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夢忘れ編
エルフの隠れ里
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【マナティート領境界線】
アテナからの説明も終わり、サーシャとヨシュアの事が心配で落ち着かないアリスの為にも、いよいよ出発しようとした時…少し離れた森から20騎ちょいの騎馬隊が現れた
トランプのダイヤの形の陣形を取っている彼らの中央のやや後方に、イカつい男たちに紛れて1人だけ可愛らしいエルフの少女が居た
「こちらに居られるのは我が軍の天才軍師であられる…」
「ホルン・グリンミストだ。ソナタ達は何用で、このマナティート領域に侵入しようとしているのだ?」
小さな女の子が騎兵隊に保護されている様に見えたのだが…そのホルンという女の子こそが、その隊の最高責任者のようだ
「友人に頼まれてのぅ。お主らの姫様の手助けに行くところなのじゃよ」
アルバートファミリーのパーティは平均年齢が若い。その為、1国の軍師…しかも天才と言われるほどの者との会話を、正しく出来そうなのは年長者のアテナくらいだろう(そのアテナも若返り中なので、見た目的に年配者は居ないのだが…)
「友人だと…怪しいな?姫様の生命を狙う輩の可能性も大いに有りうる…疑うようですまないが…何か身分を証明する術などは持っていないか?」
騎士団長のゲイツはアルバートファミリーのパーティを警戒している様だ。長期に渡り戦時中の領内。しかも不利な状況にあるのだから、その警戒心も致し方なし。と言ったところだろう
「ワシに任せておれ…」
するとアテナが前に出ると…誰も居ない方向に100メートルほど離れた位置に、2メートルほどの天然の岩があるのだが…ソレに向けて超高速の掌底を当てるモーションをした
「…………バゴォッ!!」
「(; ・`д・´)ナン…ダト!?」
「凄いな…この距離で…空砲か?」
アテナのモーションから数秒遅れて、100メートル先にある岩が派手に砕かれた!
「ほっほっほ(笑)ワシはクラウン城で任命された格闘家アテナじゃ。巷(ちまた)では【武闘女神】などと呼ばれておるがの…」
下手に説明するよりも、彼女の実力の片鱗を魅せる方がよっぽど説得力のある名刺になった
「(*꒪ዐ꒪)オォォ…武闘女神アテナ様でしたか!そうとは知らず無礼な言葉の数々、謝罪申し上げさせていただきます!」
100メートル離れた岩を飛び道具さえも使わずに砕いたアテナの格闘術は、初めて彼女を見た者でさえも彼女が【武闘女神】だと信じるに足る凄い技だ。ソレに彼はアテナに対する容姿にも微かな記憶があるようだ。ゲイツは素早くアテナに詫びを入れた
「……ゲイツ。彼らと落ち着いて話がしたい。あの森に入って彼らとゆっくり話し合おう。砦への帰還予定時間までは、どの程度の猶予が有る?」
「えー…1時間と少し程度ならば大丈夫かと」
「ソナタらと話がしたい。邪魔の入らぬ所で話そう。すまぬが付いてきてくれ」
アルバートファミリーはゲイツ率いる騎馬隊の後を追い、彼らが出てきた森の中へ入って行った
【廃墟と化した里】
森の中を歩く一行。しばらくすると似た様な大木に覆われている景色が目の前にやってきた。その中へ入っていくホルン達についていく三姉妹たち。その時…
「んっ!…何だい?いま変な感覚がしたような…」
森の中心部に開けた場所があった。その場所に入る時、カルーアは妙な違和感を感じたようだ。辺りをキョロキョロ見渡している
「カルーアさんも感じましたか~?今のはまるで~エルフの里の結界を超えた時のような~感覚でしたね~」
エルデスもカルーアが感じた似たモノを体験したようだ
平野地帯に入ると、ゲイツの指揮の元、彼の部下たちがテキパキと動き椅子やテーブルを配置した。2名居る女性の騎士が茶菓子の用意をすると、あっという間に優雅なお茶会場が出来上がった
【ホルン・グリンミスト】
「先ほどは疑うような物言い失礼しました。よもや大陸最強の格闘家アテナ様が、このマナティートに来ていただけるなどと夢にも思いませんでしたので…」
