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poison

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 「女官長、僕はどうしたらいいんだ。ごめんなさい、もう女官長では無いんだよね」

オーロラは苦し気に俯く。

「僕が、アルバニアに・・・・テアルスティア侯爵に会いたいなんて言ったせいだ」

「オーロラ様、気にしないで下さい。私は、女官長なんて地位よりも、オーロラ様の専属に成れた事が嬉しいのです。これからは、マーサと読んで下さい」

「マーサ、ありがとう」

「オーロラ様、どうしてテアルスティア侯爵に会いたいのですか?私からしたら、彼女は第二王子殿下に捨てられ、妃にも成れなかった女です」

「でも、テアルスティア侯爵家の力がアルフォンスには必要だと聞いたんだ。それに彼女が身に付けた知識、マナーが僕には必要なんだ。その為に彼女と友誼を結ばなくてはならない。彼女の力が欲しいんだ」

「まあ、オーロラ様は何て健気何でしょう。マーサにお任せ下さい」


元、女官長のマーサは甲斐甲斐しくオーロラの身の回りの世話を始める。

「オーロラ様、ハーブティーを用意してきますね」

マーサは、数人の女官とメイドを見回す。

マーサが集めた、オーロラに好意的な者達だ。




 「オーロラ様、私は⚫⚫伯爵家の遠縁に当たります。テアルスティア侯爵家では無く、⚫⚫伯爵家を頼りませんか」


「私の家は商売をしています。是非、お取引下さいませ」

「私の姉のマナーは完璧です。是非オーロラ様のお側に置いて下さい」


⚫⚫伯爵家は、王太子の派閥に入れなかっただけ。

後宮の取引先となれば、店もさぞかし箔が着くだろう。

彼女の姉は、出戻りに過ぎない。



 「皆、ありがとう」オーロラは素直に喜ぶ。

彼女は、解っていないのだ。後宮の恐ろしさを。

元、女官長のマーサ、彼女は・・・・。


マーサは、それぞれに満足し部屋を出た。

マーサが廊下に出ると。


カタカタ、カタカタ。

メイドが、お茶の道具をワゴンに乗せて向かって来た。

「それは何処に持っていくの」
マーサはメイドに尋ねる。

「あっ、元女官長。これはオーロラ様の元に持って行くように言われてます」
ちょっぴり軽い感じのメイドが答える。

「私が持って行くから、あなたは帰りなさい」
マーサは、メイドからワゴンを受け取ると部屋にもどる。


 オーロラの元に戻ったマーサは、機嫌良くハーブティーの準備をする。

オーロラがマーサが選んだ女官達と、笑顔で話しているのだ。


良かったわ。やはり同じ年頃だもの、気心が知れるのね。


そんな事を思っているのだろう。


「オーロラ様、ハーブティーの準備ができました。
これを飲んでから、お眠り下さい」

「マーサ、まだ眠くないよ。もう少し話したいんだ」

「また、明日にしましょう。今日は大変でしたから」

「そうだね。解ったよ」

オーロラは疑いも無くハーブティーを飲み始める。

「マーサが入れ・・・・うっ、うっうー」
オーロラは、口に含んだハーブティーを吐き出す。

「オッ、オーロラ様!」

「キャー!!」

そう、彼女達の脳裏に浮かんだのは毒。

茶会で、起こった事件を彼女達は思い出したのだ。

「キャー!!誰か来て。オーロラ様が毒を盛られたわ!!」

衛兵達が部屋になだれ込む。

「犯人は誰だ!」

「元、女官長です!彼女がハーブティーを入れたのよ」
「彼女に違いないわ!」

「私は、私はそんな事をしません!」

誰も、元女官長の言うことを聞かない。
まるで、仕組まれているようにさえ思える。


「元、女官長の部屋から毒が発見されました」

元女官長のマーサは、衛兵達に押さえ付けられながら連行された。







 オーロラ・・・・。

 私の過去のループの記憶では、彼女は良くも悪くも人を引き付ける。

身分違いの愛の成熟。一部の者は、自分の夢を重ねるのでしょう。

だから秩序を乱しても良い?

いいえ。力の無い者が秩序を乱してもそれは自分に返ってくるだけなのよ。



 でも、でも、おかしいのよ!




 私達は、本物の毒なんて使ってないわ!

城からの発表で、本物の毒が使われていた事をしったの。

人様が食べる物に毒なんて。

ループが始まる前の人生で、私は日本人で、日本の義務教育を受けた事が有るの。

そんな私が、本物の毒なんて使うなんて有り得ないわ。

まあ、カテリーナ嬢には毒を飲んでもらったわよ。

でも、細心の注意のうえでの事。

「お兄様!」

「様子をみよう」

私達がハーブティーに混ぜたのは、お仕置き用の苦薬よ。

下町の悪がき君達が、飲まされる習慣が有るの。



 数日後、テアルスティア侯爵邸にお客様が来たのよ。








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