2 / 41
第2話
しおりを挟む
意識がぼんやりと確かになっていく。
あれ、僕は死んだのかな。
「おい、おーい、柊!授業中に居眠りするな」
いや、生きてる――?
僕は今教室にいて、席について授業を受けているらしい。授業の担当の先生らしき男性教師が僕を見ておーい、と声をかける。
「何これ、夢……?」
「柊、お前大丈夫か?残念だがこっちが現実だ」
ははは、とクラスメイト達が笑う。
次の問題いくぞ、と先生が黒板に向かった。
僕へ向けられた一瞬の注目はすぐに消えていく。
これは、一体なんだ。
柊って、誰だ。僕を見て柊と言ってた。
僕が柊なのか?
それに、なんだかこの教室見覚えあるな。
昔僕が少しだけ通ってた高校の校舎に作りが似てるような。
ちょっとまて、さっきの担任の顔って。
「川崎先生っ?」
ガタッと立ち上がって叫ぶように言った。
そうだ、僕が書いた漫画の主人公の担任の先生、川崎先生だ。
「おお、どうした柊。急にやる気になったか?」
「す、すごい、喋ってる……」
「柊、お前、……ほんとに大丈夫か?」
「あ、だ、大丈夫です。すみません」
慌てて席に座る。
もしかして、俺、あの時死んで、自分の描いたこの漫画の世界に転生した――?
じゃあ、この教室に主人公も居るはず。
主人公と結ばれる彼も。
当たりを見回して、視線が止まる。
あ、あそこ……。
僕が高校1年生のとき、数回だけ座った席と同じ場所。
そこに彼は座っていた。
健康的に薄く焦げた肌。短い艶やかな黒い髪。肩幅はしっかりしていて、広い背中。
じっと見つめていたら、彼がこっちを振り向いた。
切れ長の目にスっと通った高い鼻。
精悍な顔立ちに少しドキリとする程だ。
見られていたことに少し戸惑ったのか、軽く笑う彼。
楠木聡介。この漫画の主人公と結ばれる運命にある男だ。
「本当にいた……」
ボーッとしている僕に、反応がないと思ったのか、バツの悪そうにまた前を向き直す聡介。
こんな、こんな幸せな事ってあるのか。
まさかリアルに自分がかいた主人公たちの恋愛ドラマが見れるなんて。
あれ、僕は死んだのかな。
「おい、おーい、柊!授業中に居眠りするな」
いや、生きてる――?
僕は今教室にいて、席について授業を受けているらしい。授業の担当の先生らしき男性教師が僕を見ておーい、と声をかける。
「何これ、夢……?」
「柊、お前大丈夫か?残念だがこっちが現実だ」
ははは、とクラスメイト達が笑う。
次の問題いくぞ、と先生が黒板に向かった。
僕へ向けられた一瞬の注目はすぐに消えていく。
これは、一体なんだ。
柊って、誰だ。僕を見て柊と言ってた。
僕が柊なのか?
それに、なんだかこの教室見覚えあるな。
昔僕が少しだけ通ってた高校の校舎に作りが似てるような。
ちょっとまて、さっきの担任の顔って。
「川崎先生っ?」
ガタッと立ち上がって叫ぶように言った。
そうだ、僕が書いた漫画の主人公の担任の先生、川崎先生だ。
「おお、どうした柊。急にやる気になったか?」
「す、すごい、喋ってる……」
「柊、お前、……ほんとに大丈夫か?」
「あ、だ、大丈夫です。すみません」
慌てて席に座る。
もしかして、俺、あの時死んで、自分の描いたこの漫画の世界に転生した――?
じゃあ、この教室に主人公も居るはず。
主人公と結ばれる彼も。
当たりを見回して、視線が止まる。
あ、あそこ……。
僕が高校1年生のとき、数回だけ座った席と同じ場所。
そこに彼は座っていた。
健康的に薄く焦げた肌。短い艶やかな黒い髪。肩幅はしっかりしていて、広い背中。
じっと見つめていたら、彼がこっちを振り向いた。
切れ長の目にスっと通った高い鼻。
精悍な顔立ちに少しドキリとする程だ。
見られていたことに少し戸惑ったのか、軽く笑う彼。
楠木聡介。この漫画の主人公と結ばれる運命にある男だ。
「本当にいた……」
ボーッとしている僕に、反応がないと思ったのか、バツの悪そうにまた前を向き直す聡介。
こんな、こんな幸せな事ってあるのか。
まさかリアルに自分がかいた主人公たちの恋愛ドラマが見れるなんて。
8
あなたにおすすめの小説
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
兄貴同士でキスしたら、何か問題でも?
perari
BL
挑戦として、イヤホンをつけたまま、相手の口の動きだけで会話を理解し、電話に答える――そんな遊びをしていた時のことだ。
その最中、俺の親友である理光が、なぜか俺の彼女に電話をかけた。
彼は俺のすぐそばに身を寄せ、薄い唇をわずかに結び、ひと言つぶやいた。
……その瞬間、俺の頭は真っ白になった。
口の動きで読み取った言葉は、間違いなくこうだった。
――「光希、俺はお前が好きだ。」
次の瞬間、電話の向こう側で彼女の怒りが炸裂したのだ。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
勇者様への片思いを拗らせていた僕は勇者様から溺愛される
八朔バニラ
BL
蓮とリアムは共に孤児院育ちの幼馴染。
蓮とリアムは切磋琢磨しながら成長し、リアムは村の勇者として祭り上げられた。
リアムは勇者として村に入ってくる魔物退治をしていたが、だんだんと疲れが見えてきた。
ある日、蓮は何者かに誘拐されてしまい……
スパダリ勇者×ツンデレ陰陽師(忘却の術熟練者)
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学で逃げ出して後悔したのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる