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夢忘れ編
名探偵マーマル
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【隠れ家の倉庫】
小屋の中で手足を縛られ動きを封じられて寝そべるヨシュアを、ウジ虫などを見るような目で見下ろしているマーマル
「よし…最後の選択肢をあげるよ。今すぐ素直に僕の問いに答えるか?それとも…今ここで死ぬことを選ぶのか?…さぁ、ドッチが良いんだい?」
師匠や仲間たちには人間味のある表情を魅せるマーマルだが、ヨシュアを見る目は下等生物を見下すような目をしている。気に入らなければ踏み潰すのみ!と目が語っていた
「…分かった。惑星神エリスア様の名に誓って本当の事を言おう。俺は【キウ・ケディータ】の息子だ」
この世界の…特に地上で生きる者が絶対的に信奉している神は【惑星神エリスア】だ。その彼女の名を口にして嘘をつくという行為は、その者の存在が無価値だと貶める事になる。だからこそ、階級の高い者ほど彼女の名前を出した時に嘘をつく事は有り得ない
「キウ・ケディータ…どこかで聞いた名前だな…」
「本当かい?嘘は言ってないだろうね?」
リュウキはその名前にピン!と来てないようだが…その名を聞いた途端マーマルの目は、見下す目から険しい目へと変化した
「ん?俺は全然覚えがないんだけど、マーマルは知っている名前なのか?」
合成魔族であるリュウキを身体中を弄られた為なのか?元々記憶力には自信が無いのか?心当たりが無い顔をしているが…
「【元魔王(ザッド)様】の奥様の名前だよ。そうだよねキミ?」
「あぁ間違いないぜ。俺の母親はキウ・ケディータだ」
頭の良いマーマルに、下手な嘘は全て見透かされる事を悟ったヨシュアは本当の事を言った。ただし父親の名前は言わなかった。それが元魔王(ザッド)との誓いだからだ
「おいおい、おかしいじゃねーかよ。元魔王(ザッド)様の奥様は元魔王(ザッド)様が戦死する半年前に亡くなったハズだぜ…それが22年前だから、どう考えても10歳くらいのお前を産むのは年数的に不可能だろうが、適当言ってんじゃねーよ!」
「…よし!2人とも取り敢えず昼ごはんにしよう。今度は僕自身の意思で推理したくなったからね」
ヨシュアが父親ではなく母親の名前を出したこと。頑(かたく)なに誰の子か言おうとしなかった事。それらの理由を自身の推理で当てたくなったマーマルは、取り敢えずそれ以上の追求をするのをやめた
【隠れ家のリビング】
「ええー!ヨシュア君てばキウ様の息子さんなのですかー?…なるほどー、それならお口も固くなっちゃいますねー」
マーマルに言われた通りに、4人分の昼ごはんの用意を終えて待っていたテウは、ヨシュアが元王妃(キウ)の息子と聞かされ凄く驚いた
「テウ。無力化のネックレス持ってたよね?それを彼に付けてくれ」
「はーい!さぁさ動いちゃ駄目ですよー……はいオーケー。一応断っておきますとー、腕力(ちから)で千切ろうとかすると、自動的に首が閉まって窒息死しちゃうからねー。さぁ召し上がれー」
「食べても良いのか?感謝する」
(テウ(ファーストネーム)だけなら聞かれても問題無いのか?フルネームが必要な解除方法が有るって事だな…それを知ればサーシャを助けられるか?)
マーマル遊撃隊の3人はヨシュアを加え、昼ごはんを食べ始めた。テウの料理を味わいながらもマーマルは「何故ヨシュアが元王妃の息子」という言い方をしたのか?推理していた
リュウキも多少は考えたようだが、頭を使うことに自信が無いのか?興味が無いのか?食べ始めたら考えるのをやめていた
テウに関しては考えているのか?いないのか?それも分からないほど顔に出ていなかった。その時、マーマルがスプーンとナイフを止めた
「そうか!元王妃(キウ)様は病死ではなかったんだね。身体が弱くて公務もマトモに行えなかったらしいから死んだ事にして、故郷辺りに匿(かくま)ったんだね?そして、今も生きていて…元魔王(ザッド)様の死後10年以上が経過して旦那様への愛を示したから、別の男性と関係をもちキミを産んだんだ!…これならキミが頑(かたく)なに血筋を説明しなかった…いや、出来なかった理由にシックリくるね。どうだい僕の名推理は?」
「…本当にアンタは賢いんだな。その通りだ。元魔王(ザッド)は戦争が嫌いだったらしい…だから母さんを死んだ事にして、戦争とは縁のない場所に送ったと聞いているぜ」
マーマルの推理は事実と約90%合っていると言えた。なので嘘を見破る能力が高い彼女の前で、返答する時のヨシュアの表情を見られても今度は見破られなかった
「なるほどな。元魔王(ザッド)様は王妃様を戦争から逃がしたかった。けど彼女の子供だと言えば、王妃(キウ)様が生きている事を教えることになっちまうもんな。そしたらまた戦争に巻き込まれちまうよな」
「それだけじゃないよリュウキ。王妃様の血を受け継ぐ者の存在が明るみになったら…今アレクス様の城で次期魔王として育てられているメイビー様と衝突する可能性も有るよね。そんな事になったら、魔族側が2つに分裂してもおかしくないね」
