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夢忘れ編
エクスカリバー誕生
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【ヘパイトス工房】
クーパー老夫婦がエリエスを連れて【ヘルメスの街】に引っ越して来てから、早1年が過ぎようとしていたあの日のこと…
「バタンっ!!」
「すみません!アテナ様はいらっしゃいませんか!?」
「ヽ(`Д´#)ノ こりゃー!扉が壊れてしまうじゃろうがっ!何の用なのだ?騒々しいのぅ…」
ヘルメスの街の守備兵の若い男が、ヘパイトス工房の玄関のドアを荒々しく開けて入って来た
「じ、実は……」
……………………………………………
若い男の話によると…西の方角から機械の身体をした人型が現れ、クエストをこなしていた冒険者と遭遇し圧倒的な強さを魅せたらしい
死傷者を出しながらも冒険者たちは、生命からがら街へと逃げ延びたが…その人型兵器3体が街に向かって来ているようだ
「鉄の身体をした奴らには…剣も魔法も歯が立たず、我々では足止めにもならないので…はぁはぁ…真っ先に報告をしに…」
逃げ延びた冒険者の話では…鋼鉄製だけでなくミスリル製の装備でさえ、その人型兵器にはカスリ傷さえも付けられなかったらしい
「ふむふむ。それではワシらが出るしかないのぅ。旦那さんや、腕は錆びてはおらんかね?(笑)」
「何をぬかしておる…そうじゃのう。久しぶりの好敵手のようじゃ、いつも飾っておるばかりで錆らせていかんな…」
アテナは笑みを浮かべてヘパイトスを、討伐クエストに誘った。すると彼は工房の奥から、光り輝く見事な業物のソードを握り締めて戻ってきた
「お爺様、そのソードは?」
「ワシの最高傑作【エクスカリバー】じゃ!」
彼の持つソードは、エリエスがこの家の中で数々の見事なソードを見てきたが、ソレらのデキを遥かに凌ぐ素晴らしいソードだった
【ヘルメスの街付近】
ゆっくりと街に近付く人型兵器。その姿を見て恐怖に駆られている街の冒険者たち。だが!クーパー夫婦だけが笑顔で仁王立ちしていた
「まるで闘気は感じられんのに…凄まじい戦闘力じゃのう…こりゃー久々に全力を出せるかも知れんのぅ(笑)」
「婆さんや、良い年なんだから無理をするでないぞ」
「まだ、そこまで老いてはおらんわい…行くぞ!」
アテナは人型兵器目掛け凄まじい速さで突進して行った。空間をも切り裂くような人型兵器の剛腕から繰り出される打撃を、ケタケタ笑いながら舞うように躱(かわ)すアテナ
ヘパイトスも彼女に続き、流れるような体運びでソードを振り上げた。両腕でガードの構えを取った人型兵器。だが、ヘパイトスのエクスカリバーは…そのまま人型兵器を真っ二つに斬り裂いた
「(ノ゜ο゜)ノ オオォォォー」
「すげぇ!!」
「なんて斬れ味だ!」
ヘパイトスのエクスカリバーの前では、凄まじい硬さを誇る人型兵器の身体であっても、その斬れ味の前にアッサリと切り刻まれた!
