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第16話 ミーシャという少女
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ギルランスが馬車を出発させようとしたその時だった――。
「――――!」
(――ん?)
何か聞こえたような気がして和哉は耳を澄ませてみる。
「……何だ?」
それはギルランスも同じだったようで訝しげに周りを見回している。
しかし何も見えない。
周囲を警戒するように窺う二人の耳に再び微かに声のような音が聞こえてきた。
「――――けて!!」
(気のせいじゃない!誰かが叫んでる!それもかなり近い!)
二人は顔を見合わせ頷くと、武器を掴み同時に馬車から飛び降り走り出した。
そして、声を頼りに聞こえる方へと走る。
「助けて!!」
徐々に声がハッキリ聞こえてくる。
「あれは……子供か!?」
走りながらギルランスは目を細め何かを見て取った。
すぐさま和哉も彼の視線の先を目で追う――そこには一人の少女が大きな熊のような魔獣に追い詰められようとしている姿があった。
(助けなきゃ!)
そう思うより早く体は既に動いていた。
和哉が矢をつがえ放つと同時にギルランスは剣を抜き放ち一気に加速する。
魔獣が少女に襲い掛かろうとした瞬間、放たれた矢は命中した。
しかしそれは魔獣の動きを少し鈍らせだけだ。
だが、それで十分だった。
その一瞬の隙にギルランスが少女と魔獣の間合いに躍り出て剣を振りかぶっていた。
一閃―――――!! 次の瞬間には魔獣の首が飛び、血飛沫を上げながら胴体から離れた頭部が地面に転がった。
少し遅れて到着した和哉は少女の無事を確認しホッと息を吐く。
(よかった……間に合ったみたいだ……)
少女は腰を抜かしたのか、その場にへたり込んでいた。
剣を納め、崩れ落ちる魔獣に一瞥をくれる事もなくギルランスは少女に振り向く。
「大丈夫か?」
その問いかけに、腰を抜かしたまま呆然としていた少女はハッと我に返り、安心したのか堰を切ったように泣き出してしまった。
「うわぁ~ん!怖かったよぉ~!」
ギルランスはわんわん泣きじゃくる少女の頭に手を置き優しく撫でながら言った。
「もう大丈夫だ……だから、もう泣くな」
それを聞いた少女は涙でぐしゃぐしゃになった顔を服の袖で拭いながらコクリと小さく頷いた。
「ぐすっ……あ、ありがと……おじちゃん」
「お、おじ……は……はは、どういたしまして」
少女のまさかの”おじちゃん”発言にギルランスは笑顔を引きつらせながらなんとか答える。
その様子に和哉は思わずプッと吹き出してしまい、ギロリと睨まれ慌てて笑いを引っ込めた。
まだ幼い少女からとはいえ、この年齢でおじちゃん呼ばわりされるのは流石にショックだったらしい。
その少女は青い髪をおさげににした可愛らしい顔立ちをした子で、白地に赤や青の花柄模様の入ったワンピースを着ていた。
だが今はその愛らしい顔は涙と泥で汚れてしまっている。
服の裾もあちこち破けていてボロボロだ――恐らく逃げ回っているうちにそうなったのだろう。
和哉は急いで少女に駆け寄り手を差し出す。
「大丈夫?立てる?」
「うん……」
おずおずと差し出された手を握り引っ張って立たせてやり、服についた汚れを払ってあげた。
「どこか痛いところはない?」
「うん、だいじょうぶ……」
少女の様子にギルランスはホッとしたような微笑みを見せたのも束の間、今度は急に険しい顔つきになったかと思うと、少女に対して強い口調で言い放った。
「おい、ガキ!なんでこんな所に一人でいるんだよ!?親はどうした!?」
「ひっ!」
さっきまでの優しい口調とは打って変わってのギルランスの厳しい声音に、少女はビクッと体を震わせた。
やっと泣き止んだばかりなのにまた泣きそうになっている。
和哉は慌てて少女の目線に合わせるようにしゃがみ込みフォローを入れた。
「あ、違うんだ、怒ってるんじゃないよ!ただ心配してるだけだから……」
少女の頭を撫でながら宥めるように言うが、すっかり怯えてしまっているのか、少女は「あ……う……」と口籠りながらオドオドと視線を彷徨わせている。
そんな様子に苛立ちを感じたのか、ギルランスが再び怒鳴ろうと口を開きかける――が、それをいち早く察した和哉は、彼にキッと目配せをし制止させる。
「ギル」