「ほえー、複雑な環境で産まれたんですねー。ちょっと同情しちゃいますねー」
無関心な様子だったテウも、話の答えを聞かされヨシュアに同情している様だが…あんまり興味は無いようだ
……………………………………………
「ご馳走様。テウ、お昼ご飯も美味しかったよ。食後の紅茶を4人分頼むよ」
「喜んでもらえて良かったですよー。紅茶4人分承りましたよー」
どうやら食事に関しては全てテウに丸投げしているようで、調理から片付けまで彼女1人で行っているがテウは楽しそうにしていた。料理が好きなのか?マーマルに褒められるのが好きなのか?どちらかなのだろう
「しかしよ、そうなると別の疑問が生まれてきちまうよな?…何で王妃様の息子であるアンタがよ、人間側の者とパーティを組んでたんだ?最後に増援に来たヤツ【武闘女神】じゃねーか。彼女はクラウン所属のSS(ダブルエス)ランクだ。完全に人間側のハズだぜ」
王妃のキウは魔族の頂点だったザッドの嫁さん。ヨシュアがその息子なら、人間側の最英雄であるアテナに助けられる事など考えられないのだが…
「もしかして…テウの宝石に封じ込められた子が、彼女らの仲間だと知らずに恋に落ちてしまったとかかい?」
「はっ!名探偵かよ…まぁ、サーシャに惚れた訳じゃねーんだけどよ。義理の姉妹らしいんだが俺様は今、その長女の女と付き合っている。お前らが封じ込めたのは、その末っ子のサーシャなんだ」
「あー!なるほどね…だからキミは僕と交渉して彼女を助けようと、1人でこの隠れ家にやって来たのか…ふむふむ。ようやく全てを理解したよ。好きな女の子の為にカッコ良いところを魅せたいんだね…僕にも分かるよ」
「まぁ、概(おおむ)ねそんなとこだ」
自分の推理が的を得ていた事を知ったマーマルは満足気な表情を浮かべ、テウが用意してくれた紅茶を口に含んだ
(さてと…肝心なのはここからだよな。疑念は晴れたみてーだが、だからといってサーシャを解放してくれるとは限らねーよな…)
マーマルたちからの理解を得たヨシュア。後はどうやってサーシャの解放をしてもらうのか?マーマルとの駆け引きが始まる
続く
小屋の中で手足を縛られ動きを封じられて寝そべるヨシュアを、ウジ虫などを見るような目で見下ろしているマーマル
「よし…最後の選択肢をあげるよ。今すぐ素直に僕の問いに答えるか?それとも…今ここで死ぬことを選ぶのか?…さぁ、ドッチが良いんだい?」
師匠や仲間たちには人間味のある表情を魅せるマーマルだが、ヨシュアを見る目は下等生物を見下すような目をしている。気に入らなければ踏み潰すのみ!と目が語っていた
「…分かった。惑星神エリスア様の名に誓って本当の事を言おう。俺は【キウ・ケディータ】の息子だ」
この世界の…特に地上で生きる者が絶対的に信奉している神は【惑星神エリスア】だ。その彼女の名を口にして嘘をつくという行為は、その者の存在が無価値だと貶める事になる。だからこそ、階級の高い者ほど彼女の名前を出した時に嘘をつく事は有り得ない
「キウ・ケディータ…どこかで聞いた名前だな…」
「本当かい?嘘は言ってないだろうね?」
リュウキはその名前にピン!と来てないようだが…その名を聞いた途端マーマルの目は、見下す目から険しい目へと変化した
「ん?俺は全然覚えがないんだけど、マーマルは知っている名前なのか?」
合成魔族であるリュウキを身体中を弄られた為なのか?元々記憶力には自信が無いのか?心当たりが無い顔をしているが…
「【元魔王(ザッド)様】の奥様の名前だよ。そうだよねキミ?」
「あぁ間違いないぜ。俺の母親はキウ・ケディータだ」
頭の良いマーマルに、下手な嘘は全て見透かされる事を悟ったヨシュアは本当の事を言った。ただし父親の名前は言わなかった。それが元魔王(ザッド)との誓いだからだ
「おいおい、おかしいじゃねーかよ。元魔王(ザッド)様の奥様は元魔王(ザッド)様が戦死する半年前に亡くなったハズだぜ…それが22年前だから、どう考えても10歳くらいのお前を産むのは年数的に不可能だろうが、適当言ってんじゃねーよ!」
「…よし!2人とも取り敢えず昼ごはんにしよう。今度は僕自身の意思で推理したくなったからね」
ヨシュアが父親ではなく母親の名前を出したこと。頑(かたく)なに誰の子か言おうとしなかった事。それらの理由を自身の推理で当てたくなったマーマルは、取り敢えずそれ以上の追求をするのをやめた
【隠れ家のリビング】
「ええー!ヨシュア君てばキウ様の息子さんなのですかー?…なるほどー、それならお口も固くなっちゃいますねー」
マーマルに言われた通りに、4人分の昼ごはんの用意を終えて待っていたテウは、ヨシュアが元王妃(キウ)の息子と聞かされ凄く驚いた
「テウ。無力化のネックレス持ってたよね?それを彼に付けてくれ」
「はーい!さぁさ動いちゃ駄目ですよー……はいオーケー。一応断っておきますとー、腕力(ちから)で千切ろうとかすると、自動的に首が閉まって窒息死しちゃうからねー。さぁ召し上がれー」
「食べても良いのか?感謝する」
(テウ(ファーストネーム)だけなら聞かれても問題無いのか?フルネームが必要な解除方法が有るって事だな…それを知ればサーシャを助けられるか?)
