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憎奪戦争編
燃えるマリニウム
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【マリニウム城下町】
「ふえっ!?」
「バカ野郎!ボサッとすんな!」
超巨大化したボッチちゃんが、空を飛ぶ有翼魔獣族に右手を伸ばしてきた!
直感的に戦慄するほどの危険を察知したエセックスは、呆気に取られる部下のサキュバスを抱え急発進し、迫って来たボッチの右手から逃れた
「うわあああっ!」
「何だコイツはぁ!?」
「どうする気だ?テメェ!」
エセックスは回避出来たが、彼の部下の数名がボッチちゃんの右手に掴まれた。そして、その右手を顔に近付ける
「でー…」
そしてボッチちゃんは口を大きく開けた
「うわっ!?」
「まさかアレって…」
「足なのか?」
ボッチちゃんの右手の綿あめの様な糸に捕まっている有翼魔獣族たちは、ボッチちゃんの歯と歯の間に挟まるプディングの右足を見付けた。だが、それは…膝から下しか無かった…
「コイツ!既に人を喰ってるぞ!」
「逃げろ!逃げるんだっ!!」
「助けてくれぇ!!」
有翼魔獣族たちは必死に右手から逃れようと足掻くのだが…蜘蛛糸の粘着力が強過ぎて逃れられない!その蜘蛛糸ごと彼女の口の中に放り込まれた
「ぼりばり…ゴキッ…ゴキュ…ぶふぅ!で~」
「魔獣族を排除してくれているのか?」
「あの超巨人は味方なのか?」
まず、外を飛ぶ有翼魔獣族を食べたボッチちゃん。なので城の騎士たちは彼女が自分たちの援護に来た味方かと一瞬、思ったのだが…
「ガシッ!!」
次に彼女がその手で掴んだのは、マリニウム城の切り札とも言える飛行戦艦だった。ただ単に、最初に近い位置に居た飛行している有翼魔獣を狙ったに過ぎなかったようだ
「うわああぁっ!?」
「俺らも食べる気だ!」
「ジョブス王子。お逃げ下さ…うおぉ!?」
「バリバリっ!ゴキュゴキュ…ムシャムシャ…あむあむ…デー!!」
魔獣族たちの攻撃で、数箇所から火の手が上がっていた飛行戦艦をスイカでも食べる様に、そのままかぶりつくボッチちゃん
「きゃぁぁぁ!!」
「逃げろーっ!」
「殺されるぞー!!」
マリニウム城下町周辺では、もはや敵味方など関係なく全ての者がボッチちゃんの脅威に脅え右往左往の大パニックになっている
「ミーコ様。えげつねぇ事になってんど!私ら、これからどけんするとかいな?」
「お姉ちゃん……」
遠く離れた古代遺跡近くのログハウスからも、超巨大化したボッチちゃんがマリニウム城を襲っているのが肉眼で見えていた
「ミーコ様!?」
超巨大なボッチちゃんを眺め「お姉ちゃん」と呟いたミーコを、怪訝な表情で見詰めるコヨリィ
「古代遺跡に行くにぇ!きっとアソコなら、この状況を打開する物があるハズだにぇ!」
「も~!なんで、なんで!サケマタこんな事に巻き込まれちゃったんですか?お家に帰りたいですよぉ!」
「ほんれ、泣き言さ言ってねぇで早く走るべ。ここに居ても何も良くなんねぇべ」
ホロミナティのメンツはミーコの言葉を信じ、認識阻害(ハードゥーン)で隠してきた古代遺跡へと急いだ
【城下町入り口付近】
「近くで見ると本当にデカイですわね。三姉妹たちはアレをどうしたいですか?」
ようやくマリニウムの城下町に辿り着いた聖騎士勇者隊と三姉妹たち。6人は予想外過ぎる事態にしばらく呆然としていたが、ミャンジャムの質問にカルーアが答える
「どうもしやしないよ…わたし達はヒイロを連れ返しに来ただけなんだからね…逃げ惑うマリニウムの人たちには申し訳ないけど…こんな非常事態だからこそ、早くヒイロを見つけなくちゃイケないんだ。…くそぉ!人が多過ぎて探知魔法でもヒイロが何処に居るのか?わからないよぉ!」
マリニウムの人々にとっては、暴れ回るボッチちゃんのせいで壊滅的な危機を迎えているのだが…三姉妹たち、特にカルーアにとっては街の危機など知った事ではなかった。むしろ、こんな状況だからこそ一刻も早くヒイロを探し出したいのだが…