和哉の咎めるような視線にギルランスはグッと言葉を飲み込むと、バツが悪そうにバリバリと頭を掻きながら「悪ぃ……」と小さく零した。
(やれやれ、短気なんだから……)
そんなギルランスの様子に苦笑いを浮かべつつ、和哉はもう一度少女に向き合った。
「大丈夫だよ、この人ちょっと怖く見えるけど本当はとっても優しい人なんだ、君を心配してくれただけだから安心していいよ」
それを聞いて少しは落ち着いたのか少女はコクンと頷いた。
「よかった、じゃあさ、君の名前を教えてくれるかな?」
和哉の問いに少女はおずおずと答える。
「ミ、ミーシャ……」
「へぇ、ミーシャちゃんか、いい名前だね!僕はカズヤだよ――あと、こっちの怖い顔のほうはギルランスっていうんだ、よろしくね!」
和哉が言うと後ろからギルランスに頭を小突かれる。
「イテッ!」
「誰が怖い顔だ!……ったく」
「あはは……」
そんな二人のやり取りを見て、緊張が少しほぐれたのかミーシャはようやく笑顔をみせてくれた。
愛らしい笑顔にホッとしつつ、和哉は改めてミーシャの膝に擦り傷があるのに気づいた。
なにか傷薬などないか聞いてみようとギルランスに振り向く――すると彼もまた同じ事を考えていたようで、その手には既に薬瓶を持っていて、それを「ん」と差し出してきた。
「ありがと」
(さすがギル、よく分かってるなぁ)
無愛想で威圧的かと思いきや、こういうさりげない優しさや気遣いができるギルランスに和哉は改めて感心した。
それはもちろんミーシャにも伝わったようで、先程まで怖がっていた彼女はすっかり安心した表情でギルランスを見上げていた。
和哉は胸に温かい気持ちを感じながら、受け取った薬をミーシャの膝へと塗ってあげた。
するとみるみるうちに傷が癒えていき、あっと言う間に元通りの綺麗な膝に戻った。
「す、すごい……あっという間に治った!」
驚いて思わず声を上げる和哉の上からギルランスの声が降ってきた。
「アミリア特製の傷薬だ、ちょっとした怪我ならすぐだ」
「凄いね、さすがアミリアさんだ!」
アミリアの技術に感動しながら薬を返すと、なぜかギルランスは得意気な顔をして頷いた。
そんな彼にくすっと笑いながら和哉は再びミーシャに視線を戻す。
「これでよしっと、よく我慢したね、偉いぞ~」
そう言って頭を撫でてやるとミーシャは少しくすぐったそうな顔をしながら嬉しそうに笑った。
「ありがと、カズヤお兄ちゃん!」
「なんでカズヤが”お兄ちゃん”で俺は”おじちゃん”なんだよ……?納得いかねぇ……」
隣でギルランスが不満気にブツブツ言っていたが、あえて聞こえないフリをしておくことにする。
「あ、あー、ミーシャちゃん、それで君のお父さんやお母さんはどこなのかな?」
気を取り直して尋ねる和哉に、ミーシャはくったくのない笑顔で答えた。
「えっとね、パパはお空にいてね、ママはお家でお仕事してるの!」
(空……?パイロットとかかな?)
「えぇと、お母さんはお家にいるんだね……じゃあ、お家まで送って行ってあげるよ」
和哉の提案に対して、ミーシャは浮かない顔で俯いてしまった。
(あれ……?なんかマズかったかな……?)
「まだ……帰れないもん」
彼女の顔がさらに暗くなるのを見て、和哉は何か事情があるのだと察した。
どうしたものかと思案していると、代わりにギルランスが尋ねてくれる。
「帰りたくねぇのか?」
その問いにミーシャは首を横に振る。
「ちがうの……ママがお仕事している間はお外にいないとダメなの……ママに怒られちゃうから……」
どうやら、母親は仕事が終わるまではミーシャを家に入れたくないらしい。
なにか危険な作業でもしているのだろうか――理由は分からないが、母親なりに娘を守ろうとしているのかもしれない。
しかし、だからといってこんなに小さな子供をこのまま放置しておくわけにもいかない。
和哉は考えを巡らせつつ話し掛けた。
「うーん、でもなぁ、こんな所でずっといたら危ないし、洋服もボロボロになっちゃったし……やっぱり一度家に戻ろうよ」
説得を試みるも、ミーシャの表情はまだ暗いままだった。
そこでさらなる提案をしてみる事にした。
「じゃあさ、こうしよう!僕達が一緒について行って、君のお母さんに僕から事情を説明してあげるから……そしたら君も安心だろ?」
「いいの……?」
ミーシャはおずおずと顔を上げて見つめてくる。
