イケメン王子に転生したけど、常時発動スキル【おじさん構文】でヒロイン全員リバースしたZO☆ でも悪い気を取り除くだけだから安心だね❤

椎名 富比路

文字の大きさ
15 / 19
第三章 魔王の配下をリバースさせちゃうYO❤

第15話 魔王の配下を、リーバスさせたぞ☆

しおりを挟む
 いよいよ魔王の根城へ、近づいてきた。 

 フゥヤの故郷、インキャーパレスに到着する。
 そこで、本格的な支度をするのだ。

「インキャーパレスへ、ようこそ。我が娘フゥヤスノスキも無事で、こちらも安心ですぞ」

 領主らしき男性が、代表としてクッコ姫と対話する。

「ここまで、よく持ちこたえた。感謝する」

「いえ。クッコ姫直々にお見えにならなければ、こちらもどうなっていたか」

 ソワソワしながら、領主は語った。
 なにか、あったのだろうか?

「こちらで、勇者が戦っているだろう? こちらは、そのおかげで街として機能しているのでは?」

「はい。たしかにそうなのです。勇者殿は、よく戦ってくださいました。つい先日までは」

 領主は、不穏な言い方をした。

「どうしたっスか?」

「ここ最近のことですが、勇者様がお見えになっておりません」

 いつもはインキャーパレスの宿を借りつつ、魔王軍を潰してはこちらに帰って来て、また討伐に向かうという毎日だったらしい。
 それが、途絶えてしまった。

 勇者の娘であるチチェロが、沈んだ顔になる。

「いよいよ魔王城の深淵に、到達したのかもしれません。おそらく、魔王に最接近したのだろうと、こちらは期待しているのですが、なんの知らせもないと心配でして」

 領主の話を聞いて、姫は私兵をすべてこちらに残すことになった。

「フゥヤ殿も、お父上のそばについてあげなさい」

「うっす」

 人命救助なら、スケルトンは役に立つ。しかし魔王城ともなると、そうもいかない。
 父親も相当腕のたつネクロマンサーだが、魔王がガチめに攻め込んできたら、苦戦を強いられよう。

「心配だな。チチェロ」

「はい。父になにがあったのか」

「大丈夫だ。オレがキミを守る」

「ジュライ王子! これはわたしたち家族の問題です。王子は、いざとなれば我々を見捨てて逃げて」

「バカを言うでない!」

 卑屈になっていたチチェロを、オレは叱責した。

「オレには、チチェロが必要だ。キミのお父上に、『オレがチチェロの夫になったので』と、ごあいさつしないとNE」

「うえ……ありがとうございます」

 わずかに口を抑えたが、チチェロは笑顔を取り戻す。

 ドーン! と、外で音がした。

「なにがあった!?」

 領主が、席を立つ。

 窓の向こうに、外壁が崩れる光景が映った。

 なんだ、あのデカい魔物は……。
 この間倒した、召喚士が喚び出したデーモンより、はるかに巨大ではないか。

「行こう!」

「ジュライ王子! 無謀だ!」

「クッコ王女よ。オレがいかねば、誰がやるんだ? チチェロ、ついてこい!」

 チチェロも、「はい王子」と、剣を携え直す。

「こいつを使え。役に立つぞ」

 移動の際、オレはサーベルをチチェロに託した。

「ジュライ王子の私物ではありませんか! こんな大事なもの、使えません!」

「キミが使ったほうが、凄まじい働きをする。どうか、これで街を守ってくれ」

 今にも、魔物たちが街に入ろうとしている。

「急げ!」
 
「……ジュライ王子。仰せのままに! 【アクセル・トラスト】」

 群がる魔物たちを、チチェロは風属性魔法を込めた突きトラストで吹き飛ばす。

 あれだけ殺到していた魔物共が、瞬殺とか。いくら密集していたとはいえ。
 オレの装備って、チートすぎだろ。やっぱり、チチェロに持たせておいたほうが、強いじゃん。

「最後は、あなただけです! 【アクセル・トラスト・キック】!」

 風属性魔法を込めた回転をかけて、チチェロが竜巻のような蹴りを放った。魔物の胸板にドンと、足刀を叩き込む。
 
 しかし、モンスターはビクともしない。

「ガハハハ! 魔王四天王が一人、この魔将軍さまに勝てるわけがなかろう!」

「キャハハ! おパパつよつよ~」

 ボンテージのワンピースを着たツインテールのガキが、魔将軍の肩の上で手を叩く。

 チチェロは何度も攻撃を浴びせているが、魔将軍とかいうやつにはまったく通じていなかった。

 それにしても、あのメスガキはよくあれだけ暴れている父親の上で、平然と座っていられるな……む?
 
「効かない!」

 わかったぜ。やつの強さの秘密が!
 
「いや、チチェロ。もう一発叩き込んでやれ。今度は、オレの剣で」

 オレにいい方法がある。
 
「はい。アクセル・トラスト!」

 剣を構えて、再度チチェロが突きを繰り出した。

『風の精霊ちゃん、またまたおはー。オレのヨメに、ほんのちょっとサポートをプリーズ★ でも嫉妬しちゃ……ダ❤メ❤ダ❤ゾ❤』

「ぐええええええええええええ!」

 イキっていたメスガキが、父親の上でキラキラを吐く。そのまま、失神した。

「し、しまった! 防護結界が!?」
 
 やはりな。娘に結界を張らせて無敵になっていたか。

「今だチチェロ。引導を渡してやれ」

「アクセルッ! トラストォ!」

 チチェロは最大級の魔法を込めたスラストによって、魔将軍の心臓を一突きした。
 
 父親と一蓮托生だったのか、魔将軍が絶命するとメスガキも消滅する。

「おおお。追い払うのがやっとだった魔将軍を、たった一人で」

「いえ。ジュライ王子のサポートのおかげです」

 インキャーパレスの領主から感謝の言葉を述べられ、チチェロは謙遜した。

「……王子、新手が!」
 
「な!」

 クッコ姫の叫びに、オレは反応した。

 オレがいたところには、敵の攻撃の跡が。

 クッコ姫が呼びかけてくれなかったら、オレは敵の剣に貫かれていただろう。

「一撃をかましただけで、逃げていったようだな」

 姫が周囲を見回して、無事を確認した。
 

 チチェロが、攻撃の着弾地点に手を触れる。

「この攻撃の痕跡は……父の」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

町工場の専務が異世界に転生しました。辺境伯の嫡男として生きて行きます!

トリガー
ファンタジー
町工場の専務が女神の力で異世界に転生します。剣や魔法を使い成長していく異世界ファンタジー

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

処理中です...