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憎奪戦争編
したたかな暗殺者
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アルバート家でサーシャが倒れてから、容態が悪化し始めたその日のお昼過ぎ
【アレクス城】
結婚旅行(ハネムーン)休暇の初日に親友のフュールを訪ねて来ている有栖と優輝
【スズカの街】で聞いたマリニウム地方での不穏な噂話
ソコには、かつてエーデが生身の身体で生きていた頃のフォンデ家を、政略結婚と見せ掛けて騙し討ちし滅亡させた【オヅベルド家】が、マリニウム国に対して叛乱を起こそうとしているらしい
「フュールがエーデを不死化させたのは、20年くらい前だったっけ?」
「そうよ。魔族と人間たちの大きな決戦が……私が貴女(ありす)と出会う1年前くらいの事よ。流石にあの大戦に出すにはエーデは未熟過ぎて、城内に待機させていたけどね」
「なるほどね…本当なら、それだけ年数が経っていれば今回の話を伝えても、十分に理解してくれるのを期待できるハズなんだけど…」
「不残念だけど、不死化した者は半永久的な寿命を得られる代わりに、知能も肉体も成長速度が著しく低下するからね。エーデの精神年齢は今で12-13くらいのハズだから…言うべきなのか?悩むわね…」
20年前、王都クラウンとアレクス城が中心となって、人間側と魔族側が両軍に多大な被害を生み出した大戦があった
その1年ほど前、アレクス城に常駐していた前魔王の専属魔女だったフュールは情報収集の為、各地を巡回していたのだが…そこで滅亡に追い込まれていたフォンデ家から、当時10歳で死にかけていたエーデを救出し、不死化の術を施して魔女の弟子として迎え入れていた
「エーデの為にも、そろそろ話してあげた方が良いんじゃないか?って思うんだけどね…んっ!?この気配は!?」
「どうしたの有栖!?」
話していた有栖が突然、何か特殊なモノを察知したようで、話の途中で動きを止めた
「場所は……ヘルメスの街?……この感じは間違いない!エリスアちゃんだわ…」
「エリスアちゃん。ってエリスア様?…前に言ってた、この星そのものの神様の名前だったわよね?」
「ええ、間違いないわ!この距離でも、これだけハッキリ感じられる存在なんて…彼女(エリスアちゃん)くらいしか考えられないわ」
フュールもエリスアを知っている。と、言っても彼女(フュール)は会ったことは無いのだが…おとぎ話に出てくる惑星神の名前として知っているにすぎない
有栖がマジな顔で言うことに間違いなどは有り得ない!それはフュールがよく知っていた
「彼女が世界に現出するなんて、よっぽどの事が起きているんだわ!…まさかオヅベルド達の企みが、それだけ不味いレベルって事なのかしら?」
「前に有栖が言ってた話だと……【賢者の石】のチカラで初めてこの星から…地球って星だっけ?…に向けて転移したのが、ヘルメスの街のアルバート家のアリスちゃんだったよね?」
「そうよ。この星に召喚しているだけでも神々の間では問題視されているって、エリスアちゃん自身が言ってたわ。なのに、遂にはコチラから転移して行ってしまった
ソレがアルバート家の長女で次に彼女が現れたのは…その三女(スエッコ)のサーシャちゃんの件。その娘は天使族に生まれ変わらせる事で救われたハズ。今回は一体…」
惑星神エリスアが現れた経緯の説明を聞いているフュールとアレクス
「口を挟んで悪いが、そのアルバート家の三姉妹は凄いんだな。惑星神エリスア様自らが、その姉妹の為に2度も姿を見せているなんてな…」
魔族の中でも代々【魔王の拠点】としても扱われるこの城の主を任されているアレクスからしても、その三姉妹の立場に驚いていた
「まさか?…今回の件も三姉妹が絡んでいて、オヅベルド公爵の噂は関係ないの?うーん…困ったわね。もっと情報が欲しいところね…