「どっせい破壊力ぅー!!」
アテナの正拳突きを胸に喰らった人型兵器も、薄いガラスが強い衝撃を受けたかのように「バリン!」と大きなヒビ割れが入って動きを停止した
「なんじゃ!もう残り1体かえ?」
「さて婆さん、ドチラが喰らうとするかのう?」
手練の冒険者たちを圧倒した人型兵器と言えど、クラウン城が誇る2人の前では稽古相手くらいにしかならなかった
【その日の夜】
今夜も仲良く川の字で寝る3人。のハズだったのだが…昼間の人型兵器との戦いでエクスカリバーに魅了されていたエリエス
「お爺様!エリエスにもあのソードを作って頂けませんか?私(わたくし)もあのエクスカリバーを持ちたいです!」
ヘパイトスのエクスカリバーの斬撃の凄さに魅了されたエリエスは、自分もエクスカリバーが欲しくて堪らないようだ
「良いかエリエス。ワシの腕を頼ってワシにソードを作って欲しい!と来る者は後を絶たん。しかしじゃ!ワシは2度とエクスカリバーは作らぬじゃろう…なにせ、アレは鍛冶師が自分の為だけに製作するものだからじゃ」
「そうでしたか……しかし!ソコを何とか!!」
普段なら祖父母の言葉に聞き分けの良いエリエスだが、今回ばかりは簡単に聞き入れるつもりは無いようだ
「…ならばエリエスよ。ワシの鍛冶師の技術をモノにせよ。そしてエリエス用のエクスカリバーを、エリエス自身の手で作り上げるのじゃ!」
「…分かりました!やります!やらせてください!!」
エクスカリバーは極上級の鍛冶師が自分の為だけに造れる武器だった。レア中のレア武装と言われるエクスカリバーが何故、世の中に滅多に見る事がないのか。その理由を理解したエリエス
「それにじゃ…」
「まだ条件があるのですか?」
「エクスカリバーは素材も大切なのじゃ」
「それは、どのような物なのですか?」
「材質自体は限定されてはいないのじゃがな…肝心なのは精霊を宿している鉱石である事が必須なのじゃ!」
「…生きた鉱石ということですか?…そんな鉱石。どうやって見つければ良いのですか?流石に…滅多に無いものですよね?」
「ふふ。ついてまいれ」
ヘパイトスはエリエスを連れて工房の奥に向かった。工房の奥にある大きな釜、ソレをエリエスに動かさせると…大きな釜の下の部分の床には蓋(フタ)が有りソコを開けると…中には紅い鉱石が納められていた
「お爺様…まさかコレが?」
「そうじゃ。いつかお前が自分の為のエクスカリバーを創りたくなった時の為にと用意しておいた【精霊ロマーニャ】が宿る鉱石【グラフィム】じゃ。どうじゃ作ってみるか?」
「…………お願いします!ヤラせてください!!」
この日からエリエスは剣術の訓練を止め、ヘパイトスに付きっきりになり鍛冶師のスキルを身に付けていった
アテナから格闘技を5ヶ月習いSランクに手が届く迄に達した後、ヘパイトスから剣術を習っていたエリエスだが…自分だけのエクスカリバーを造る夢が出来たので、戦闘訓練を一切止めて鍛冶師スキルを磨く為に祖父の工房に入り浸って…3年の月日が流れた
【エクスカリバー完成】
「お爺様!お祖母様!遂に完成しましたわ♪」
格闘技も剣術も数ヶ月でかなりのレベルまで習得出来るほどのエリエスであっても、エクスカリバーを作り上げるまでに3年の月日を要した
「遂に!じゃないわ!何て早さで作り上げたんじゃ…ワシのプライドが砕けそうじゃわい……ワシが30年の月日を注いで磨き上げた鍛冶スキルをコピーし、精霊鉱石からエクスカリバーを創り出すのに…僅か3年じゃと?…とんでもない習得の早さじゃな。エリエスは…」
「お爺様とお祖母様の孫ですからね!…でも、それもクラウン城の秘宝と呼ばれた鍛冶師と格闘家の2人の教えがあったからこそですわ!」
