柄に好感を持った者達に支えられて女官長という立場迄、上り詰めた。
妬み、嫌がらせなど苦難の道のりだった筈だ。
能力的に彼女よりも高い物は沢山いたが、側妃は彼女を女官長に推薦した。
人と人との結び付きが、大切だと思ったからだ。
「妾は、人を見る目が無いのだろうか」側妃は、窓際から外を見上げる。
後宮から、外の世界に向かう1羽の鳥を見送る。
人は、自分の人生を振り返った時、過去、自分が与えられた苦しみ悲しみを思い出す。
大概の者は、それを昇華し前に進む。
元、女官長はこの時代では成功者の分類に入る。
その様なものは、更なる精進をする。
そして、過去に課題を見つけて、後輩を育成していくのだ。
しかし、彼女はそんな時に自分の中の闇を見てしまった。
王子の学友である少女。
元、女官長は少年の姿をしている者が少女であると直ぐに解った。
少女を見つめる王子の視線の意味も、理解した。
王子とアルバニアの関係は、政略からも大事であり、何よりも側妃はアルバニアを可愛がっていた。
王子とオーロラの関係を気付いていた者はいた。
だが、気付いた者達は婚姻による利が解っていたのだ。
若い王子の一時の火遊び。本来はそれで終わる筈の恋だったから。
後宮で、元、女官長に陰湿な虐めをしていたのは彼女よりも高位の後ろ楯を持った女官達だった。
元、女官長はアルバニアとオーロラの関係に、自分の過去を重ねてしまったのだろうか。
彼女は、身分制度を理解していた筈だ。
それを乗り越えた、オーロラに自分の夢?願望を重ねた。
側妃は、次の女官長の人選を考える。
「やはり、乗り越える事はできなかったのか」
側妃は、若い頃の彼女を好ましく思っていたのだ。
テアルスティア家への来訪者は、アルバニアの困惑している様子を見つめる。
後宮の影の実力者である、この人の前で私は反応に困っているの。
私の反応が面白いのかしら。
穏やかな微笑みで私を見ているわ。
そして、テーブルの上に茶器セットを並べ、ティーカップに不気味な飲み物を入れたの。
まさか、私に飲めって事なの?
時間を遡らせてみよう。
「愚か者に、どうやって教えてやれば良いのだ」
側妃は、長椅子に身を任せため息を吐く。
「そなたはどう思う」
側妃は・・・・に尋ねる。
「クスクス・・・・お仕置きなど如何でしょうか」
この会話は、元、女官長と、オーロラが側妃の部屋から退室した直後の会話。
「そなたに、任せる」
「楽しみにお待ち下さい」
側妃は豪華な室内を見回し窓際迄、移動する。
彼女は外の風景を眺め、物思いに耽るのだ。
元、女官長のマーサは子沢山の男爵家の末子として生まれた。
男爵家は貧しかった為、女官に志願した。
王城の女官は貴族の娘が大部分だ。
その中で、元、女官長の立場は生家の家督の立場上決して恵まれた物では無かった。
しかし、彼女の人柄に好感を持った者達に支えられて女官長という立場迄、上り詰めた。
妬み、嫌がらせなど苦難の道のりだった筈だ。
能力的に彼女よりも高い物は沢山いたが、側妃は彼女を女官長に推薦した。
人と人との結び付きが、大切だと思ったからだ。
「妾は、人を見る目が無いのだろうか」側妃は、窓際から外を見上げる。
後宮から、外の世界に向かう1羽の鳥を見送る。
人は、自分の人生を振り返った時、過去、自分が与えられた苦しみ悲しみを思い出す。
大概の者は、それを昇華し前に進む。
元、女官長はこの時代では成功者の分類に入る。
その様なものは、更なる精進をする。
そして、過去に課題を見つけて、後輩を育成していくのだ。
しかし、彼女はそんな時に自分の中の闇を見てしまった。
王子の学友である少女。
元、女官長は少年の姿をしている者が少女であると直ぐに解った。
少女を見つめる王子の視線の意味も、理解した。
王子とアルバニアの関係は、政略からも大事であり、何よりも側妃はアルバニアを可愛がっていた。
王子とオーロラの関係を気付いていた者はいた。
だが、気付いた者達は婚姻による利が解っていたのだ。
若い王子の一時の火遊び。本来はそれで終わる筈の恋だったから。
後宮で、元、女官長に陰湿な虐めをしていたのは彼女よりも高位の後ろ楯を持った女官達だった。
元、女官長はアルバニアとオーロラの関係に、自分の過去を重ねてしまったのだろうか。
彼女は、身分制度を理解していた筈だ。
それを乗り越えた、オーロラに自分の夢?願望を重ねた。
側妃は、次の女官長の人選を考える。
「やはり、乗り越える事はできなかったのか」
側妃は、若い頃の彼女を好ましく思っていたのだ。
テアルスティア家への来訪者は、アルバニアの困惑している様子を見つめる。
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