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夢忘れ編
奪われた未来
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【陽が沈む頃】
三姉妹たちは、かなりの劣勢に立たされていた。銀翼竜(クレリアワイバーン)と戦いを初めてから間もなく1時間が経過する頃、陽は山陰に消えようとしていた
他人数を相手にしていたマーマルの死角から、吸血光線(メカラビーム)をブチ当てたコハラコ。マーマルを心配するリュウキとテウ。だが…
「なに情けない声を出してるのさ…僕があの程度の光線を喰らったくらいでダメージになる訳がないだろう?…ん?お気に入りのサンバイザーが無いね…魔法補助で便利なアイテムだったんだけど…ま、仕方がないね」
立ち込めた煙の中から全く無傷のマーマルが現れた。彼女は埃(ほこり)まみれになった服を、手で「パンパン」とはたいた
「ちっ、攻撃も防御も半端ねーな…もしかすると魔王クラスの強さなんじゃねーのか?」
遥かに想像の斜め上を行くマーマルの強さに度肝を抜かれているヨシュアは、彼女なら元の肉体の頃の父親(ザッド)とも良い勝負が出来そうだ。と本気で思っていた
「なぁ、カルーアもそう思わねーか?…カルーア?」
別に同意が欲しかった訳でも無かったのだが…割と律儀なカルーアが返事もしない事に違和感を感じたヨシュアが彼女に振り返ると…
【光糸細工(シークェット)!】
リュウキとテウの視線がマーマルに注がれていて、自分がノーマークになってる事に気が付いたカルーアは、地面に手を付け地の中に魔法の糸を伸ばし、エリエスの身体をがんじがらめにして強制的に引っ張り上げた!
「そりゃーっ!!」
「うわあああっ!?」
エリエスはカルーアに1本釣り。される様な形で宙を舞い地面に降り立った。彼女に繋がって引っ張り挙げられたコヨリィとノエール
「ザン!…ふぅ、ありがとうカルーアちゃん!」
「はぁはぁ…もう魔力が限界なんだ…戦果を期待させてもらうよ。エリエスさん…」
「任せてくださいませ。いかに強いと言えど…魔法使いとのタイマンで遅れを取る私(わたくし)ではございませんわ!」
近距離で向き合うエリエスとマーマル。確かにエリエスの言う通りで、超高速で移動し精密で鋭い斬撃を繰り出せる彼女の前に立った魔法使いが、彼女の攻撃から生き延びるは至難の業だろう
「( ≖ᴗ≖)ニヤッ♪テウ!僕とリュウキの位置を入れ替えてよ!」
「任せて。位置交換(アンナンブラン)」
テウが袖の中に隠し持っている宝石の中から、浅黒い物を取り出して発光させると…
「こんな事が!?」
「何だと!?」
一瞬にしてマーマルとリュウキが入れ替わり、エリエスの目の前にリュウキが立ちはだかっていた
「さて…【土円環流(グランドストーム)】は引っ込めるかな。逃げられたんだから出してても仕方ないからね」
マーマルはエリエスを生け捕りにしようと出した砂地獄の魔法を引っ込めると、カルーアとヨシュアに向き直り余裕の笑みを浮かべた。彼女が魔力の供給を遮断すると、さっきまで渦巻いていた地面があっという間に元の姿に戻った
「とことん小細工が得意な人達ですね…ですが!私(わたくし)エリエス・クーパーは!キマイラ如きに遅れは取りません!」
「ぐぬぅ!やるじゃないか!」
「ギイィン!」
エリエスの斬撃の速さはヨシュアよりも更に速く、猛者であるリュウキも彼女の攻撃はソードで防ぐのが限界の様だ。だが…
「ぐっ…うあああぁ!エリエス!ソイツから離れてください!」
「えっ!?何!?今度はどんな攻撃!?」
