引き籠もりVTuber 学生編

龍之介21時

文字の大きさ
46 / 173

揺れ動く想い

しおりを挟む
【自然公園】
時刻は14:40分。昼過ぎに下呂駅に着いた3人は駅のすぐ側にある定食屋に入って食事を済ませた後、バスで10分ほどの場所にある自然公園にやって来ていた
紅葉の季節ではなかったが、ダイナミックな自然が拡がるその景色に圧倒されている3人

「はあー、凄く素敵な景色ですわね!」

清楚系の梨香も素晴らしい自然に息を飲まれ、ずっと周囲の景色に目を奪われていた。その為、足元への注意が散漫になっている

「あっ!?梨香ソコ!足場がっ!」
「ふえっ!?」

自然公園をうたっている為なのか?歩行スペースは全面アスファルト舗装されてはいなかった。石畳で構成されている足場が途中で途切れている場所があったが、壮観な景色に目を奪われていた梨香はソレに気付けなかった
石畳の途切れている場所に靴を引っ掛けて、体勢を崩した梨香は側面から倒れそうになった
「ガシッ!」
「あ、ありがとう太一君…」
「梨香…大丈夫だったか?」

先頭をいっていた亜沙美は、背後から聞こえてきた梨香の悲鳴で反射的に振り向くと…梨香は太一の腕の中にすっぽりと包まれていた

「えっ!?∑( °口° )えぇっ!?」
 

あくまでも太一と梨香の関係は、小さい頃から面識のある親戚の仲でしかないと思っていた亜沙美は、突然目の前で2人が抱き合っている姿に言葉が消え、手に持っていたタブレットを落としそうになった



【15:30バス停】
ハプニングがあったが、自然公園を楽しんだ3人はそろそろホテルに向かおうとバス停にやって来た

「梨香。本当に大丈夫か?」

「えっえぇ…太一君が支えてくれたから」

(そっか!アレは恋人関係で抱き合ってた。とかじゃなくて転びそうになった立華さんを太一が支えてあげただけなんだ…良かった………んっ?何で私、良かったって思ったんだろ…)

仲は良さそうだが別に恋人関係とかではない太一と梨香。しかし、自分と太一だって正式に付き合いをしている!と言える間柄(あいだがら)でもない事を考える亜沙美

「……どうかしたのか?亜沙美…」

さっきから無言で考えている様に見える亜沙美の姿が、少し気になった太一が質問してきた

「べ、別になんてことはないよ……そうだね。少し喉が渇いちゃったくらいかな?あはは…」

「そ、そうか?…バスが来るにはもう少し時間あるよな。あそこの自販機で飲み物買ってくるわ。2人は何が良い?亜沙美は綾鷲茶だったよな?」
(太一君。私の好みは知らないのに、竹取さんの好きな飲み物は知っているんだ…)

「梨香……梨香!」
「えっ!?あっ、はい?」

「梨香は何飲むんだ?」
「わ、私も頼んで良いんですか?……有難うございます!それなら、りんごジュースをお願いします」
「分かった。待ってろよ!」

そう言って太一は、200メートルほど離れた場所にある自販機に向かった。亜沙美と2人になった梨香は、意を決して亜沙美に話し掛ける

「ねぇ…亜沙美さんって…太一君のことが…す、好きなのですか?」

「えっ!?Σ(*oωo艸;)エェ!?私が太一を!?」
 

「先ほど…倒れそうになった私を太一君が受け止めてくれた時…竹取さん。ずっとコチラを見て固まってましたよね?…それって、好きな太一君が私と抱き合ってたから…驚いていたのかなぁ?…って…」

「(;゜∀゜)イヤイヤイヤイヤ...な、な、無いってそんな事は!私と太一は…少し仲の良い幼なじみ程度でしかないからっ!」

2人で抱き合っていたのをジッ。と、凝視してしまっていたのを見られていた事に驚いた亜沙美は、必死になって否定していた



【バスの中】
バスに乗ってホテル【草壁アルメリア】に移動している3人。太一は梨香を見つめている

「な、何?太一君…」

「い、いや。何でもない!」

太一は生まれて初めて、自分の腕て異性を抱きしめた。転びそうな梨香を助ける。という目的ではあったが結果、同い年の女の子の身体の柔らかさと、梨香のほのかな甘い匂いを初めて体験した事を思い出し、真っ赤になった顔を見られまいと窓の外へと視線を外した

「ちょんちょん」
梨香は前の席に座る亜沙美の肩を指でつついた

「なんでしょうか?」

梨香は太一に聞こえないように、亜沙美に顔を近付けて小声で話した

「部屋に着いたら…2人で色々話しましょうね」
 

「は、はい!」
(来ちゃったー!絶対に太一の事を根掘り葉掘り聞こうとしているぅ!あの顔は絶対にそうだ!ど、ど、ど、どうしよ~!?)

タダでさえ引き籠もりの亜沙美には、まだ知り合って間もない梨香と2人部屋で寝る。というだけでもハードルが高いのに、太一の事を尋問されると思うと「キリキリ」と胃が痛む亜沙美だった



続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

義姉妹百合恋愛

沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。 「再婚するから」 そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。 次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。 それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。 ※他サイトにも掲載しております

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

処理中です...