この時にはまだエリエスに、彼女が古代遺跡から発見された超人類である事は伏せていたクーパー夫婦
何故なら、この頃からエリエスは少し慢心する様になってきているのを、2人とも感じ取っていたからだ。2人はいつか天狗になりつつある孫娘を負かしてくれる、彼女と同世代の存在が現れる事を期待していた
それからエリエスはエクスカリバーを使いこなせる様になる為と、精霊ロマーニャが自我を持つまでの育成をする為にアテナと共に武者修行の旅に出たのである
……………………………………………
「…爺さんや、帰ったぞい…」
「ふふふ…もはや、このエリエスとまともにやり合えるは…お爺さまとお祖母様くらいしか居ませんわ♪」
しかし、高い実戦経験を積んで【ヘパイトス工房】に戻った時には、彼女の天狗の鼻は伸びキリ祖父母を悩ませていた
続く
クーパー老夫婦がエリエスを連れて【ヘルメスの街】に引っ越して来てから、早1年が過ぎようとしていたあの日のこと…
「バタンっ!!」
「すみません!アテナ様はいらっしゃいませんか!?」
「ヽ(`Д´#)ノ こりゃー!扉が壊れてしまうじゃろうがっ!何の用なのだ?騒々しいのぅ…」
ヘルメスの街の守備兵の若い男が、ヘパイトス工房の玄関のドアを荒々しく開けて入って来た
「じ、実は……」
……………………………………………
若い男の話によると…西の方角から機械の身体をした人型が現れ、クエストをこなしていた冒険者と遭遇し圧倒的な強さを魅せたらしい
死傷者を出しながらも冒険者たちは、生命からがら街へと逃げ延びたが…その人型兵器3体が街に向かって来ているようだ
「鉄の身体をした奴らには…剣も魔法も歯が立たず、我々では足止めにもならないので…はぁはぁ…真っ先に報告をしに…」
逃げ延びた冒険者の話では…鋼鉄製だけでなくミスリル製の装備でさえ、その人型兵器にはカスリ傷さえも付けられなかったらしい
「ふむふむ。それではワシらが出るしかないのぅ。旦那さんや、腕は錆びてはおらんかね?(笑)」
「何をぬかしておる…そうじゃのう。久しぶりの好敵手のようじゃ、いつも飾っておるばかりで錆らせていかんな…」
アテナは笑みを浮かべてヘパイトスを、討伐クエストに誘った。すると彼は工房の奥から、光り輝く見事な業物のソードを握り締めて戻ってきた
「お爺様、そのソードは?」
「ワシの最高傑作【エクスカリバー】じゃ!」
彼の持つソードは、エリエスがこの家の中で数々の見事なソードを見てきたが、ソレらのデキを遥かに凌ぐ素晴らしいソードだった
【ヘルメスの街付近】
ゆっくりと街に近付く人型兵器。その姿を見て恐怖に駆られている街の冒険者たち。だが!クーパー夫婦だけが笑顔で仁王立ちしていた
「まるで闘気は感じられんのに…凄まじい戦闘力じゃのう…こりゃー久々に全力を出せるかも知れんのぅ(笑)」
「婆さんや、良い年なんだから無理をするでないぞ」
「まだ、そこまで老いてはおらんわい…行くぞ!」
アテナは人型兵器目掛け凄まじい速さで突進して行った。空間をも切り裂くような人型兵器の剛腕から繰り出される打撃を、ケタケタ笑いながら舞うように躱(かわ)すアテナ
ヘパイトスも彼女に続き、流れるような体運びでソードを振り上げた。両腕でガードの構えを取った人型兵器。だが、ヘパイトスのエクスカリバーは…そのまま人型兵器を真っ二つに斬り裂いた
「(ノ゜ο゜)ノ オオォォォー」
「すげぇ!!」
「なんて斬れ味だ!」
ヘパイトスのエクスカリバーの前では、凄まじい硬さを誇る人型兵器の身体であっても、その斬れ味の前にアッサリと切り刻まれた!
