完璧な教師の鏡だと思っていた人気者教師がとんだ変態野郎でした

をがたつき

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第4話

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よく晴れた日。
太陽が照って雲ひとつ無い青い空。

体育の時間になって更衣室に移動するシャツのボタンを外していると、端のロッカーで着替えていた男子の集団が大きな声で話して笑っている。いわばクラスの一軍男子たち。

その中心にいるのが上田陽一だった。明るい茶色の髪は少し耳にかかる程度の長さで、左耳には銀の小さなピアスが光る。見た目も派手で、よく騒ぐ集団の中心人物だ。

正直苦手なタイプの人種だ。だけど、性格はいい方だと思う。何事もポジティブ思考だし、朝はクラスの全員に声を掛けて挨拶するような奴だ。口数の少ない生徒にも得意のコミュニケーション能力で嫌味なく自然に絡んでいたりする。

上田を嫌う生徒は余程ひねくれた奴じゃないと、居ないと思う。

俺も苦手ではいるけれど嫌いでは無かったし、むしろ上田のことを尊敬すらしていた。

そんな風に思いながら暫く上田の様子を見ていたら、ふと目が合った。

驚いたのか一瞬上田の動きが止まる。
それから、にっと口角を上げて笑って見せた。

先に見ていた手前、無反応も印象が悪いと思って軽く頭を下げる。

そんな俺を見て、上田が満足気に歯を見せて笑った。

隣の男子に話を振られて、俺から視線が逸れる。
男子は上田の肩に腕を乗せて、何やら上田に耳打ちすると、上田が吹き出すように笑った。

上田の意識はもう集団のほうに向いていて、いつまでも俺ばっかり見ているのも変だな、と思って体操着を取ってさっさと着替えを済ませた。

グラウンドに出ると、相澤先生が立っていた。

体育の授業は、相澤先生が担当だ。
さっきの男子集団が相澤先生のほうに走っていく。1人が相澤先生の肩にわざと体を軽くぶつけてじゃれている。

「相澤先生、これ出来る?」

授業で使うであろうサッカーボールで上田が慣れた様子でドリブルする。集団の1人が相澤先生にサッカーボールを押し付けて、ドリブルするように促す。「わかったよ、仕方ないな」とボールを受け取ってドリブルを始める。どちらも暫くドリブルが続いていて周りの男子達が数を数えたりして盛り上がっている。

「あ、やばいっ」

先に相澤先生がボールを落として、笑いながらも悔しそうに見せた。

「先生やるじゃん」

騒ぐ男子生徒たちの傍らで、上田が相澤先生の肩に軽く身体をつけて、耳打ちする。

相澤先生は一瞬動きを止めて、それからまあな、と顔を綻ばせて笑う。耳が少し赤いのは、たぶん俺しか気づいていないだろう。

胸の奥がヒリつく。焼けるような胸苦しさがして気分が悪くなる。

授業開始のチャイムがなって、グラウンドに響く。

「みんな2列で整列して」

ピッピッと短く相澤先生が笛を吹くと、みんな素直に並び始める。年頃の男子が大人しくいうことを聞くのは、相澤先生だからだろう。

「前後ペアでまずパス練習してくれ」

前後ペア、と言われて気まずくなる。後ろに居るのは上田だ。

ちら、と相澤先生を見てもこちらを見向きもしない様子に腹が立つ。

「東條、あっち空いてるから行こうぜ」

サッカーボールを蹴りながら空いてるスペースを指さして移動する上田に、頷くしかなくて後ろからついて行く。

「この辺でよくね」

そう言って慣れたようにボールを蹴る。真っ直ぐ俺の方に飛んできて、容易に足で止められた。

蹴り返すと少し曲がるボールに、上田が小走りで取ってくれる。

「ごめん」

「ん?なに」

大きな声で聞き返される。パス練習のために距離を取っているせいで聞こえなかったのだろう。

「サッカーした事ないから下手なんだ」

俺も少し声を大きくしてそう言った。

「俺もめっちゃ下手!」

そう言って屈託なく笑う上田の笑顔が眩しくて、何だか俺が罪悪感を感じてしまう。

それもこれも全部相澤先生のせいなのに。
当の本人は俺と目を合わせようともしない態度に苛立ちが増す。

体育の授業が無事終わる。
ホームルームの時間になって相澤先生がまた教室に戻ってくる。

教壇に立って話す先生をじっと見ているのに、やはり相澤先生は相変わらずこちらを見ようともしない。あからさまに避けられている態度に、この後どうしてやろうかと黒い感情が腹の中で渦巻く。

ホームルームが終わって、今日が掃除当番だったことに気づく。相澤先生はホームルームが終わると、少し生徒と話した後さっさと職員室へと戻って行ってしまう。

俺も掃除当番があるせいで相澤先生を追いかけられない。

仕方なく教室のロッカーから掃除道具を取り出して他の当番の子と教室を掃除し始めた。

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