碧眼のマリオネット

ショー・ケン

文字の大きさ
16 / 44
1章

クランの異変

しおりを挟む
「ヒントをあげよう、君の近くに、青の夜鳥はいる」
「君はさっき僕がそれだといったろ!」
「ふん、君自身がそのことに関しては心当たりがあるだろう、君はもう本物を目撃しているだろう」
 その時、プラグは頭の中にあの夜―ペペロを追った夜の事が思い出された。
「青の夜鳥は、“アルシュベルドのオーパーツ”を使って人殺しをしているんだ、隠し事を好きな人間が、君の直ぐ傍にいるだろう」
 その時はアイリーンのことが思い浮かんだ。隠し事をしていたのはアイリーンだ。まさか、あんなふうにエリサの人形をぼろぼろにするなんて。
「だが、もっとも、隠し事をしているのは僕のすぐそばにいる」
「??」
「君だよ、本当の君を隠しているのは、君だ、プラグ」

 その頃。全く別の場所、城のある地下の一室にヴァルシュヴァル卿は玉座にもにた立派な椅子に座していた。彼の直ぐ傍に、執事のような風の格好をした男がたっている。
「ブロウグ」
「は、いかがなさいました」
「つかわせたものに、あの少年を始末させようか」
「は、それもよろしいものかと」
「アシュベルド人は、この大陸に災いをもたらした、非道な人体実験、戦争をもたらし、我々力なき民ゴングル人を、差別した」
「ええ」
「あの少年は、見ているだけで吐き気がする、あの青の目、青の髪……処分しようか」
「ええ、この領はもはやあなたの手の中にある、自由に羽ばたいて構わないのですよ」
「フッ……まるで俺が青の夜鳥のようじゃないか」

《ゴンッ》
 プラグは押し倒され頭をうった。
「お前はもっと暴力的なはずだろう?お前の好きな女がひどい目にあったらどうなんだ?」
「あ?」
 プラグは一瞬にしてそれを連想し、クランの襟首をつかんだ。だがすぐに力をぬいた。
「ふん、腰抜け目、だからなのだ、もしお前の好きなシスターマルグリッドと俺が秘密の関係にあるとしたらどうする?」
「どうもするか、お前いったい、何がしたいんだ」
「フッ、お前を、目覚めさせたいんだよ」
「!?」
《ゴツッ》
 拳を振り上げると同時に、クランはすぐにプラグの頭をなぐった。妙に重く、鉛のように硬い拳だった。
「ペッ」
「これでもか!!」
《ゴウン!!》
「……」
 プラグは動じなかった。押しのければすぐに逃げられたがそうもしなかった。なぜだろう、それは贖罪だろうか、あるいはあの夜―マルグリッドに会った後の自分を試していたのか。あるいはマルグリッドに対するあてつけだったのか。
《ガン、ゴン、ゴウン!!》
「お前は、ずるい、何度もやりなおせて、人にもすかれて!!」
《ガウン、ゴウン、ガウン!!》
 何度も頭を殴られたが、まったく動じなかった。それよりも相手の怒りが謎だった。
「さすが、捨て子、“黒猫!!”」
 そういわれたとき、はじめて自分の記憶を恥じて、拒絶するように彼をつきとばした。その勢いで、魔力が体を走ったのを感じた。魔力を人に使ったのは久々だった。つきとばされたクランは壁にたたきつけられた。プラグは、なぜだかあの夜の 壁をぶちぬいて倒れたオートマタを連想した。
「う、う……」
「す、すまん、大丈夫か」
 プラグは、いました行いを恥じた。
「こんな事、神様は許さない、俺はお前なんかよりよほど罪深いのに」
「ク……ククク」
 クランは、のそりと体制を直す。その片腕が奇妙にだらんとたれさがっていた。
「脱臼でもしたか?」
 プラグが尋ねると、クランはその右の片腕を大事そうにかかえ、隠すようにして教室を後ろのドアからでていった。
 その前方のドアから、折わるくアイリーンが顔をのぞかせる。
「あ、これは……」
「プラグ、クランをあまりいじめないように」
「??」
 この状況のおかしさと、殴られた痛みでくらくらとしたのか、プラグはそのまま意識をうしなって倒れた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主

雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。 荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。 十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、 ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。 ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、 領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。 魔物被害、経済不安、流通の断絶── 没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。 新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

勘当された少年と不思議な少女

レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。 理由は外れスキルを持ってるから… 眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。 そんな2人が出会って…

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

僕だけレベルダウンな件〜敵を倒せば倒すほど弱くなるので、目立たずスローライフを目指します〜

小林一咲
ファンタジー
まったく数奇な人生である。 僕の名前は橋本 善。 正真正銘の日本人だが、今は異世界にいる。 理由なんてわかるはずがない。 死んだのか、はたまた何かの召喚に巻き込まれたのか。 僕には固有スキルがあった。 それは、スキル【レベルダウン】。 魔物を倒し、経験値を得るほどレベルやステータスがさがるというものだ。 だから僕は戦わない。 安心安全のスローライフを目指すんだ!!

処理中です...