エリエスの武器【エクスカリバー】に宿る精霊ロマーニャが急に苦しみ出した。慌ててリュウキから距離を取ったエリエス
何故ロマーニャが苦しみ出したのか?原因が全く分からないエリエスだが…
「オイオイお前よ…さっきアタシが彼らにこの刃太剣(ラージソード)の特殊能力を説明してやったのを聞いてなかったのか?」
「そうか!!武器防具に付与されてる属性力を無効化させる能力(チカラ)だよ!ソレがロマーニャさんの存在を消そうとしたんだよ!」
「うひょー。エルフ…いや、ハイエルフだったね。お前さん本当に洞察力ヤバいな。全くもってその通りだよ」
つまり、リュウキが使っているマーマル特製の刃太剣(ラージソード)に触れると、ソレに付与されている属性が消されてしまうのだ。エクスカリバーに宿るロマーニャも、その例外ではなかったのだ
「…と言うことは、何度もソードを重ねると…ロマーニャが消滅してしまう。と言うのですか?」
「ふはは、その通りさ。ようやく理解したかい!アンタ剣士としては鬼強だけど、頭の回転ではあのハイエルフはおろか、アタシにも及ばないねぇ!」
とんでもないハンデを負っている事に気付かされたエリエス。リュウキの攻撃をエクスカリバーで防御出来ない!と悟ってから急に彼女の動きが悪くなってしまった(さっきまで砂地獄に飲まれまいと足掻いていたので、かなり体力も消費していた)
「ほらほらほら!そんな半端な動きしてたらアタシの攻撃を喰らっちまうぜぇ!!」
リュウキの攻撃を完全回避する必要が出来てしまったエリエスは、途端に窮地に立たされてしまった
「くっそがぁ!ならば俺がテメーをやってやるぜぇ!」
「【浮遊推進(レベチューン)】」
マーマルは【浮遊飛行(レベテート)】の上位版の飛行魔法を発動した。動きの滑らかさも移動速度も、カルーアが使う【浮遊飛行(レベテート)】よりも遥かに上だった。疲労が激しいヨシュアでは彼女を捕(とら)えられない!
「なんて速いのさ!わたしの魔法も当てられない!」
カルーアも得意の雷系の魔法を撃つが、自分が使う飛行魔法より上の【浮遊推進(レベチューン)】で移動するマーマルに、魔法を当てる事は出来なかった
「カルーアお姉さま!」
サーシャはエルデスが張っている結界の中で、たった1人でサーシャとエルデスを守り続けた痛みと疲労で気絶しているアリスに、回復魔法を掛けながらカルーア達の戦いを見守っていた。
「ヨシュア様…信じております」
エルデスも祈るようにヨシュアを眺めていた。が…
「ようやく解析完了ですー。厄介な術式でしたわー。こんなに時間が掛かるとは思わなかったわー。さて、ソチラのエルフちゃん。大人しくしていてね。マーマル様が貴女を必要としているのー」
「ひ、ヒイィィィ!!いつの間に後ろに!?」
テウが宝石を握っている手で、エルデスが張っている結界に触れると…まるでソレは存在していなかったかの様に消えて無くなった
「左手に持っている宝石にー、マーマル様の【認識阻害(ハードゥーン)】の魔力がー、右手の宝石には同じくマーマル様が込めた【無効化(ファラウェィ)】の魔力が入っているのをー、使ったまでですよー」
2つの宝石を袖の中にしまったテウは、反対の袖の中から別の赤黒い宝石を取り出しエルデスの方に向けると…何やら小声で詠唱を始めた
「ブゥアッ!」
短めの詠唱だったが終わった途端、宝石から赤黒い煙が出てきてエルデスを飲み込もうとした!
「危ないですの!」
「パタッ…痛た…あっ!?サーシャちゃん?」
エルデスを突き飛ばしたサーシャは、彼女の代わりに宝石の中に飲み込まれて消えてしまった
「サーシャママ!?」
突然、消えたサーシャに驚きの声をあげるコハラコ。不可思議な現象だが、みんなの目の前でサーシャは宝石に飲み込まれてしまった!
