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第36話 ※
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全てを話した。
病弱で不治の病のせいでずっと入院生活だったこと。その間に【春色の初恋】という漫画を書いていたこと。そして、それがこの世界だと言うこと。それから、幼稚園からの幼なじみの明日美を美緒のモデルにした事。
そして、聡介は僕がずっと憧れていた存在であったこと。
全てを聞いて、聡介は頭を抑えて俯いている。
こんな話をいきなりされてすぐに信じろという方が無理な話だと思う。
「そうか」
聡介は静かにそう言って顔を上げた。
「康太は、明日美を好きだったのか?」
そう言われて、目を見開く。
考えても見なかった。でも、そうか。
「そうだな……1番大切で大好きな人、だったかな」
今思うと、好き、だったのかも知れない。
でも今本当に好きなのは聡介だ。
その事を言おうとしたのに、腕をおもむろに掴まれて引っ張られる。
いつもより明らかに強い力に、少し怖くなって聡介を見る。
無言で足早に歩く聡介の背中は、少し怒っているような気がして。
体育館を抜けて、校舎に入る。
いちばん近い空き準備室に引っ張りこまれて、聡介は扉の鍵をガチャ、と締めた。
壁にどん、と押されて肩を押し付けられる。
「楠木くんっ」
「聡介。そう呼べよ」
「っ、聡介、怒ってる……?」
「ものすごく」
顎を強引に掴まれて唇を押し付けられる。
いきなり舌をねじ込まれて、息が苦しい。
「んっ、ふぁ」
する、と聡介の手が胸元を撫でて脇腹をなぞって下がっていく。
「んンっ」
片手で器用にベルトを外されて、金具の音が響く。ズボンが緩むとするり、と温かい手がパンツの中に入ってくる。
いきなりモノを擦り上げられて身体がびく、と震えた。
「ふぁ、やめ、そ、すけっ」
快感と羞恥で訳が分からなくなる。涙が滲んで、目尻からこぼれ落ちる。
「やめていいのか?こんなになってるのに」
「ひっ、いぁっ」
硬くなった先の傘の部分を指で擦られて、快感がビリ、と脳天を突き抜ける。
「はっ、はぁ、だめぇ」
「これ好きだよな」
「ん、んぅっ、っ、ああッ!」
先を撫でられながら全体を擦り挙げられて、快感がピークに達して、果てる。
白濁が聡介の手を汚して、ぽつりと垂れて床に落ちた。
「はあ、も、やだっ、ひぐっ」
聡介が怒っている事に悲しくて、でも有無を言わせない聡介の態度に腹が立って訳が分からないほど涙がぽろぽろと溢れて泣きじゃくる。
「っ……ごめん。本当はわかってる、柊は悪くない。でも耐えられないんだ。柊が他の人を好きだった事実に、嫉妬してる。ごめん……こんな俺、かっこ悪いよな」
そういうと大きくため息を吐いて、額に手を当てて俯く。
僕はふるふる、と頭を振った。
「ぐすっ、確かに弁明させてくれなかったのはちょっと腹が立ったけど……嫉妬深くて、かっこ悪い聡介も、僕は大好きだよ」
「柊……かっこ悪いのは、否定しないんだな」
「自分で言ったんじゃん」
ふ、と目を細めて笑う。その顔が好きだ。
聡介の顔が傾いて近づいてくる。
僕はそっと目を閉じた。
暖かい唇の熱に、胸がじんわりと満たされていく。
「なあ、最後までしたい」
病弱で不治の病のせいでずっと入院生活だったこと。その間に【春色の初恋】という漫画を書いていたこと。そして、それがこの世界だと言うこと。それから、幼稚園からの幼なじみの明日美を美緒のモデルにした事。
そして、聡介は僕がずっと憧れていた存在であったこと。
全てを聞いて、聡介は頭を抑えて俯いている。
こんな話をいきなりされてすぐに信じろという方が無理な話だと思う。
「そうか」
聡介は静かにそう言って顔を上げた。
「康太は、明日美を好きだったのか?」
そう言われて、目を見開く。
考えても見なかった。でも、そうか。
「そうだな……1番大切で大好きな人、だったかな」
今思うと、好き、だったのかも知れない。
でも今本当に好きなのは聡介だ。
その事を言おうとしたのに、腕をおもむろに掴まれて引っ張られる。
いつもより明らかに強い力に、少し怖くなって聡介を見る。
無言で足早に歩く聡介の背中は、少し怒っているような気がして。
体育館を抜けて、校舎に入る。
いちばん近い空き準備室に引っ張りこまれて、聡介は扉の鍵をガチャ、と締めた。
壁にどん、と押されて肩を押し付けられる。
「楠木くんっ」
「聡介。そう呼べよ」
「っ、聡介、怒ってる……?」
「ものすごく」
顎を強引に掴まれて唇を押し付けられる。
いきなり舌をねじ込まれて、息が苦しい。
「んっ、ふぁ」
する、と聡介の手が胸元を撫でて脇腹をなぞって下がっていく。
「んンっ」
片手で器用にベルトを外されて、金具の音が響く。ズボンが緩むとするり、と温かい手がパンツの中に入ってくる。
いきなりモノを擦り上げられて身体がびく、と震えた。
「ふぁ、やめ、そ、すけっ」
快感と羞恥で訳が分からなくなる。涙が滲んで、目尻からこぼれ落ちる。
「やめていいのか?こんなになってるのに」
「ひっ、いぁっ」
硬くなった先の傘の部分を指で擦られて、快感がビリ、と脳天を突き抜ける。
「はっ、はぁ、だめぇ」
「これ好きだよな」
「ん、んぅっ、っ、ああッ!」
先を撫でられながら全体を擦り挙げられて、快感がピークに達して、果てる。
白濁が聡介の手を汚して、ぽつりと垂れて床に落ちた。
「はあ、も、やだっ、ひぐっ」
聡介が怒っている事に悲しくて、でも有無を言わせない聡介の態度に腹が立って訳が分からないほど涙がぽろぽろと溢れて泣きじゃくる。
「っ……ごめん。本当はわかってる、柊は悪くない。でも耐えられないんだ。柊が他の人を好きだった事実に、嫉妬してる。ごめん……こんな俺、かっこ悪いよな」
そういうと大きくため息を吐いて、額に手を当てて俯く。
僕はふるふる、と頭を振った。
「ぐすっ、確かに弁明させてくれなかったのはちょっと腹が立ったけど……嫉妬深くて、かっこ悪い聡介も、僕は大好きだよ」
「柊……かっこ悪いのは、否定しないんだな」
「自分で言ったんじゃん」
ふ、と目を細めて笑う。その顔が好きだ。
聡介の顔が傾いて近づいてくる。
僕はそっと目を閉じた。
暖かい唇の熱に、胸がじんわりと満たされていく。
「なあ、最後までしたい」
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