ウッドゴーレムに転生しました。世界樹と直結して、荒れ地を緑あふれる大地に変えていきます【再編集版】

椎名 富比路

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第四章 クレキシュ大渓谷と、魔王の元配下アルラウネ

第40話 岩山の探索は、木製ドローンで

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 防衛は、アタックトーテムに任せる。ただ、気休め程度だ。このエリアの魔物は強いというから、壊されてしまうかも。

「コーキ、シロアリが来たよ!」

 とうとう、数が増えすぎたか。でも。
 
「大丈夫」

 シロアリには、大量の天敵がいる。

 鳥にクモ、トンボも、シロアリを捕食していく。どれだけ大きかろうと、皮膚の弱いシロアリではまともに相手をできない。

 なにより天敵なのは、黒い方のアリである。

 米粒くらいの黒いアリが、大型犬ほどに大きいシロアリにたかった。薄い表皮を、食い破っていく。

「アリが、アリを食べているよ」

「クロアリも増えたからね。アリの天敵は、実はアリなんだよね」

 増えすぎたシロアリは、動物たちが倒してくれる。

 後は、水場の確保に専念することにした。
 
「コーキ。こっちの池は、井戸並みに深く掘ろう。でないと全部、嵐で埋まっちゃうよ」

「パロンのいうとおりだね」

 領地を広げようにも、まず水源を確保しないと。たとえ池のように広げたとしても、砂で沼になっちゃうかもだし。

 井戸のように、地下まで続く貯水池を作ることにした。

「念のため、もう一体クレイゴーレムを出すよ。これで、水路も砂がかからないように、石で囲んでいく」

 嵐が来ない位置までブロックで取り囲みながら、別働隊のクレイゴーレムたちはアプレンテスの村まで引き返す。水を循環させるのだ。

「川に水をザバーって流せれば、よかったんだけどなあ」

「ちょろちょろじゃ意味ないよ、パロン。ある程度水源を確保してから、一気に流そう」

 今流しても、確実にまた枯れてしまう。また、作業をモンスターに邪魔されかねない。まずは、ダンジョンをなんとかしなければ。

 渓谷に到着した途端、水不足に悩まされるなんて。

「水は問題ないね。あとは……」

「入り口がわからぬ」

 井戸とは別に小さいため池を作って、クコが涼む。

 渓谷に到着したのはいいけど、お目当てのダンジョンがない。

「この嵐は、ダンジョンから発生しておる。ダンジョンの仕掛けを破壊すれば、嵐は収まるやもしれぬ」

 だったら、早く入口を見つけないとね。

「この嵐だと、ハトも飛ばせないよ」

 いくら召喚ハトでも、嵐に翼を取られて、パロンも振り落とされるだろう。
 
「ボクにいい考えがあるよ。【ファミリア】っていうんだけど」
 
 枝を身体から伸ばして、ボクは竹とんぼを作る。魔法石を結合させると、自動でブンブンと飛ぶ。まるで、ドローンのようだ。

「あっ、【ファミリア】なら、ワタシも持っているよ」

 パロンが、トンボを召喚した。

「じゃあ、手分けして探そう」

「待つがよい、コーキ。そのファミリアで、ダンジョンをどうやって探すのだ?」

 パロンのトンボは目があるゆえに、ダンジョンを探せるだろう。ボクの竹とんぼは、空を飛べるだけだ。

「それなんだけど、クコに手伝ってもらおうかなって」

 ボクは竹とんぼドローンを、四本用意した。リスが乗れるブランコを取り付けて、ツタで結んでドローンに通す。ブランコは、リスが乗っても問題がないように強化した。

「飛ばすよ。クコ、乗って」

「うむ!」

 クコが、ブランコに乗る。

 ボクは、ドローンを作動させた。

 クコを乗せたドローンが、宙に浮く。

「おお、これは楽しいぞな」

 ドローンは、クコの意思で移動を開始した。

 空を飛ぶ体験は、パロンのハトで経験済みだろう。

「魔法石による、カメラも取り付けた。これで、ボクもダンジョンの場所をさがせるよ」

「うむ。ではコーキ、お主はワシの目が届かぬ場所を重点的に頼む」

「わかった。出発するよ」

 クコを乗せた小型の竹とんぼドローンが、渓谷を飛ぶ。

 ボクは更に竹とんぼを増やして、自分でもダンジョンの入口を探す。

「なにか見えた、クコ?」
 
「絶景ぞな。これが本当に古代遺跡と言われても、信じるぞよ」

 たしかに、ロケーションは最高だ。嵐さえなかったら、観光名所になっていたかも。

「でも、川が枯れちゃっているね」

 おまけに、緑もなくなっている。草などが茶色くなったまま、干からびていた。

 ずっとこの絶景を見ていたいけど、楽しんでもいられない。この土地を再生できるかどうか、手がかりを見つけないと。

「このクレキシュ地域にあるダンジョンを調べれば、天候などもどうにかなりそうじゃが」

「そうなの?」

「クレキシュの民は、天候を操っていたと聞く。嘘か真かは、定かではないが」

 天候を操れないにしろ、この乾燥は異常気象に近い。
 だとすると、正常化しないとね。

「ダンジョンって、どこにありそう?」

「神殿と言えば、山の上じゃろう。たいていの宗教家は、天界に近い場所に寺院などを建てるしのう」

 地下にあったとしても、高いエリアから降りていくのだろうと、クコは推理した。

 これだけ高い山に住んでいたなら、地上にはなにかあるはずだと。

「ぬお!?」

「どうしたの、クコ!?」
 
「何者かから、攻撃を受けた!」
 
 クコの乗ったドローンが、落ちてきた。

 ボクはすかさず、クコをキャッチする。

 ドローンは落下し、壊れてしまった。

 よく見ると、ドローンが一つ切られている。

 焼けたドローンの断面を見ると、わずかに魔力を感じた。

「よく見えんかったが、山の頂上から攻撃を受けた気がしたぞい」

 ボクたちは、頂上に絞って、入口を探すことに。
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