家庭菜園物語

コンビニ

文字の大きさ
75 / 95
2章

2-13 姉妹?

しおりを挟む
 守りの木、名前の通り草花ではない。
 無料だったのでとりあえず仕入れしてみたが、苗木の状態であった。

 名前的には土地を守ってくれるような木なのだろうか?
 でもこの土地には神様お手製の結界があるしなー。
 まぁせっかくだし植えておくか。

「お父さん、その木? なに」
「なんか神様がくれたみたいだから植えておくよ」
「私が育てます!」
「それじゃあ、お願いしようかな。あとは普通の草花の種も購入しないと」
「大臣は私なのに……」
「あはは、二人で可愛がってやってね」

 タイム、ミント、ローズマリー、ローリエ……よくわからんけど聞いたことのある草から育てもらおうか。

 あとは彩りの花だよなー。ラインナップを見る限り知らない花の名前が非常に多いので、定番のヒマワリとアサガオをチョイスする。

 夏に向けてはどんな花があるのかな? 見たことのない名前ばかりだったが、マリーゴールドとユリの花を見つけたので合わせて購入してみる。

 購入した種をエリゼちゃんに渡して、一緒に外に出る。
 花壇の設置場所を決めないといけない。家の前でいいだろうか?

「にゃーん」
「縁側にも彩りですか。そうですね、縁側と家の前に花壇を作りましょうか」

 家の前に二ヶ所、縁側に一ヶ所ほど設置場所を決めると、いつもの小人ドワーフの妖精さんが現れてあっという間に花壇が完成する。
 エリゼちゃんは終始、興味深そうに妖精さんを眺めていた。

 家の前にはヒマワリとアサガオを、縁側にはユリとマリーゴールドを植えることになった。

 モモとエリゼちゃんが仲良く? 種を植えていく。
 エリゼちゃんが雑に埋めていくので、さりげなくモモがフォローしているようだ。

 水をあげる際にも花にとっては致死量になりかねない量をかけようとして、モモに止められている。
 モモも手がかかって仕方ない、という顔をしていたが、前を向いて頑張ろうとするエリゼちゃんを応援しているようにも見えた。

「あとはこの守りの木とかいうのをどこに植えるかだなー」
「わん」

 どこに行っていたのか、前足を真っ黒にした大福が駆け寄ってくる。
 また泥遊びでもしていたのだろうか。

「大福様、また汚したんですか?」

 モモに土を払われて、大部分の泥は取れたものの、毛は黒く汚れている。
 洗うのが大変そうだ。

「わん!」
「お父さん、こっちに来てって」

 大福に導かれるまま、家の裏に行くと苗木を植えるのに丁度良さそうな大穴が空いている。
 気を利かせて掘ってくれたのだろうが、大福を洗う労力を考えるとペイはしきれていない気もする。
 けれど、褒めてほしそうな大福の顔に負けて、頭を撫でてやる。

 モモとエリゼちゃんで、苗木をゆっくりと穴に入れると周りの土で埋めていく。
 仕上げに水をかけて完了である。

 その瞬間、ふわりと風が流れた気がした。
 風鈴のような、かすかな音が聞こえたような……。

「……今、何か聞こえました?」
「え、気のせいじゃないか?」

 不思議そうに首をかしげるモモとエリゼちゃん。
 ただの木かもしれないが、“守りの木”という名前は伊達ではないのかもしれない。

「汚れたし、お風呂に入っておいで! あ、お風呂前に軽く水で流してなー」
「モモ、川に行こう!」
「井戸でいいじゃないですか」
「わん!」

 エリゼちゃんに引っ張られて行ってしまった。
 つい最近まではお嬢様だったとは信じられない野生児ぶりである。
 まぁ、元々お嬢様要素は少なかったけど。

「川遊び終わりに風呂に直ぐ入れるように用意しておくか」

 モモの面倒だけ見ていると——いや、今では俺が面倒を見られているのか?
 モモだけでは気づけなかった苦労も発見できて、なんだか楽しい。

 これが赤ん坊から育てるとなるともっと大変なんだろう。
 なんでもモモを基準にしてしまうのはよくないのかな。

「にゃーん」

 そろそろ嫁探しを焦った方がいいんじゃないかと言うが、この世界にはマッチングアプリもないし、閉鎖空間にいると出会いが少ないんだもん!