「いや構わんよ。ワシもお主の様な可愛らしいエルフさんが、噂に聞こえていた【天才軍師ホルン】だとは夢にも思わんなかったでのう(笑)」
周りの者たちは、立場が有る者同士の形式的な挨拶なのかと思ったが…お互いの腹の中も探り合う駆け引き的な要素も含まれていた
「はっはっは!(笑)流石はアテナ様。まだコチラが疑っていた事は見抜かれてましたか…実は…昨年中頃から魔族側に戦況を押し返され始め、昨年末にはコチラの城まで落とされてしまいました」
「居城が陥落させられたか…確かにソレは穏やかではないのぅ。致し方なしじゃな…」
「更には、つい先日王家の跡取りであるロミー様まで意識不明の重体となってしまったので、警戒せざるを得なかったのです」
「なるほどのぅ…ワシもズカズカ言ってすまんかったのぅ。疑いを晴らすのに最良の手は…相手の疑いを気付いているぞ!と匂わせながらホンネだけをズバズバ言うのに限るのぅ」
「流石はアテナ様。勉強になります」
アルバートファミリーには王宮育ちの者は1人も居ないので、アテナとホルンの会話にどのような裏の意味があったのか?は、まるで分からなかった
「ところで~ホルン様~この森は~侵入避けの結界が張られているように感じましたが~その割には生活感が有りませんね~」
エルデスは疑問に感じたことを素直にホルンにぶつけた
「うっ…」するとホルンは、やや悲しい表情になり言葉が止まった
しばらく思案した後ホルンは振り返り、何かを覚悟した表情で話し始めた
「ここは私が生まれ育った土地だ。その昔エルフだけが住む隠れ里だった。6年前…私がヴァル城攻略戦の指揮を取っている時に、魔物を率いた山賊たちに滅ぼされるまでは、な…その時に、私の妹【カシス】を含む里の者が全滅してしまった。この里を荒らされたくなくて、時折り侵入避けの結界を張りに来ているのだが…」
「待って…【カシス】だって!?…まさか!?ここは、わたしが生まれ育った里なのかい!?」
「カシスを…妹を知っているのか?貴様は何者だ?」
ホルンが語った亡くした妹の名前【カシス】と聞いた途端、それまで椅子に座り提供された紅茶を飲みながら、静かに話を聞いていたカルーアが立ち上がった!
続く
アテナからの説明も終わり、サーシャとヨシュアの事が心配で落ち着かないアリスの為にも、いよいよ出発しようとした時…少し離れた森から20騎ちょいの騎馬隊が現れた
トランプのダイヤの形の陣形を取っている彼らの中央のやや後方に、イカつい男たちに紛れて1人だけ可愛らしいエルフの少女が居た
「こちらに居られるのは我が軍の天才軍師であられる…」
「ホルン・グリンミストだ。ソナタ達は何用で、このマナティート領域に侵入しようとしているのだ?」
小さな女の子が騎兵隊に保護されている様に見えたのだが…そのホルンという女の子こそが、その隊の最高責任者のようだ
「友人に頼まれてのぅ。お主らの姫様の手助けに行くところなのじゃよ」
アルバートファミリーのパーティは平均年齢が若い。その為、1国の軍師…しかも天才と言われるほどの者との会話を、正しく出来そうなのは年長者のアテナくらいだろう(そのアテナも若返り中なので、見た目的に年配者は居ないのだが…)
「友人だと…怪しいな?姫様の生命を狙う輩の可能性も大いに有りうる…疑うようですまないが…何か身分を証明する術などは持っていないか?」
騎士団長のゲイツはアルバートファミリーのパーティを警戒している様だ。長期に渡り戦時中の領内。しかも不利な状況にあるのだから、その警戒心も致し方なし。と言ったところだろう
「ワシに任せておれ…」
するとアテナが前に出ると…誰も居ない方向に100メートルほど離れた位置に、2メートルほどの天然の岩があるのだが…ソレに向けて超高速の掌底を当てるモーションをした
「…………バゴォッ!!」
「(; ・`д・´)ナン…ダト!?」
「凄いな…この距離で…空砲か?」
アテナのモーションから数秒遅れて、100メートル先にある岩が派手に砕かれた!
