ウッドゴーレムに転生しました。世界樹と直結して、荒れ地を緑あふれる大地に変えていきます【再編集版】

椎名 富比路

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第七章 絶体絶命!? 炎の地下遺跡

第69話 火山帯ダンジョン発見

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 コラシェル発のトラムが、ネイス・クロトン村に入ってきた。

 いよいよ、開通したか。

「ただいま帰ったぜ、コーキ」

「こんにちは」

 ガルバとアザレアが、帰って来る。

「コーキさん、久しぶりですね!」

 アザレアがボクを見るなり、胸に飛び込んできた。

「あはは。おかえりなさい」

 ボクは、アザレアの頭を撫でる。

「コーキさん成分が足りなすぎて、しおれてしまいそうでした」

 長旅で疲れているのだろう。アザレアのあくびが止まらない。

「大げさだなあ。まあ、ゆっくりしててね」

「はい。おやすみなさい」

 さすがに限界だったか、アザレアはネイス・クロトンに作った新居へ。
 父親のガルバも、「オレも休ませてもらうぜ」と帰っていった。

「復路の設計は、後日だな。ほとんど休みがなかったみたいだし」

「そうですね」

 ヴェリシモさんが、兵士を指揮してネイス・クロトンの駅を拡張する。

 一応、駅は出来上がっていた。が、細かい調整も必要だ。
 
「コーキ。今日は、行商人が三人も来てくれたぜ」

 ボクたちが留守の間、商業ギルドのダンディー・リオンが商人と取引をしたそうだ。

「ありがとうございます」

 ボクは、商人たちにあいさつをする。

「いえいえ。珍しい乗り物ですね。王都でしか乗れないと思っていましたよ」

 彼らはコラシェルの商人たちで、トラムに乗ってやってきた。ネイス・クロトンに近い村から聞いてこちらにきたとか。

「魔物に襲われないとは。実に素晴らしい。快適な旅でした」

 商人さんは、ウチの品物と、日用品とを交換していった。畑の防虫ポーションと、毒消しが売れたという。

「こちらの稼ぎは、珍しい作物の種をすり潰した粉だね? へえ、ニオイも強烈だ。ゴッホゴッホ」

 パロンが、特殊な粉の匂いを嗅いで、むせる。

「それ、カレー粉だよ! やった。カレーが食べられ……」
 
 岩山のダンジョン探索は、ナップルに任せている。

 ボクが歓喜していると、村に一人のドワーフが駆け込んできた。

「ナップル! スプルスのダンナは?」

「今は風呂だぜ。どうした?」

「急いで一緒に来てくれ! ダンジョンが出てきた!」
 
 とうとう、ダンジョンが顔を出したか。

「私では不満か?」

「殿下! あなたが行くのは危険でさぁ! 中が火の海なんで!」
 
 


 ダンジョンの入口まで、ドワーフのおじさんについていく。
 
 たしかに、炎にまみれていた。

「コーキ。これは、溶岩だね?」

 パロンが、心配げに告げる。

 たしかに、赤い液体状の岩が、地面でブクブクと音を立てていた。おそらく、マグマだろう。

 ボクは試しに、身体から生えている木の葉をちぎって、溶岩らしきポイントに投げた。

 ジュッという音すらせず、溶岩は葉っぱを溶かす。

「おおお。これはなんとも」

 クコならびに、全員が総毛立つ。

「こんな中を、コーキに進ませるわけにはいかん。やはりここは私が」

 ヴェリシモさんが先走ろうとした。

 ボクらは必死で止める。

「危ないよ、ヴェリシモさん! 炎を抜けても、なにがあるかわからないんだ。少し考えよう」

 いくらレベルが高いからと言っても、無策で突っ込んだら全滅は必至だ。どうすればいいか、手を考える。

「足場はあるの?」

「一応は。しかし、帰ってこられる保証はありませんぜ!」

 重いドワーフが乗っても壊れない、頑丈な足場があるという。ダンジョンとして、攻略自体は可能らしい。だが内部がかなり熱いため、ドワーフでさえ一〇分が限界だとか。炎が渦巻いているせいで、酸素もないだろう。

「難関だね」

「今まで調べてきたダンジョンの中でも、かなりの難易度だよ」

 まず、入れないなんて。

「水をぶちまければいいんじゃないか?」

 ナップルが提案してきた。

 そんな水なんて、どこに……あるには、あるんだよな。

「でも、水はダメかな? 爆発するよ」

 そういう実験動画を見たことがある。ペットボトルの水を溶岩にかけたら、燃えていた。水蒸気爆発を起こすためらしい。ここで、そんな実験をするわけにはいかないよね。

「とはいえ、やってみたいことがあるんだけど?」

 あの方法なら、炎くらいはなんとかなるかもしれなかった。

 これも、動画で見た作戦なんだけど。

「氷魔法で水を冷やして、溶岩に当ててみて」

 ボクらは、氷結魔法を使って水の柱を大量に作る。

「いい? いくよ」

 凍った柱を、溶岩の中へ。

「うわ。泡立ってきた!」
 

 溶岩に溶けた氷は、水にならずすぐ気化しようとする。そうやって、溶岩から逃げようとして泡になるという。

 しかし……。

「これじゃあ、出入り口を塞いじゃうねえ」

 泡が、ダンジョンを閉じてしまった。

 なにか、間違っている。他にも、方法があるはずだ。もしくは、ここはダンジョンの入口ではない?

「コーキ様。さらに地下深くに、風穴を発見しました。それも氷穴が」

 マグマは噴火すると、表面が外気で冷えて固まった状態になる。しかしマグマは高温なので、その表面を抜けてさらに移動するので、表面は残って空洞化してしまう。これが風穴だ。

「え、つまり、氷が張っているってこと?」

「そうです。出入り口は他にあるようです」
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