「今度、神様に会ったらもう一回、女性との出会いがあるようにお願いしてみますよ」
「にゃーん」

 またコントみたいな行き違いがないようになって、それはサイゼ様に言ってほしいんですけど。
 お風呂を用意して、夜のメニューも考えないとなぁ。

「にゃーん」
「角煮! いいですねー! でも煮込むのには時間かかりますし、昼は何が食べたいですか?」
「にゃーん」

 ラーメンか。確かに麺も作れるけどスープって難しそうなイメージがある。
 ちょっとレシピを調べてみよう。

 台所に入って、レシピを覗いてみる。
 角煮以上にラーメンスープ作りは時間がかかりそうだ。
 やっぱりラーメン屋さんって凄いなぁ。

 ……あ、でも鶏ガラスープの素とか麺つゆを使えば簡単に醤油ラーメンが作れそうだ。

 製麺機に小麦粉を入れてラーメン用の麺を選択。
 レシピに沿ってスープを作成する。
 具材は野菜大盛りでいこう。

 キャベツにネギ、もやしを入れて、肉も多めに用意する。
 なんか麺が主役じゃなくなりそうだけど、美味ければいい。

 角煮は豚っぽいブロックを切って、下茹で。
 醤油、砂糖、酒、みりん、生姜に水と茹で卵を加えて、下茹でした肉と一緒に鍋にぶち込む。

「帰ったわ!」
「ただいまですよ、エリゼさん」
「ただいまー!」
「おかえり。お風呂入れているから大福も一緒に頼んでもいいか?」
「わん!」
「エリゼさん、濡れてるので、裏から回りましょう」
「わかった! 大福様も洗っておくから任せて!」

 元気やなー。少しお腹も減ってきたし、先にラーメンを食べてしまうか。

「にゃーん」
「はいはい、すぐに用意しますからね」

 麺を手早く茹でて、スープが入った器に入れる。
 野菜と肉を山盛りにして準備完了。

「にゃーん」
「いただきます」

 うん、悪くない。簡易スープもいいねー。
 今度はもう少し手間をかけてスープを作ってみるのもいいかもしれない。

 ラーメンを食べ終わって、麦茶を飲みながら姉さんとゴロゴロしていると、中途半端に濡れた大福がリビングに飛び込んでくる。

「わん!」
「にゃーん」

 姉さんに冷たいと怒られたのか、大福は縁側に出て風の魔法で毛を乾かしてもらっている。

 遅れて、モモとエリゼちゃんのコンビもお風呂から上がってきた。

「いいお湯だったわ!」
「お父さん、お風呂ありがとう」
「いえいえ、昼ごはん用意するから座ってな」
「大丈夫、自分達でやるよ」
「そうか? だったら麺を茹でて具材乗せるだけだからやってみなさい」

 モモ達が台所に入ると、あーでもない、こーでもないと、わいわいとした楽しそうな声が聞こえてくる。

「モモ、私ものそのシャン! ってやつやらせて!」
「ダメです。絶対に麺を落としますよね?」

 確かに、湯切りは見てるとやりたくなってくるよね。実際ちょっと楽しいし。

「エリゼさん、具材乗せすぎです」
「いいじゃない!」
「麺がメインなのに行き着くまでに伸びてしまいますよ」

 手のかかる姉と、面倒見の良い妹って感じだな。


 




しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

中年オジが異世界で第二の人生をクラフトしてみた

Mr.Six
ファンタジー
 仕事に疲れ、酒に溺れた主人公……。フラフラとした足取りで橋を進むと足を滑らしてしまい、川にそのままドボン。気が付くとそこは、ゲームのように広大な大地が広がる世界だった。  訳も分からなかったが、視界に現れたゲームのようなステータス画面、そして、クエストと書かれた文章……。 「夢かもしれないし、有給消化だとおもって、この世界を楽しむか!」  そう開き直り、この世界を探求することに――