「ほっほっほ(笑)ワシはクラウン城で任命された格闘家アテナじゃ。巷(ちまた)では【武闘女神】などと呼ばれておるがの…」
下手に説明するよりも、彼女の実力の片鱗を魅せる方がよっぽど説得力のある名刺になった
「(*꒪ዐ꒪)オォォ…武闘女神アテナ様でしたか!そうとは知らず無礼な言葉の数々、謝罪申し上げさせていただきます!」
100メートル離れた岩を飛び道具さえも使わずに砕いたアテナの格闘術は、初めて彼女を見た者でさえも彼女が【武闘女神】だと信じるに足る凄い技だ。ソレに彼はアテナに対する容姿にも微かな記憶があるようだ。ゲイツは素早くアテナに詫びを入れた
「……ゲイツ。彼らと落ち着いて話がしたい。あの森に入って彼らとゆっくり話し合おう。砦への帰還予定時間までは、どの程度の猶予が有る?」
「えー…1時間と少し程度ならば大丈夫かと」
「ソナタらと話がしたい。邪魔の入らぬ所で話そう。すまぬが付いてきてくれ」
アルバートファミリーはゲイツ率いる騎馬隊の後を追い、彼らが出てきた森の中へ入って行った
【廃墟と化した里】
森の中を歩く一行。しばらくすると似た様な大木に覆われている景色が目の前にやってきた。その中へ入っていくホルン達についていく三姉妹たち。その時…
「んっ!…何だい?いま変な感覚がしたような…」
森の中心部に開けた場所があった。その場所に入る時、カルーアは妙な違和感を感じたようだ。辺りをキョロキョロ見渡している
「カルーアさんも感じましたか~?今のはまるで~エルフの里の結界を超えた時のような~感覚でしたね~」
エルデスもカルーアが感じた似たモノを体験したようだ
平野地帯に入ると、ゲイツの指揮の元、彼の部下たちがテキパキと動き椅子やテーブルを配置した。2名居る女性の騎士が茶菓子の用意をすると、あっという間に優雅なお茶会場が出来上がった
【ホルン・グリンミスト】
「先ほどは疑うような物言い失礼しました。よもや大陸最強の格闘家アテナ様が、このマナティートに来ていただけるなどと夢にも思いませんでしたので…」
「いや構わんよ。ワシもお主の様な可愛らしいエルフさんが、噂に聞こえていた【天才軍師ホルン】だとは夢にも思わんなかったでのう(笑)」
周りの者たちは、立場が有る者同士の形式的な挨拶なのかと思ったが…お互いの腹の中も探り合う駆け引き的な要素も含まれていた
「はっはっは!(笑)流石はアテナ様。まだコチラが疑っていた事は見抜かれてましたか…実は…昨年中頃から魔族側に戦況を押し返され始め、昨年末にはコチラの城まで落とされてしまいました」
「居城が陥落させられたか…確かにソレは穏やかではないのぅ。致し方なしじゃな…」
「更には、つい先日王家の跡取りであるロミー様まで意識不明の重体となってしまったので、警戒せざるを得なかったのです」
「なるほどのぅ…ワシもズカズカ言ってすまんかったのぅ。疑いを晴らすのに最良の手は…相手の疑いを気付いているぞ!と匂わせながらホンネだけをズバズバ言うのに限るのぅ」
「流石はアテナ様。勉強になります」
アルバートファミリーには王宮育ちの者は1人も居ないので、アテナとホルンの会話にどのような裏の意味があったのか?は、まるで分からなかった
「ところで~ホルン様~この森は~侵入避けの結界が張られているように感じましたが~その割には生活感が有りませんね~」
エルデスは疑問に感じたことを素直にホルンにぶつけた
「うっ…」するとホルンは、やや悲しい表情になり言葉が止まった
しばらく思案した後ホルンは振り返り、何かを覚悟した表情で話し始めた
「ここは私が生まれ育った土地だ。その昔エルフだけが住む隠れ里だった。6年前…私がヴァル城攻略戦の指揮を取っている時に、魔物を率いた山賊たちに滅ぼされるまでは、な…その時に、私の妹【カシス】を含む里の者が全滅してしまった。この里を荒らされたくなくて、時折り侵入避けの結界を張りに来ているのだが…」
「待って…【カシス】だって!?…まさか!?ここは、わたしが生まれ育った里なのかい!?」
「カシスを…妹を知っているのか?貴様は何者だ?」
ホルンが語った亡くした妹の名前【カシス】と聞いた途端、それまで椅子に座り提供された紅茶を飲みながら、静かに話を聞いていたカルーアが立ち上がった!
続く
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