マーマル遊撃隊の3人はヨシュアを加え、昼ごはんを食べ始めた。テウの料理を味わいながらもマーマルは「何故ヨシュアが元王妃の息子」という言い方をしたのか?推理していた
リュウキも多少は考えたようだが、頭を使うことに自信が無いのか?興味が無いのか?食べ始めたら考えるのをやめていた
テウに関しては考えているのか?いないのか?それも分からないほど顔に出ていなかった。その時、マーマルがスプーンとナイフを止めた
「そうか!元王妃(キウ)様は病死ではなかったんだね。身体が弱くて公務もマトモに行えなかったらしいから死んだ事にして、故郷辺りに匿(かくま)ったんだね?そして、今も生きていて…元魔王(ザッド)様の死後10年以上が経過して旦那様への愛を示したから、別の男性と関係をもちキミを産んだんだ!…これならキミが頑(かたく)なに血筋を説明しなかった…いや、出来なかった理由にシックリくるね。どうだい僕の名推理は?」
「…本当にアンタは賢いんだな。その通りだ。元魔王(ザッド)は戦争が嫌いだったらしい…だから母さんを死んだ事にして、戦争とは縁のない場所に送ったと聞いているぜ」
マーマルの推理は事実と約90%合っていると言えた。なので嘘を見破る能力が高い彼女の前で、返答する時のヨシュアの表情を見られても今度は見破られなかった
「なるほどな。元魔王(ザッド)様は王妃様を戦争から逃がしたかった。けど彼女の子供だと言えば、王妃(キウ)様が生きている事を教えることになっちまうもんな。そしたらまた戦争に巻き込まれちまうよな」
「それだけじゃないよリュウキ。王妃様の血を受け継ぐ者の存在が明るみになったら…今アレクス様の城で次期魔王として育てられているメイビー様と衝突する可能性も有るよね。そんな事になったら、魔族側が2つに分裂してもおかしくないね」
「ほえー、複雑な環境で産まれたんですねー。ちょっと同情しちゃいますねー」
無関心な様子だったテウも、話の答えを聞かされヨシュアに同情している様だが…あんまり興味は無いようだ
……………………………………………
「ご馳走様。テウ、お昼ご飯も美味しかったよ。食後の紅茶を4人分頼むよ」
「喜んでもらえて良かったですよー。紅茶4人分承りましたよー」
どうやら食事に関しては全てテウに丸投げしているようで、調理から片付けまで彼女1人で行っているがテウは楽しそうにしていた。料理が好きなのか?マーマルに褒められるのが好きなのか?どちらかなのだろう
「しかしよ、そうなると別の疑問が生まれてきちまうよな?…何で王妃様の息子であるアンタがよ、人間側の者とパーティを組んでたんだ?最後に増援に来たヤツ【武闘女神】じゃねーか。彼女はクラウン所属のSS(ダブルエス)ランクだ。完全に人間側のハズだぜ」
王妃のキウは魔族の頂点だったザッドの嫁さん。ヨシュアがその息子なら、人間側の最英雄であるアテナに助けられる事など考えられないのだが…
「もしかして…テウの宝石に封じ込められた子が、彼女らの仲間だと知らずに恋に落ちてしまったとかかい?」
「はっ!名探偵かよ…まぁ、サーシャに惚れた訳じゃねーんだけどよ。義理の姉妹らしいんだが俺様は今、その長女の女と付き合っている。お前らが封じ込めたのは、その末っ子のサーシャなんだ」
「あー!なるほどね…だからキミは僕と交渉して彼女を助けようと、1人でこの隠れ家にやって来たのか…ふむふむ。ようやく全てを理解したよ。好きな女の子の為にカッコ良いところを魅せたいんだね…僕にも分かるよ」
「まぁ、概(おおむ)ねそんなとこだ」
自分の推理が的を得ていた事を知ったマーマルは満足気な表情を浮かべ、テウが用意してくれた紅茶を口に含んだ
(さてと…肝心なのはここからだよな。疑念は晴れたみてーだが、だからといってサーシャを解放してくれるとは限らねーよな…)
マーマルたちからの理解を得たヨシュア。後はどうやってサーシャの解放をしてもらうのか?マーマルとの駆け引きが始まる
続く
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