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第五章 新たな仲間、姫騎士
第52話 村長選び
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「今日からこの村を、再生する大地の村。ネイス・クロトン村と名付けます」
ボクが宣言すると、村から拍手が湧いた。
「村長は、やっぱりコーキでいいよね?」
「え、ボクが? 年長者のパロンのほうが、いいんじゃない? クコとか」
「ワタシには、人望がないからねぇ。クコも、似たようなもんだよ」
ボク、ウッドゴーレムだから、人望もなにもないんだけど。
「それに、ボクは冒険者だよ。管理なんて」
同じ理由で、ガルバやアザレアたちにも頼めない。ドナさんも、普通の主婦さんだし。
「チェスナ、村長をやってみる?」
無言で、チェスナはブンブンと首を振った。
「俺がサポートするぜ!」
行商人のリオンが、秘書役を買ってでてくれる。
しかし、チェスナはこれも無言で首ブンブン。
「ん? スライムが……」
ボクの肩に、スライムが乗った。
「どうしたんだろう? キミが、立候補するのかい?」
ボクが呼びかけると、スライムは飛び跳ねる。うなずいているようだ。
「コーキのそばに、いたいみたいだね」
パロンによると、そうらしいけど。
ボクのところに残ったスライムは、我が世界樹の所有物になったという。
スライムは世界樹に付着する不純物を食べて生きるので、エサには困らないそうだ。それは、ボクの身体にも言えることで。
「キミは、ひとりで寂しくない?」
ボクが聞くと、スライムはまたぴょんぴょんとはねた。
「ああ、大丈夫だって。分裂できるから」
またスライムの翻訳を、パロンが引き受けてくれた。
「ワタシたち、というかコーキと一緒に、世界を見て回りたいんだって。この土地がどうなるかも、見届けたいって」
ボクも、このスライムは他人の気がしない。
「そうだっ。コーキ、名前をつけてあげたら?」
ウチに越してきたんだから、名前なしだとかわいそうだね。
「シャーマンって【ペットビルド】もあるでしょ? 仲間にしたモンスターに名前をつけてあげることで、正式契約になるんだ」
逆に名前をつけないと、他の冒険者に名前をつけられてしまったら横取りされてしまうらしい。
「キミはもうレベルが十分上がっているから、ペットビルドを取っても大丈夫」
「そのペットを手に入れるスキルってどれ?」
「これだよ。【魔物使い】ってとこ」
パロンが、教えてくれた。
そういえば、随分とステータスをいじっていなかったな。
「アルラウネを倒そうとしたら、トレントが倒しちゃったし、やることがなかったんだよね」
「……実質、キミが倒したようなもんなんだけどね」
ボクが?
「まさか。トレントが強すぎて、ボクの出番なんて」
「キミがパワーを与えたから、トレントが強くなったんだよ。実質、キミのチカラに代わりはないよ」
「そうなんだね」
「まあ、ひとまずステータスアップの種もあるだろ? 使ってみなよ」
「うん」
― ■ *** ステータス表 *** ■ ―
名前 コーキ
レベル 二七
各ステータス
【体力】
八〇
【魔力】
一五三
【素早さ】
七一
残りステータスポイント
〇
― ■ ************** ■ ―
能力アップの種をバリボリと食べて、どえらい強さを手に入れた。
「魔物使いは、シャーマンの人気ビルドだよ。それを取るために、シャーマンになる人だっているんだ。ほら、かわいいクマを連れていた冒険者を見たでしょ? あんな感じで、動物を連れて歩けるんだ」
「そう言われると、すごいね。夢が膨らむよ」
今度は、スキルアップのタネをバリボリして、と。
ステータス表を開き、ペットビルドにポイントを振る。
「よし。取ってみるね」
― ■ *** スキル表 ***** ■ ―
●戦闘用スキル
【ソーンバインド】
一〇
【召喚】
九
【ロックスロー】
四
【アタックトーテム】
一二
●生産用スキル
【クラフト】
一五
【探知】
六
【魔物使い】
八
残りスキルポイント
五
― ■ ************** ■ ―
シャーマンのスキル、【魔物使い】を取った。
一応、他にも有用なスキルがあるかも知れないので、ポイントは少し残しておく。
「頼んだら、種も補充してくれるみたいだけどね」
「まあまあ。ある分だけで十分だよ」
ひとまず、ボクの方はこれでいいか。
あとは、スライムの名付けだ。
「なにがいいかな?」
好物のブドウをあげながら、スライムに聞いてみる。いろんな果物を生やしては、この子にあげてみたけど、どうも巨峰が一番好みらしい。イメージしたものを身体から生やすボクの能力って、改めて考えるとすごいね。
「よし、キミは今日から『ピオーネ』から取って、『ピオナ』だ」
気に入ったのか、ピオナはぴょんぴょん飛び跳ねた。
「ピオーネ? どういう意味?」
「ボクの世界の言葉で、『開拓者』って意味らしい」
荒れ地を再生させる開拓者の名前に、ふさわしいじゃないか。ただ、そのままだと果物のピオーネと混同してしまうから、ピオナにした。
ピオナはボクに懐いて、全然離れない。気に入ってもらえたようだ。
「ワシのポジションが、パロンに戻ったようじゃのう」
クコが、ボクからパロンの肩に移る。
「正式に名付けをしてやるがよい。そうすれば、コヤツはお主の従魔として仕えるじゃろう」
「わかった」
クコのレクチャーに従って、正式に名付ける。
「コーキが命ずる。キミの名前は、『ピオナ』だ!」
ボクの肩から飛び退いて、ピオナは発光した。
「本契約が始まったよ」
「いよいよじゃ……ぬな!?」