「すみません!サーシャの探知魔法も…この人数ではヒイロお兄さまだけを見付けるのは難しいですの!」
「僕も目は良いんだけど…流石にこの中から1人を選んで探し出すのは…」
カルーア同様、サーシャもアドルも大量の群衆の中からヒイロだけを探すのはやはり難しい様だ
「アリス、危ねぇ!」
「ドゥグワァン!」
飛んできた家屋の破片をヨシュアが魔の波動を飛ばして、下敷きになりそうなアリスを助けた…が、何やらアリスは匂いを嗅いでいる
「大丈夫かアリス?…ん?どうかしたか?」
「あのねぇ…風に乗って…お兄ちゃんの匂いがぁ…僅かだけど感じるよぉ…煙に混じっているから細かくは分からないけどぉ…まだ少し遠いみたいだよぉ…」
「姉さん、それは本当かい?だったら、早くソッチに向かおうよ!」
この状況の中でアリスの獣人族の鼻だけが、微かながらもヒイロの存在を感じ取っている。喜びのあまりアリスを急かすカルーア
「待てまてカルーア!気持ちは分かるけどよぉ、こんな状況で迂闊に急がせたら匂いを見失っちまうぞ!慎重に進むんだ!」
はやる気持ちをヨシュアになだめられた。彼らはアリスの鼻を頼りに、慎重に城下町の内部へ入って行く。もちろん、ボッチちゃんに捕まらない様に細心の注意を払って…
「聖騎士としては…友好国のピンチをほおっておく訳にもいかないのですが…私の装備を修理出来るのはヒイロさんだけ…私事を優先する事になりますが…」
「僕らは三姉妹の道案内で雇われている身だよ。ここはヒイロさんの捜索に専念しよう。ね?ミャンジャム」
「うぅ…仕方ないですわよね…」
「珍しい…ミャンジャムはんでも迷う事がありますのやな。ほなら、三姉妹から離れない範囲で人助けしたらよろしいやないの?」
「そ、そうねメリーズ。私たちはそうしましょう!」
聖騎士としての立場から、キッチリ判断しかねているミャンジャムをなだめたアドル。納得し切れない彼女に落とし所を提案したメリーズ。聖騎士勇者対は、アリスを護衛しながらヒイロを探すのだった
続く
「ふえっ!?」
「バカ野郎!ボサッとすんな!」
超巨大化したボッチちゃんが、空を飛ぶ有翼魔獣族に右手を伸ばしてきた!
直感的に戦慄するほどの危険を察知したエセックスは、呆気に取られる部下のサキュバスを抱え急発進し、迫って来たボッチの右手から逃れた
「うわあああっ!」
「何だコイツはぁ!?」
「どうする気だ?テメェ!」
エセックスは回避出来たが、彼の部下の数名がボッチちゃんの右手に掴まれた。そして、その右手を顔に近付ける
「でー…」
そしてボッチちゃんは口を大きく開けた
「うわっ!?」
「まさかアレって…」
「足なのか?」
ボッチちゃんの右手の綿あめの様な糸に捕まっている有翼魔獣族たちは、ボッチちゃんの歯と歯の間に挟まるプディングの右足を見付けた。だが、それは…膝から下しか無かった…
「コイツ!既に人を喰ってるぞ!」
「逃げろ!逃げるんだっ!!」
「助けてくれぇ!!」
有翼魔獣族たちは必死に右手から逃れようと足掻くのだが…蜘蛛糸の粘着力が強過ぎて逃れられない!その蜘蛛糸ごと彼女の口の中に放り込まれた
「ぼりばり…ゴキッ…ゴキュ…ぶふぅ!で~」
「魔獣族を排除してくれているのか?」
「あの超巨人は味方なのか?」
まず、外を飛ぶ有翼魔獣族を食べたボッチちゃん。なので城の騎士たちは彼女が自分たちの援護に来た味方かと一瞬、思ったのだが…
「ガシッ!!」
次に彼女がその手で掴んだのは、マリニウム城の切り札とも言える飛行戦艦だった。ただ単に、最初に近い位置に居た飛行している有翼魔獣を狙ったに過ぎなかったようだ
「うわああぁっ!?」
「俺らも食べる気だ!」
「ジョブス王子。お逃げ下さ…うおぉ!?」
「バリバリっ!ゴキュゴキュ…ムシャムシャ…あむあむ…デー!!」
魔獣族たちの攻撃で、数箇所から火の手が上がっていた飛行戦艦をスイカでも食べる様に、そのままかぶりつくボッチちゃん
「きゃぁぁぁ!!」