異世界に降り立った刀匠の孫─真打─

リゥル
ファンタジー
 異世界に降り立った刀匠の孫─影打─が読みやすく修正され戻ってきました。ストーリーの続きも連載されます、是非お楽しみに!  主人公、帯刀奏。彼は刀鍛冶の人間国宝である、帯刀響の孫である。  亡くなった祖父の刀を握り泣いていると、突然異世界へと召喚されてしまう。  召喚されたものの、周囲の人々の期待とは裏腹に、彼の能力が期待していたものと違い、かけ離れて脆弱だったことを知る。  そして失敗と罵られ、彼の祖父が打った形見の刀まで侮辱された。  それに怒りを覚えたカナデは、形見の刀を抜刀。  過去に、勇者が使っていたと言われる聖剣に切りかかる。 ――この物語は、冒険や物作り、によって成長していく少年たちを描く物語。  カナデは、人々と触れ合い、世界を知り、祖父を超える一振りを打つことが出来るのだろうか……。

弓術師テイマー少女の異世界旅 ~なぜか動物系の魔物たちにめちゃくちゃ好かれるんですけど!?~

妖精 美瑠
ファンタジー
高校弓道部の部長・赤上弓美は、大学合格発表の日に異世界クラシディアへ突然転移してしまう。 弓道一筋で真面目な彼女には密かな悩みがあった。それは“動物にだけはなぜか嫌われてしまう体質”――。 異世界で女神様に謝罪されながら三つの能力と「テイマー」という職業を与えられ、さらに容姿まで10歳の赤髪少女に変わってしまった弓美。 それなのに、なぜか動物系の魔物たちにはやたらと懐かれまくって……? 弓術師+テイマーという職業を駆使し、回復・鑑定・アイテムボックスまで兼ね備えた万能少女となったユミは、 この世界で出会いと冒険を重ねながら、魔物たちに囲まれて異世界旅を始めていく! 弓術師&テイマーになった幼女、癒しスキルでモフモフ魔物に囲まれてます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー ※素人ですが読んでくれると嬉しいです。感想お待ちしています。 毎週月曜日12時公開です。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

【完結】料理人は冒険者ギルドの裏で無双します

vllam40591
ファンタジー
東京の超一流レストランで命を削り、ついには過労死してしまった天才料理人・椎名栄作(29歳)。目を開けば、そこは魔法と魔物が存在する異世界「アストラル大陸」だった。 偶然にも毒蜘蛛に噛まれた少年を救ったことで、栄作は自分に特殊能力「味覚分析」が宿っていることを知る。触れるだけで食材の全てを理解し、その潜在能力を引き出せるこの力は、異世界の食材にも通用した。 石造りの町アーケイディアで冒険者ギルドの料理人として雇われた栄作は、やがて「料理魔法師」という稀有な存在だと判明する。「魔物肉」や「魔法植物」を調理することで冒険者たちの能力を飛躍的に高める彼の料理は評判となり、ギルドの裏で静かに"伝説"が生まれ始めていた。 「この料理、何か体が熱くなる…力が溢れてくる!」 「あのシェフのおかげで、SS級の討伐クエストを達成できたんだ」 戦うことなく、ただ料理の力だけで冒険者たちを支える栄作。 しかし古き予言の主人公「料理で世界を救う者」として、彼は「死食のカルト」という邪悪な組織と対峙することになる。 鍋と包丁を武器に、料理精霊を味方につけた栄作は、最高の一皿で世界の危機に立ち向かう。 現代で認められなかった料理人が、異世界で真価を発揮し「グランドシェフ」として成長していく姿を描いた、笑いと感動と食欲をそそる異世界美食ファンタジー。

科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜

難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」 高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。 だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや—— 「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」 「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」 剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める! 魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」 魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」 神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」 次々と編み出される新技術に、世界は驚愕! やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め—— 「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」 最強の頭脳戦が今、幕を開ける——! これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語! ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

処理中です...