なんと言ってもマリニウム国は、20年前の大戦で王都クラウンと連携してこの城を襲ってきた国だからね…」
オヅベルド公爵の反乱の噂に、またもヘルメスの街に現れた惑星神(エリスア)の目的
離れた地で起きている大きな出来事に、その関係性を見い出せず頭を悩ませる3人だが…
「おやおやおや。【消去の魔女】徳川有栖さんでもお困りですか?もしや、情報収集に強い存在を欲したりしていますか?」
「何っ!?侵入者だと!?」
「嘘でしょ!?私の結界に反応せずに入り込める者がいるなんて!!」
「え~~~付いてきてたの?ミクイちゃんw」
一騎当千の将アレクスはおろか【渇望の魔女】と呼ばれ【魔王の専属魔女】を拝命しているフュールさえも欺(あざむ)き、シレッと室内に居るアサシンマスターのミクイ・トウは「ニヤリ」と笑った
「有栖様~、黙って優輝を連れてハネムーンに出掛けるなんて酷いじゃないですか!ミクイ寂しい思いするのは嫌なんだけどなぁ(笑)」
魔族の最重要拠点に造作も無く忍び込んで、余裕な態度を噛ましているアサシンマスターのミクイ
「ミクイも来てたのか?…あっ!じゃあもしかして、ミントスは今ひとりなのか?」
「まぁまぁ優輝。彼女の事はロックさんが相手してくれるだろうから良いじゃん。それよりもさ~、何日も放置されるとミクイ泣いちゃうよ?今度は優輝が干からびるまで、体液搾り取っちゃうかもよ?(笑)」
「うっ!?ソレは勘弁してください…」
姿を見せるなり早速、優輝をからかって楽しんでいるミクイ。彼女に対して有栖が吠える
「ナニ言ってんのよ!私は優輝と結婚したのよ!…つまり優輝は私の旦那様なの!アンタはせいぜい愛人なの!夫婦のハネムーンにまで付いて来ないでよねっ!!」
さっそく優輝をからかい、彼の腕に絡みついている姿に有栖は露骨に不機嫌な顔をした
「あー…すまんが有栖よ。彼女の事を俺にも教えてくれんか?一応、ココは俺の城だからな…な?」
「そうよ!私にも説明しないよ!」
マリニウム地方のキナ臭い噂と、ヘルメスの街の惑星神エリスアの現出について悩んでいたところに、アサシンマスターのミクイの登場で騒然とするアレクス城
続く
【アレクス城】
結婚旅行(ハネムーン)休暇の初日に親友のフュールを訪ねて来ている有栖と優輝
【スズカの街】で聞いたマリニウム地方での不穏な噂話
ソコには、かつてエーデが生身の身体で生きていた頃のフォンデ家を、政略結婚と見せ掛けて騙し討ちし滅亡させた【オヅベルド家】が、マリニウム国に対して叛乱を起こそうとしているらしい
「フュールがエーデを不死化させたのは、20年くらい前だったっけ?」
「そうよ。魔族と人間たちの大きな決戦が……私が貴女(ありす)と出会う1年前くらいの事よ。流石にあの大戦に出すにはエーデは未熟過ぎて、城内に待機させていたけどね」
「なるほどね…本当なら、それだけ年数が経っていれば今回の話を伝えても、十分に理解してくれるのを期待できるハズなんだけど…」
「不残念だけど、不死化した者は半永久的な寿命を得られる代わりに、知能も肉体も成長速度が著しく低下するからね。エーデの精神年齢は今で12-13くらいのハズだから…言うべきなのか?悩むわね…」
20年前、王都クラウンとアレクス城が中心となって、人間側と魔族側が両軍に多大な被害を生み出した大戦があった
その1年ほど前、アレクス城に常駐していた前魔王の専属魔女だったフュールは情報収集の為、各地を巡回していたのだが…そこで滅亡に追い込まれていたフォンデ家から、当時10歳で死にかけていたエーデを救出し、不死化の術を施して魔女の弟子として迎え入れていた
「エーデの為にも、そろそろ話してあげた方が良いんじゃないか?って思うんだけどね…んっ!?この気配は!?」
「どうしたの有栖!?」
話していた有栖が突然、何か特殊なモノを察知したようで、話の途中で動きを止めた
「場所は……ヘルメスの街?……この感じは間違いない!エリスアちゃんだわ…」
「エリスアちゃん。ってエリスア様?…前に言ってた、この星そのものの神様の名前だったわよね?」
