ようこそ幼い嫁候補たち ③

龍之介21時

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憎奪戦争編

王国に咲く華

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【イシス王国客間】
「ねぇケチュア。その鎧を脱いで私の横に寝てよ」

進化型超人類として生まれ、1度しか能力をコピー出来ないため、コピーするに値する者を400年以上待ち続けたリキュール
同じ進化型超人類の成功体と言えるカルーアとの遭遇。そしてアルバート家での生活は、彼女にとって待ちかねた幸福と言えた

しかし、家主のヒイロに好奇心をくすぐられ、彼を独占しようとした事が…彼女の居場所を失わせた。自業自得ではあるが、400年以上の待機年数を経て出会った彼の眩しさの前に、リキュールは冷静な判断が出来なかった

かたや成り上がりとは言え、貴族の娘として大事に育てられ良くも悪くも庶民の生きる術をを知らずに育ったケチュアは、突然の没落により全てを失う。更に刺客を放たれ生命の危機に立たされた

そんな経緯で偶然出会ったリキュールとケチュア
今、彼女達には出会って数日のお互いしか、信頼し頼れる者が居なかった…そんな、か細い絆でしかないので過剰に要求したり、気軽に頼みを断る事で2人の仲に亀裂が生じる事をお互いに危惧していた

「ぬ…脱いだわよ。リキュール(ドキドキ)…」
 

ケチュアは凄く頼りになるリキュールの誘いを断る事に抵抗を感じ、望まれるまま軽装になり彼女の隣に横たわった

「……………………………………………」

しかし、リキュールは無言でナニもしない

「な、何か言ってくださいまし…ワタクシ…ドキドキして不安なんですのよ…」

ようやく辿り着いたイシス王国に、迎え入れてもらい一安心ではあるが…それも全てリキュールのおかげだった。彼女に嫌われる事は当然、凄く嫌な事だし怖くもあった

「スンスン…」

突然リキュールはケチュアの首筋に顔を近づけ、彼女の首の匂いを嗅いだ

「は、恥ずかしいですわ…まだシャワーも浴びてないですし…」

「ねぇ…ケチュアはどうして、そんな臆病な顔をしているんだい?私のことが信用出来ないのかな?」

ケチュアに対してマウントを取っているかの様な態度をしているリキュールだが、彼女自身も初心(ウブ)で年寝(ネンネ)な没落令嬢のケチュアに踏み込み過ぎて嫌われる事を心配している

「あの…その……」

「何だい?正直に言ってよ」

リキュールがまっすぐ自分を見つめて、ケチュアの些細な動きも見逃さないかの様に、ジッと真剣に見詰めているのを察したケチュア

「わ、分かりましたわ。正直に言いますね。笑わないでくださいまし……わ、ワタクシ…リキュールに好意を…確かに感じていますわ…でも、それと同じか?それ以上に…貴女に嫌われたら、どう生きていったら良いか?とか考えると恐ろしいんですの…きっと…貴女無しのワタクシでは生きていけないと思いますから…」

何も持ち得ない没落令嬢の自分が、こんな臆病な考えをしている事を話すと愛想を尽かされるのではないか?と心配していたが、ケチュアは勇気を振り絞って本音を素直に話した


「ふ…ふふ…あはは(笑)」

突然リキュールは満面の笑みを浮かべ、顔を天井に向けて遠慮なく笑い始めた

「な、ナニがおかしいんですので?(汗)」

自分が庶民的な考え方を知らない事は、ケチュア自身が理解している。今の自分では庶民の感情を理解出来ないのだと…
だから、リキュールが何故笑っているのか?考えたところで答えに辿り着かないだろうと。ケチュアは思った

「ごめんよ…実は私も庶民とは程遠い生い立ちでさ。私もケチュアに嫌われたら、どうしよう。って心配ばかりしてたのさ。今のケチュアを見て…(何だ!私と変わらないじゃないか!)って事が分かったら、可笑(おか)しくなってね(笑)」

「そ、そうだったんですの?」

思えば、リキュールの本音を初めて聞いた気がするケチュア。彼女も庶民的な事を知らない。という点では、自分と大差ない事を知ったら…途端に緊張でこわばっていた顔からチカラが抜け、柔らかい笑みを浮かべた

「あはっ、本当だよ。信じてくれて良いよ。女同士ではあるけれど…本当に好きになっちゃうよ。初めてなんだ、こんなに静かに燃え上がるような気持ちは…」
 

リキュールはケチュアの上半身を抱え起こすと、大切なぬいぐるみでも抱くかの様に、優しく包み込み自分の頬を彼女の頬に擦り付けた

「あっ、リキュール。ワタクシ…貴女に好かれていると思っても…本当に良いんですの?」

没落貴族の箱入り令嬢のケチュアに、初対面であり初めて会うタイプのリキュールの考えなど到底予想も出来ないので…再度素直に聞くしか確かめる術が無かった

「本当にケチュアは可愛い女の子だね…私の方こそ、ケチュアの事…本当に好きになっても構わないかい?」

「リキュール!もちろんですわ♬ワタクシの事を全て貴女に知って欲しいです!そして、ワタクシをずっと、ずっ~と好きで居てくださいまし!」

ケチュアは気が付いていないが、リキュールに対し愛の告白をしていた。その言葉が嬉しくて、彼女の頬にKissをするリキュール

「今夜は、ケチュアの心も身体も隅から隅まで教えてもらいたいな!良いかいケチュア?」

「こんなワタクシで良ければ…ワタクシにもリキュールの全てを教えて欲しいです!」

リキュールの求愛にOKを出す様に、彼女の頬にKissで返そうとしたケチュアたが

「……!?んぐっ!」

その動きを察したリキュールに顔を押さえられ、唇と唇を重ねられていた。ソレを愛情の証(アカシ)だと考えたケチュア
当然リキュールも愛情で応えてくれた礼を込めて、自分も愛情で返した気では居るが…リキュールは超人類としての他者を観察する性分が作用したのか?どちらだったのか?まだハッキリとは断言出来ないリキュール

お互いに求める答えを欲する様に、お互いの身体を触り合いお互いのリアクションを見て、お互いに不安を解消しようとする2人だった


「あ、あの!」

リキュールがケチュアの服の中に手を侵入させようとした時、「待った」を言われた

「な、何だい?」
(しまった!まだ早かったかな?元令嬢で初心なケチュアに対しては急ぎ過ぎたかな?)

「あの…シャワー室でお互いに身体を洗いあいっこしませんか?肌を重ねるのは…それからだと嬉しいんです…」
 

「あ、うん!分かったよ。さぁシャワー室に行こうよ♪」

心配し過ぎだった事を理解したリキュールは突然上機嫌になり、彼女の手を取ってシャワー室に向かった
お互いに世間知らずな2人は、物事の順番が世間からは度々ズレるが、少しづつ確実に距離を縮めて行く

予想外の事態が起きてしまい突然、天涯孤独の身になってしまった2人が偶然出逢い、お互い不器用ながらも少しずつ仲を深めていこうと感じていた


続く
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