「逃げろーっ!」
「殺されるぞー!!」
マリニウム城下町周辺では、もはや敵味方など関係なく全ての者がボッチちゃんの脅威に脅え右往左往の大パニックになっている
「ミーコ様。えげつねぇ事になってんど!私ら、これからどけんするとかいな?」
「お姉ちゃん……」
遠く離れた古代遺跡近くのログハウスからも、超巨大化したボッチちゃんがマリニウム城を襲っているのが肉眼で見えていた
「ミーコ様!?」
超巨大なボッチちゃんを眺め「お姉ちゃん」と呟いたミーコを、怪訝な表情で見詰めるコヨリィ
「古代遺跡に行くにぇ!きっとアソコなら、この状況を打開する物があるハズだにぇ!」
「も~!なんで、なんで!サケマタこんな事に巻き込まれちゃったんですか?お家に帰りたいですよぉ!」
「ほんれ、泣き言さ言ってねぇで早く走るべ。ここに居ても何も良くなんねぇべ」
ホロミナティのメンツはミーコの言葉を信じ、認識阻害(ハードゥーン)で隠してきた古代遺跡へと急いだ
【城下町入り口付近】
「近くで見ると本当にデカイですわね。三姉妹たちはアレをどうしたいですか?」
ようやくマリニウムの城下町に辿り着いた聖騎士勇者隊と三姉妹たち。6人は予想外過ぎる事態にしばらく呆然としていたが、ミャンジャムの質問にカルーアが答える
「どうもしやしないよ…わたし達はヒイロを連れ返しに来ただけなんだからね…逃げ惑うマリニウムの人たちには申し訳ないけど…こんな非常事態だからこそ、早くヒイロを見つけなくちゃイケないんだ。…くそぉ!人が多過ぎて探知魔法でもヒイロが何処に居るのか?わからないよぉ!」
マリニウムの人々にとっては、暴れ回るボッチちゃんのせいで壊滅的な危機を迎えているのだが…三姉妹たち、特にカルーアにとっては街の危機など知った事ではなかった。むしろ、こんな状況だからこそ一刻も早くヒイロを探し出したいのだが…
「すみません!サーシャの探知魔法も…この人数ではヒイロお兄さまだけを見付けるのは難しいですの!」
「僕も目は良いんだけど…流石にこの中から1人を選んで探し出すのは…」
カルーア同様、サーシャもアドルも大量の群衆の中からヒイロだけを探すのはやはり難しい様だ
「アリス、危ねぇ!」
「ドゥグワァン!」
飛んできた家屋の破片をヨシュアが魔の波動を飛ばして、下敷きになりそうなアリスを助けた…が、何やらアリスは匂いを嗅いでいる
「大丈夫かアリス?…ん?どうかしたか?」
「あのねぇ…風に乗って…お兄ちゃんの匂いがぁ…僅かだけど感じるよぉ…煙に混じっているから細かくは分からないけどぉ…まだ少し遠いみたいだよぉ…」
「姉さん、それは本当かい?だったら、早くソッチに向かおうよ!」
この状況の中でアリスの獣人族の鼻だけが、微かながらもヒイロの存在を感じ取っている。喜びのあまりアリスを急かすカルーア
「待てまてカルーア!気持ちは分かるけどよぉ、こんな状況で迂闊に急がせたら匂いを見失っちまうぞ!慎重に進むんだ!」
はやる気持ちをヨシュアになだめられた。彼らはアリスの鼻を頼りに、慎重に城下町の内部へ入って行く。もちろん、ボッチちゃんに捕まらない様に細心の注意を払って…
「聖騎士としては…友好国のピンチをほおっておく訳にもいかないのですが…私の装備を修理出来るのはヒイロさんだけ…私事を優先する事になりますが…」
「僕らは三姉妹の道案内で雇われている身だよ。ここはヒイロさんの捜索に専念しよう。ね?ミャンジャム」
「うぅ…仕方ないですわよね…」
「珍しい…ミャンジャムはんでも迷う事がありますのやな。ほなら、三姉妹から離れない範囲で人助けしたらよろしいやないの?」
「そ、そうねメリーズ。私たちはそうしましょう!」
聖騎士としての立場から、キッチリ判断しかねているミャンジャムをなだめたアドル。納得し切れない彼女に落とし所を提案したメリーズ。聖騎士勇者対は、アリスを護衛しながらヒイロを探すのだった
続く
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