その仕草に思わずきゅんとなる和哉だったが、なんとか平静を装いつつ笑顔を浮かべて言った。
「もちろんさ!」
その言葉にようやく安心したのかミーシャは「うん!」と嬉しそう返事をして大きく頷いた。
笑顔が戻ったミーシャに胸を撫で下ろした和哉は、後ろのギルランスに振り向き「ね?」と同意を求める。
「お?おお……まあ、いいだろ」
相変わらずのぶっきらぼうな物言いだったが、どこか優しさを感じさせる声色だった。
そんなギルランスに思わず口元が緩む。
(なんだかんだ言ってミーシャちゃんの事ちゃんと考えてるんだよな)
和哉はそんなギルランスを微笑ましく思いながらも「よし!じゃあ早速行こうか」と言って立ち上がった。
「うん!」
すっかり元気になったミーシャは、和哉の提案がよほど嬉しかったのか、花の咲いたような笑みをみせる。
「カズヤお兄ちゃん、ミーシャのお家、こっちだよ!」
満面の笑みで元気な声を上げながら、駈け出さん勢いで先頭に立って歩き出した。
そんな姿を微笑ましく見ながら和哉たちは後を付いていく。
「ふふ……ほらほら、そんなに慌てると危ないよ」
優しく注意を促す和哉の声も届いているのかいないのか、ミーシャは嬉しそうに駆けていくが……。
「キャッ!」
はしゃぎ過ぎたミーシャは、案の定、石に躓いて転んでしまった。
「わっ!大丈夫!?」
お約束のような展開に和哉は慌てて駆け寄ると、地面に突っ伏してしまっているミーシャに手を差し伸べて立ち上がらせた。
「う……うぅ……」
怪我などはしていないようだったが、ミーシャは涙目に逆戻りして再び泣き出しそうになっている。
(うわ……どうしよ、また泣いちゃうよ)
「ほら、泣かないで、もう大丈夫だから」
なるべく優しく声をかけながら、和哉はミーシャを抱き上げてあげた。
和哉に抱き上げられたミーシャは、一瞬涙目のままパチクリと瞬きをすると、次の瞬間にはパアッと笑顔の花を咲かした。
「わぁ~!カズヤお兄ちゃん、高い高い!」
先程までの涙はどこへ行ったのかというくらい興奮した様子で手足をバタつかせている。
どうやらこの高さが気に入ったらしい。
自分の腕の中でキャッキャとはしゃぐ少女を見て、和哉も自然と笑みがこぼれる。
「ふふ、嬉しそうだね」
「えへへ♪カズヤお兄ちゃん、ありがと!」
無邪気に笑う彼女の姿に癒される想いを抱きつつ、和哉はそのままミーシャを抱き抱えながら歩いて行く事にした。
そんな様子の二人を少し後ろで見ていたギルランスは、何とも複雑な表情で、「ったく……これだからガキは……」などとブツブツとぼやきながらも後を付いて行く。
しばらく上機嫌ではしゃいでいたミーシャだったが、ふと和哉の顔を凝視すると、徐に口を開いた。
「カズヤお兄ちゃんは男の子なのに女の子みたいな顔してるね~」
(うっ!……痛いところを突くなぁ……)
子供の頃から『女顔』とか言われ、クラスメイト達に揶揄われたりしていた苦い思い出がある和哉にとって、それは最も言われたくない言葉でありコンプレックスでもあった。
和哉も一時期は男らしくなろうと努力した事もあったが、元々の性質なのか、それとも運命なのか、自分を変えることは容易ではなく結局諦めてしまったのだ。
だが、だからと言ってそれをこんなに可愛い少女に面と向かって言われると、やはり男としては傷つくものがある。
(まぁ、確かにギルみたいなイケメンマッチョってのには憧れるけどね……)
内心溜め息をつく和哉の気持ちとは裏腹に、ミーシャは無邪気そのものといった様子で話を続ける。
「えへへ♪カズヤお兄ちゃんって可愛いね!ミーシャ、大好きだよ♪」
「えっ!ホントかい!?そ、それは嬉しいな」
思いもよらないミーシャの『大好き』発言に目を向いて驚く和哉だったが、そのストレートな誉め言葉はとても嬉しく思わず口元が緩んでしまう。
「うん!カズヤお兄ちゃん、大好き♪」
ミーシャは和哉の首に腕を回し抱きつくようにしながら再び『大好き』だと言ってくれる。
「う……うん、ありがとう」
(うぅ~、なんか照れるな)
思わず赤面する和哉を見て、ミーシャはクスクスと笑いだした。
「カズヤお兄ちゃん、お顔が赤いよ?どうしたの?」
「えっ!?な、なんでもないよ!」
慌てて取り繕う和哉だったが、ミーシャの指摘にますます恥ずかしくなってしまう――そこで、照れ隠しにある思い付きを言ってみる。
「そ、そうだ!ミーシャちゃんはもっと高いのが良いかな?」