「ええ、間違いないわ!この距離でも、これだけハッキリ感じられる存在なんて…彼女(エリスアちゃん)くらいしか考えられないわ」
フュールもエリスアを知っている。と、言っても彼女(フュール)は会ったことは無いのだが…おとぎ話に出てくる惑星神の名前として知っているにすぎない
有栖がマジな顔で言うことに間違いなどは有り得ない!それはフュールがよく知っていた
「彼女が世界に現出するなんて、よっぽどの事が起きているんだわ!…まさかオヅベルド達の企みが、それだけ不味いレベルって事なのかしら?」
「前に有栖が言ってた話だと……【賢者の石】のチカラで初めてこの星から…地球って星だっけ?…に向けて転移したのが、ヘルメスの街のアルバート家のアリスちゃんだったよね?」
「そうよ。この星に召喚しているだけでも神々の間では問題視されているって、エリスアちゃん自身が言ってたわ。なのに、遂にはコチラから転移して行ってしまった
ソレがアルバート家の長女で次に彼女が現れたのは…その三女(スエッコ)のサーシャちゃんの件。その娘は天使族に生まれ変わらせる事で救われたハズ。今回は一体…」
惑星神エリスアが現れた経緯の説明を聞いているフュールとアレクス
「口を挟んで悪いが、そのアルバート家の三姉妹は凄いんだな。惑星神エリスア様自らが、その姉妹の為に2度も姿を見せているなんてな…」
魔族の中でも代々【魔王の拠点】としても扱われるこの城の主を任されているアレクスからしても、その三姉妹の立場に驚いていた
「まさか?…今回の件も三姉妹が絡んでいて、オヅベルド公爵の噂は関係ないの?うーん…困ったわね。もっと情報が欲しいところね…
なんと言ってもマリニウム国は、20年前の大戦で王都クラウンと連携してこの城を襲ってきた国だからね…」
オヅベルド公爵の反乱の噂に、またもヘルメスの街に現れた惑星神(エリスア)の目的
離れた地で起きている大きな出来事に、その関係性を見い出せず頭を悩ませる3人だが…
「おやおやおや。【消去の魔女】徳川有栖さんでもお困りですか?もしや、情報収集に強い存在を欲したりしていますか?」
「何っ!?侵入者だと!?」
「嘘でしょ!?私の結界に反応せずに入り込める者がいるなんて!!」
「え~~~付いてきてたの?ミクイちゃんw」
一騎当千の将アレクスはおろか【渇望の魔女】と呼ばれ【魔王の専属魔女】を拝命しているフュールさえも欺(あざむ)き、シレッと室内に居るアサシンマスターのミクイ・トウは「ニヤリ」と笑った
「有栖様~、黙って優輝を連れてハネムーンに出掛けるなんて酷いじゃないですか!ミクイ寂しい思いするのは嫌なんだけどなぁ(笑)」
魔族の最重要拠点に造作も無く忍び込んで、余裕な態度を噛ましているアサシンマスターのミクイ
「ミクイも来てたのか?…あっ!じゃあもしかして、ミントスは今ひとりなのか?」
「まぁまぁ優輝。彼女の事はロックさんが相手してくれるだろうから良いじゃん。それよりもさ~、何日も放置されるとミクイ泣いちゃうよ?今度は優輝が干からびるまで、体液搾り取っちゃうかもよ?(笑)」
「うっ!?ソレは勘弁してください…」
姿を見せるなり早速、優輝をからかって楽しんでいるミクイ。彼女に対して有栖が吠える
「ナニ言ってんのよ!私は優輝と結婚したのよ!…つまり優輝は私の旦那様なの!アンタはせいぜい愛人なの!夫婦のハネムーンにまで付いて来ないでよねっ!!」
さっそく優輝をからかい、彼の腕に絡みついている姿に有栖は露骨に不機嫌な顔をした
「あー…すまんが有栖よ。彼女の事を俺にも教えてくれんか?一応、ココは俺の城だからな…な?」
「そうよ!私にも説明しないよ!」
マリニウム地方のキナ臭い噂と、ヘルメスの街の惑星神エリスアの現出について悩んでいたところに、アサシンマスターのミクイの登場で騒然とするアレクス城
続く
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