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少女は再び目覚める
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キャサリンさんの自宅を後にした後、一路、公爵邸に帰宅した。
馬車の中の先生は何か言いたげに、にやついていたけど会話はしなかったわ。
疲れていた、只、ひたすら疲れた。
元来、私の口数は少ない。
そんな私が、一気に喋り倒したのだ。
解ってくれてますよね。
公爵邸に帰宅した私は、エラとメイド達の成すままに過ごし、夕食と寝支度を終わらせた。
ピョンピョン、ピョンピョン。
エラ達が、部屋を暗くして退出した後にベッドの上でジャンプをしている。
ジャンプ、ジャンプ、ジャンプからの着地。
そしてパターンとベッドに横たわる。
上質の寝具が私を包む。
「まるで、雲に包まれているようね」
思い出すのは、高台から落とされた処刑の時。
街の広場に、とても高い落下台が設置され落とされた時があった。
「お姉さまが罪を犯したのは、私のせい。ご免なさい」
エリスは、舞台女優の立ち回りで泣いていた。
とても、豪華なドレスを着ていたわね。
皇太子は、終始無言で私を見ていた。
「エリスに罪が有るわけでは無い」
彼は、いつもエリスを庇う発言しかしていなかった。
普通、罪を認めろとか、言うものでは無いのかしら。
落下台に立たされると、眼下の民衆は歓喜の声を上げていた。
落下した衝撃は覚えてはいない。
少なくとも、この寝具のような包み具合ではなかった筈だ。
狂った時代。
民衆の怒りを反らす為の処刑。
アンリとジェイを自分の従者に誘ったのは、彼等に時代の真実を知って貰いたい。
否、彼等は知らなくてはならない。
ディスティニー個人の考えだが、民衆を主にした政権ができても戦争や政争が無くなるなんておもえないのだ。
近国では、そろそろ内戦の引き金になる政争が始まる筈だ。
本来ならば、国の重鎮である父に注意喚起をしなくてはならないのかも知れない。
しかし、そんな事はできない。
父ですら、敵かもしれないのだ。
ディスティニーは、ベッドに横たわりながら天涯を見つめる。
「敵は無数にいるのね」
継母である公爵夫人の生家である、新興貴族の中枢にある一族。
皇室の面々。
皇太后の冷たい視線を思い出す。
彼女の中でディスティニーは、一夜限りでも夫の寵愛を得た祖母なのだ。
自分なりに彼に尽くしたが、皇太子が自分を振り返る事はなかった。
繰り返しの人生が始まってから、とても慌ただしくすごした。
近いうちに、ゆっくりと時間をとり、先生と擦り合わせをしないと。
私が、知っているのは表面的な事だけ。
人が変われば、自分が信じていた物も変わるかも知れない。
自分が、死んだ後の事も知りたい。
それにより、自分の立ち回りも変わってくる。
何よりも考えなくてはならない事は、自分がどのように生きて行きたいのか。
そのような事を考えながらも、ディスティニーの身体はま10才の少女でしかないのだ。
ディスティニーの瞼は閉じていく。
『邪神様、再びキャサリンさんと出会えた事を感謝します』
邪神に祈りを捧げ、ディスティニーは眠りに着く。
馬車の中の先生は何か言いたげに、にやついていたけど会話はしなかったわ。
疲れていた、只、ひたすら疲れた。
元来、私の口数は少ない。
そんな私が、一気に喋り倒したのだ。
解ってくれてますよね。
公爵邸に帰宅した私は、エラとメイド達の成すままに過ごし、夕食と寝支度を終わらせた。
ピョンピョン、ピョンピョン。
エラ達が、部屋を暗くして退出した後にベッドの上でジャンプをしている。
ジャンプ、ジャンプ、ジャンプからの着地。
そしてパターンとベッドに横たわる。
上質の寝具が私を包む。
「まるで、雲に包まれているようね」
思い出すのは、高台から落とされた処刑の時。
街の広場に、とても高い落下台が設置され落とされた時があった。
「お姉さまが罪を犯したのは、私のせい。ご免なさい」
エリスは、舞台女優の立ち回りで泣いていた。
とても、豪華なドレスを着ていたわね。
皇太子は、終始無言で私を見ていた。
「エリスに罪が有るわけでは無い」
彼は、いつもエリスを庇う発言しかしていなかった。
普通、罪を認めろとか、言うものでは無いのかしら。
落下台に立たされると、眼下の民衆は歓喜の声を上げていた。
落下した衝撃は覚えてはいない。
少なくとも、この寝具のような包み具合ではなかった筈だ。
狂った時代。
民衆の怒りを反らす為の処刑。
アンリとジェイを自分の従者に誘ったのは、彼等に時代の真実を知って貰いたい。
否、彼等は知らなくてはならない。
ディスティニー個人の考えだが、民衆を主にした政権ができても戦争や政争が無くなるなんておもえないのだ。
近国では、そろそろ内戦の引き金になる政争が始まる筈だ。
本来ならば、国の重鎮である父に注意喚起をしなくてはならないのかも知れない。
しかし、そんな事はできない。
父ですら、敵かもしれないのだ。
ディスティニーは、ベッドに横たわりながら天涯を見つめる。
「敵は無数にいるのね」
継母である公爵夫人の生家である、新興貴族の中枢にある一族。
皇室の面々。
皇太后の冷たい視線を思い出す。
彼女の中でディスティニーは、一夜限りでも夫の寵愛を得た祖母なのだ。
自分なりに彼に尽くしたが、皇太子が自分を振り返る事はなかった。
繰り返しの人生が始まってから、とても慌ただしくすごした。
近いうちに、ゆっくりと時間をとり、先生と擦り合わせをしないと。
私が、知っているのは表面的な事だけ。
人が変われば、自分が信じていた物も変わるかも知れない。
自分が、死んだ後の事も知りたい。
それにより、自分の立ち回りも変わってくる。
何よりも考えなくてはならない事は、自分がどのように生きて行きたいのか。
そのような事を考えながらも、ディスティニーの身体はま10才の少女でしかないのだ。
ディスティニーの瞼は閉じていく。
『邪神様、再びキャサリンさんと出会えた事を感謝します』
邪神に祈りを捧げ、ディスティニーは眠りに着く。
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