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さくらさんには、モモの種族が神の影響で変わったことや、ガンジュさんの名前は伏せたものの獣人族の方々の来客があったこと、少し外の世界を知れたこと、そして知識を小出しにしすぎていることについて、少し文句を言った。
「せっかくの飯の種を……今後十年はこれで絞ろうと思っていたのに」
「どんだけ小出しにするつもりだったんですか」
「神とか、スケールがでかい話をしてくれるな。それに、お前がまさか人の親か。前進したものだな、でも娘ではなく嫁に迎える可能性が高いと思ってたが、意外だったよ」
「あんな幼い子に手を出したりしませんよ」
「そうか、私の時は同じくらいの年で婚約したものだがな。歳の差はたしか七歳差だったから、シチュエーションは違うが。もちろん私が成人するまでは夫も手を出してこなくて、初夜は……そう、熱い夜——」
チート厨二病さんは年下好きだったのかな。
「旦那さんって基本的に成人前の子と婚約することが多かったんですか?」
「そうだな。うちの夫は年下好きだったしな」
さいですか。まぁ、趣味趣向は人それぞれだよね。
当人たちが幸せで、この世界の法に触れてないなら問題なしだよ。
「へぇー……なんかすんませんでした。それでモモについて相談したかったんですが」
「聞こうじゃないか」
「モモの家庭教師、先生をお願いできないでしょうか?」
「ふむ。他では食えない美味い飯も食えることだし、多少の力を貸すのはやぶさかではないが、それは本人が望んだことなのかな?」
「いえ、それは俺の考えです。モモの可能性を広げてあげるのは、親である俺が考えるべきことかなって思っています。さくらさんが受けてくれるなら、俺が最終的には説得します」
「モモのことだ。悠が——父親が勧めてくることであれば、二つ返事だろうさ。悠の考えが間違ってるとは言わないよ。可能性を広げるために環境を整えるのは親の務めだ。だけど、その子の意思で学ばないと、伸びるものも伸びないよ」
「にゃーん」
姉さんの言うとおり、親になるってことは日々勉強だ。
あの子は俺より寿命が長い。これから先、どうなるかはわからない。
だからこそ知識は武器になるし、困らないようにしてあげたいと思っていた。
「あとはこの世界の話を聞き齧っただけで、悠は自分の世界の基準で私に“家庭教師”として勉強を教えてほしいと言ってきてるだろ」
「そうですけど? 知識なんて、あって無駄にはならないでしょ」
「知識は大事だ。でも、それと同じくらい大事なものがある。わかるか?」
「お金ですか?」
「間違ってはいないが、知識があれば金はイコールで湧いてくるよ。悠も、わかってるんだろう?」
……でも、モモには危ないことはしてほしくない。
幸せに暮らしてほしい。
「にゃーん」
「そう、力だね。この世界では知識よりも力が重視される傾向がある。野蛮な世界なんだよ、お前が思ってる以上にね。私であれば、それを含めて教えることができる。逆に、知識だけを教えろという話には乗れないね、あの子のためにも」
「わかってるつもりです。でも、知識をつけてもっと成長してから、自分で考えて必要に応じてじゃダメなんですか?」
「にゃーん」
甘い、甘すぎる。
先ほど“可能性を広げる”という話があったが、それこそ、お前が暴力に忌避感を持つという理由だけで、モモの可能性を潰していることになるんだぞ——と姉さんに言われてしまう。
「まぁまぁ、杏殿。そこが悠の良いところでもある。あの子は少し特殊だというのもあるが、君や大福の関係者であること、ハイエルフで、しかも白髪であること。否が応でも、存在が知れれば巻き込まれる。私はモモには、知識よりもまず“力”だと思っているよ」
大福は神獣として、俺も関係者だからって何かに巻き込まれる危険性が生まれるのか。
白髪ってのも、よくわからないけど珍しい存在って聞いてるし、これから外に出ることがあれば、さくらさんの言うような危険もあるのかも知れない。
……てか、“ハイエルフ”って何?
