16 / 39
成功者の条件
しおりを挟む
オンラインセミナーが開かれている。聞けば“成功者の集まり”といういかにもなうさん臭いセミナーだが、このセミナーを受けるのは、インフルエンサーや動画配信者などの成功者だけが出席するもので、セミナーと銘打っているものの、実は強力なコミュニティでもあった。
AI開発の権威が開発するAIによって、定期的に集まり、世間の流行や雰囲気を話し合い、報告しあう、そのデータをまたAIに学習させる、継続的な協力関係だった。
そこで、これまでになかったような斬新な実験の報告があった。AI開発の権威Iさんが、得意げに語る。
「新型のAIの能力ですけどね、人々が“共感”を他者に“強要”することを利用したものなんですよ」
「それで、その能力って具体的に何なんです?」
「人々が“誰を炎上させ、その時々の倫理で有名人の言動を叩くか”というデータを抽出します、そのデータに適合する有名人は、憎まれ役を買い、その損失分を別の有名人が稼ぐ、よく見ませんか?だれかが炎上、叩かれているときに株を上げる人間、それを意図的に行うんですよ」
「大胆ですねえ、しかし、それでうまくいくんですか?」
「これは約半年間の本格的な実験です、実験対象は、まだ若手でそれほど稼ぎのない動画配信者ですが、この方法で、なんだかんだうまくいってます」
「でも、結局炎上した側が仕事を続けるのはむつかしいじゃないですか?」
「そこも問題はありませんから、“反省の態度”あるいは“強力な信者をつける”この方法があります、今は明らかに人に迷惑をかけたり、加害行為をする配信者も、ファンさえいればなんとかなりますからね」
「でも……良心が痛むなあ」
ふう、とため息交じりに彼は笑って、それから答えた。
「皆さんは自分に才能があって有名時なり、インフルエンサーとなったのは自分が実力があったからと思っているかもしれませんが、実際は違います、世の中のほとんどの人は、興味がないけど、興味を提供してくれるどうでもいい他人を評価し、それが世間に浸透すると、途端に下に見て様々な批評をし始める、あなた方は檻の中に入れられた実験動物です、このセミナーに参加する以前から、世間は、“裁く対象”をつくり、自分を美化することによって、“今の自分たちはこいつの失敗を許せない正義の存在だ”という事を、炎上で人を叩くことよって他者に示すことによって、アピールします、彼ら自身がインフルエンサーを模倣し、まるで自分たちは一度も失敗しなかったかのように、時代とともに移り変わる文化の“裁判官”になるのです、だから炎上はなくならない、だからこそ、業界の地盤を堅牢なものにするためにも、このシステムが必要なのですよ」
AI開発の権威が開発するAIによって、定期的に集まり、世間の流行や雰囲気を話し合い、報告しあう、そのデータをまたAIに学習させる、継続的な協力関係だった。
そこで、これまでになかったような斬新な実験の報告があった。AI開発の権威Iさんが、得意げに語る。
「新型のAIの能力ですけどね、人々が“共感”を他者に“強要”することを利用したものなんですよ」
「それで、その能力って具体的に何なんです?」
「人々が“誰を炎上させ、その時々の倫理で有名人の言動を叩くか”というデータを抽出します、そのデータに適合する有名人は、憎まれ役を買い、その損失分を別の有名人が稼ぐ、よく見ませんか?だれかが炎上、叩かれているときに株を上げる人間、それを意図的に行うんですよ」
「大胆ですねえ、しかし、それでうまくいくんですか?」
「これは約半年間の本格的な実験です、実験対象は、まだ若手でそれほど稼ぎのない動画配信者ですが、この方法で、なんだかんだうまくいってます」
「でも、結局炎上した側が仕事を続けるのはむつかしいじゃないですか?」
「そこも問題はありませんから、“反省の態度”あるいは“強力な信者をつける”この方法があります、今は明らかに人に迷惑をかけたり、加害行為をする配信者も、ファンさえいればなんとかなりますからね」
「でも……良心が痛むなあ」
ふう、とため息交じりに彼は笑って、それから答えた。
「皆さんは自分に才能があって有名時なり、インフルエンサーとなったのは自分が実力があったからと思っているかもしれませんが、実際は違います、世の中のほとんどの人は、興味がないけど、興味を提供してくれるどうでもいい他人を評価し、それが世間に浸透すると、途端に下に見て様々な批評をし始める、あなた方は檻の中に入れられた実験動物です、このセミナーに参加する以前から、世間は、“裁く対象”をつくり、自分を美化することによって、“今の自分たちはこいつの失敗を許せない正義の存在だ”という事を、炎上で人を叩くことよって他者に示すことによって、アピールします、彼ら自身がインフルエンサーを模倣し、まるで自分たちは一度も失敗しなかったかのように、時代とともに移り変わる文化の“裁判官”になるのです、だから炎上はなくならない、だからこそ、業界の地盤を堅牢なものにするためにも、このシステムが必要なのですよ」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる