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アリス IN 異世界日本

キャンプ場の花火

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【キャンプでのBBQ】
全員が集まり、キャンプ場に設備されている食事会場でバーベキューを始めた

「うーん、今日のお肉も美味しいねぇ!」

無邪気に肉に被りついて笑うアリスの笑顔に、女嫌いの佐々木も頬の筋肉が緩んだ

「ほらほらアリスちゃん、野菜も食べないと駄目だよ!」

「えぇー!?だってぇ~お肉の方が美味しいんだもぉん」
 

まるで姉の様にアリスに接する優香。だが、アリスは狩猟生活がメインである獣人族の血を引く者。好んで食べるのは肉なのであるが、ずっと肉ばかり食べる彼女に野菜も食べるようにアドバイスする優香

アリスの純粋さに癒された佐々木は苦手な人の輪の中に自ら踏み込み、アリスの受け皿に焼き野菜をたっぷり盛った

「うぇー、そんなに沢山w……そう言えばさぁ、どうしてあのお花をアタシにくれたのぉ?」

「あー、その、なんだ…さっき落ち込んでただろ?…綺麗な花を見たら…アリスちゃんがまた…笑ってくれるかな?って…」

佐々木にしては珍しく、恥ずかしいセリフを隠さずに言った。そうじゃないと、裏表が全く無いアリスには伝わらない事を学んだからだ

「そうなんだぁ、ありがとうねぇ♪」

笑顔で喜んでいるアリス。そこに優香が割って入った

「あの佐々木さん、ひとつ聞いても良いですか?…どうして佐々木さんは、女性嫌いなんですか?でも、それなのにアリスちゃんに優しいのは何故ですか?」

この優香の質問は個人的な興味もあるのだが、アリスの事で佐々木を面白く思わない宗一郎の代弁をしてあげる優しさも入っている

「……俺は父親と2人で生活している。父親は仕事一筋な不器用な人で…その、昔からよく騙されるんだ。母親はそんな父親に呆れ、別の男を見付けてある日突然居なくなった
全てが同じとは言わないが、俺は女に騙されない様に生きる!…と誓った。それで強い心の持ち主になろうと、沖田道場の門をくぐったんだ」

「そこでアリスちゃんに触れて、他の女性とは違うものを感じたから、色々優しくしているんですね」

優香が自分を気遣って言ってくれたのを理解出来た宗一郎は、佐々木への考えを素直に伝えた

「……そうだよ、アリスちゃんが女性への偏見を溶かしてくれたんだ。本当にありがとう」

「(o´罒`o)にひっ、良かったねぇ♪」

ここまでの会話の全てまでは理解出来ていないアリスだったが、なんとなく佐々木が救われた事だけは理解出来た



【デザートTime】
バーベキューで腹を満たしたので、次はデザートが並べられた。紅茶を飲む者、デザートを食べる者、それぞれが楽しんでいた

「ソレが【賢者の石】かい?」

アリスが佐々木を助ける為に氷結(アイスクル)を使ったので、この場に居る全員がアリスが地球とは環境の違う遠い星から来た者だと確信した
なので、隠すことなく徳川夫婦は聞きたい事を質問しだした。アリスはサイドポーチから賢者の石を取り出した

「えっと、このクリスタルがねぇ……あれっ!?液体が増えてる?」

とりあえず全員は、アリスが知っている事を説明してもらった。彼女が感情が高ぶった時に持っていた【賢者の石】が光り始めて、この星に飛ばされた事

「アリスちゃんが増えた液体と言うのは、これかい?」

【賢者の石】は六角錐に加工されたクリスタル。その中に金色の模様があり、クリスタルの下部に液体の様に波打つオレンジ色がある

「……つまり、アリスちゃんが初めて見た時は、このオレンジ色の液体がクリスタルの4割くらいあったけど…地球に来た時には1割くらいまで減っていたけど、理由は分からないが、今は2割ほど有る訳だ」

「という事は、アリスちゃんが自分の星に帰るには最低でも3割は必要と言うことか…」

「安全策を取るなら4割は欲しいかもね?空(カラ)になると到着時に不都合が起きるかもしれないしな」

「なら、後2割の回復が必要になる訳だね」

IT企業の徳川夫婦が居た事で、【賢者の石】のシステムや帰る目安が大まかに目処(めど)がついた

「ん~、でもぉ…どうやったら回復するんだろうねぇ?ドルイド王国を出てから、お家に帰る2週間の間は全然回復しなかったハズだよぉ?」

「つい最近、あるいは…つい先程の出来事にヒントがあるのかもね」

その時、優香が思い出した

「キャンプ場に来る途中、アリスちゃんクリスタル見て「増えてないなぁ…」って言ってたじゃない?」

「あっ!そうだったぁ」

と言う事は…キャンプ場に来てから今までの間で、オレンジ色の液体は1割回復した事になる

その後、話し合った結果…キャンプが終わったら【賢者の石】を徳川夫婦に預け、ソレを分析してもらう事にした。ただ、キャンプ場に居る間に更に回復する可能性も考慮し、ここに居る間はアリスが持つ事にした



【キャンプの夜の花火】
「うわぁ!綺麗だねぇ!ねぇ優香ちゃん…」

「うん、ソレは花火って言うのよ」

ここ数日のアリスからの質問責めにあっている優香はアリスの話し方で、質問が振られるタイミングを完全に把握する迄になっていた

「そうなんだねぇ。最初は向こうに沢山の魔法使いさんが居て、攻撃魔法を撃ってきたのかと思ってビックリしちゃったぁ(笑)」

……………………………………………

「うそっ!?…みんな逃げてぇ!魔族が攻め込んで来たよぉ!早くぅ!!」
 

その時のアリスの真剣な顔付きが、彼女がつい最近まで剣と魔法で、生命のやり取りがされている世界で生きてきた事を物語っていた



【1時間後】
「寝袋(シュラフ)を持ってきていない?」

キャンプ初心者の佐々木は、シュラフを持ってきていなかった。師範代の提案で佐々木は、皆から借りた毛布にくるまって寝る事にした

花火の片付けが終わり、8人は2つのテントに別れて寝る事になった
大きいテントに大人の4人
小さいテントに子供が4人

「どうアリスちゃん、キャンプ楽しんでる?」

「うん!すっごく楽しいよぉ♪」

アリスは満面の笑顔で答えた
それから少しの間雑談をし寝ることにした。右から宗一郎、優香、アリス、佐々木と横並びの位置で眠る

「リーン、リーン…」

志摩市の海沿いのキャンプ場の夜は、波の音と虫の音以外は何も無く静かな夜が彼らを癒してくれていた



続く
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