「えっ!?うん!!」
彼女は目を輝かせながら大きく頷いた。
「よしっ、それじゃあ――」
言いながら和哉は、後ろをどこか面白くなさそうな顔つきで歩いているギルランスに振り返り声を掛ける。
「ギル!ちょっといいかな?」
「あ?……んだよ」と、相変わらず不機嫌そうな声で答えながらもちゃんと足を止めるあたり、やはり根は優しいようだ。
そんなギルランスに和哉は笑顔で提案する。
「ミーシャちゃんを肩車してあげてよ」
ニッコリと微笑みながら頼む和哉の言葉に、ギルランスはギョッとした顔を見せたかと思うと、慌てて拒否の声を上げた。
「はあ!?なんで俺がそんな事しなきゃなんねーんだよ!?」
(まあ、そう言うと思ったよ)
和哉は予想通りのギルランスの反応に苦笑しながらも、尚も食い下がって説得を試みる。
「いいじゃないか~――だって、ギルは僕より背が高いし、力もあるだろ?だから頼むよ」
だが、彼はさらに嫌そうな顔をするだけだった。
「断る!だいたいこんなガキ――」
「ギル?」
悪態を口にしかけたギルランスに和哉が笑顔で威圧を込めながら静かに名前を呼ぶと、彼はぐっと言葉に詰まる。
そして、少し間を置いて観念したように渋々と和哉の言葉に従った。
「……ったく……仕方ねえなぁ……」
ギルランスは溜息をつきながら、和哉に抱かれているミーシャに手を伸ばすと、そのまま軽々と自分の肩に担ぎあげた。
「ほらよ、これでいいか?」
「わあっ!!すごぉ~い!高ぁ~い!きゃははっ♪」
「わっ!ばか!暴れんな、コラ!危ねぇぞ!」
悪態を吐きつつも、大はしゃぎしだしたミーシャを落とさないようにしっかりと支えているギルランスの様子に、和哉は思わず笑みがこぼれる。
「良かったね、ミーシャちゃん」
「うん!」
そんな会話をしながら再び歩き始めた三人だったが、その途中、ミーシャはふと思い出したように呟いた。
「なんか、パパとママみたい……」
「ふぁっ!?」
「はぁ?」
唐突なミーシャの言葉に和哉とギルランスは二人同時に素っ頓狂な声を発してしまった。
(ちょ、ちょっと待って……!それはどういう……!?)
思わぬ爆弾発言を投下され慌てふためく二人をよそにミーシャは続けた。
「あのね、パパもね、お空に行っちゃう前はよくこうやってミーシャを肩車してくれたの!それでね、いつもママはパパとミーシャの横でニコニコしてたの」
彼女は笑顔でそう言った。
そこで漸く和哉とギルランスは、ミーシャが言っていた『パパはお空に』という言葉の意味を理解した。
(そうか、この子はお父さんを亡くしているのか……)
そう思った瞬間、和哉は胸が締め付けられるような気持ちになった。
ギルランスも同じ気持ちだったのだろう、無表情を装いつつもその表情にはどこか陰りがあるように見えた。
そんな二人に気付く事なく、ミーシャはさらに話を続ける。
「でもね、ミーシャにはママがいるから寂しくないし、今はカズヤお兄ちゃんとギルランスおじちゃんがいるからすっごく楽しいよ!!」
屈託のない笑顔を見せる少女の姿に更に心が痛んでしまう。
父親を亡くした悲しみに耐えながらそれでも気丈に振る舞おうとする健気さに心打たれた和哉は、ギルランスの肩の上にいる少女の手をそっと握った。
「ミーシャ……君は強い子だね」
和哉の言葉に彼女は少し驚いたような顔をした後、嬉しそうな笑顔をみせる。
その愛らしい表情につられて微笑むと少女はさらに嬉しそうに笑った。
この笑顔がいつまでも続いて欲しい、と和哉は心から願うのだった。
そんな様子にギルランスもまた優しい表情を見せていた。
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そのまま暫く進んで行くと、森を抜けた草原の中、前方に木造の小さな建物が見えてきた。
「あれがミーシャのお家だよ!」
ギルランスの肩の上でミーシャは明るく前方を指し示す。
「そっか、じゃあちょっとここで待ってて。君が怒られないように、先に僕がお母さんとお話ししてくるから」
ミーシャの話によると母親は仕事中は彼女を家に近づけたくないとの事だったため、まずは和哉が一人で行って母親に事情を説明してくることにした。
なにか危険な仕事でもしているのだろうか?――そう思い、少し離れたところでギルランスとミーシャに待っていてもらう事にして和哉は家へと近づいて行った。
「――――!」
(――ん?)