「どっせい破壊力ぅー!!」
アテナの正拳突きを胸に喰らった人型兵器も、薄いガラスが強い衝撃を受けたかのように「バリン!」と大きなヒビ割れが入って動きを停止した
「なんじゃ!もう残り1体かえ?」
「さて婆さん、ドチラが喰らうとするかのう?」
手練の冒険者たちを圧倒した人型兵器と言えど、クラウン城が誇る2人の前では稽古相手くらいにしかならなかった
【その日の夜】
今夜も仲良く川の字で寝る3人。のハズだったのだが…昼間の人型兵器との戦いでエクスカリバーに魅了されていたエリエス
「お爺様!エリエスにもあのソードを作って頂けませんか?私(わたくし)もあのエクスカリバーを持ちたいです!」
ヘパイトスのエクスカリバーの斬撃の凄さに魅了されたエリエスは、自分もエクスカリバーが欲しくて堪らないようだ
「良いかエリエス。ワシの腕を頼ってワシにソードを作って欲しい!と来る者は後を絶たん。しかしじゃ!ワシは2度とエクスカリバーは作らぬじゃろう…なにせ、アレは鍛冶師が自分の為だけに製作するものだからじゃ」
「そうでしたか……しかし!ソコを何とか!!」
普段なら祖父母の言葉に聞き分けの良いエリエスだが、今回ばかりは簡単に聞き入れるつもりは無いようだ
「…ならばエリエスよ。ワシの鍛冶師の技術をモノにせよ。そしてエリエス用のエクスカリバーを、エリエス自身の手で作り上げるのじゃ!」
「…分かりました!やります!やらせてください!!」
エクスカリバーは極上級の鍛冶師が自分の為だけに造れる武器だった。レア中のレア武装と言われるエクスカリバーが何故、世の中に滅多に見る事がないのか。その理由を理解したエリエス
「それにじゃ…」
「まだ条件があるのですか?」
「エクスカリバーは素材も大切なのじゃ」
「それは、どのような物なのですか?」
「材質自体は限定されてはいないのじゃがな…肝心なのは精霊を宿している鉱石である事が必須なのじゃ!」
「…生きた鉱石ということですか?…そんな鉱石。どうやって見つければ良いのですか?流石に…滅多に無いものですよね?」
「ふふ。ついてまいれ」
ヘパイトスはエリエスを連れて工房の奥に向かった。工房の奥にある大きな釜、ソレをエリエスに動かさせると…大きな釜の下の部分の床には蓋(フタ)が有りソコを開けると…中には紅い鉱石が納められていた
「お爺様…まさかコレが?」
「そうじゃ。いつかお前が自分の為のエクスカリバーを創りたくなった時の為にと用意しておいた【精霊ロマーニャ】が宿る鉱石【グラフィム】じゃ。どうじゃ作ってみるか?」
「…………お願いします!ヤラせてください!!」
この日からエリエスは剣術の訓練を止め、ヘパイトスに付きっきりになり鍛冶師のスキルを身に付けていった
アテナから格闘技を5ヶ月習いSランクに手が届く迄に達した後、ヘパイトスから剣術を習っていたエリエスだが…自分だけのエクスカリバーを造る夢が出来たので、戦闘訓練を一切止めて鍛冶師スキルを磨く為に祖父の工房に入り浸って…3年の月日が流れた
【エクスカリバー完成】
「お爺様!お祖母様!遂に完成しましたわ♪」
格闘技も剣術も数ヶ月でかなりのレベルまで習得出来るほどのエリエスであっても、エクスカリバーを作り上げるまでに3年の月日を要した
「遂に!じゃないわ!何て早さで作り上げたんじゃ…ワシのプライドが砕けそうじゃわい……ワシが30年の月日を注いで磨き上げた鍛冶スキルをコピーし、精霊鉱石からエクスカリバーを創り出すのに…僅か3年じゃと?…とんでもない習得の早さじゃな。エリエスは…」
「お爺様とお祖母様の孫ですからね!…でも、それもクラウン城の秘宝と呼ばれた鍛冶師と格闘家の2人の教えがあったからこそですわ!」
この時にはまだエリエスに、彼女が古代遺跡から発見された超人類である事は伏せていたクーパー夫婦
何故なら、この頃からエリエスは少し慢心する様になってきているのを、2人とも感じ取っていたからだ。2人はいつか天狗になりつつある孫娘を負かしてくれる、彼女と同世代の存在が現れる事を期待していた
それからエリエスはエクスカリバーを使いこなせる様になる為と、精霊ロマーニャが自我を持つまでの育成をする為にアテナと共に武者修行の旅に出たのである
……………………………………………
「…爺さんや、帰ったぞい…」
「ふふふ…もはや、このエリエスとまともにやり合えるは…お爺さまとお祖母様くらいしか居ませんわ♪」
しかし、高い実戦経験を積んで【ヘパイトス工房】に戻った時には、彼女の天狗の鼻は伸びキリ祖父母を悩ませていた
続く
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