「申し訳ありません、二つ質問してもいいですか? モモがハイエルフって、どういうことなんでしょうか? エルフとは別物なんですか?」
「ん? 神から説明があったのではないのか?」
あのファミレス神が、そんな細かいことまで解説してくれるわけがない。
「ハーフエルフなら人の一・五倍、エルフなら二倍。ハイエルフなら、魔力が尽きない限り生きるよ。私がそうだ」
さくらさんがハイエルフ。
違う存在だと言われても、なんとなく納得できる。
モモもまた同じような存在になっていたとはなぁ。
将来、さくらさんみたいにならないように、しっかり礼儀や料理を教えておこう。
「俺には、そんな長い間生きるなんて考えられないです。神様に騙されたわけじゃないかもしれないけど、モモは大丈夫でしょうか」
「知らん。私だって望んでハイエルフに生まれてきたわけじゃないし、夫や子どもが先に死んだときには、後悔もしたし、死のうとも考えた。でも、長く生きていれば、悲しみ以上に楽しいこともある。最終的には、本人が割り切るしかない」
「にゃーん」
この二人が言うと、重みが違うな。
ところで姉さんって、何回くらい転生してるんだろうか。
「にゃーん」
いずれ来る終わりまで、今を楽しむだけですか。
「ずっと先のことよりも、今は見える範囲のことを考えないといかんだろうな。今回の件は悠には少し荷が重い。私に任せてはみないか?」
どうしよう……不安しかない。
「せっかくの飯の種を……今後十年はこれで絞ろうと思っていたのに」
「どんだけ小出しにするつもりだったんですか」
「神とか、スケールがでかい話をしてくれるな。それに、お前がまさか人の親か。前進したものだな、でも娘ではなく嫁に迎える可能性が高いと思ってたが、意外だったよ」
「あんな幼い子に手を出したりしませんよ」
「そうか、私の時は同じくらいの年で婚約したものだがな。歳の差はたしか七歳差だったから、シチュエーションは違うが。もちろん私が成人するまでは夫も手を出してこなくて、初夜は……そう、熱い夜——」
チート厨二病さんは年下好きだったのかな。
「旦那さんって基本的に成人前の子と婚約することが多かったんですか?」
「そうだな。うちの夫は年下好きだったしな」
さいですか。まぁ、趣味趣向は人それぞれだよね。
当人たちが幸せで、この世界の法に触れてないなら問題なしだよ。
「へぇー……なんかすんませんでした。それでモモについて相談したかったんですが」
「聞こうじゃないか」
「モモの家庭教師、先生をお願いできないでしょうか?」
「ふむ。他では食えない美味い飯も食えることだし、多少の力を貸すのはやぶさかではないが、それは本人が望んだことなのかな?」
「いえ、それは俺の考えです。モモの可能性を広げてあげるのは、親である俺が考えるべきことかなって思っています。さくらさんが受けてくれるなら、俺が最終的には説得します」
「モモのことだ。悠が——父親が勧めてくることであれば、二つ返事だろうさ。悠の考えが間違ってるとは言わないよ。可能性を広げるために環境を整えるのは親の務めだ。だけど、その子の意思で学ばないと、伸びるものも伸びないよ」
「にゃーん」
姉さんの言うとおり、親になるってことは日々勉強だ。
あの子は俺より寿命が長い。これから先、どうなるかはわからない。
だからこそ知識は武器になるし、困らないようにしてあげたいと思っていた。
「あとはこの世界の話を聞き齧っただけで、悠は自分の世界の基準で私に“家庭教師”として勉強を教えてほしいと言ってきてるだろ」
「そうですけど? 知識なんて、あって無駄にはならないでしょ」
「知識は大事だ。でも、それと同じくらい大事なものがある。わかるか?」
「お金ですか?」
「間違ってはいないが、知識があれば金はイコールで湧いてくるよ。悠も、わかってるんだろう?」
……でも、モモには危ないことはしてほしくない。
幸せに暮らしてほしい。
「にゃーん」
「そう、力だね。この世界では知識よりも力が重視される傾向がある。野蛮な世界なんだよ、お前が思ってる以上にね。私であれば、それを含めて教えることができる。逆に、知識だけを教えろという話には乗れないね、あの子のためにも」
「わかってるつもりです。でも、知識をつけてもっと成長してから、自分で考えて必要に応じてじゃダメなんですか?」
「にゃーん」
甘い、甘すぎる。
先ほど“可能性を広げる”という話があったが、それこそ、お前が暴力に忌避感を持つという理由だけで、モモの可能性を潰していることになるんだぞ——と姉さんに言われてしまう。
「まぁまぁ、杏殿。そこが悠の良いところでもある。あの子は少し特殊だというのもあるが、君や大福の関係者であること、ハイエルフで、しかも白髪であること。否が応でも、存在が知れれば巻き込まれる。私はモモには、知識よりもまず“力”だと思っているよ」
大福は神獣として、俺も関係者だからって何かに巻き込まれる危険性が生まれるのか。
白髪ってのも、よくわからないけど珍しい存在って聞いてるし、これから外に出ることがあれば、さくらさんの言うような危険もあるのかも知れない。
……てか、“ハイエルフ”って何?
「申し訳ありません、二つ質問してもいいですか? モモがハイエルフって、どういうことなんでしょうか? エルフとは別物なんですか?」
「ん? 神から説明があったのではないのか?」
あのファミレス神が、そんな細かいことまで解説してくれるわけがない。
「ハーフエルフなら人の一・五倍、エルフなら二倍。ハイエルフなら、魔力が尽きない限り生きるよ。私がそうだ」
さくらさんがハイエルフ。
違う存在だと言われても、なんとなく納得できる。
モモもまた同じような存在になっていたとはなぁ。
将来、さくらさんみたいにならないように、しっかり礼儀や料理を教えておこう。
「俺には、そんな長い間生きるなんて考えられないです。神様に騙されたわけじゃないかもしれないけど、モモは大丈夫でしょうか」
「知らん。私だって望んでハイエルフに生まれてきたわけじゃないし、夫や子どもが先に死んだときには、後悔もしたし、死のうとも考えた。でも、長く生きていれば、悲しみ以上に楽しいこともある。最終的には、本人が割り切るしかない」
「にゃーん」
この二人が言うと、重みが違うな。
ところで姉さんって、何回くらい転生してるんだろうか。
「にゃーん」
いずれ来る終わりまで、今を楽しむだけですか。
「ずっと先のことよりも、今は見える範囲のことを考えないといかんだろうな。今回の件は悠には少し荷が重い。私に任せてはみないか?」
どうしよう……不安しかない。
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その他、多数投稿しています。
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