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第15話 失態
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「……ズヤ、おい――カズヤ、起きろ」
ギルランスに起こされ和哉は目を覚ました。
どうやら馬車は止まっているようだ。
「う~ん……ギル?……もう着いたの?」
ぼんやりとした頭で目を擦りながら顔を上げた。
「ちげぇ……ちっと、小便行きてぇから、頭退かせ……」
その言葉にハッとした。
なんと、和哉はギルランスの膝枕で寝てしまっていたのだ。
(うわっ、ヤバイ!!)
「うわぁぁぁぁ!!ごめんっ!!!」
自分がとんでもない状況に陥っていた事に気付き、和哉は慌てて起き上がり飛び退くようにギルランスから離れる。
「ホント……ごめんなさいっ!!!」
耳まで熱くなっているのを感じつつ、両手を合わせ拝むようにして平謝りする和哉だが、ギルランスは素っ気なくフイと顔をそらしてしまう。
「……いや、別にいいが……」
そうぶっきらぼうに言うだけだった。
(お、怒ってる?……怒ってるよね!?)
彼の態度にオロオロしている和哉をよそにギルランスは顔を背けたまま馬車を降りた。
「気持ちよく寝てるとこわりぃが、ちっと行ってくる……俺が戻るまでここで休んでてくれ」
そして少し間を置いてボソリと呟くように言った。
「……怒っちゃいねぇから安心しろ……」
ギルランスはそのまま振り返る事なく森の茂みをかき分け、奥へ入って行ってしまった。
「……はぁ」
その後ろ姿を見送りながら和哉は大きな溜息をついた。
(……なにやってんだよ僕は……バカか?アホか?マヌケか?)
自分のしでかしてしまった失態に頭を抱える。
(よりにもよってギルの膝の上で爆睡するなんて……!まさか、涎とか垂らしてないよな!?)
出会った当初のギルランスであればそのまま馬車から投げ捨てられていてもおかしくない程の醜態だ。
それが今はどうだ――黙って膝枕をして和哉を寝かせてくれてたのだ。
(そう考えると……やっぱりギルはかなり優しくなったよな……でも、男に膝枕なんてホントは嫌だったろうなぁ……)
そしてふと頬に残るギルランスの太ももの感触や温もりを思い出して、妙にドキドキしてしまう。
(う~、なんだよ、もう……あ、もしかしてこれが俗にいう”吊り橋効果”ってヤツなのか!?……ちがうか!?)
そんなバカな事を考えつつ和哉は馬車を降りると、大人しく主の戻りを待っているルカに歩み寄ってその頭を優しく撫でながら話し掛けた。
「ねぇルカ、やっぱり君のご主人様って優しい人だよね――」
和哉の言葉にルカは返事でもするかのようにブルルッと鼻を鳴らす。
「それに、凄く強くてカッコいいし……きっと君の自慢のご主人なんだろうね」
そう言ってニッコリ微笑みかけるとルカも嬉しそうに尻尾を振った。
和哉は暫くルカの首を撫でて待っていたが、ふとギルランスの戻りが遅いような気がして辺りを見回す。
(そういえば、さっき結構森の奥まで入っていったな……もしかして大きい方かな?)
そんな事を考えているとガサガサと草を踏み鳴らしながらやっとギルランスが戻ってきた。
「おかえり!」
和哉が先程の失態を挽回するつもりで満面の笑みを作り迎えると、彼は視線を逸らし少し気まずそうな顔をしながらも答えてくれる。
「……おお……」
(……?)
何か彼の様子がおかしいような気がして和哉は首を傾げる。
怒っているのかとも思ったが、どうやらそうでもなさそうだが……よく見ると少し彼の顔が赤いように見え、和哉はハッとする。
「え、ギル――顔赤い気がするけど、熱でもあるんじゃ……?」
そう言って額に手を当てようとする和哉の手をギルランスは慌てて振り払った。
「いや、大丈夫だ、なんでもねぇ!それよりそろそろ出発するぞ!」
ギルランスは早口で捲し立てるように言うと馬車に飛び乗った。
(どうしよう……何か病気とかじゃなければいいんだけど……?)
