ようこそ幼い嫁候補たち④

龍之介21時

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夢忘れ編

カルデア森林帯

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【カルデア森林帯入り口関所】
マナティート地方へと向かう三姉妹たちが国の境界線付近まで来た時、関所を守るゴツイ体格の数人の兵士が立ち塞がった

「お前さん達ここより北上するのは危険過ぎる、引き返すんだな!」

ヘルメス街から北上すると広大な草原帯が続き、それが切れて【カルデア森林帯】に入る直前に魔物の侵入を監察する為の監察用砦があった

立ち寄った冒険者たちに軽く飲食を与える場でもあり、冒険者の荷物を預かる場所でもある。もちろん国営なので信頼度は高い。ソコを運営している砦長が、この先に進むな!と彼女たちに警告してきたのだが…

「何ですか貴方たちは?…お姉様たちの行く手を遮るのであれば、この私が容赦致しませんわよ!!」

道中ずっと慕っているアリスとベタベタしながら行軍するつもりでいたが、予想外な事にヨシュアが付いて来たことで、ご機嫌ななめなエリエスが男たちに喰ってかかる

「待て待て…と、ほとんど全ての冒険者たちに言っているんだが…知っているぜ!あんたらヘルメスの街の三姉妹【アルバートファミリー】だろ?」

「あらあらご存知でしたの?」
「有名人なノ!」

引き止められた時に「自分たちは心配無用ですの!」と言おうとしたサーシャだったが…既に彼女たちは大陸中の有名人である。砦長のオジサンも、若いスタッフたちも彼女達を止める気は無いようだ

「乗ってきた馬たちは我々が責任をもってお預かりさせていただきますので、道中お気を付けください!」

【カルデア森林帯】は起伏が激しく馬にとっては厳しい悪路が多い。更に【ルナティック大山脈】となると環境も厳しくなるので、馬は監察用砦に預ける形になるのだ

馬を預けた一行は砦のスタッフに挨拶をし、手を振りながら徒歩で先へ進んで行った

……………………………………………

「あのさぁ姉さん」

「なによぉカルーア…」

マナティート地方に向けて進行する三姉妹たちと【ホロミナティ】のメンバー。その中でヨシュアに擦り寄るノエールにイライラしながらも、本人はエリエスにベタベタされているアリス

「自分は今までエリエスさんとヨシュアの2人から好かれておいて、いざヨシュアが他の女からアプローチを受けたからって、その態度はどうかと思うよ?」

「うっ!…それは、そうなんだけどぉ…」

カルーアの意見は正論であり子供のような感情になっているアリスは、何も言い返せないでいた

「ヨシュアやエリエスさんに対して何か不安に思っている事でもあるのかい?」

恐らくアリスに恋路を宣言しているヨシュアとエリエスが、あまりに飛び抜けた人材なので姉のアリスが、どちらかを選ぶ事は出来ないのだろう。と予測しているカルーア

「あのね…エリエスちゃんは良い子なんだけど…やっぱり、ほら…同じ女の子でしょ?…本当に良いのかなぁ?って思っちゃうし…ヨシュアもカッコ良い人なんだけど…魔王の息子じゃない?だから、彼と一緒になったら…カルーア達と敵対する立場になっちゃうのかなぁ?って…どうしたら良いか?分かんないのぉ…」

「へぇ…姉さんにしては凄い深いところで真面目に考えていたんだね。これは驚きだよ…」

「ちょっとカルーア!どういう意味よぉ!」

カルーアの予想に反して、天真爛漫で純粋天然のアリスはかなり真面目に考えているようである


「………お姉様…」

カルーアに「大切な話をするから少し離れててよ」と言われ距離を置いていたエリエスだが…彼女自身には聞こえなかったが…彼女の専用武器である精霊剣ロマーニャから会話の内容を聞かされたエリエスも、下を向いて考え込むことになってしまった