何か聞こえたような気がして和哉は耳を澄ませてみる。
「……何だ?」
それはギルランスも同じだったようで訝しげに周りを見回している。
しかし何も見えない。
周囲を警戒するように窺う二人の耳に再び微かに声のような音が聞こえてきた。
「――――けて!!」
(気のせいじゃない!誰かが叫んでる!それもかなり近い!)
二人は顔を見合わせ頷くと、武器を掴み同時に馬車から飛び降り走り出した。
そして、声を頼りに聞こえる方へと走る。
「助けて!!」
徐々に声がハッキリ聞こえてくる。
「あれは……子供か!?」
走りながらギルランスは目を細め何かを見て取った。
すぐさま和哉も彼の視線の先を目で追う――そこには一人の少女が大きな熊のような魔獣に追い詰められようとしている姿があった。
(助けなきゃ!)
そう思うより早く体は既に動いていた。
和哉が矢をつがえ放つと同時にギルランスは剣を抜き放ち一気に加速する。
魔獣が少女に襲い掛かろうとした瞬間、放たれた矢は命中した。
しかしそれは魔獣の動きを少し鈍らせだけだ。
だが、それで十分だった。
その一瞬の隙にギルランスが少女と魔獣の間合いに躍り出て剣を振りかぶっていた。
一閃―――――!! 次の瞬間には魔獣の首が飛び、血飛沫を上げながら胴体から離れた頭部が地面に転がった。
少し遅れて到着した和哉は少女の無事を確認しホッと息を吐く。
(よかった……間に合ったみたいだ……)
少女は腰を抜かしたのか、その場にへたり込んでいた。
剣を納め、崩れ落ちる魔獣に一瞥をくれる事もなくギルランスは少女に振り向く。
「大丈夫か?」
その問いかけに、腰を抜かしたまま呆然としていた少女はハッと我に返り、安心したのか堰を切ったように泣き出してしまった。
「うわぁ~ん!怖かったよぉ~!」
ギルランスはわんわん泣きじゃくる少女の頭に手を置き優しく撫でながら言った。
「もう大丈夫だ……だから、もう泣くな」
それを聞いた少女は涙でぐしゃぐしゃになった顔を服の袖で拭いながらコクリと小さく頷いた。
「ぐすっ……あ、ありがと……おじちゃん」
「お、おじ……は……はは、どういたしまして」
少女のまさかの”おじちゃん”発言にギルランスは笑顔を引きつらせながらなんとか答える。
その様子に和哉は思わずプッと吹き出してしまい、ギロリと睨まれ慌てて笑いを引っ込めた。
まだ幼い少女からとはいえ、この年齢でおじちゃん呼ばわりされるのは流石にショックだったらしい。
その少女は青い髪をおさげににした可愛らしい顔立ちをした子で、白地に赤や青の花柄模様の入ったワンピースを着ていた。
だが今はその愛らしい顔は涙と泥で汚れてしまっている。
服の裾もあちこち破けていてボロボロだ――恐らく逃げ回っているうちにそうなったのだろう。
和哉は急いで少女に駆け寄り手を差し出す。
「大丈夫?立てる?」
「うん……」
おずおずと差し出された手を握り引っ張って立たせてやり、服についた汚れを払ってあげた。
「どこか痛いところはない?」
「うん、だいじょうぶ……」
少女の様子にギルランスはホッとしたような微笑みを見せたのも束の間、今度は急に険しい顔つきになったかと思うと、少女に対して強い口調で言い放った。
「おい、ガキ!なんでこんな所に一人でいるんだよ!?親はどうした!?」
「ひっ!」
さっきまでの優しい口調とは打って変わってのギルランスの厳しい声音に、少女はビクッと体を震わせた。
やっと泣き止んだばかりなのにまた泣きそうになっている。
和哉は慌てて少女の目線に合わせるようにしゃがみ込みフォローを入れた。
「あ、違うんだ、怒ってるんじゃないよ!ただ心配してるだけだから……」
少女の頭を撫でながら宥めるように言うが、すっかり怯えてしまっているのか、少女は「あ……う……」と口籠りながらオドオドと視線を彷徨わせている。
そんな様子に苛立ちを感じたのか、ギルランスが再び怒鳴ろうと口を開きかける――が、それをいち早く察した和哉は、彼にキッと目配せをし制止させる。
「ギル」
和哉の咎めるような視線にギルランスはグッと言葉を飲み込むと、バツが悪そうにバリバリと頭を掻きながら「悪ぃ……」と小さく零した。
(やれやれ、短気なんだから……)
そんなギルランスの様子に苦笑いを浮かべつつ、和哉はもう一度少女に向き合った。