そんな心配をしながら和哉はチラリと様子を窺うが、特に変わった様子は見られない。
よく分からないが、とりあえずそっとして様子を見る事にしようと思い、和哉はそれ以上追及する事なく大人しく馬車に乗り込んだ。
ギルランスに起こされ和哉は目を覚ました。
どうやら馬車は止まっているようだ。
「う~ん……ギル?……もう着いたの?」
ぼんやりとした頭で目を擦りながら顔を上げた。
「ちげぇ……ちっと、小便行きてぇから、頭退かせ……」
その言葉にハッとした。
なんと、和哉はギルランスの膝枕で寝てしまっていたのだ。
(うわっ、ヤバイ!!)
「うわぁぁぁぁ!!ごめんっ!!!」
自分がとんでもない状況に陥っていた事に気付き、和哉は慌てて起き上がり飛び退くようにギルランスから離れる。
「ホント……ごめんなさいっ!!!」
耳まで熱くなっているのを感じつつ、両手を合わせ拝むようにして平謝りする和哉だが、ギルランスは素っ気なくフイと顔をそらしてしまう。
「……いや、別にいいが……」
そうぶっきらぼうに言うだけだった。
(お、怒ってる?……怒ってるよね!?)
彼の態度にオロオロしている和哉をよそにギルランスは顔を背けたまま馬車を降りた。
「気持ちよく寝てるとこわりぃが、ちっと行ってくる……俺が戻るまでここで休んでてくれ」
そして少し間を置いてボソリと呟くように言った。
「……怒っちゃいねぇから安心しろ……」
ギルランスはそのまま振り返る事なく森の茂みをかき分け、奥へ入って行ってしまった。
「……はぁ」
その後ろ姿を見送りながら和哉は大きな溜息をついた。
(……なにやってんだよ僕は……バカか?アホか?マヌケか?)
自分のしでかしてしまった失態に頭を抱える。
(よりにもよってギルの膝の上で爆睡するなんて……!まさか、涎とか垂らしてないよな!?)
出会った当初のギルランスであればそのまま馬車から投げ捨てられていてもおかしくない程の醜態だ。
それが今はどうだ――黙って膝枕をして和哉を寝かせてくれてたのだ。
(そう考えると……やっぱりギルはかなり優しくなったよな……でも、男に膝枕なんてホントは嫌だったろうなぁ……)
そしてふと頬に残るギルランスの太ももの感触や温もりを思い出して、妙にドキドキしてしまう。
(う~、なんだよ、もう……あ、もしかしてこれが俗にいう”吊り橋効果”ってヤツなのか!?……ちがうか!?)
そんなバカな事を考えつつ和哉は馬車を降りると、大人しく主の戻りを待っているルカに歩み寄ってその頭を優しく撫でながら話し掛けた。
「ねぇルカ、やっぱり君のご主人様って優しい人だよね――」
和哉の言葉にルカは返事でもするかのようにブルルッと鼻を鳴らす。
「それに、凄く強くてカッコいいし……きっと君の自慢のご主人なんだろうね」
そう言ってニッコリ微笑みかけるとルカも嬉しそうに尻尾を振った。
和哉は暫くルカの首を撫でて待っていたが、ふとギルランスの戻りが遅いような気がして辺りを見回す。
(そういえば、さっき結構森の奥まで入っていったな……もしかして大きい方かな?)
そんな事を考えているとガサガサと草を踏み鳴らしながらやっとギルランスが戻ってきた。
「おかえり!」
和哉が先程の失態を挽回するつもりで満面の笑みを作り迎えると、彼は視線を逸らし少し気まずそうな顔をしながらも答えてくれる。
「……おお……」
(……?)
何か彼の様子がおかしいような気がして和哉は首を傾げる。
怒っているのかとも思ったが、どうやらそうでもなさそうだが……よく見ると少し彼の顔が赤いように見え、和哉はハッとする。
「え、ギル――顔赤い気がするけど、熱でもあるんじゃ……?」
そう言って額に手を当てようとする和哉の手をギルランスは慌てて振り払った。
「いや、大丈夫だ、なんでもねぇ!それよりそろそろ出発するぞ!」
ギルランスは早口で捲し立てるように言うと馬車に飛び乗った。
(どうしよう……何か病気とかじゃなければいいんだけど……?)
そんな心配をしながら和哉はチラリと様子を窺うが、特に変わった様子は見られない。
よく分からないが、とりあえずそっとして様子を見る事にしようと思い、和哉はそれ以上追及する事なく大人しく馬車に乗り込んだ。
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