アリスたちが、それだけ真剣に悩んでいるのを他所目にヨシュアにベタベタ擦り寄っているノエール。その様子を見つめる他のホロミナティのメンバーは…

「全くノエールには困ったものだにぇ…まだまだ騎士見習いレベルなのに、色恋沙汰にうつつを抜かしてる場合じゃないにぇ!コレから危険なエリアを幾つも抜かなきゃイケないのに…たるんでるにぇ!!」

ホロミナティのリーダーであるミコは、メスを出しているノエールにご立腹のようだ

「まぁまぁリーダー良いじゃないですか!」

ノエールの恋路が成功するのか?女子高生の感覚で興味を持っているサケマタは、ノエールを応援しようとしていた

「それにですよミコ様。逆にそれだけ厳しいクエストなのですから「是が非でも生きて帰るぞ!」と思えれる理由があるのは良い事だと思いますよ?ミコ様がマリニウムに残してきたお姉さんの存在が励みになっている様にね!」

「Σ( ⩌⥐⩌).。oうーん…ノエールの頑張れる理由か…まぁ…それなら仕方ないにぇ」

(コヨリィめ、ミコの内心をそこまで読み取っているなんて…頼もしいけど油断ならない奴だにぇ…)

コヨリィの賢さに感心しつつも、彼女の鋭過ぎる読みに少し恐怖を感じているミコだが…コヨリィから説得されたミコは、実にアッサリとその言葉を受け入れていた

(チョロいですね~)
(くっそチョロ(笑))

コヨリィとサケマタは心の中でミコのチョロさに笑った。しかし、それは馬鹿にするとかではなく「自分たちの愛すべきリーダーはこうでなくちゃね!」という気持ちである

「それはそうと…砦を出てから2時間は経過したハズですけど…魔物たちと全然遭遇しませんね」

以前アリス達とこの森の討伐クエストに参加していたエリエスは、前回は何度も激しい攻撃を受けたのに今回は全く戦闘をしてない事が腑に落ちないようだ

「そりゃ魔物たちだって馬鹿じゃないからよ。前回アレだけ返り討ちにしてくれた同じメンツが、更にメンバーを増やしてきてるんだ。無闇やたらには攻撃して来ないだろうさ…ヤツらだって生命は惜しいだろうからな」

「ふむ。言われてみれば、そうですね…なるほどヨシュアも意外と賢いのですね(笑)」

「喧嘩売ってんのかテメェ!」

ヨシュアの説明に同意しながらも、彼に喧嘩を売るのも忘れないエリエス

「ε٩(๑>ω<)۶зもう。アリス姉さんもヨシュアも、いつまでもジャレてるんじゃないよ!大概の冒険者ならもう生命の危険!と言えるエリアに入ってるんだよ?」

良い加減カルーアは2組みのジャレあいにイライラしてきたようだ。すかさずサーシャが彼女に擦り寄る

「もぉカルーアお姉さまったら。自分の愛しのヒイロお兄さまが居ないからってヒガムのは良くないと思いますの……モミモミ❤︎」

「うるさいなぁ!ひがんでなんかないよ!それに!ドサクサに紛れてどこ触ってんのさ、サーシャは!全くもう…」

カルーアを慰めようとしたのか?単にカルーアの胸を揉みたかっただけなのか?サーシャは声を掛けると同時に、カルーアの胸を背後から揉んでいた

猛者揃いの彼らは、国境付近まで来ているのにも関わらず明るい雰囲気で行軍していたが…その時カルーアの探知魔法が何かを感じ取ったようだ

「んっ!?みんな気を付けてよ!かなり強いヤツが接近してくるよ!!」

カルーアの真剣な声に、全員が一瞬で真剣な表情に変わった。ここまで賑やかにきていた彼女たちだが、歴戦をくぐり抜けてきた者たちはスグに戦闘モードにスイッチを入れた

冒険者の行く手を塞ぐ【カルデア森林帯】の中央に来た頃、彼女達の前に強力な魔物たちが立ち塞がった!



続く
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