「大丈夫だよ、この人ちょっと怖く見えるけど本当はとっても優しい人なんだ、君を心配してくれただけだから安心していいよ」
それを聞いて少しは落ち着いたのか少女はコクンと頷いた。
「よかった、じゃあさ、君の名前を教えてくれるかな?」
和哉の問いに少女はおずおずと答える。
「ミ、ミーシャ……」
「へぇ、ミーシャちゃんか、いい名前だね!僕はカズヤだよ――あと、こっちの怖い顔のほうはギルランスっていうんだ、よろしくね!」
和哉が言うと後ろからギルランスに頭を小突かれる。
「イテッ!」
「誰が怖い顔だ!……ったく」
「あはは……」
そんな二人のやり取りを見て、緊張が少しほぐれたのかミーシャはようやく笑顔をみせてくれた。
愛らしい笑顔にホッとしつつ、和哉は改めてミーシャの膝に擦り傷があるのに気づいた。
なにか傷薬などないか聞いてみようとギルランスに振り向く――すると彼もまた同じ事を考えていたようで、その手には既に薬瓶を持っていて、それを「ん」と差し出してきた。
「ありがと」
(さすがギル、よく分かってるなぁ)
無愛想で威圧的かと思いきや、こういうさりげない優しさや気遣いができるギルランスに和哉は改めて感心した。
それはもちろんミーシャにも伝わったようで、先程まで怖がっていた彼女はすっかり安心した表情でギルランスを見上げていた。
和哉は胸に温かい気持ちを感じながら、受け取った薬をミーシャの膝へと塗ってあげた。
するとみるみるうちに傷が癒えていき、あっと言う間に元通りの綺麗な膝に戻った。
「す、すごい……あっという間に治った!」
驚いて思わず声を上げる和哉の上からギルランスの声が降ってきた。
「アミリア特製の傷薬だ、ちょっとした怪我ならすぐだ」
「凄いね、さすがアミリアさんだ!」
アミリアの技術に感動しながら薬を返すと、なぜかギルランスは得意気な顔をして頷いた。
そんな彼にくすっと笑いながら和哉は再びミーシャに視線を戻す。
「これでよしっと、よく我慢したね、偉いぞ~」
そう言って頭を撫でてやるとミーシャは少しくすぐったそうな顔をしながら嬉しそうに笑った。
「ありがと、カズヤお兄ちゃん!」
「なんでカズヤが”お兄ちゃん”で俺は”おじちゃん”なんだよ……?納得いかねぇ……」
隣でギルランスが不満気にブツブツ言っていたが、あえて聞こえないフリをしておくことにする。
「あ、あー、ミーシャちゃん、それで君のお父さんやお母さんはどこなのかな?」
気を取り直して尋ねる和哉に、ミーシャはくったくのない笑顔で答えた。
「えっとね、パパはお空にいてね、ママはお家でお仕事してるの!」
(空……?パイロットとかかな?)
「えぇと、お母さんはお家にいるんだね……じゃあ、お家まで送って行ってあげるよ」
和哉の提案に対して、ミーシャは浮かない顔で俯いてしまった。
(あれ……?なんかマズかったかな……?)
「まだ……帰れないもん」
彼女の顔がさらに暗くなるのを見て、和哉は何か事情があるのだと察した。
どうしたものかと思案していると、代わりにギルランスが尋ねてくれる。
「帰りたくねぇのか?」
その問いにミーシャは首を横に振る。
「ちがうの……ママがお仕事している間はお外にいないとダメなの……ママに怒られちゃうから……」
どうやら、母親は仕事が終わるまではミーシャを家に入れたくないらしい。
なにか危険な作業でもしているのだろうか――理由は分からないが、母親なりに娘を守ろうとしているのかもしれない。
しかし、だからといってこんなに小さな子供をこのまま放置しておくわけにもいかない。
和哉は考えを巡らせつつ話し掛けた。
「うーん、でもなぁ、こんな所でずっといたら危ないし、洋服もボロボロになっちゃったし……やっぱり一度家に戻ろうよ」
説得を試みるも、ミーシャの表情はまだ暗いままだった。
そこでさらなる提案をしてみる事にした。
「じゃあさ、こうしよう!僕達が一緒について行って、君のお母さんに僕から事情を説明してあげるから……そしたら君も安心だろ?」
「いいの……?」
ミーシャはおずおずと顔を上げて見つめてくる。
その仕草に思わずきゅんとなる和哉だったが、なんとか平静を装いつつ笑顔を浮かべて言った。
「もちろんさ!」
その言葉にようやく安心したのかミーシャは「うん!」と嬉しそう返事をして大きく頷いた。
