ようこそ幼い嫁候補たち④

龍之介21時

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夢忘れ編

心配する者たち

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【翌朝】
新しい朝。いつもの様に早起きして朝食の用意をする為に起きたサーシャがキッチンに向かうと、既にミルが調理を始めて準備をしていた

「おはようミル。早起きなのです♪」

「おはようございます…アリスさん達が戻って…また大人数になったから…朝食作りに気合いを入れないと…と思って…」

アリス、ヨシュア、エルデスにエリエスが戻った事でアルバート家は9人の大所帯になっていた。その分、食事作りも大仕事になるのである

サーシャとミルはいつもより早起きして朝食作りの準備を始めていたのだが、サーシャを慕い健気に彼女の手伝いをしようと毎日張り切っているコハラコだが…まだ5歳という事もあるし、吸血姫という種族的にも朝は弱いので今朝もまだ布団の中だった



【アルバート家の朝食】
「みなさん揃いました?」

「カルーアとヒイロがまだみてーだな…」

「アタシ起こしてくるぅ!」

食事の用意が終わるまでには、サーシャたち以外の者もゾロゾロ起きて集まっていたのだが…ヒイロとカルーアが居ないので、アリスが起こしに行こうとした


「ガチャ」
「やぁ、おはようみんな。今朝は早起きだね…」

アリスがヒイロ達の部屋の前に来た時に扉は開き、中から下半身を抑えながらヨタヨタ歩くカルーアが出てきた

「おはようカルーア!…どうしたのぉ?お股を抑えちゃってさぁ?」

「ヨイショっと…実はね…大変な目にあってね…まったくヒイロったら…」
 

何とか自分の椅子まで辿り着いたカルーアは、まるでお婆さんの様に椅子に座った。彼女の後からは申し訳なさそうな顔をしたヒイロも出てきた

「おや~?お2人ともお疲れの様ですね~昨夜は早く就寝されたと思ったのですが~?」

いつもと違う様子の2人に、エルデスを始め他の者たちも何事か?と2人を見ているが、またも事情を察したエリスア様はクスクスと笑っていた

「お2人ともお盛んですねー(笑)」

「あ、いや、その…あはは…」

昨夜カルーアとヒイロにナニがあったのか?を察しているのはエリスアだけでなく、顔を赤くしてモジモジしているエルデスも理解しているようだ

「あー!分かったですの!ヒイロお兄さまったら遂に、お客さんの居る夜にも関わらず激しくカルーアお姉さまを可愛がったのですね❤︎サーシャも呼んで頂ければ参加しましたのに~♪」

今回も母と呼べるエリスア様の態度から、カルーアとヒイロが昨夜ナニをしていたか読み取ったサーシャは大興奮している

「ε٩(๑>ω<)۶з サーシャまで参加しなくて良いんだよ!そんな事されたら…わたしの身体が壊れちゃうだろ!」

「んまっ!?」

カルーアの恥ずかしさを誤魔化すような強い言い方から、昨夜アリスお姉様とヨシュアの生合体を妄想したエリエスは、ヒイロとカルーアがまさにその行為に励んでいた事を理解して、顔を真っ赤にして下を向いた

「ヒイロお兄さまも、カルーアお姉さまを可愛いがりたいのはサーシャも激しく同意しますけど…やり過ぎてお姉さまを壊しちゃわないか?心配ですの(笑)」

「全くヒイロったらさ!お客さんが居る時は激しい行為は控えようね。って言っていたのにさ…「ソレが逆に萌えちまうんだ。な、良いだろ?」じゃないんだよ!全くもう!!」

カルーアの言い方から昨夜の彼女の行為がそうとう激しかった。と理解した一同



【食後】
「ご馳走様でしたわ。朝ご飯までもてなしていただいて有難うございました。それでは私(わたくし)はお爺様とお祖母様に顔を出すので、1度帰らせていただきますね。明日の朝に冒険者ギルドに集合ですね?間違いなく伺(うかが)いますわ。それでは皆さん、また明日ですわ」

「じゃあねぇ。エリエスちゃん、また明日ねぇ♪」

今日のところは祖父母の元に帰ることにしたエリエス。薄着の服にアーマードレスを重ね着するとドアを開いた。帰って行くエリエスをアリス達が見送った


「それじゃ後片付けが終わったら、長期遠征用に食材とか常備品とか買いに行こうと思いますけど…どなたかご一緒していただけます?」

「コハラコ行くノ!」

サーシャが買い物に出かけると聞いたコハラコは、すかさず手を挙げた!…結果、サーシャ、コハラコ、アリス、ヨシュアの4人で出掛けて行った


「それじゃ俺は仕事するか…」

「昨夜あんなに激しくわたしを可愛がったクセに、ヒイロは今日も元気だね…」

「まぁな!鍛冶屋は体力が資本だからな!……ん?どうかしましたかエリスア様?」

食事を済ませたヒイロが鍛冶屋の仕事をしようと工房内に入ろうとした時、何やら心配そうな顔をしているエリスア様が気になった

「ヒイロ、カルーア…あのですね…私は未来予知というのはあまり得意な方ではないのですが…今朝から妙な胸騒ぎがするのです…」

「どんな感じの事なのですか~?」

精霊と会話出来るエルデスは精霊から教えられると、たまに予言的なことも出来なくはないのでエリスア様の言葉が気になった

「今回のクエスト中に……誰かの未来が閉ざされてしまう…そんな気がしてならないのです…」
 

「未来が閉ざされる。って…」

「ソレは…死んじゃう。って事なのかい?」

惑星神であるエリスア様の口から予想だにしなかった台詞が出てきたので、非常に驚いてしまうヒイロとカルーアたち

「先程も言った通り【未来予知】は私の専門外なのでそんなに自信は持てないのですけど…こんなに強く感じてしまうと…黙ってはいられないのです…」


「じゃ、じゃあ!今回の遠征は中止にしては?僕は…万が一サーシャさんが死んだら生きて行けません!!」

その性格から普段は強い言葉を言えないミルだが、今回のクエスト中にパーティの中から死者が出そうだ
なんて話を事もあろうに惑星神であるエリスア様の口から聞かされては、とても黙っていられないミル

「確かに…ミルの意見に賛成です。本来、俺たちはその【マナティート地方】とは全く関係が無いんです。何とかガイア様からのお願いは断れないのですか?」

アルバート家の大黒柱であるヒイロも、惑星神であるエリスア様の予知で誰か死ぬかも知れない?なんて聞かされては、そのクエストは放棄するべきだ!と考えた

「しかし…この星の【獣神ファルバァス】が地球に逃げ延びて、数多くの地球人の生命を奪ってしまった時などは、とても詫びの入れようもない程の迷惑を掛けてしまっていますし…」


この星の神であるエリスア様は、自分の星で生まれた凶悪生物が他の星で大虐殺をしてしまった星の神からの…ましてや、自分の上司にあたる神からの頼み事を断るのは難しいだろう

「アリス姉さんが地球に行ってる時にも手助けしてくれたんだろう?なら、わたし達も断りにくいよね…」


いつも余裕の表情でアルバート家の家族の様子をクスクス笑っていたエリスア様が、こんなにも深刻な表情で心配しているのだ

エリスア様が初めて魅せる深刻な表情から、カルーア達にもその不安は重くのしかかっていた



続く
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