「目からビー…」
「おっとー、撃っちゃって良いんですかー?貴女のママも砕けちゃいますよー?(笑)」
テウは、サーシャを捕獲した宝石をコハラコの方に向けた。迂闊に攻撃すると大切なママがしんじゃうよ?と警告しているのだ
続く
三姉妹たちは、かなりの劣勢に立たされていた。銀翼竜(クレリアワイバーン)と戦いを初めてから間もなく1時間が経過する頃、陽は山陰に消えようとしていた
他人数を相手にしていたマーマルの死角から、吸血光線(メカラビーム)をブチ当てたコハラコ。マーマルを心配するリュウキとテウ。だが…
「なに情けない声を出してるのさ…僕があの程度の光線を喰らったくらいでダメージになる訳がないだろう?…ん?お気に入りのサンバイザーが無いね…魔法補助で便利なアイテムだったんだけど…ま、仕方がないね」
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「なぁ、カルーアもそう思わねーか?…カルーア?」
別に同意が欲しかった訳でも無かったのだが…割と律儀なカルーアが返事もしない事に違和感を感じたヨシュアが彼女に振り返ると…
【光糸細工(シークェット)!】
リュウキとテウの視線がマーマルに注がれていて、自分がノーマークになってる事に気が付いたカルーアは、地面に手を付け地の中に魔法の糸を伸ばし、エリエスの身体をがんじがらめにして強制的に引っ張り上げた!
「そりゃーっ!!」
「うわあああっ!?」
エリエスはカルーアに1本釣り。される様な形で宙を舞い地面に降り立った。彼女に繋がって引っ張り挙げられたコヨリィとノエール
「ザン!…ふぅ、ありがとうカルーアちゃん!」
「はぁはぁ…もう魔力が限界なんだ…戦果を期待させてもらうよ。エリエスさん…」
「任せてくださいませ。いかに強いと言えど…魔法使いとのタイマンで遅れを取る私(わたくし)ではございませんわ!」
近距離で向き合うエリエスとマーマル。確かにエリエスの言う通りで、超高速で移動し精密で鋭い斬撃を繰り出せる彼女の前に立った魔法使いが、彼女の攻撃から生き延びるは至難の業だろう
「( ≖ᴗ≖)ニヤッ♪テウ!僕とリュウキの位置を入れ替えてよ!」
「任せて。位置交換(アンナンブラン)」
テウが袖の中に隠し持っている宝石の中から、浅黒い物を取り出して発光させると…
「こんな事が!?」
「何だと!?」
一瞬にしてマーマルとリュウキが入れ替わり、エリエスの目の前にリュウキが立ちはだかっていた
「さて…【土円環流(グランドストーム)】は引っ込めるかな。逃げられたんだから出してても仕方ないからね」
マーマルはエリエスを生け捕りにしようと出した砂地獄の魔法を引っ込めると、カルーアとヨシュアに向き直り余裕の笑みを浮かべた。彼女が魔力の供給を遮断すると、さっきまで渦巻いていた地面があっという間に元の姿に戻った
「とことん小細工が得意な人達ですね…ですが!私(わたくし)エリエス・クーパーは!キマイラ如きに遅れは取りません!」
「ぐぬぅ!やるじゃないか!」
「ギイィン!」
エリエスの斬撃の速さはヨシュアよりも更に速く、猛者であるリュウキも彼女の攻撃はソードで防ぐのが限界の様だ。だが…
「ぐっ…うあああぁ!エリエス!ソイツから離れてください!」
「えっ!?何!?今度はどんな攻撃!?」
エリエスの武器【エクスカリバー】に宿る精霊ロマーニャが急に苦しみ出した。慌ててリュウキから距離を取ったエリエス
何故ロマーニャが苦しみ出したのか?原因が全く分からないエリエスだが…
「オイオイお前よ…さっきアタシが彼らにこの刃太剣(ラージソード)の特殊能力を説明してやったのを聞いてなかったのか?」