笑顔が戻ったミーシャに胸を撫で下ろした和哉は、後ろのギルランスに振り向き「ね?」と同意を求める。
「お?おお……まあ、いいだろ」
相変わらずのぶっきらぼうな物言いだったが、どこか優しさを感じさせる声色だった。
そんなギルランスに思わず口元が緩む。
(なんだかんだ言ってミーシャちゃんの事ちゃんと考えてるんだよな)
和哉はそんなギルランスを微笑ましく思いながらも「よし!じゃあ早速行こうか」と言って立ち上がった。
「うん!」
すっかり元気になったミーシャは、和哉の提案がよほど嬉しかったのか、花の咲いたような笑みをみせる。
「カズヤお兄ちゃん、ミーシャのお家、こっちだよ!」
満面の笑みで元気な声を上げながら、駈け出さん勢いで先頭に立って歩き出した。
そんな姿を微笑ましく見ながら和哉たちは後を付いていく。
「ふふ……ほらほら、そんなに慌てると危ないよ」
優しく注意を促す和哉の声も届いているのかいないのか、ミーシャは嬉しそうに駆けていくが……。
「キャッ!」
はしゃぎ過ぎたミーシャは、案の定、石に躓いて転んでしまった。
「わっ!大丈夫!?」
お約束のような展開に和哉は慌てて駆け寄ると、地面に突っ伏してしまっているミーシャに手を差し伸べて立ち上がらせた。
「う……うぅ……」
怪我などはしていないようだったが、ミーシャは涙目に逆戻りして再び泣き出しそうになっている。
(うわ……どうしよ、また泣いちゃうよ)
「ほら、泣かないで、もう大丈夫だから」
なるべく優しく声をかけながら、和哉はミーシャを抱き上げてあげた。
和哉に抱き上げられたミーシャは、一瞬涙目のままパチクリと瞬きをすると、次の瞬間にはパアッと笑顔の花を咲かした。
「わぁ~!カズヤお兄ちゃん、高い高い!」
先程までの涙はどこへ行ったのかというくらい興奮した様子で手足をバタつかせている。
どうやらこの高さが気に入ったらしい。
自分の腕の中でキャッキャとはしゃぐ少女を見て、和哉も自然と笑みがこぼれる。
「ふふ、嬉しそうだね」
「えへへ♪カズヤお兄ちゃん、ありがと!」
無邪気に笑う彼女の姿に癒される想いを抱きつつ、和哉はそのままミーシャを抱き抱えながら歩いて行く事にした。
そんな様子の二人を少し後ろで見ていたギルランスは、何とも複雑な表情で、「ったく……これだからガキは……」などとブツブツとぼやきながらも後を付いて行く。
しばらく上機嫌ではしゃいでいたミーシャだったが、ふと和哉の顔を凝視すると、徐に口を開いた。
「カズヤお兄ちゃんは男の子なのに女の子みたいな顔してるね~」
(うっ!……痛いところを突くなぁ……)
子供の頃から『女顔』とか言われ、クラスメイト達に揶揄われたりしていた苦い思い出がある和哉にとって、それは最も言われたくない言葉でありコンプレックスでもあった。
和哉も一時期は男らしくなろうと努力した事もあったが、元々の性質なのか、それとも運命なのか、自分を変えることは容易ではなく結局諦めてしまったのだ。
だが、だからと言ってそれをこんなに可愛い少女に面と向かって言われると、やはり男としては傷つくものがある。
(まぁ、確かにギルみたいなイケメンマッチョってのには憧れるけどね……)
内心溜め息をつく和哉の気持ちとは裏腹に、ミーシャは無邪気そのものといった様子で話を続ける。
「えへへ♪カズヤお兄ちゃんって可愛いね!ミーシャ、大好きだよ♪」
「えっ!ホントかい!?そ、それは嬉しいな」
思いもよらないミーシャの『大好き』発言に目を向いて驚く和哉だったが、そのストレートな誉め言葉はとても嬉しく思わず口元が緩んでしまう。
「うん!カズヤお兄ちゃん、大好き♪」
ミーシャは和哉の首に腕を回し抱きつくようにしながら再び『大好き』だと言ってくれる。
「う……うん、ありがとう」
(うぅ~、なんか照れるな)
思わず赤面する和哉を見て、ミーシャはクスクスと笑いだした。
「カズヤお兄ちゃん、お顔が赤いよ?どうしたの?」
「えっ!?な、なんでもないよ!」
慌てて取り繕う和哉だったが、ミーシャの指摘にますます恥ずかしくなってしまう――そこで、照れ隠しにある思い付きを言ってみる。
「そ、そうだ!ミーシャちゃんはもっと高いのが良いかな?」
「えっ!?うん!!」
彼女は目を輝かせながら大きく頷いた。
「よしっ、それじゃあ――」
