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第10章 種を超えた妖精は夢と舞踊る編

霊峰に響く銃声!? 神になった魔王と仮面のヒーローの逃避行?

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 ~ 神国霊峰 ~

「何で霊峰に盗賊が付いて来るの!?」

「俺達の隠れ家が在ると…… でも、思ってるんじゃないか?」

今の私は…… ジノさんに背中合わせにおんぶ紐に縛られて、背負られた状態で後ろ向きタンデムでバトラー(バイク)で激走中!

「あ~! もう、しつこい!!」

はくとこくで、追って来る盗賊やらを狙撃しながら…… 何故、こんな事になったかを考えると……

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 ~ 少し前の冒険屋 ~

「ちょっと、神国の霊峰に行くけど…… 誰か、一緒に行く?」

「お!?…… 俺は、今回は用事があるな……」

デンライ君が、そそくさといなくなる……

「私達も、物産展で売れた商品の補充をしないと……」

「私も、ちょっとギルドに……」

冒険屋にいたメンバーが出て行く……

そして、私はひとり……

「あれ? カナエちゃんひとりか? 神国に行く用事が在るんだけど……」

「一緒に行きます!!!」

「あ…… うん」

ジノさんは、運営から聖女あのこの魔王ホムンクルスプラントの調査依頼を受けて、霊峰の在る聖域の調査に神国へ行くので…… 私も、ご一緒しました。

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「首都までは、何にも無かったのに……」

「たぶん…… 賞金稼ぎが絡んでるな」

「首都で私の称号を見られた!?」

「それだけじゃないな…… この感じだと賞金稼ぎと盗賊が手を組んでる可能性が高いな」

「どうしよう…… ジノさん?」

「とりあえずは、姿を隠してから……」

「姿を隠してから?」

ジノさんがバトラーで煙幕を出してから、不敵に笑いながら……

「反撃と行こうか♪」

と、言ったので……

「はい♪」

私も笑顔で返事を返し、木々の生い茂る霊峰の中へ。

「何処に行きやがった?」

「焦るな! もうすぐ頭が来る。そしたら…… 相手はたった二人…… 奴等も御仕舞いよ」

「来ました! 頭の【船】です!!」

250メートル級の空中戦艦が現れる!?

「てめ等! 道を開けろ! 機神が降りて来るぞ! 早くしろ!!」

空中戦艦の艦底が開くと…… 機神が10機、空中戦艦から降り立つ!

「ロック解除して機神に乗り込め! 山狩りだ!!」

「「「「「ウオォォォ~!!!」」」」」

その様子をうかがっていたカナエが呟く……

「あの機神…… 初めて見るタイプですね? 6メートル級機神?」

「アレか…… アレは、作業用機神を現地改修したヤツだな」

「作業用ですか?」

「ああ、機神と言うよりは…… 作業用特殊パワードスーツみたいな物だね。本来ならコックピットがむき出しで、一回り小さいはずだが……」

「コックピットと動力部が後付けで…… フレームだけ流用して武装は自作かな?」

「話だけ聞くと…… 腕の良いメカニックがいるみたいだな?」

「実際に良いと思いますよ。あんなにバランスが悪そうなのにガタ付きが無く動いてますから…… どんな人が組んだか気になります」

「母艦にいるかもな?」

「では、轟沈させない様に母艦を落として、なるべく壊さない様に無力化しましょう♪」

「了解だ」

私は腕時計型のタブレット端末を操作して、【ある物】を機動させた。

「な、何だ! ありゃあ!?」

「空飛ぶ…… 馬車か? ふざけたヤローだな…… 撃ち落とせ!」

ブオォ~ン!!

「頭! 奴等が空飛ぶ馬車に!」

「丁度良い…… あの馬車が来たって事は、奴等の隠れ家が近いぞ! 馬車に乗り込んで捕まえろ!」

「か、頭! 馬車の屋根が開いてます!」

「何!?」

セルフィナ王妃専用機になったヒロイン型機神【シンデレラ】の武装輸送支援ユニット【パンプキン】…… そのプロトタイプをカスタマイズした私専用50メートル級空中箱馬車型母艦【フェアリーボックス】から現れたのは……

「本当に、自分の身体の様に動くな…… 流石だな。カナエちゃん」

ジノさん専用ヒーロー型機神【マスクG】が二丁のショットガンを持って、テンガロンハットにズタボロのマントを羽織った西部劇のガンマンスタイルで立ち上がる!

「一応、ジノさんの戦闘スタイル用にデータリンクしてますが…… 慣らしながらお願いしますね?」

私カナエは小人化して、ジノさんと一緒に乗り込んでます。

「了解…… 行くぞ! マスクG出る!」

マスクGが母艦から飛び上がると……

「行けぇ~! マスクG♪ スタンショットだ!!」

「このぉ! 当たれぇ!!」

スタンショットで感電した機神をスパイダーが拘束して、コックピットから盗賊達を引きずり出してる。

『て、てめぇ等! 何者だ!?』

『ただの通りすがりの……『混沌神な妖精と』謎の変身ヒーローな機神乗りだ。運が無かったな……』

『行けぇ~! 盗賊狩りだぁ~♪』

『『『『『ぎゃあぁぁぁ~!?』』』』』

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「で、君達が…… この盗賊団のメカニックかな?」

「あ…… あなたたちは…… だれですか?」

敵盗賊機神を無力化して、敵盗賊母艦を制圧すると……

「君達は…… ドワーフの奴隷か?」

鎖に繋がれた5~6歳くらいの子供達が工具を構えていた。

「ボクたちは…… シュゾクがわからない…… うまれたときからドレイだから…」

「ボクたちは…… ウレノコリなの」

「ボクたちをウロウとしたドレイショウが、オカシラにコロされたの」

「ほかのドレイたちはウレタの…… やさしいかったおねいちゃん、キカイいじりをしこんでくれたおじいちゃんもいないの」

「ボクたち、ウレノコリは…… オカシラのやくにたたないとダメなんだ!」

震えながら…… 工具を構える子供に妖精の粉を掛けて、私は【神化】してから、優しく語りかける。

「大丈夫…… 君達は私が開放するから!」

カラン…… カランカラン!?
私の神化を見た子供達の手から工具が落ちる……

「カミさま……」「ヒソヒソ……」「カミさま?」「カミさま!?」

手を合わせて、子供達が私に祈り始める!?

どうやら…… 私は、小さな信者を得た様です。

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