「そうか!!武器防具に付与されてる属性力を無効化させる能力(チカラ)だよ!ソレがロマーニャさんの存在を消そうとしたんだよ!」
「うひょー。エルフ…いや、ハイエルフだったね。お前さん本当に洞察力ヤバいな。全くもってその通りだよ」
つまり、リュウキが使っているマーマル特製の刃太剣(ラージソード)に触れると、ソレに付与されている属性が消されてしまうのだ。エクスカリバーに宿るロマーニャも、その例外ではなかったのだ
「…と言うことは、何度もソードを重ねると…ロマーニャが消滅してしまう。と言うのですか?」
「ふはは、その通りさ。ようやく理解したかい!アンタ剣士としては鬼強だけど、頭の回転ではあのハイエルフはおろか、アタシにも及ばないねぇ!」
とんでもないハンデを負っている事に気付かされたエリエス。リュウキの攻撃をエクスカリバーで防御出来ない!と悟ってから急に彼女の動きが悪くなってしまった(さっきまで砂地獄に飲まれまいと足掻いていたので、かなり体力も消費していた)
「ほらほらほら!そんな半端な動きしてたらアタシの攻撃を喰らっちまうぜぇ!!」
リュウキの攻撃を完全回避する必要が出来てしまったエリエスは、途端に窮地に立たされてしまった
「くっそがぁ!ならば俺がテメーをやってやるぜぇ!」
「【浮遊推進(レベチューン)】」
マーマルは【浮遊飛行(レベテート)】の上位版の飛行魔法を発動した。動きの滑らかさも移動速度も、カルーアが使う【浮遊飛行(レベテート)】よりも遥かに上だった。疲労が激しいヨシュアでは彼女を捕(とら)えられない!
「なんて速いのさ!わたしの魔法も当てられない!」
カルーアも得意の雷系の魔法を撃つが、自分が使う飛行魔法より上の【浮遊推進(レベチューン)】で移動するマーマルに、魔法を当てる事は出来なかった
「カルーアお姉さま!」
サーシャはエルデスが張っている結界の中で、たった1人でサーシャとエルデスを守り続けた痛みと疲労で気絶しているアリスに、回復魔法を掛けながらカルーア達の戦いを見守っていた。
「ヨシュア様…信じております」
エルデスも祈るようにヨシュアを眺めていた。が…
「ようやく解析完了ですー。厄介な術式でしたわー。こんなに時間が掛かるとは思わなかったわー。さて、ソチラのエルフちゃん。大人しくしていてね。マーマル様が貴女を必要としているのー」
「ひ、ヒイィィィ!!いつの間に後ろに!?」
テウが宝石を握っている手で、エルデスが張っている結界に触れると…まるでソレは存在していなかったかの様に消えて無くなった
「左手に持っている宝石にー、マーマル様の【認識阻害(ハードゥーン)】の魔力がー、右手の宝石には同じくマーマル様が込めた【無効化(ファラウェィ)】の魔力が入っているのをー、使ったまでですよー」
2つの宝石を袖の中にしまったテウは、反対の袖の中から別の赤黒い宝石を取り出しエルデスの方に向けると…何やら小声で詠唱を始めた
「ブゥアッ!」
短めの詠唱だったが終わった途端、宝石から赤黒い煙が出てきてエルデスを飲み込もうとした!
「危ないですの!」
「パタッ…痛た…あっ!?サーシャちゃん?」
エルデスを突き飛ばしたサーシャは、彼女の代わりに宝石の中に飲み込まれて消えてしまった
「サーシャママ!?」
突然、消えたサーシャに驚きの声をあげるコハラコ。不可思議な現象だが、みんなの目の前でサーシャは宝石に飲み込まれてしまった!
「目からビー…」
「おっとー、撃っちゃって良いんですかー?貴女のママも砕けちゃいますよー?(笑)」
テウは、サーシャを捕獲した宝石をコハラコの方に向けた。迂闊に攻撃すると大切なママがしんじゃうよ?と警告しているのだ
続く
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