言いながら和哉は、後ろをどこか面白くなさそうな顔つきで歩いているギルランスに振り返り声を掛ける。
「ギル!ちょっといいかな?」
「あ?……んだよ」と、相変わらず不機嫌そうな声で答えながらもちゃんと足を止めるあたり、やはり根は優しいようだ。
そんなギルランスに和哉は笑顔で提案する。
「ミーシャちゃんを肩車してあげてよ」
ニッコリと微笑みながら頼む和哉の言葉に、ギルランスはギョッとした顔を見せたかと思うと、慌てて拒否の声を上げた。
「はあ!?なんで俺がそんな事しなきゃなんねーんだよ!?」
(まあ、そう言うと思ったよ)
和哉は予想通りのギルランスの反応に苦笑しながらも、尚も食い下がって説得を試みる。
「いいじゃないか~――だって、ギルは僕より背が高いし、力もあるだろ?だから頼むよ」
だが、彼はさらに嫌そうな顔をするだけだった。
「断る!だいたいこんなガキ――」
「ギル?」
悪態を口にしかけたギルランスに和哉が笑顔で威圧を込めながら静かに名前を呼ぶと、彼はぐっと言葉に詰まる。
そして、少し間を置いて観念したように渋々と和哉の言葉に従った。
「……ったく……仕方ねえなぁ……」
ギルランスは溜息をつきながら、和哉に抱かれているミーシャに手を伸ばすと、そのまま軽々と自分の肩に担ぎあげた。
「ほらよ、これでいいか?」
「わあっ!!すごぉ~い!高ぁ~い!きゃははっ♪」
「わっ!ばか!暴れんな、コラ!危ねぇぞ!」
悪態を吐きつつも、大はしゃぎしだしたミーシャを落とさないようにしっかりと支えているギルランスの様子に、和哉は思わず笑みがこぼれる。
「良かったね、ミーシャちゃん」
「うん!」
そんな会話をしながら再び歩き始めた三人だったが、その途中、ミーシャはふと思い出したように呟いた。
「なんか、パパとママみたい……」
「ふぁっ!?」
「はぁ?」
唐突なミーシャの言葉に和哉とギルランスは二人同時に素っ頓狂な声を発してしまった。
(ちょ、ちょっと待って……!それはどういう……!?)
思わぬ爆弾発言を投下され慌てふためく二人をよそにミーシャは続けた。
「あのね、パパもね、お空に行っちゃう前はよくこうやってミーシャを肩車してくれたの!それでね、いつもママはパパとミーシャの横でニコニコしてたの」
彼女は笑顔でそう言った。
そこで漸く和哉とギルランスは、ミーシャが言っていた『パパはお空に』という言葉の意味を理解した。
(そうか、この子はお父さんを亡くしているのか……)
そう思った瞬間、和哉は胸が締め付けられるような気持ちになった。
ギルランスも同じ気持ちだったのだろう、無表情を装いつつもその表情にはどこか陰りがあるように見えた。
そんな二人に気付く事なく、ミーシャはさらに話を続ける。
「でもね、ミーシャにはママがいるから寂しくないし、今はカズヤお兄ちゃんとギルランスおじちゃんがいるからすっごく楽しいよ!!」
屈託のない笑顔を見せる少女の姿に更に心が痛んでしまう。
父親を亡くした悲しみに耐えながらそれでも気丈に振る舞おうとする健気さに心打たれた和哉は、ギルランスの肩の上にいる少女の手をそっと握った。
「ミーシャ……君は強い子だね」
和哉の言葉に彼女は少し驚いたような顔をした後、嬉しそうな笑顔をみせる。
その愛らしい表情につられて微笑むと少女はさらに嬉しそうに笑った。
この笑顔がいつまでも続いて欲しい、と和哉は心から願うのだった。
そんな様子にギルランスもまた優しい表情を見せていた。
****
****
そのまま暫く進んで行くと、森を抜けた草原の中、前方に木造の小さな建物が見えてきた。
「あれがミーシャのお家だよ!」
ギルランスの肩の上でミーシャは明るく前方を指し示す。
「そっか、じゃあちょっとここで待ってて。君が怒られないように、先に僕がお母さんとお話ししてくるから」
ミーシャの話によると母親は仕事中は彼女を家に近づけたくないとの事だったため、まずは和哉が一人で行って母親に事情を説明してくることにした。
なにか危険な仕事でもしているのだろうか?――そう思い、少し離れたところでギルランスとミーシャに待っていてもらう事にして和哉は家へと近づいて行った。
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