神々のダンジョン~チートスキル【アイテムボックス】と【鑑定】でアラフォーおっさんは成り上がる~

葵はるか

文字の大きさ
20 / 65

ダンジョン米契約!

しおりを挟む
 何十回もダンジョン内の階段を往復する。
 階段で移動する階層は1階まで。
 理由は、10階層まで一度でも降りれば1階層から10階層までは神々が設置したエレベーターが利用できるからだ。
 そして、そのエレベーター前には、改札口のようなゲートが設置されていて冒険者カードを読み込ませればエレベーターまではいける。
 一方通行のみだと思っていたが、往復で階段を利用する冒険者達のせいで階段が混雑するので、少しでも移動を緩和するためにエレベーターの増設と地下から地上までの一方通行の設定が廃止されたようだ。

「サポート体制が、万全すぎる……。さすが日本の神様の対応は素晴らしいな」

 税金を絞り取るだけで私服を肥やす政治家や官僚は国が滅びない限り寄生先を失う事はない。
 むしろ国を食いつぶしても資産を海外に移してハイエナとして生きるまである。
 だから、まともに国家運営をしなかったからこそ30年以上、日本の経済は停滞していた。
 だが、日本の神々は違う。
 現実問題として少子化だと神々の存在が消滅するのだ。
 自身の命が掛かっている仕事をこなしている神々。
 それに対して、惰性で生きているだけの政治家と官僚や都知事。
 そりゃ神々の方がダンジョン運営に必死というのは自明の理と言ったところだろう。
 俺はエレベーターを利用して1階層から10階層までのフルーツや農作物を次々と採取しては1階層まで戻ってから地上に向けて100段以上ある階段を何往復もした。

「ハァハァハァハァ」

 往復が30回を超えてようやく出荷分の農作物やフルーツを配送トラックの担当者に渡し終えたところで駐車場に腰を下ろした。
 一度だけなら、100段くらいの階段は問題ない。
 だが30回! 60往復も階段を歩くと6000段となる。
 考えてほしい。
 学校の階段は、基本的に1階分上がるのに20段前後。
 つまり30階分の階段を数時間で歩いたことになるのだ。
 普段から運動をしない45歳のロートルの体に、それはそれは地獄のような試練だ。

「アイテムボックスの容量を何とかして増やさないと死んでしまう……」

 10代とか20代の若い時ならいざ知らず、もうすぐ50歳になるのだ。
 マジで死ぬという単語ワードが脳裏を横切る。
 俺は必死にキュウリを食べて何とか年齢をぎりぎりに保つために努力することは決めた。

「あ! 佐藤さん!」
「あ……」
「どうかしましたか?」

 途中で運動不足で、息を切らした俺は綾小路さんと名前を言えなかった。
 だって両足が、生まれたての小鹿のようにプルプルしていたし、少しでも声を張り上げたら足がつりそうだったからだ。
 だが、取引相手前で、そういう失態はできないというプライドから笑みだけを浮かべた。

「いえ」
「そうでしたか。それで佐藤さんから預かった白米でしたが、かなり高品質な米ということでした。急遽集まった取締役会でも全会一致でダンジョン米を販売することを決めたのですが」
「そうですか……」
「佐藤さんとしては、10キロのお米をいくらで売りたいですか?」
「10キロ4000円でいいんじゃないですか? 5キロは2000円で」
「佐藤さんでしたら、そう言って頂けると思っていました。佐藤さんの取り分ですが、売り上げの3割で宜しいでしょうか?」
「あーいいですよ」

 どうせ加工も全て任せる感じになるのだから10キロでも1200円が手元にくるのだ。
 まったく問題ないどころか一日10トンとか売れるだけで120万円の売り上げになるし。

「では、すぐに契約をしましょう! ここにサインを! それと、10トントラックが10台来ますので、稲穂付きの新米をお願いします!」
「はい……」

 どうやらダンジョン米のために俺はさらに6000段の階段往復が決まったらしい。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話

TB
ファンタジー
岩崎理(いわさきおさむ)40歳バツ2派遣社員。とっても巻き込まれ体質な主人公のチーレムストーリーです。

【完結】テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

異世界に召喚されたおっさん、実は最強の癒しキャラでした

鈴木竜一
ファンタジー
 健康マニアのサラリーマン宮原優志は行きつけの健康ランドにあるサウナで汗を流している最中、勇者召喚の儀に巻き込まれて異世界へと飛ばされてしまう。飛ばされた先の世界で勇者になるのかと思いきや、スキルなしの上に最底辺のステータスだったという理由で、優志は自身を召喚したポンコツ女性神官リウィルと共に城を追い出されてしまった。  しかし、実はこっそり持っていた《癒しの極意》というスキルが真の力を発揮する時、世界は大きな変革の炎に包まれる……はず。  魔王? ドラゴン? そんなことよりサウナ入ってフルーツ牛乳飲んで健康になろうぜ! 【「おっさん、異世界でドラゴンを育てる。」1巻発売中です! こちらもよろしく!】  ※作者の他作品ですが、「おっさん、異世界でドラゴンを育てる。」がこのたび書籍化いたします。発売は3月下旬予定。そちらもよろしくお願いします。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった

海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。 ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。 そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。 主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。 ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。 それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。 ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

処理中です...