パロンもクコも、口をあんぐりと上げる。
ボクも同じ顔になっていただろう。
スライムが、人の形を取り始めたのだから。
ボクが宣言すると、村から拍手が湧いた。
「村長は、やっぱりコーキでいいよね?」
「え、ボクが? 年長者のパロンのほうが、いいんじゃない? クコとか」
「ワタシには、人望がないからねぇ。クコも、似たようなもんだよ」
ボク、ウッドゴーレムだから、人望もなにもないんだけど。
「それに、ボクは冒険者だよ。管理なんて」
同じ理由で、ガルバやアザレアたちにも頼めない。ドナさんも、普通の主婦さんだし。
「チェスナ、村長をやってみる?」
無言で、チェスナはブンブンと首を振った。
「俺がサポートするぜ!」
行商人のリオンが、秘書役を買ってでてくれる。
しかし、チェスナはこれも無言で首ブンブン。
「ん? スライムが……」
ボクの肩に、スライムが乗った。
「どうしたんだろう? キミが、立候補するのかい?」
ボクが呼びかけると、スライムは飛び跳ねる。うなずいているようだ。
「コーキのそばに、いたいみたいだね」
パロンによると、そうらしいけど。
ボクのところに残ったスライムは、我が世界樹の所有物になったという。
スライムは世界樹に付着する不純物を食べて生きるので、エサには困らないそうだ。それは、ボクの身体にも言えることで。
「キミは、ひとりで寂しくない?」
ボクが聞くと、スライムはまたぴょんぴょんとはねた。
「ああ、大丈夫だって。分裂できるから」
またスライムの翻訳を、パロンが引き受けてくれた。
「ワタシたち、というかコーキと一緒に、世界を見て回りたいんだって。この土地がどうなるかも、見届けたいって」
ボクも、このスライムは他人の気がしない。
「そうだっ。コーキ、名前をつけてあげたら?」
ウチに越してきたんだから、名前なしだとかわいそうだね。
「シャーマンって【ペットビルド】もあるでしょ? 仲間にしたモンスターに名前をつけてあげることで、正式契約になるんだ」
逆に名前をつけないと、他の冒険者に名前をつけられてしまったら横取りされてしまうらしい。
「キミはもうレベルが十分上がっているから、ペットビルドを取っても大丈夫」
「そのペットを手に入れるスキルってどれ?」
「これだよ。【魔物使い】ってとこ」
パロンが、教えてくれた。
そういえば、随分とステータスをいじっていなかったな。
「アルラウネを倒そうとしたら、トレントが倒しちゃったし、やることがなかったんだよね」
「……実質、キミが倒したようなもんなんだけどね」
ボクが?
「まさか。トレントが強すぎて、ボクの出番なんて」
「キミがパワーを与えたから、トレントが強くなったんだよ。実質、キミのチカラに代わりはないよ」
「そうなんだね」
「まあ、ひとまずステータスアップの種もあるだろ? 使ってみなよ」
「うん」
― ■ *** ステータス表 *** ■ ―
名前 コーキ
レベル 二七
各ステータス
【体力】
八〇
【魔力】
一五三
【素早さ】
七一
残りステータスポイント
〇
― ■ ************** ■ ―
能力アップの種をバリボリと食べて、どえらい強さを手に入れた。
「魔物使いは、シャーマンの人気ビルドだよ。それを取るために、シャーマンになる人だっているんだ。ほら、かわいいクマを連れていた冒険者を見たでしょ? あんな感じで、動物を連れて歩けるんだ」
「そう言われると、すごいね。夢が膨らむよ」
今度は、スキルアップのタネをバリボリして、と。
ステータス表を開き、ペットビルドにポイントを振る。
「よし。取ってみるね」
― ■ *** スキル表 ***** ■ ―
●戦闘用スキル
【ソーンバインド】
一〇
【召喚】
九
【ロックスロー】
四
【アタックトーテム】
一二
●生産用スキル
【クラフト】
一五
【探知】
六
【魔物使い】
八
残りスキルポイント
五
― ■ ************** ■ ―
シャーマンのスキル、【魔物使い】を取った。
一応、他にも有用なスキルがあるかも知れないので、ポイントは少し残しておく。
「頼んだら、種も補充してくれるみたいだけどね」
「まあまあ。ある分だけで十分だよ」
ひとまず、ボクの方はこれでいいか。
あとは、スライムの名付けだ。
「なにがいいかな?」
好物のブドウをあげながら、スライムに聞いてみる。いろんな果物を生やしては、この子にあげてみたけど、どうも巨峰が一番好みらしい。イメージしたものを身体から生やすボクの能力って、改めて考えるとすごいね。
「よし、キミは今日から『ピオーネ』から取って、『ピオナ』だ」
気に入ったのか、ピオナはぴょんぴょん飛び跳ねた。
「ピオーネ? どういう意味?」
「ボクの世界の言葉で、『開拓者』って意味らしい」
荒れ地を再生させる開拓者の名前に、ふさわしいじゃないか。ただ、そのままだと果物のピオーネと混同してしまうから、ピオナにした。
ピオナはボクに懐いて、全然離れない。気に入ってもらえたようだ。
「ワシのポジションが、パロンに戻ったようじゃのう」
クコが、ボクからパロンの肩に移る。
「正式に名付けをしてやるがよい。そうすれば、コヤツはお主の従魔として仕えるじゃろう」
「わかった」
クコのレクチャーに従って、正式に名付ける。
「コーキが命ずる。キミの名前は、『ピオナ』だ!」
ボクの肩から飛び退いて、ピオナは発光した。
「本契約が始まったよ」
「いよいよじゃ……ぬな!?」
パロンもクコも、口をあんぐりと上げる。
ボクも同じ顔になっていただろう。
スライムが、人の形を取り始めたのだから。
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