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第9章 新世界狂想編 

愚者と言われた魔法国初代国王 ゼロード・フール

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「なるほど…… 魔力格差で階級社会化した処に、王位継承権を持つ者が居る男爵家の襲撃事件…… 魔法を封じる第4王子か…… 付いて来なさい」

事情を聞かれるままに、魔法国初代国王のダンジョンマスター【ゼロード・フール】さんに全てを話すと……

スケルトン化した髑髏な額を押さえた後、私達を奥に在る部屋に案内した。

「此処は……?」

「私の研究室兼マリオンの整備室だ。来なさい…… マリー、見覚えがあるかな?」

「……! ひと……!? パパ!ママ!」

「「「「「えっ!?」」」」」

「やはりか……」

「マリー様、ご安心を。お二人はマスターが治療中なのです」

「ちりょうちゅう……?」

「うむ、肉体の治療は完了した。後は…… 精神の問題だな」

「何故、マリー様の御両親が?」

「このダンジョンで倒れて居たのです」

「このダンジョンは、私の血族を見分けるからな…… 賊から逃れる為にダンジョンに入り傷付き倒れたのだろう」

この魔法国地下ダンジョンは…… 初代国王のゼロード様が作った隠れ家にして、次期国王を選定する儀式の場としての役目が在るとの事で。

「ダンジョンの最深部に到達して私に会う事が、次期王位を継承する儀式だ」

「かなり厳しい儀式だな」

「下手したら死んじゃうんじゃない?」

「王族が減りませんか?」

「そうならない様に、王族の方々は生きて地上に戻るシステムをダンジョンに設定しています」

「稀に王の隠し子を語る愚か者が死ぬがな…… そのマリーとマリーの母は、間違えなく私の血族だ…… マリーは、妻…… マリオンの面影が在る。まるで、子供のマリオンが現れた様だ」

「じゃあ…… 儀式の通りにマリー様が王位継承するのですか?」

「私は…… それでも構わんが……」

「今、マリー様が王位継承するのは…… 危険だと思われます」

「うむ…… 王位を継承して地上に戻っても、第4王子が黙っていまい…… 直ぐ様、命を狙われるのが落ちよ」

「ダンジョンから他国に逃れるのは?」

「マリー様の年齢と御両親が此処で治療中なので、留まる事が最善だと想定します」

「うむ…… 両親が目覚めるのも、時間の問題だからな」

「でも、儀式で第4王子が来ませんか?」

「そうだ! 自分で次期国王と名乗っていたぞ。王位を継承しに来るんじゃないか?」

「なるほど……」

「話を聞く限り…… 此処に来る可能性は低いかと」

「何故?」

「うむ、マリオンの言う通り話から推測するに…… 第4王子は【魔封じ】スキル特化ならば、此処迄来れんな」

「はい、それなりの戦闘が出来なければ…… 魔導機に勝てませんから」

「其処の妖精ちゃんの真似は出来まい…… まさか、ダンジョンを一直線に掘り進む者が居るとは…… 長生きをするものだ。ハッハッハッ」

「マスターは、正確には死人ですが……」

「しかし、戦闘特化の刺客を送り込む可能性が在りますよ」

「うむ…… 第4王子を消すか……」

「魔法スキル無しに出来ますか?」

「フッ…… 眷属神にその手のスキル持ちが仰山居たの……」

「その眷属神達は?」

「むろん、私の魔法の餌食よ」

「「「「「魔法の!?」」」」」

「愚者と言われた私の一族が産み出した【魔力変換】スキルと私の【魔術】スキルの併用での…… 魔封じは、現象を起こす過程に干渉して妨害するのだ。しかし、火を起こす過程は1つではあるまい?」

「条件を変えれば…… ライターでもマッチでも火が着く!」

「左様…… 魔力変換で干渉を防ぎ、魔法と魔術で現象を起こすのだ。現象が起きれば魔封じでは消せん」

「流石、伝説の魔法使い」

「私の一族は…… 魔法使いでも異端の者達だったからな…… もっとも、あの戦乱を生き残れたのは、今は動く事の無い友が作りし我が愛機…… 機神【ウィザード】が在ったからだが……」

「機神!? 在るんですか?」

「う、うむ…… 眷属神との最終戦闘で大破したが大切に保管している。友も亡くなり、もはや…… 修繕出来んが……」

「見たい! 見たいです! お願いします!」

「土下座するほど!?」

「お姉ちゃん…… また?」

「おねえさん? どうしたの?」

「なんでもないですよ。マリー様」

「頭を上げなさい」

「じゃあ!」

「見せたいのだが……」

「ウィザードは、此処には在りません。城の宝物庫に厳重に保管して在ります」

「そんな~…… よし、今から城の宝物庫に行って来る!」

「ダメ~! 絶対ダメだって! みんな、お姉ちゃん止めて!!!」

「ストップ! 待て待て、カナエ、ストップだ!」

「カナエ様! 落ち着いて、対策無しに突っ込むのは危険です!」

「カナエさん、ウィザードさんは逃げませんよ~!」

「う~…… 機神が…… ロボットが……」

「フム…… そんなにウィザードが見たいのか?」

「見たいです! 出来れば…… 直したいです!」

「うむ…… 解った。妖精の少女よ…… ウィザードをそなたにやろう」

「!? え、え!? ほ、本当に?」

「ああ…… その代わり、私の願いを1つ叶えておくれ…… 異端と言われた自分と同じ様な、異端視される魔法使いの保護に国を作った結果。幼き子孫達を不幸にした…… この愚者の願いを」

「マスター……」

「ご先祖さまは、わるくないよ! パパとママをたすけてくれたもの!」

「マリー様…… 良いでしょう。先ずは、その願い…… 叶えられるのか聞きましょう」

「うむ…… 実は…… マリーには……」

なるほど…… その願い。この元魔王が叶えてみせる!

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